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2017年4月の記事

2017年4月29日 (土曜日)

5月6日までブログはお休みです

皆さん、おはようございます。バーチャル音楽喫茶『松和』のマスターです。今日から毎年恒例の「リフレッシュ休暇」に入っています。

以前より毎年GWを活用して「リフレッシュ休暇」を取ってきました。が、特に4年半前、落命の危機に遭遇、大手術にて危うく一命を取りとめて以来、長期間の休みを利用して「行きたいところに行こう」という気持ちが強くなりました。

ということで、今年も、命あるうち身体が動くうち、体調の安定しているうち、今年も「行きたいところに行こう」ということで、暫く当ブログをお休みします。暫くといっても、今日から5月6日(土)までの8日間のお休みです。

ちょっと遠いところに行って来ます。今年も、昔々、学生の頃、将来訪れることがあるなんて、100%思っていなかった国です。楽しみです。

それでは、皆様、5月7日(日)の夜に、再び、お会いしましょう。

  

Polska_2

 

震災から6年1ヶ月。決して忘れない。まだ6年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっとずっと復興に協力し続ける。 

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2017年4月28日 (金曜日)

ジャケットに惚れて入手した盤

実はこの盤はジャケットに惚れて入手した。イラストっぽいジャズメン達も良し、タイポグラフィーも良し。とにかくデザインが良い。とてもジャズっぽい。見た瞬間に「これは」と思った。ジャズ盤のジャケットって、こんなデザイン的に優れたものが多い。

ジャケットのデザインが優れたジャズ盤の内容に外れは無い。この盤もその格言に外れることは無い。1996年当時の優れた内容のネオ・ハードバップ。パーソネルを見渡すと、オールスター・ジャムセッションか、と思うんだが、どうして、しっかりとアレンジされた、一期一会のまさにジャズらしい演奏がぎっしりと詰まっている。これには感心した。

そのジャズ盤とは、Jerry Bergonzi & Bobby Watson『Together Again For The First Time』(写真左)。1996年の作品。ちなみにパーソネルは、Jerry Bergonzi (ts), Bobby Watson (as/ss), Kenny Barron (p), David Finck (b on 1-4,6,9), Curtis Lundy (b on 5,7,8), Victor Lewis (ds)。

バーガンジィーのテナー、ワトソンのアルト&ソプラノの2管フロントのクインテット構成。全編に渡って、バーガンジィーのテナーとワトソンのアルト&ソプラノの2管による応酬は聴き応え十分。破綻無く、とても端正で流麗。アドリブフレーズは歌心満載で聴いていてウキウキする。
 

Together_again_for_the_first_time1

 
そうそう、ジェリー・バーガンジーとは、いわゆるボストン派テナー・サックスの重鎮。圧倒的なテクニックと鮮やかなアドリブ・フレーズが個性。1947年生まれなので、今年で70歳になる。この盤の録音時は49歳。ベテランの域に達しつつある充実の頃。

バックのリズム・セクションも良い。ピアノがケニー・バロン、これがまあ、端正で堅実なバッキングを繰り広げている。この盤の安定はバロンのピアノによるところが大きいのでは。そして、ビクター・ルイスのドラミングが素敵だ。凄くハードバップしている。この盤の爽快感とスピード感はルイスのドラミングによるところが大きい。

1996年の時代に、これだけ内容のあるネオ・ハードバップな演奏が繰り広げられていたとは改めて感心した。ジャズって確実に進化していたんですね。しっかりとアレンジされた、一期一会のまさにジャズらしい演奏は、その爽快感とスピード感がゆえ、1950年代のハードバップには無いものです。1996年の時代だからこそ為し得た、ジャズの成果だと感じます。

ジャケットに惚れて入手して、その盤聴いて感心する。ジャズ盤をずっとコレクションして聴き続けてきて、なんだか幸せだなあ、と思う瞬間です。

 
 

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2017年4月27日 (木曜日)

ながら聴きのジャズも良い・19

ジャズの企画盤でよく採用されるのが「ミュージカルもの」。ジャズはミュージカルで流れる楽曲を、まとめてジャズ化する企画が多い。そんな「ミュージカルもの」の中でも、採用される機会が圧倒的に多いのが「My Fair Lady」と「West Side Story」。

どちらもミュージカルも収録された楽曲がとても美しくとても楽しい。名曲がてんこ盛りって感じで、丸ごとジャズ化したくなる。特に「West Side Story」は、レナード・バーンスタインが音楽を担当しているので、もともとジャズの要素を織り込んできてるので、圧倒的にジャズ化し易い。

アルト・サックスの使い手に「Richie Cole(リッチー・コール)」がいる。1948年生まれ。今年で69歳になる。もう大ベテラン。このリッチー・コールって、1970年代終盤に突如現れ出でて、老舗ジャズ雑誌で採り上げられて、褒めあげられたり貶されたり。ジャズ雑誌の一人芝居によって、時代の寵児となった「リッチー・コール」という印象がある。

テクニックに優れる速弾きが「軽薄」とされ、明朗な音色で吹き上げる様を捉えて「単調」と揶揄され、ビ・バップものをやればパーカーの物真似といじられ、バラードをやれば「深みがない」と切り捨てられる。とにかく散々な扱いだった。けど、僕は当時、ジャズ者初心者でしたが、このリッチー・コールのアルト、判り易くて好きでした。
 

West_side_story_richie_cole

 
Richie Cole『West Side Story』(写真左)。1996年3月の録音。ヴィーナス・レコードからのリリース。しかし、なかなか目の付け所の良い企画盤だ。明朗な音色でハイテクニックでアルト・サックスを吹き上げるリッチ・コールが「ウエストサイド物語」をやる。これってなかなか良い企画じゃないのか。

アルバムを聴けば、その意を強くする。リッチー・コールのアルト・サックスは明朗で切れ味抜群。ウエストサイド物語に収録された様々な魅力的な楽曲をしっかりとジャズ化し、しっかりとジャズとして吹き上げていく。とにかく判り易い。よって聴いていてとっても楽しい。明るくて楽しいのだから、もう「無敵」である。

バックのジャズメン達も好演している。アレンジも良好。そう言えば、この盤でのリッチー・コールのアルト・サックスのプレイはオーソドックスでハイテクニックで明朗なもの。良い感じのアルト・サックスである。でも、これって、1970年代終盤当時のリッチー・コールの音と変わらないと思うのだが。 

我が国ではあまり話題にならない、というか全く話題にならない、リッチー・コールの『ウエストサイド物語』ですが、どうして、かなり良い内容ですよ。判り易くて聴き易い。この『ウエストサイド物語』、そう言えば、ジャズ喫茶での流し聴きに最適ですね。そう言えば、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では「ながら聴き盤」としてヘビロテでした(笑)。

 
 

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2017年4月26日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・104

ジャズで「サックス」と言えば、テナー・サックスばかりでは無い。アルト・サックスにも優れたジャズメンが沢山いる。アルト・サックスは、テナー・サックスに比べると小ぶり。その分、担当する音階はテナーより高い。アルト・サックスはサックスの中で最も標準的な楽器とされる。

ジャズの世界で、そんなアルト・サックスの使い手と問われて、僕の頭の中に「いの一番」に浮かぶジャズメンは「アート・ペッパー(Art Pepper)」である。僕はジャズを聴き始めた、今を去ること40年前から、ずっと「アート・ペッパー」の大ファンである。とにかく、ペッパーのアルト・サックスは「テクニックに優れる」。

そして、音色がブリリアントで健康的な官能美がたまらない。加えて、鼻歌を歌うが如く、止めどなく出てくる、歌心溢れるアドリブ・フレーズ。豊かなイマージネーション、そして、誠実な吹きっぷり。どれを取っても「良い」。そんなペッパーのアルトが大好きだ。しかも、ペッパーのリーダー作には駄作が無い。どのリーダー作でもペッパーのアルトは「良く鳴っている」。

Art Pepper『Mucho Calor』(写真左)。タイトルはスペイン語で付けられているので、『ムーチョ・カロール(Mucho Calor)』と読んで欲しい。日本語表記ではなぜか『ムーチョ・カラー』という読み方が定着しているがこれは間違い。英語に訳すと「Much Heat」が一番近しく「とっても熱い」という意。
 

Mucho_calor  

 
加えて、ラテン風アレンジもののアルバムであることを売りにしている盤である。ジャケ裏に「a presentation in latin jazz」と明記されている。ちなみにパーソネルは、Conte Candoli (tp), Jack Costanza (bongos), Chuck Flores (ds), Russ Freeman (p), Mike Pacheko (bongos), Art Pepper (as), Bill Perkins (ts), Ben Tucker (b)。オクテット構成。1958年4月の録音。

