ながら聴きのジャズも良い・22
トランペットを吹くボーカリスト。ぱっと浮かぶのは、サッチモ、そして、チェット・ベーカー。日本では、う〜ん、いたぞいたぞ。そう「TOKU」である。キャッチフレーズが「日本で唯一のボーカル&フリューゲルホルンプレイヤー」。確かに、トランペットを吹くボーカリスト。日本にはそうそういない。
ジャケットが良い。モダンアートっぽい、原色を活かしたジャケット。こういうの僕は大好き。思わず、これは「ジャケ買い」レベル。きっと音は良いに違いない。で、どんな音になっているのか。
そのアルバムとは、TOKU『Shake』(写真左)。今年のこの6月7日のリリース。聴いて楽しいコンテンポラリー・ジャズの饗宴。ゲストとの共演が基本。このゲスト陣が大変豪華。名前を挙げると、SUGIZO、Yasei Collective、AISHA、ZEEBRA、DABO、シシド・カフカ、ゴスペラーズ、多和田えみ、大黒摩季、NAOTO等々。
収録されている曲もとってもコンテンポラリー。僕達の世代が泣いて喜ぶカバー曲の数々。デヴィッド・ボウイの「Space Oddity」以下、ローリング・ストーンズやプリンス、ドナルド・フェイゲンやレナード・コーエンといったロック・レジェンドの名曲がズラリと並ぶ。これらをアーバンなコンテンポラリー・ジャズな雰囲気に仕立て上げる。
どこかで聴いたことある雰囲気やなあ、と思っていたらピンと来た。1970年代後半のエレ・ハンコックである。クインシー・ジョーンズに憧れて追求した、ファンクネス溢れるR&Bとの融合が芳しいエレ・ハンコックのボーカル曲の世界。TOKUのダンディズム溢れる、力感豊かな、しなやかなボーカルに、日本人独特の乾いたファンクネスがそこはかとなく漂う。
現代のフュージョン・ジャズである。R&B、ブラコン、ハウス、ユーロ、もちろんジャズの要素も色濃く反映して、ライトでアーバンな新しい雰囲気のフュージョン・ジャズがこのアルバムに展開されている。パッと聴けばジャズじゃない。じっくり聴き進めれば、確かにフュージョン・ジャズである。まあ難しいことは言いっこなし。聴いて「ええ感じ」やったらOK。
TOKUのフリューゲルホルンも良い。演奏の中で、ここぞというところで、ブワーっと入ってくる。決して刺激的ではない。フリューゲルホルンの柔らかくて丸い音の特性を活かした優しい音。このフリューゲルホルンが独特の雰囲気を醸し出す。明らかにTOKUの個性である。
良い雰囲気の現代のフュージョン・ジャズ。純ジャズな雰囲気とはほど遠いが、フュージョン・ジャズとして聴くと、とても良い内容だ。演奏のレベルも高く、ボーカルもゲスト含めて個性的で聴き応えがあって良い感じ。何度か聴き直しているうちに、ながら聴きに最適なことに気がつきました。
東日本大震災から6年3ヶ月。決して忘れない。まだ6年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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