初リーダー作は個性と志向満載
我々は通常、アルバムというものを通じて、そのミュージシャンやグループの個性や志向を感じ、愛でる。
70年代ロックやJポップは、ファースト・アルバムというよりは、セカンド・アルバムの方が、そのミュージシャンやグループの個性がハッキリ出ていることが多いと感じている。だから、学生時代から(今を去ること40年以上前・笑)70年代ロックやJポップのミュージシャンやグループのアルバムはセカンド・アルバムを重視してきた。
しかし、ジャズの世界では、初リーダー作というものが、そのジャズメンの個性や志向をハッキリ出していて、僕はジャズでは「ファースト・アルバム」を重視している。逆に、初リーダー作で、その個性や志向をハッキリ出せないジャズメンは大成しない。ジャズは「即興演奏と個性」を楽しむものだからなあ。
そんな、そのジャズメンの個性や志向をハッキリ出ている初リーダー作の好例がこの盤。Art Farmer『Early Art』(写真左)。1954年1月と11月の録音。1月の録音のパーソネルは、Art Farmer (tp),Sonny Rollins (ts), Horace Silver (p), Percy Heath (b), Kenny Clarke (ds)。11月のパーソネルは、Art Farmer (tp), Wynton Kelly (p), Addison Farmer (b), Herbie Lovelle (ds)。
1月の録音は、当時の若き新進気鋭のテナーマン、ソニー・ロリンズとフロントを張った、リズム・セクションも錚々たるメンバーのクインテット構成。11月の録音は、ファーマーのワンホーン・カルテット。リズム・セクションは、1月のセッションに比べるとちょっと地味になる。けど、ファーマーのワンホーンは魅力。
この1954年1月の録音部分が、アート・ファーマーの初リーダー・セッションということになる。まあ、1954年の録音は皆、初リーダー作としても良いのではないか。それほど、これらのセッションでは、アート・ファーマーのトランペットの個性と志向がバッチリと記録されていて、聴いていてとても楽しい。
とにかく溌剌としているところが良い。ファーマーのトランペットの個性である、音が心地良くラウンドしているところも、この初リーダー・セッションで如実に表れている。淀みなく流れるような流麗なアドリブ・フレーズも、既にこのアルバムでハッキリと聴いてとれる。アート・ファーマーのトランペットの個性と志向が満載のアルバムである。
ジャケットはファーマーのアップでシンプルなものだが、意外とジャズっぽくて渋い。アート・ファーマーの個性と志向満載のアルバム。好盤です。
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