冒頭のタイトル曲「Mucho Calor」から、ボンゴ、コンガの音が全開。掛け声なんかもかかったりして、この盤って、1960年代からつい最近まで、恐らく日本では「キワモノ扱い」の盤だったのではなかろうか、と思ってしまう。日本ではパーカッションの音色について評価が低い。併せて、ラテン・ジャズについても「俗っぽい」という一言で片付けられることが「ほとんど」。

しかし、2曲目以降、聴き進むにつけ、その評価の低さは「不遜」であると確信する。もともと米国西海岸ジャズだって、東海岸ジャズ偏重の日本ジャズ界のなかでは評価が低かった。そう、この盤は、アート・ペッパーをリーダーとして、米国西海岸ジャズの雄を集めて構成された八重奏団なのだ。

アルバム全体を聴き通して、洒落たアレンジが施された、スムースでちょっとライトな感覚のお洒落なジャズ感満載で、このアルバムって、明かな「米国西海岸ジャズ」の音世界である。そこに、ブリリアントで健康的な官能美豊かなペッパーのアルトが滑る様に、アドリブをぶっ込んでくる。ジャズである。この盤を「キワモノ」として避けてはならない。今では「ジャズ者御用達の好盤」の一枚である。

 
 

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2017年4月25日 (火曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・52

オールド・スタイルのテナーには昼下がりが良く似合う。と昨日、書いた。確かにそうやなあ、と思う。昼ご飯が終わった後、食後の珈琲を飲みつつ、天気が良ければ、外の陽射しを楽しみつつ、ちょっと微睡みながら聴くオールド・スタイルのテナーは絶品である。

オールド・スタイルのテナーと言うことで昨日は「ベン・ウェブスター」のリーダー作を聴いた。オールド・スタイルのテナーと言えば、オールド・スタイルのテナーの次に、コールマン・ホーキンスが浮かぶ。ウェブスターは情感溢れるテナーが個性だが、ホーキンスのテナーは元気一杯、明朗に吹きまくるテナーが魅力。

そんな明朗に吹きまくるホーキンスのテナーが楽しめるリーダー作がこれ。Coleman Hawkins『The Hawk Flies High』(写真左)。1957年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Coleman Hawkins (ts), Idrees Sulieman (tp), JJ Johnson (tb), Hank Jones (p), Barry Galbraith (g), Oscar Pettiford (b), Jo Jones (ds)。ギター、トロンボーンも入ったセプテット構成。Riversideレーベルからのリリース。
 

The_hawk_flies_high

 
ホーキンスは収録された全ての曲において、明朗に吹きまくっている。豪快かつ大らかに吹きまくるホーキンスは、とっても頼もしい。加えて、トランペットのシュリーマンが凄く元気に吹きまくる。とにかくすっごく元気なトランペットが明らかに目立っている。ピアノのハンクは渋いバッキングを披露し、J.J.のトロンボーンもアンサンブルの良いアクセントになっている。

1957年の録音だが、演奏の内容は当時のハードバップ最先端にはほど遠い、どちらかと言えば、スイング時代からビ・バップ時代へ移行する時期の、オールド・スタイルのモダン・ジャズという風情。昭和30年代のジャズ喫茶の雰囲気がプンプンする。決して、テクニックに過ぎることは無く、ジャズとして楽しい演奏を繰り出していく。

ホーキンスは明朗に吹きまくるテナーなんだが、そこはかとなく、ブルージーでマイナーな雰囲気が漂うところが良い。春の儚さと良く似た雰囲気。楽しゅうてやがて悲しき、というか、楽しゅうてやがてブルージー。そんなホーキンスのテナーは、ジャズ喫茶の昼下がりによく似合う。

 
 

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2017年4月24日 (月曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・51

ジャズにおいて、テナー・サックスはフロント楽器の花形である。ジャズのフロント楽器と言えば、テナー・サックスとトランペットが人気を二分する。特に、テナー・サックスは、音が太く大きく、音の表現のバリエーションが豊か。リード楽器が故に、長い時間、ソロを取ることが出来るところは無敵である。

ジャズの世界で、テナー・サックス奏者は多い。様々な個性、スタイルのテナー奏者がキラ星の如く顔を並べ、ほんと飽きない。飽きないどころが、どんどんテナー奏者の個性の「沼」にずぶずぶと填まっていく。あれも良い、これも良い、としている間に自分の好みが判らなくなる(笑)。

オールド・スタイルのテナーも良い。Ben Webster『Soulville』(写真左)。1957年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Ben Webster (ts), Ray Brown (b), Herb Ellis (g), Stan Levey (ds), Oscar Peterson (p)。アーリー・ジャズ期から活躍したベン・ウェブスターのワンホーン、ギター入りクインテット。ヴァーヴ・レコードからのリリースだけど、ジャケットは「やっつけ」(笑)。
 

Soulville_ben_webster  

 
ウエブスターが難しいこと無く、ただ漆黒のブルージーなテナーを吹き上げる。太く力強く、時に優しく、時に繊細に、そして、時々、豪快にテナーを吹き上げる。とっても味のあるテナー・サックスに惚れ惚れする。モードだのコードだの、ビ・バップだのハードバップだの、何処吹く風。ウエブスターは悠然と自分のテナーを吹き上げる。

伴奏上手のオスカー・ピーターソンが何時になく神妙にバッキングし、ウエブスターを支え、レイ・ブラウンのベースがビートの底をガッチリ支える。そして、小粋なハーブ・エリスのギターが渋くファンキーにウエブスターのテナーの音色に彩りを添える。スタン・リービーの乾いたドラムが意外と個性的。バックを支えるジャズメン達は、皆、ウエブスターを支え惹き立てる。

ハードバップ時代の演奏ですが、スイング時代の演奏の様でもあり、時代を超えた、ベン・ウエブスターならではのモダン・ジャズな演奏がここにあります。収録されたどの演奏も明らかに「モダン・ジャズ」。音質に問題のある箇所もあるんだけど気にしない。オールド・スタイルのテナーには昼下がりが良く似合う。

 
 

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2017年4月23日 (日曜日)

グリフィンとドリューの好演

いきなり初夏の陽気が数日続いたと思ったら、天候は不安定になって、昨日から4月上旬の気候に逆戻り。これだけ寒暖の差が激しいと身体がついていかない。我が千葉県北西部地方、今年の春は気候が不順でいけない。

せめてジャズは不順は避けたい。こういう天候不順で体調が優れない時は、鉄板の「ハードバップ」な演奏が良い。ハードバップとはいえ、1950年代後半から1960年代前半の伝統的なハードバップでは無く、1980年代の「純ジャズ復古」以降の洗練され尽くしたハードバップが安心で良い。しかし、そんなアルバムあったっけ?

Johnny Griffin Quartet feat. Kenny Drew『Catharsis』(写真左)。1989年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Kenny Drew (p), Jens Melgaard (b), Ole Steenbert (ds)。リトル・ジャイアント、ジョニー・グリフィンのカルテット。ベースとドラムは、ごめんなさい、僕は知りません。しかし、ピアノには大ベテラン、ケニー・ドリューが座る。
 

Catharsis_1

 
録音場所はコペンハーゲン。といって、スティープルチェイスの本拠地モンマルトルでは無い。しかし、音の雰囲気は確かに北欧。欧州ジャズらしい、スッキリとしてはいるが、音に芯の入った切れ味の良いもの。グリフィンの豪快で切れ味の良いテナーが心地良く響くところが良い感じ。

アルバム全体の演奏は明らかに「ハードバップ」。モーダルなアドリブ・ラインもあるが、全体の傾向は明らかに伝統的はハードバップ。エネルギッシュでパワフルなグリフィンのテナーが素晴らしい。加えて、そんなグリフィンに呼応するように力の入ったバップ・ピアノを披露するケニー・ドリューも聴きものだ。グリフィン〜ドリューの掛け合い、アドリブの応酬。

僕は知らないとしたドラムとベースも堅調。しっかりとリズム&ビートの底を支えています。1980年代後半、二人のレジェンド(グリフィンとドリュー)が、これだけ洗練し尽くされたハードバップを演奏していたとは、ちょっと驚きです。当時のグリフィン・カルテットの実力の高さが窺い知れます。

 
 

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2017年4月22日 (土曜日)

