米国ルーツ・ロックの実力派
1975年の晩秋のことである。当時、僕は高校2年生。エリック・クラプトン率いる、デレク・アンド・ドミノスの『レイラ』に出会って、スワンプ・ロックを知った。ほどなく、オールマンズを知り、サザン・ロックを知った。それ以来である。当時、プログレ小僧だった僕は、180度方向転換して、米国ルーツ・ロックに走ることになった。
米国ルーツ・ロックの中でも、ブルースが基調の泥臭くワイルドなサザン・ロック、米国南西部の雰囲気が色濃いカントリー・ロックが大好きで、そんな中、ゴスペルなど教会音楽の要素を織り込んだものも良い。当然、ジャズの要素やフュージョンの要素を取り込んだお洒落なルーツ・ロックも良い。
The Marshall Tucker Band(マーシャル・タッカー・バンド、略してMTB)というバンドがある。彼らはアメリカ南部のサウスカロライナで1971年にバンドを結成、彼らが練習に使っていた部屋のオーナーの名前をとって、マーシャル・タッカー・バンドと名付けた。
このバンドの音楽性は非常に多様で、カントリー・ロックをはじめとして、野太いギターのロック・サウンドを下地にしたブルースものもいける、ファンク、ソウル風味の取り込みも巧みで、シャレた味わいのソウル、ジャズのフレーズを用いた即興演奏をやったり、米国ルーツ・ロックのデパートの様なバンドです。そんなMTBをストレートに味わえるのがこのLP2枚組だろう。
The Marshall Tucker Band『Where We All Belong』(写真)。邦題「アメリカン・ロックの鼓動」。この邦題の意味するところは理解に苦しむ。1974年のMTBのサード・アルバム。スタジオ録音とライブ録音の構成で当時はLP2枚組。
スタジオ録音では、ブルーグラスの父チャーリー・ダニエルズを迎え、カントリー・ロックをメインに、ジャジーなインスト中心の演奏があったり、爽やかで軽やかな米国ルーツ・ロックが展開されます。1曲目「This Ol' Cowboy」から「.Low Down Ways」そして「In My Own Way」の流れが魅力。最高のカントリー・ロックです。
加えて、スタジオ録音だけでも聴きものなんですが、ライブ録音がこれまた素晴らしい。とりわけ「24 Hours At A Time」の14分に及ぶ熱演が素晴らしい。このインスト中心の演奏、そこはかとなく、ジャズ・フュージョンの香りもして、実に充実した演奏です。米国ルーツ・ロックの、米国南部のサザン・ロックの面目躍如ですね。
僕はオールマンズと併せて、このMTBも大好きで、高校時代から大学時代、はたまた今に至るまで、ジャズの合間の耳休めに時々、思い出した様に聴きます。MTBの持つバラエティー溢れる米国ルーツ・ロックが、ジャズの合間の耳休めにピッタリ。ジャズも米国ルーツ・ミュージックのひとつ。米国ルーツ・ロックとジャズとの相性はバッチリです。
震災から6年1ヶ月。決して忘れない。まだ6年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっとずっと復興に協力し続ける。
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