前作と対をなす「兄弟盤」です
Columbiaレーベル時代のモンクはマンネリズムに陥ったという評価が浸透しているようだが、どうにもそれは納得出来ない。Columbiaレーベル時代のモンクは演奏が熟れていて、モンクとしては流麗な演奏が多く、聴き易くポップな雰囲気が「マンネリズム」という誤った表現になったんじゃないかな、と睨んでいる。
さて、今日はColumbiaレーベル第2弾、Thelonious Monk『Criss-Cross』(写真左)である。1962年11月と1963年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Thelonious Monk (p), Charlie Rouse (ts), John Ore (b), Frankie Dunlop (ds)。当時の「鉄壁のカルテット」である。
もともとColumbiaレーベルはジャケット・デザインに一貫性が無く、あまりデザインに関して見識があるとは思えないレーベルである。さすが米国の大手レーベルである。この『Criss-Cross』も、ピアノに向いたモンクが、万華鏡の様に4つに分かれた鏡絵の様にあしらわれていて、ちょっと奇異なジャケット・デザインに映る。
音楽のアルバムってジャケットの印象って大事だと思うんだが、この『Criss-Cross』ってアルバム、この奇異なジャケット・デザインで相当損をしているのではないか。もともとモンクのキャラクター自体が「奇異」なものとして捉えられているのに加えて、この奇異なジャケット・デザイン。まるでモンクのあの個性的なピアノのフレーズが「奇異」なものであるように捉えられてしまうのではないか。
が、そんなことは全く無いアルバムの内容である。前作『Monk's Dream』と同様、この『Criss-Cross』も判り易い。ジャズ者初心者の方々にも、この番のモンクは判り易い。冒頭の「Hackensack」を聴けば、ほんと、この盤のモンクは判り易いと感じる。アドリブ・フレーズの個性は確かにモンク。しかし、何て言ったら良いのか、そう「常識的な」モンクなのだ。
悪い意味で言っているのでは無い。良い意味で「常識的な」モンクなのだ。いわゆる「セロニアス・モンク入門」に適した盤である。そう言う意味では、前作の『Monk's Dream』の流れを組む内容で有り、『Monk's Dream』と『Criss-Cross』は対をなす「兄弟盤」と捉えて良いのではないか、と納得できる位の「判り易いモンク盤」である。
適度にスイングし、「常識の範囲内」でモンクのアドリブ・フレーズが飛んだり跳ねたりする。よって、今までのモンクになく、メロディアスで流麗。とっても聴き易いモンク・カルテットの演奏がとてもとても心地良い。もっと再評価されるべきアルバムではないでしょうか。ほんと「マンネリズム」なんて、とんでもない誤解ですよね。
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