こんなアルバムあったんや・80

我が千葉県北西部地方、不安定な天気が続いている。曇ったと思ったら晴れ間が覗き、ちょっと濃い灰色の雲が近づいてきたと思ったら、パラパラとにわか雨が降ってくる。こういう日はなんとなく気分が優れず、なんとなく憂鬱な雰囲気に包まれる。

憂鬱な雰囲気につつまれる中で聴くジャズもなんとなく、アンニュイな雰囲気に包まれる。なんか乗らないなあ、なんて思って、アルバムの棚を眺めながら・・・・、あれっ、こんなアルバム持ってたっけ、と不謹慎な思いを持ってしまうアルバムが出てくる。決して声を出して言えない。声を出して言おうものなら、嫁はんに聞かれたら絶対に怒られる(笑)。

そんな、ちょっとした驚きをもって発掘したアルバムが、松本英彦『Four Wings』(写真左)。1979年10月の録音。パーソネルは、松本英彦 (ts, fl /1926年生まれ), 菅野邦彦 (p/1936年生まれ), 鈴木勲 (b/1933年生まれ), ジョージ大塚 (ds/1937年生まれ) 。このパーソネルは一期一会セッションで、結果的にはラストとなった貴重な記録になります。

こんなアルバム、持ってたんや〜、と思いつつ、アルバムを手に取ると、1979年の録音。加えて、パーソネルは基本的に日本ジャズのベテラン中心の構成。ふ〜ん、あんまし期待できへんなあ、と思いながらも、ジャケットのデザインの趣味の良さから、とにかく聴いてみることにした。
 

Four_wings

 
日本のジャズ界において伝説のカルテット、リーダーのスリーピーこと松本英彦を筆頭に、スガチンのピアノ、オマスズのベース、ジョージのドラム。ちょっとレトロな響きのジャズが出てくるかな、と思いつつ、CDプレイヤーのスタートボタンを押すと、冒頭の「Speak Low」の楽器の音の生々しさ、演奏全体を包む強烈なスイング感に思わず身を乗り出します。

ハードバップなモダンジャズの良いところを全て集めたような、非常に内容のある演奏がギッシリ詰まっています。加えて、日本人のモダンジャズらしく、ファンクネスは希薄、切れ味の良い乾いたオフビートが底に流れている。いや〜びっくりしました。このアルバムの演奏内容は「目から鱗」です。

当時53歳、既に大ベテランの域に達していた松本英彦がこんな緊張感溢れる、先進的な内容のアルバムを出していたなんて、とにかくビックリ。とりわけ、菅野邦彦 (p), 鈴木勲 (b) の参加が効いているなあ、と思います。二人の先進的なハードバップな演奏が、受け狙いのドラミングに傾きがちなジョージ大塚のドラミングを堅実かつ味のあるドラミングに変身させているようです。

この菅野・鈴木・大塚のリズム・セクションがこのアルバムの先進性を決定付けている。そんなリズム隊をバックに悠然とスリーピーこと松本英彦がテナーをフルートを吹き上げている。誠に上質のハードバップ。一期一会の好盤です。日本ジャズも隅に置けない。

 
 

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2017年4月21日 (金曜日)

ながら聴きのジャズも良い・18

やっと4月の中旬らしい気候に落ち着いた感がある。寒くも無く暑くも無い。ちょうど良い塩梅の気候。何かしながらの音楽。ながら聴きに良い季節である。この季節、僕は本を読みながらのジャズの「ながら聴き」が好み。ちょっとだけ窓を開けて、微かな春風の流を感じながらの「ながら聴き」。

僕は「ながら聴き」のジャズについては、フュージョン・ジャズのアルバムを選盤することが多い。爽やかでシンプルで明るいフュージョン・ジャズが「ながら聴き」にピッタリ。そんな盤ってあるのか。あるんですよね、これが(笑)。落ち着いた大人のフュージョン・ジャズが良いですね。あまり「はっちゃき」なのは耳についていけない。

Jim Beard『Song of the Sun』(写真左)。1990年の作品。新生CTIレーベルからのリリース。リーダーのジム・ビアードは、1980年代後半〜1990年代のN.Y.ジャズ・シーンで最も注目すべきキーボード奏者の一人。基本はジャズ。ジャズに軸足を置きながらのモーダルなキーボード・プレイが特徴。
 

Song_of_the_sun1

 
アルバムを聴き通すとこのアルバムの雰囲気に思わず「ニヤリ」とする。1970年代から1980年代を駆け抜けた伝説のフュージョン・バンド「ウェザー・リポート」の後期の音をスッキリとシンプルにした、判り易い「ウェザー・リポート」といった雰囲気。とりわけ、ビアードのキーボード・プレイは秀逸で、バラエティーに富んでいて、とても楽しめる。

パーソネルを見渡すと、うへへ〜と思わず笑みが漏れる。サックスにMichael Brecker、Bob Mintzer、Wayne Shorter、Lenny Pickettを使い分ける。ベースはVictor Bailey、Anthony Jackson、Batundi Panoを使い分け。ドラムにDennis Chambersの名前が見える。ハーモニカにはToots Thielemans。これって、フュージョン全盛時代の主要ジャズメンばかりである。

アルバムに収録された演奏は、ビアードの優れた編曲で整えられたシンプルで破綻の無いもの。あまりに整然としていて、ファンクネスに欠けるところがちょっと惜しい。それでも、アルバム全体の音世界は、小粋で成熟した上質のフュージョン・ジャズ。時は1990年、遅れてきたフュージョン・ジャズの好盤としてお勧め。特に「ながら聴き」にピッタリである。

 
 

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2017年4月20日 (木曜日)

80年代サンボーンの代表盤

フュージョン・ジャズの雄、アルト・サックスの代表格、デイヴィッド・サンボーンの聴き直しを続けている。前回は1988年の『Close-Up』をご紹介したのだが、順番として、このアルバムを忘れていた。面目ない。

David Sanborn『A Change of Heart』(写真左)。1987年の作品。ど派手なジャケットに度肝を抜かれる。サンボーンの素晴らしさを知らない人は、このジャケット、手にするにはかなりの勇気がいる。もうちょっと何とかならなかったのかなあ。さすがに1980年代、バブリーな時代のデザイン感覚を再認識する。

しかし、内容的には、良きにつけ悪きにつけ、1980年代のサンボーンを代表する内容に仕上がっているのではなかろうか。全編に渡って、マーカス・ミラーの硬質に弾けるエレベとハイラム・ブロックのねちっこいエレギをバックに、それはそれは気持ち良さそうにアルトを吹き上げるデヴィット・サンボーン。
 

A_change_of_heart

 
この盤、サンボーンのアルトがとっても良い音で鳴っている。ど派手なアレンジ。メタリックな輝きに満ちたブロウ。もともとサンボーンは懐の深いミュージシャンではあるんだが、この盤の内容を見渡すと、ダンスナンバーあり、ハードナンバーあり、泣きのバラードあり、とバラエティーに富んだ内容がとても楽しい。

しかし、そんなバラエティーに富んだ演奏内容なんだけど、サンボーンのソウル&ファンキーでメタリックな輝きに満ちたブロウは終始一貫している。これが素晴らしい。1980年代のサンボーンをアルトの「これ一枚」を選べと言われたら、この『A Change of Heart』を挙げるかな。それほど、この盤でのサンボーンのアルトは輝きに満ちている。

1980年代の音なので、はしたないほどにデジタルっぽい音だし、リズムは明らかに打ち込み中心で人工的。こういう面では1980年代のサンボーン盤はあまり好んで聴くことは少ないのだが、この盤については、1980年代のサンボーンのアルトを確認したい時、必ず手にする盤ではあります。サンボーン者にとっては好盤です。

 
 

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2017年4月19日 (水曜日)

「音が良い」ということは尊い

アルバム鑑賞において「音が良い」ということは尊いことである。ジャズ発祥約100年、ジャズには古い録音が多々ある。古い録音であればあるほど録音の質は落ちる。それでも演奏が良いと録音の質には目をつぶって、我慢してその素晴らしい演奏に耳を傾ける。

硬派なジャズ者の方々の中には「ジャズの良し悪しに録音の質は関係無い」と言い切る人もいる。でも、ですね。録音の質が良ければ良いほど、楽器演奏のテクニックの良さ、楽器の出す音の響き、ニュアンスの豊かさの詳細がダイレクトに伝わってくる。録音の質の良さは、ダイレクトにその「ジャズの良さ」を明確に伝えてくれる。

