« アフロビートなハードバップ | トップページ | アーティスティックなビ・バップ »

2017年7月30日 (日曜日)

こんなアルバムあったんや・85

バイオリン。ジャズにおいて、数は少ないが「バイオリン・ジャズ」は存在する。ブルージーな雰囲気を醸し出し、オフビートを強調したフレーズを連発するには、バイオリンという楽器は「向いていない」。それと、それなりの音を出そうとすると、なんせ楽器の値段が高い。バイオリンを弾き回すには、それなりの基礎教育が必要。そんなこんなの理由から、バイオリン・ジャズは数が少ない。

それでも、年に何枚かはバイオリン・ジャズの好盤がリリースされる。絶滅危惧種的なリリース数の少なさだが、基本的にリリースされるアルバムのレベルは水準以上。聴き応えのあるアルバムが基本的にリリースされている。しかし、バイオリン・ジャズは基本的に黒く無い。クラシックっぽく流麗でメロディアス。

昨年、こんなバイオリン・ジャズのアルバムがリリースされた。Jerry Goodman『Violin Fantasy』(写真左)。Jerry Goodman=ジェリー・グッドマン。どっかで聞いたことのある名前なんだが....。この盤のバイオリンの音を聴いて、これって、1970年代前半、クロスオーバー・ジャズの音。そうか、第一期マハヴィシュヌ・オーケストラのバイオリン奏者であった。
 

Jerry_goodman_violin_fantasy

 
このアルバムの演奏を聴いていると、これってジャズか、と感じる。ジャズ+ロックのクロスオーバー・ジャズ的な音ではあるが、どちらかと言えば、1970年代前半、ロック界を席巻した「プログレッシブ・ロック」の音世界に近い。調べてみたら、ゲストに、ドイツを拠点とするプログレ・バンドのNEKTARや、トニー・レヴィン、ビリー・シャーウッド、リック・ウェイクマンが参加している。

じっくり聴いていると、音の基本は「マハヴィシュヌ・オーケストラ」の音に近い。1970年代前半のクロスオーバー・ジャズのテイストが実に懐かしい。曲自体の構成力も確固たるものがあり、その構成力に応える演奏隊のテクニックも実に高いものがある。全編に渡って演奏充実。聴き始めたら一気に聴き切ってしまうほどの内容の濃さ。

この盤、ジェリー・グッドマンとして、1988年の『It's Alive』以来、約28年ぶりにリリースしたソロ名義でのアルバムとのこと。収録曲は新録曲とカバー曲が半々という構成で、今から思えば「企画盤」の色合いが強いのですが、なんせ28年ぶりのソロ名義のアルバムなので、全く気になりません。プログレ・テイストの濃い壮大なロック・シンフォニーがベースのクロスオーバー・ジャズ。僕には大好物です。

 
 

東日本大震災から6年4ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

保存

保存

« アフロビートなハードバップ | トップページ | アーティスティックなビ・バップ »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: こんなアルバムあったんや・85:

« アフロビートなハードバップ | トップページ | アーティスティックなビ・バップ »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2023年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

カテゴリー