まあ、一言で言うと「ジャズも録音の質が良いに越したことは無い」ということですね。録音の質の良し悪しって、ジャズにとっては、その「ジャズの良し悪し」の正しい理解をしっかりサポートしてくれる、そんな役割でしょうか。

『The Earl Klugh Trio, Volume. One』(写真左)。1991年のリリース。ちなみにパーソネルは、Earl Klugh (ac-g), Ralphe Armstrong (ac-b), Gene Dunlap (ds)。ありそうで無かった「ナイロン弦でのジャズ・ギター」。そんなありそうでなかったことを実現したナイロン弦の名手アール・クルーが1991年リリースしたトリオ編成のアルバム。
 

The_earl_klugh_trio_volume_2

 
アール・クルーと言えば、フュージョン・ジャズの人、というイメージが強い。アコースティックな純ジャズを好んでやるタイプでは無い。そもそもアコギという楽器自体、意外と「音の表現力」という面で、他の楽器と比べて劣るところがある。しかも、ナイロン弦である。音の表現の幅は意外と狭い。そういう面で、アコースティックな純ジャズで勝負するにはちょっとハンデが大きい。

しかし、アール・クルーは敢えて、この盤ではドラム+アコベとのトリオ編成で、かつスタンダード曲を全面的に取り上げ、内容的にかなり純ジャズなアルバムになっています。演奏の質はライトでアーバンなフュージョン・タッチなものですが、出てくる音は間違い無く「純ジャズ」なのが凄く良い。

この盤、抜群に録音の質が良い。アコベがブンブン唸りを立てて響き、ドラムのスネア、シンバルの音は生々しくダイナミズム抜群。そこにアール・クルーのテクニック豊かな「ナイロン弦なジャズ・ギター」がフロントに座る。オール・アコースティック楽器での音の響き、ニュアンス豊かなスタンダード演奏の饗宴。躍動感、透明感抜群の純ジャズである。

決して黒く無く、決してファンクネス過多でも無い。ライトでアーバンな、落ち着いた大人の純ジャズ、という面持ちが実に良い。アール・クルーのメロディラインは美しく音色も繊細。それをこの盤は「録音の質の良さ」でしっかりと豊かに聴かせてくれる。好盤です。

 
 

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2017年4月18日 (火曜日)

1980年代後半の音がギッシリ

しかし、この急激に暖かくなった気候はなんなんだ。我が千葉県北西部地方、この日曜日あたりからぐんぐん気温が上がり始め、もう一気に初夏の陽気である。今日の東京などは夏日である。あの〜さすがにまだ4月中旬なんですけど・・・。

でも、これだけ暖かくなると、とっても過ごしやすくなる。寒い寒いと眉間にしわを寄せることもない。ゆったりした気分で音楽に耳を傾ける事が出来る。この季節って暑すぎず寒すぎず、ジャズの鑑賞にとっても適した季節なのだ。

暖かさが身体に伝わると気持ちもウキウキ。そういう時って、フュージョン・ジャズによく手を出す。メリハリ効いたフュージョン・ジャズが耳に心地良い。ということで、フュージョン・アルトの使い手、サンボーンの聴き直しを再開。どのアルバムからだっけ。う〜んとそうそう、これでした。

David Sanborn『Close-Up』(写真左)。1988年のリリース。Marcus Millerのプロデュース。1980年代後半の典型的な音作り。マーカスお得意の打ち込みファンク路線全開、そこに「泣きのサンボーン」が全開の明らかに1980年代後半の音がギッシリ。
 

Closeup

 
冒頭から打ち込みファンク丸出しの演奏なので、ちょっと「ひく」。もともと僕は打ち込みは好きじゃない。機械的で人間味の感じられないリズム&ビートはどうにも好きになれない。たかがリズムなんだから打ち込みでも良いではないか、という意見もあるが、やはり音楽は人間が創り出すものであって、人間が出す音だからこそ、耳に心地良く響く。

しかしながら、そこはマーカス。切れ味の良い、そこはかとないグルーブを醸し出しながらの打ち込みリズムなので、意外と耳につかない。そこに「泣きのサンボーン」が全開。意外と聴きどころ満載で、そこそこ聴けます、この盤。でも、サンボーンのアルトの音にエフェクトをかけているのが気に入らない。管楽器にエフェクトはいらない。

聴けば、どうにもAORっぽいアレンジやなあ、なんて思うんですが、これはこれで「アリ」かな、と思います。こってりアーバンな雰囲気がバブリーで意外と聴けます。味もしゃしゃらも無い平凡なジャケットだけど、素敵にファンキー、泣きのサンボーン全開。1980年代のサンボーン盤として、まずまずの出来かな、と思っています。

 
 

震災から6年1ヶ月。決して忘れない。まだ6年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっとずっと復興に協力し続ける。 

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2017年4月17日 (月曜日)

米国ルーツ・ロックの実力派

1975年の晩秋のことである。当時、僕は高校2年生。エリック・クラプトン率いる、デレク・アンド・ドミノスの『レイラ』に出会って、スワンプ・ロックを知った。ほどなく、オールマンズを知り、サザン・ロックを知った。それ以来である。当時、プログレ小僧だった僕は、180度方向転換して、米国ルーツ・ロックに走ることになった。

米国ルーツ・ロックの中でも、ブルースが基調の泥臭くワイルドなサザン・ロック、米国南西部の雰囲気が色濃いカントリー・ロックが大好きで、そんな中、ゴスペルなど教会音楽の要素を織り込んだものも良い。当然、ジャズの要素やフュージョンの要素を取り込んだお洒落なルーツ・ロックも良い。

The Marshall Tucker Band(マーシャル・タッカー・バンド、略してMTB)というバンドがある。彼らはアメリカ南部のサウスカロライナで1971年にバンドを結成、彼らが練習に使っていた部屋のオーナーの名前をとって、マーシャル・タッカー・バンドと名付けた。

このバンドの音楽性は非常に多様で、カントリー・ロックをはじめとして、野太いギターのロック・サウンドを下地にしたブルースものもいける、ファンク、ソウル風味の取り込みも巧みで、シャレた味わいのソウル、ジャズのフレーズを用いた即興演奏をやったり、米国ルーツ・ロックのデパートの様なバンドです。そんなMTBをストレートに味わえるのがこのLP2枚組だろう。
 

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The Marshall Tucker Band『Where We All Belong』(写真)。邦題「アメリカン・ロックの鼓動」。この邦題の意味するところは理解に苦しむ。1974年のMTBのサード・アルバム。スタジオ録音とライブ録音の構成で当時はLP2枚組。

スタジオ録音では、ブルーグラスの父チャーリー・ダニエルズを迎え、カントリー・ロックをメインに、ジャジーなインスト中心の演奏があったり、爽やかで軽やかな米国ルーツ・ロックが展開されます。1曲目「This Ol' Cowboy」から「.Low Down Ways」そして「In My Own Way」の流れが魅力。最高のカントリー・ロックです。

加えて、スタジオ録音だけでも聴きものなんですが、ライブ録音がこれまた素晴らしい。とりわけ「24 Hours At A Time」の14分に及ぶ熱演が素晴らしい。このインスト中心の演奏、そこはかとなく、ジャズ・フュージョンの香りもして、実に充実した演奏です。米国ルーツ・ロックの、米国南部のサザン・ロックの面目躍如ですね。

僕はオールマンズと併せて、このMTBも大好きで、高校時代から大学時代、はたまた今に至るまで、ジャズの合間の耳休めに時々、思い出した様に聴きます。MTBの持つバラエティー溢れる米国ルーツ・ロックが、ジャズの合間の耳休めにピッタリ。ジャズも米国ルーツ・ミュージックのひとつ。米国ルーツ・ロックとジャズとの相性はバッチリです。

 
 

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2017年4月16日 (日曜日)

こんなアルバムあったんや・79

あまたあるジャズ・レーベル、それぞれのレーベルによって個性があって面白い。例えば、ジャズ・レーベルの中でも「やっつけ仕事」で有名なPrestigeレーベル。ジャズメンに手当たり次第に声をかけ、全てをジャズメンに任せての「一発録り」。そうやって録音した音源を適当に集めてアルバムにして発売する。

よって、アルバムによっては、録音日が異なったり、パーソネルが異なったりで、演奏内容や録音音質にバラツキがあったりで何かと評判が悪い。演奏は全てジャズメン任せになっているので、録音内容についてレーベルとしての統一感は殆ど無い。

それでも、手当たり次第に録音をしてアルバム化していったので、音源の数としては莫大なものになり、ジャズ演奏の記録として貴重なものになっている。今では、Bluenoteレーベル、Riversideレーベルと並んで「モダン・ジャズの3大レーベル」と呼ばれているくらいである。

そんな玉石混交としたPrestigeレーベルのアルバムの中には、これは、と目を見張る様な、いや「耳」を見張る様な内容のアルバムに出くわすことがある。そんなところが、このPrestigeレーベルの面白いところで、このレーベルのアルバムはカタログの順番に聴き進めていくのが面白い。
 

Jug_dodo1
 

このアルバムなんか、たまたまダウンロード・サイトを徘徊していて、見つけたアルバムで、レーベルを見れば、あれまあPrestigeレーベルのアルバムではないか。それでは、と聴いてみて「目から鱗」。とっても良い内容のハードバップ盤なのだ。正に典型的なハードバップな演奏が繰り広げられている。実に魅力的な盤である。

Dodo Marmarosa & Gene Ammons『Jug & Dodo』(写真)。May 4, 1962年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Gene Ammons (ts), Dodo Marmarosa (p), Sam Jones (b), Marshall Thompson (ds)。オールド・スタイルのテナーマン、ジーン・アモンズと伝説のバップ・ピアニスト、ドド・マーマローサの出会いの記録が貴重である。

バップなマーマローサの端正なピアノに、オールド・スタイルで唄う様なジーン・アモンズの豪快なテナーの共演が実に良い塩梅である。テクニックとか奏法とか、小難しいことは全く関係無し、それぞれの素材になる曲をベースに魅力的なアドリブを展開していく。ただそれだけなんだけど、この盤には聴いて楽しいハードバップな演奏がギッシリ詰まっている。

こんな盤が膨大なカタログの中に隠れているのだから、Prestigeレーベルは隅に置けない。ちなみにタイトルの「Jug」とは、ジーン・アモンズの愛称。LP時代のジャケット(写真左)を見ると「Jug(水差し)」と「Dodo(ドードー鳥)」のイラストがあしらわれている。これもPrestigeレーベルでは珍しい、小粋なジャケットである。

 
 

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2017年4月15日 (土曜日)

ブレッカー・ブラザースの復活

ランディ・ブレッカーとマイケル・ブレッカー兄弟によるザ・ブレッカー・ブラザーズ(The Brecker Brothers)、人気のフュージョン・バンドとして一世を風靡したが、フュージョン・ブームに翳りが見え始めた1982年に活動を停止し、それぞれがソロ活動を開始。伝説のバンドの化すのかと思われた1992年、突如として復活を果たす。

何があったのかは判らないが、この復活には期待した。活動停止前、1975年から1982年まで、ブレッカー・ブラザースが大活躍の頃は、名ライブ盤『Heavy Metal Be-Bop』を中心に聴きまくった。フュージョン・バンドとは言え、その内容は硬派でハードボイルドなもので、フュージョンの主流「ソフト&メロウ」とは一線を画する格好良さ。

そんなブレッカー・ブラザースが復活を遂げたアルバムが『Return of the Brecker Brothers』(写真左)。1992年のリリース。ドラムにDennis Chambers(略称デニチェン)、ギターにマイク・スターン(略称マイスタ)の参加が目を惹く。以前からのメンバー、エレベのWill Lee(ウィル・リー)の参加が嬉しい。
 

Return_of_the_brecker_brothers

 
聴けば判る「硬派な大人のファンキー・フュージョン」。バカテクなのは相変わらず。まあ、それはそれは演奏テクニックの素晴らしさ。しかし、その演奏テクニックの素晴らしさをひけらかすことなく、余裕ある、ある種ゆったりとした大人のファンキー・フュージョンを展開している。

ドラマーがデニチェン、エレベがウィル・リーなので、リズム&ビートは基本的に「ソリッドでシャープ」。フロントの管楽器は皆ハードボイルド。ストレートアヘッドなフュージョンもあるが、踊れる要素を前面に押し出したダンサフルなナンバーもあって、その多様性が楽しい。

1992年の時代に、こんなに小粋でソリッドでシャープな「硬派フュージョン」が生まれ出ていた事にちょっと感動する。『Heavy Metal Be-Bop』の様に、ヤンキーな前のめりのロック感はありませんが、本当に余裕のある「硬派な大人のファンキー・フュージョン」です。実は、僕はこの『Return of the Brecker Brothers』が大好きです。

 
 

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2017年4月14日 (金曜日)

ライブ・フロム・ボトムライン

21世紀に入って、昔のオープンリール・テープやカセット・テープの音源が、リマスタリングを始めとしたリイシュー技術が進歩したお陰でCD化され易くなったのか、これはこれは、と嬉しくなる様な、懐かしくなる様な音源が出てくることが多くなった。ありがたいことである。

1970年代、音楽ファンの貴重な音源がFM放送だった。専門誌もあった。FM Fan、週間FM、そして、僕達が愛読したFM専門誌は、1974年に創刊された「FMレコパル」である。隔週の発売だった記憶がある。発売日には書店に行き、即ゲット。そのまま家に直行し、当時はラインマーカーなるものは無く、赤鉛筆でエアチェックしたい番組をマークしていた。

1978年からジャズを本格的に聴き始める訳だが、やはりFMは貴重な音源だった。初心者ホヤホヤのジャズ者でも、ジャズは即興、ジャズはライブが面白い、ということは頭で理解している。そんな中、FMで流れるジャズのライブ番組「ライブ・フロム・ボトムライン」と「渡辺貞夫 マイ・ディア・ライフ」は毎回欠かさず聴いたし、エアチェックも欠かさずした。そして、繰り返し聴いた。

このライブ音源は記憶違いでなければ、1979年頃のFM東京系のライブ番組「Live From The BOTTOM LINE」で流れたものらしい。その頃、僕は大阪に住んでいたので、FM大阪経由で聴いたことになる。で、このライブ音源を暫く聴いていて、確かにこのライブ演奏は、FMで聴いた記憶がある。
 

The_bottom_line_archive_series_live

 
そのライブ音源とは、Brecker Brothers『The Bottom Line Archive Series :(Live 1976)』(写真左)。ライブ演奏を収録した場所はNYのライヴハウス、ボトムライン。ちなみにパーソネルは、Michael Brecker (ts), Randy Brecker (tp,fgh), Steve Khan (g), Will Lee (b), Chris Parker (ds), Don Grolnick (org, key, vo), David Sanborn (as), Sammy Figueroa (per, vo), 。

凄い凄いぞ。今から振り返れば、フュージョン・ジャズ畑の錚々たるメンバーである。ブレッカー・ブラザースのライブ盤については、1978年の『Heavy Metal Be-Bop』が有名なんだが、このライブ音源はその2年前。ブレッカー・ブラザースのオリジナル・メンバーでの初、そして唯一の公式ライヴ音源。

凄まじい迫力と圧倒的なテクニック。『Heavy Metal Be-Bop』の様に、ヤンキーな前のめりのロック感はありませんが、逆に、意外にクールで疾走感溢れる演奏とタイトでファンキーなグルーブが良い感じです。そう、初期のブレッカー・ブラザースの音なんですね、これが。そんな初期のブレッカー・ブラザースのライブがこの音源で追体験できます。

ジャケットはかなり「やっつけ」でレトロで、内容を知らずにゲットするにはちょっと気が引けるのですが、このCDの内容を聴けば、そんなことも全く気にならなくなるどころか、この「やっつけ」のジャケットが愛おしく見えるのが不思議です(笑)。

 
 

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2017年4月13日 (木曜日)

R&Bのボーカルものは大好き

昔から正統派なジャズ・ボーカルが苦手である。というか、好んで聴くことは全く少ない。なんでかなあ、と思い返してみる。ジャズ・ボーカルの中でも、レジェンドと呼ばれる女性ジャズ・ボーカルが苦手。1940年代から1950年代に活躍した女性ボーカリストって、皆、こぶしを回したり、唸ったりで、これがどうにも「苦手」。

じゃあ、ボーカルものって聴かないのか、と問われれば、いやいや、今を遡ること45年ほど前、中学時代から、R&B系のボーカル、当時は「ソウル・ミュージック」というジャンル名だったが、このR&B系のボーカルは妙に自分の感性にフィットするみたいで、ジャズの合間の耳休めに聴くことが多い。

例えば、『Roberta Flack & Donny Hathaway』(写真)。ロバータ・フラックとダニー・ハサウェイが1972年に連名で発表したスタジオ・アルバム。これを初めて聴いたのは1979年。例の大学の近くの「秘密の喫茶店」で聴かせて貰った。静かなバラード系の曲が多く選曲されていて、とっても落ち着いた、大人のソウル・ミュージックである。
 

Roberta_flack_donny_hathaway

 
両人ともスッと伸びるシュッとした声質、こぶしを回すことも唸ることもなく、シンプルに唄い上げていく。それでいて、さすがに黒人系のR&Bらしく、そこはかとなく漂うファンクネスと仄かな粘り。こういうボーカルであれば全くOKである。というか、聴き心地満点で思わずウットリである。加えて、両人とも歌がとてつもなく上手い。

2曲目のキャロル・キングの「You've got a friend」は絶品だ。バックのエレクトリックな明らかにR&Bな伴奏にのって、ロバータ・フラックとダニー・ハサウェイが、ユニゾン、ハーモニー織り交ぜながら、感情豊かにシンプルに唄い上げていく。他にも、ジャズ・スタンダードな「For all we know」もシンプルで良い。他の曲も...皆...良い。

レジェンドなジャズ・ボーカルは苦手だけど、黒人が主役のR&Bのボーカルものは大好き。この辺が、私こと松和のマスターの複雑なところで、バーチャル音楽喫茶『松和』では、お昼ご飯が済んだ昼下がりに「R&Bのボーカルもの」をよく選盤する。これがまあ微睡むような心地良さで、これがもう「たまらない」。

 
 

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2017年4月12日 (水曜日)

米国西海岸ロックの一つの頂点

ジャズを聴き続けると、ちょっと耳が疲れてしまう時がある。特にハードなジャズ、例えばフリージャズや自由度の限り無く高いモーダルなジャズなどを5〜6枚聴き続けると、ちょっと耳を休めたくなる時がある。そんな時には「ジャズの合間の耳休め盤」と称して、大概、70年代ロックを聴くことにしている。

選盤は大体、ジャズのアルバムを聴く合間の「ジャズの合間の耳休め盤」なので、ジャズの雰囲気をそこはかとなく宿したフュージョンっぽい盤であるとか、インスト中心のプログレッシブ・ロック盤になる。あと、米国ルーツ・ロックもよく選ぶ。米国西海岸ロックなんかも、この米国ルーツ・ロックの一種として選盤する。

今日の「ジャズの合間の耳休め盤」は、Eagles『On the Border』(写真左)。イーグルスが1974年に発表した3枚目のオリジナル盤である。僕がこの盤に出会ったのは1976年。高校の中で、米国西海岸ロックを聴く人間ってまだまだ少ない時代で、通な連中と一目置かれたり、変な奴らとして距離を置かれたり(笑)。
 

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さて、この『On the Border』、イーグルスの音楽性の全てがバランス良く詰まった好盤である。もともと、イーグルスは、カントリー&フォーク・ロックを軸としたサウンドが「売り」。しかしながら、カントリー&フォーク・ロックに傾いたバンド・サウンドについて、もう少しハードな楽曲を織り交ぜて、音楽性の全体バランスを「ほど良く」取ろうとした。その成果がこのアルバムである。

米国西海岸ロックの一つの頂点の様なアルバム内容で、イーグルスのアルバムの中では、僕はこの『On the Border』と次作『One of These Nights』をよく聴く。ライトで爽やか感のあるカントリー・ロックから、ちょっと重厚でヘビーなハード・ロックまで、実にバランスの良い楽曲が並んでいる。これが実に良い。これが実に聴き応えがある。

ハードな楽曲とフォーキーな楽曲が相まって、ジャズの合間の耳休めに程良い塩梅。そして、ラストはかの名曲「Best of My Love(我が愛の至上)」。イーグルス・サウンドの軸となっていたカントリー&フォーク・ロックをベースとした名バラード。これは絶品で、思わずウットリしながら、この盤を聴き終えて「ジャズの合間の耳休め」は完了するのだ。

 
 

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2017年4月11日 (火曜日)

ハワード・マギーって誰?

長年、そうやなあ、かれこれ40年、ジャズを聴き続けているんだが、名前は聞いたことがあるが、そのジャズメンのリーダー作を聴いたことがない、未だにそんなことがたまにある。

そういうジャズメンのリーダー作って、そもそも人気が無くてリイシューされないとかが理由なんだけど、人気が無い、というのは、そもそもジャズ評論家がそのジャズメンのリーダー作を好んで紹介しない、それに併せて、レコード会社がリイシューしない、というのが、日本では殆どではないか、と思っている。

そんな可哀相な境遇に陥ったジャズメンの一人が「ハワード・マギー(Howard Mcghee)」。ディジー・ガレスピー, ファッツ・ナヴァロ、アイドリース・シュリーマンなどと並んでビバップの最初のトランペット奏者の一人である。が、日本では殆どその名を聞くことは無い。マイナーな存在に甘んじている。

ハワード・マギーは麻薬禍で、何度か引退〜復帰を繰り返している。一定期間、コンスタントに成果を上げた期間が無く、そういう点が評論家筋から受けないのだろうか。麻薬が教育的に良く無い、とは理由にならない。なぜなら、従来のジャズ評論がこぞって良い良いとべた褒めもチャーリー・パーカーやバド・パウエルなんて筋書き入りのジャンキーである。麻薬が過ぎて命を縮めたクチである。

ネットの世の中になって、一般のジャズ者の方々が思い思いもアルバム評論をアップする様になり、やっと、このハワード・マギーのリーダー作が評価される様になり、最近になって、やっと米国本国でCDリイシューされたり、ダウンロードサイトにアップされたりし出した。最近では、幾枚かのリーダー作が入手可能になっている。
 

Dusty_blue

 
さて、そんなハワード・マギーのアルバムで最初に僕が触れた盤が、Howard Mcghee『Dusty Blue』(写真左)。マギーの最高傑作の誉れ高い、1960年6月録音のリーダー作。ベツレヘム・レーベルからのリリースで、このジャケットとタイトルの雰囲気で、この盤の内容が楽しみになる。「ダスティ・ブルー(くすんだ蒼)」とは「けだし名タイトル」。

全9曲。4曲は、マギーのペットに、ベニー・グリーンのボーン、ペッパー・アダムスのバリサク、ローランド・アレキサンダーのテナーの4管フロントに、トミフラのピアノ、ロンのベース、ボルデンのドラムのリズム・セクションをバックにしたセプテット構成。アレンジの妙が決め手の聴いて楽しいハードバップ。

残りの5曲は、トミフラのピアノ、ロンのベース、ボルデンのドラムのリズム・セクションをバックにマギーのペットのワン・ホーンな演奏。速い運指、高音で知られたハワードのトランペットが堪能出来る。これが良い。

ハワードのペットってどっかで聴いたことのある音やなあ、と聴いていたら、そうそう、ケニー・ドーハムに似ている。溌剌とした切れ味の良いドーハムって感じがする。ブルージーではあるが、決してマイナーに偏らない。ポジティブでビ・バッパーなペットが個性的。いや、年代的にはドーハムがハワードに似ているのか(笑)。

アルバム・ジャケットがベツレヘムらしからぬ洒脱さ。盤全体を覆う「ブルージーでアーバンな雰囲気」。これがたまらなく良い。ドラッグに溺れながらも見事な復活を遂げた盤であるが、1960年代中期に再び、麻薬禍にて引退状態に。次に録音したのは1976年というから凄い。筋金入りジャンキーの「つかの間の傑作」である。

 
 

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2017年4月 9日 (日曜日)

「グラムの伊達男」の面目躍如

風邪がなかなか治まらない。困ったことに歳を取ると、風邪が治るまでに時間がかかるようになった。加えて、今日は朝から強い雨の千葉県北西部地方。体調は優れず天気は優れず、非常に鬱陶しい日曜日と相成った。

さて、ジャズばかりを聴いていると、時々、耳が疲れる時がある。特にハードなジャズ、フリージャズや自由度の高いモード・ジャズを続けざまに聴くとさすがに耳が疲れてくる。そういう時は無理はしない。副業の70年代ロックに走って「ジャズの合間の耳休め」盤を聴いて和むのが通例。これが意外に良い気分転換になる。

70年代ロックといっても、ジャズとあんまりかけ離れるのもなあ、と思う。70年代にリアタイで聴いた「鉄板盤」はジャズとは関係無く聴くが、我がバーチャル音楽喫茶『松和』としては、なるだけ、ジャズやフュージョンに近い「70年代ロック」が良いなあ、と思いながら、常々選盤している。

今日の「ジャズの合間の耳休め」の選盤は、Bryan Ferry『Another Time, Another Place』(写真)。1974年の作品。ブライアン・フェリー(Bryan Ferry)は、英国のロック・ミュージシャン、シンガー。ロキシー・ミュージックのボーカリストとして知られる。1945年生まれなので、今年で72歳になる。
 

Bryan_ferry_another_time_another_pl

 
この『Another Time, Another Place』は、フェリーのソロ第2弾。邦題は「いつか、どこかで」とムーディー。なんじゃこれ、と思いつつ、収録されたカバー曲を見ていると、ジャズ・スタンダードな曲が何曲か選曲されている。いやいや、この盤ってなかなか渋いのではと思い直す。ジャケット写真の様に、颯爽とタキシードを身に纏い、髪も短い目にきめて、渋いスタンダード曲を歌うフェリーは実に格好良い。

冒頭の「The 'In' Crowd」はBilly Page作で、ジャズの世界では、ラムゼイ・ルイスがカバーしたアルバムが有名。2曲目は「Smoke Gets In Your Eyes(煙が目にしみる)」は、ジャズにおける古典的なスタンダード曲として有名。5曲目「You Are My Sunshine」や6曲目の「(What a) Wonderful World」についても、ジャズの世界ではボーカル曲として多くカバーされている。

アレンジは控えめではあるが、グラム・ロック独特の厚めのユニゾン&ハーモニーと切れ味の良い重心の低いリズムが効いていて個性的。「グラム・ロック」をベースにしたスタンダード曲のカバー盤。実に小粋であり、長くフュージョンの時代を経たジャズ者の耳には全く違和感無く響く。

いや〜、グラム・ロックの伊達男の面目躍如ですね。1974年という時代に、こういうフュージョン・ジャズの先駆けの様な好盤がリリースされていたとは、英国のロック・シーン、ジャズ・シーンの先進性、恐るべしです。

 
 

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2017年4月 8日 (土曜日)

典型的なハードバップな演奏

風邪をひいた。喉が腫れて咳が酷い。今日は一日「風邪の週末」。朝は内科へ整骨院へ。午後からはとにかく寝る。こうなってくると、なかなか薬も効かず、憂鬱な時間を過ごすことになる。

床に伏せりながらも、無音の状態は気分が塞ぐので、ジャズをBGMっぽく流しながらの寝床になる。こういう時は難しいジャズはいけない。判り易く聴き易い、典型的なハードバップな盤が良い。典型的なハードバップを耳に刺激を与えぬよう、心地良い音量で流すのだ。

今日の選盤は『Dizzy Atmosphere』(写真)。1957年2月の録音。パーソネルを見渡せば、このメンバー、親分のディジー・ガレスピー抜きの当時のガレスピー楽団。有名どころでは、Wynton Kelly (p), Lee Morgan (tp) らが参加している。演奏を聴けば判るが、ビッグバンドのアレンジを施した典型的なハードバップな演奏。
 

Dizzy_atmosphere_1

 
とりわけピアノのウィントン・ケリーが元気だ。コロコロと転がる様なフレーズを繰り出すハッピー・スインガーなんだが、そこはかとなく漂う哀愁感がたまらない、そんなケリーのピアノがこの盤には溢れている。

この盤ではホーン・セクションは皆元気である。そんな元気なホーン・セクションの中でも、とりわけリー・モーガンのトランペットが絶好調。バリバリに吹きまくる「鯔背なトランペッター」モーガン。ウィントン・ケリーの哀愁感漂うバッキングを受けて、とりわけブルージーに吹き上げるモーガンのトランペットは絶品。

この盤、僕がジャズを聴き始めた頃、LPで入手して、以来40年、聴き続けている好盤です。ビッグバンドのアレンジがメインの演奏なので、ハードバップでありながら、そこはかとなくスインギーな雰囲気や、ガレスピーが活躍したビ・バップなアドリブ展開があったりして、正統派なジャズの香りが漂う、それが魅力のエバーグリーンな好盤です。

 
 

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2017年4月 7日 (金曜日)

根明なスピリチュアル・ジャズ

春にはスピリチュアル・ジャズが良く似合う。春のうららかな雰囲気が、フリーでアブストラクトに傾くアドリブ・フレーズを愛でる余裕を持たせてくれる。春の儚い雰囲気が、心震わせるスピリチュアルなブロウを増幅する。

そんなスピリチュアルなジャズであるが、黒人差別の問題、公民権運動やベトナム戦争が米国に影を落としていた時代である1960年代、基本的に悲しみ怒りに傾いたエモーショナルなブロウが多かった。我が国でも、1960年代は安保問題、学園紛争と国内に陰が差した時代で、この悲しみ怒りに傾いたエモーショナルなブロウが、一部ではあるが受けに受けた。

1970年代に入って、ロックの台頭によって、ジャズは大衆音楽の座から滑り落ちる。ジャズはマニア向けのマイナーな音楽になりつつあった。フリー・ジャズやスピリチュアル・ジャズは全くの下火となってしまったのである。が、どっこい、それでも細々と絶えることなく生きていたのだからジャズは意外にしぶとい。

Pharoah Sanders『Rejoice』(写真左)。女性のナレーションに導かれて始まる冒頭のタイトル曲はポシティブな雰囲気に満ち溢れている。このアルバムは1981年の作品。もはやジャズを取り巻く時代は変わったのである。このファラオ・サンダースのアルバムは、ポジティブな雰囲気が蔓延している。楽園的な雰囲気のスピリチュアル・ジャズ。
 

Rejoice1

 
2曲目の「Highlife」などは思いっきり「カリプソ」である。ポップでファンキーな明るい「カリプソ」。思わず踊り出してしまいそう。そこに、思いっきりスピリチュアルでフリーキーなサンダースのアドリブが炸裂する。それでも、サンダースのソロは伝統の範囲をはみ出すことは無い。ギリギリのところで伝統的な枠に踏みとどまる。

3曲目の「Nigerian Juju Highlife」は思いっきり「アフリカン」。ゴスペルチックな要素も振り撒きつつ、それでも基本的に雰囲気はポジティブ。4曲目の「Origin」などは女性コーラスをフィーチャーしたもの。以前のスピリチュアル・ジャズでは考えられない、思いっきりポップで怠いポジティブな雰囲気。

6曲目のコルトレーンの「Moments Notice」のボーカル付きバージョンなど、全く以て脳天気極まりない(笑)。怠くてファンキーでスピリチュアル。スピリチュアル・ジャズが精神性を追求したシリアスなものである時代は去った。このサンダースのスピリチュアル・ジャズ、シリアスなジャズ者の方々からは思いっきり怒られそう(笑)。でも、これが実に良い雰囲気なのだ。

根明なスピリチュアル・ジャズ。ちょっと地味なジャケット・デザインで損をしているが、内容的には折り紙付きのスピリチュアル・ジャズ盤です。フリーキーでアブストラクトなブロウも伝統の枠を逸脱することは無い、意外と伝統的な純ジャズの枠の中に収まったところが聴き易い好盤です。

 
 

震災から6年。決して忘れない。まだ6年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっとずっと復興に協力し続ける。 

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2017年4月 6日 (木曜日)

春はスピリチュアル・ジャズ

昨日、アルバート・アイラーの初リーダー作について語った。アルバート・アイラーのテナーはフリーでもなければ、アブストラクトでもない。しかし、明らかに「スピリチュアル」である。心揺さぶられる様な、心を鷲掴みにされる様な、スピリチュアルなテナーの嘶き。

アイラーのテナーはフリー、フリーと言われるが、今の耳でしっかり聴けば、しっかりと伝統的なジャズに根ざした演奏である。しかし、フレーズの取っ掛かりが、それまでの常識とは異なるところから始まるので、限りなく自由度の高さを感じるパフォーマンスになっている。つまりは当時のジャズ・アドリブの既成概念を取っ払ったユニークさを大いに湛えたブロウと言える。

Albert Ayler『Goin' Home』(写真)。1964年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Albert Ayler (ts, ss), Call Cobbs (p), Henry Grimes (b -2,4/7), Sunny Murray (ds -2,4/7)。パーソネルを見渡してみると、この盤って、アルバート・アイラーのテナーに絞って愛でる、そんな盤ではないか、と予想する。ちょっとワクワクする。
 

Albert_ayler_goin_home

 
冒頭のタイトル曲「Goin' Home」を聴く。邦題は「家路」。ドヴォルザークの交響曲第9番 ホ短調 作品95『新世界より』の第2楽章 Largoのイングリッシュホルンによる主部の主題。「遠き山に日は落ちて」などの愛唱歌に編曲されている。夕方5時になると、地方のあちこちで有線放送で鳴り響く「懐かしの」旋律。ちょっと俗っぽくて、旋律そのままに吹くと、聴いている方としてはちょっと気恥ずかしくなるような曲。

そんなポピュラーな大衆曲を、アイラーは「スピリチュアル」に吹き上げる。それまでの常識とは異なるところからテーマのブロウが始まる。そんなユニークな主題の流れから、これまたユニークな旋律によるアドリブ展開。この当時のジャズ・アドリブの既成概念を取っ払った、ユニークな展開が明らかに「フリー」である。心の趣くまま、気の向くままのブロウではない。伝統に根ざした、それまでのアドリブの既成概念を取っ払ったブロウ。

2曲目以降の選曲を見て、昔の評論を思い出す。この盤、アイラーとしては異色作と言われていて、黒人霊歌ばかりをストレートに演奏している。そう黒人霊歌ばかりを演奏しているところが僕にとって「ツボ」なのだ。米国ルーツ・ミュージックをベースにしたジャズ。これが良い。そして、それを「スピリチュアルな」テナーで吹き上げる。じっくり聴いて、ほんのり感動の好盤である。

 
 

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2017年4月 5日 (水曜日)

春はフリー・ジャズが似合う

ここ千葉県北西部地方でも桜がほぼ満開状態になった。今年もやっと春らしい日になってきた。今年はなかなか暖かくならなくて、先週まで、通勤の朝なんて寒いまま。冬のダウンコートが手放せなかった。昨日、やっとのことで春先のハーフコートに替えたくらいだ。

この春の桜の季節、この桜が散り出す頃。陽光麗らかな春の暖かい季節の中、ふっと悲しくなるような、ふっと侘しくなるような、そこはかとない「寂寞感」に襲われることがある。散る桜を見ながら、ふっと涙してしまう様な、胸が締め付けられる様な「寂寞感」。そんな寂寞感の中に潜む「狂気」。この季節はそんな「春の狂気」を感じる瞬間が時々ある。

そんな桜が散り出す季節、ジャズ盤の鑑賞について、フリー・ジャズが解禁になる。これって僕だけかもしれないんだが、春になるとフリー・ジャズが聴きたくなる。冬は陽射しが弱くて寒くて、そんな時、フリー・ジャズを聴いたら「鬱々」してしまうので、基本的には聴かない。夏は暑苦しくていけない。秋は寂寞感が増幅されてそれどころではなくなるので控え気味。

春はフリー・ジャズが似合う。この季節の持つ「春の狂気」がフリー・ジャズを聴きたい感覚を刺激するのかもしれない。ということで、今日は『My Name Is Albert Ayler』(写真左)を選択する。1963年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Albert Ayler (ts,ss), Niels Brosted (p), Niels-Henning Orsted Pedersen (b), Ronnie Gardiner (ds)。
 

My_name_is_albert_ayler_2

 
この盤はフリー・ジャズの盤として紹介されることが殆どだが、今の耳で聴くと意外と伝統的なジャズの中でインプロビゼーションが展開されていることに気付く。リズム&ビートについてもしっかりとジャズの基本を踏まえたもの。アブストラクト度合いも軽度なもので、フリーな度合いも穏やかなもの。今の耳では、この演奏は正統な「純ジャズ」として聴くことが出来る。

しかしながら、この盤の収録曲、スタンダードの「Bye Bye Blackbird」「Billie's Bounce」を聴けば、テナーのアドリブ・フレーズの展開の仕方がユニークなのが良く判る。それまでに無いところを基音にして、モーダルな展開をするユニークさ。そのユニークさを以てしても、この演奏は明らかに自由度の高い「純ジャズ」。

フリーでもなければ、アブストラクトでもない。しかし、明らかに「スピリチュアル」である。心揺さぶられる様な、心を鷲掴みにされる様な、スピリチュアルなテナーの嘶き。それは「Summertime」「On Green Dolphin Street」を聴けば良く判る。それまでに無い、気持ちのこもったスピリチュアルなブロウ。決してアブストラクトには傾かない。伝統的な枠をはみ出しそうで、はみ出さない、絶妙なブロウ。

アイラーのテナーのテクニックは正統派。だからこそ、ユニークなアドリブ・フレーズの展開が可能になる。この季節の持つ「春の狂気」にピッタリなスピリチュアルなアイラーのテナー。心揺さぶられ、そこはかとない寂寞感に襲われる。しかし、この春の暖かさの中、ネガティブになることは無い。春の狂気を感じつつ、スピリチュアルなブローにジャズの持つ「妖気」感じる。これが楽しい。

 
 

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2017年4月 4日 (火曜日)

CCEB・伝説のライヴ音源

久々に「チック者」にとって、嬉しいアルバム・リリースが続いている。エレクトリック・バンドもの、チックのキャリアを振り返るバラエティもの、2種類のアルバムがリリースされた。ほんま、我々「チック者」にとってはウハウハである(笑)。

特に、エレクトリック・バンドものについては涙涙である。かれこれ、本格的なエレクトリック・バンドものは久々ではないか。確か2013年の『The Vigil』以来、4年ぶりである。そのアルバムとはライブ盤。The Chick Corea Elektric Band(CCEB)『Live In Tokyo 1987』(写真左)。

もともとは以前、1988年にリリースされた『GRPスーパーライヴ!』に収められたEBの驚異的なパフォーマンスを単独でリリース。1987年10月8日の昭和女子大人見記念講堂での伝説のライヴ音源である。ちなみに僕はこの『GRPスーパーライヴ!』を所有していない。噂で、このライブ音源でのCCEBは凄いぞ、と聞いていたが、残念ながら音源を所有していない。
 

Live_in_tokyo_1987

 
21世紀も17年経って、やっとこの伝説の音源を所有する機会に恵まれたことになる。で、当然ながら、このライブ音源のCCEBの演奏は凄い。余裕がありながら鬼気迫るものがある。切れ味抜群、ノリ抜群。チックのキーボード・ワーク絶妙、飛翔感が半端無い。運指も正確無比。チックのライブでのベスト・パフォーマンスのひとつと言っても良い内容。

サイドメンも抜群のパフォーマンス。パティトゥッチのエレベの躍動感。デイヴ・ウェックルのポリリズミックなドラミング、切れ味抜群のギャンバレのギター、官能的で疾走感溢れるマリエンサルのサックス。リーダーのチックのみならず、サイドメン全員のパフォーマンスが一様に優れているライブ音源でそうそう無い。

いやはや、噂に違わぬ素晴らしい内容のライブ音源です。1988年にリリースされた『GRPスーパーライヴ!』は中古でもそうそう手に入るものでは無いので、今回の分割リイシューは有り難い。リマスターも施されているみたいで音も良い。惜しむらくは、1987年10月8日、東京昭和人見記念講堂にいたかった(笑)。生で見たかった、生で聴きたかった。

 
 

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2017年4月 3日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・103

最近の愛読書である『僕が選んだ「いい音ジャズ」201枚 〜オーディオファンも聴いておきたい優秀録音盤』。音楽鑑賞の場合、音が良いに越したことは無い。演奏が良ければ音は二の次、なんていう意見もあるが、僕はジャズにおいては「音の良さ」を追求したい。ジャズにおいては楽器の鳴る音も聴きどころ、だと思っている。

そんな「音の良いジャズ」のアルバムをチョイスした本がこの「いい音ジャズ」なんだが、この本にチョイスされたアルバムはどれもが確かに音が良い。単に音が綺麗にとれているのでは無くて、ジャズ演奏の躍動感や楽器の鳴りなど、ジャズ演奏を楽しむのに必須の「音的な要素」をしっかりと捉えているのだ。

Tubby Hayes『Tubby's Groove』(写真左)。1959年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Tubby Hayes (ts, vib), Terry Shannon (p), Jeff Clyne (b), Phil Seamen (ds)。リーダーのタビー・ヘイズは、英国はロンドン出身のハード・バップ系のテナー奏者、加えてヴァイブ奏者。そんな英国ジャズを代表するテナー奏者のリーダー作である。
 

Tubbys_groove

 
音が良い。凄く音が良い。ヘイズのテナーの音が生々しい。生き物のように呼吸するように唄う様にヘイズのテナーが鳴っている。透明度抜群に響くヴァイブの音も生々しい。これが1959年の録音なん?、とビックリする。時はハードバップ時代の真っ只中。ジャズ独特の「ブルーノート」が黒くてファンキー。この盤のジャケットのイメージそのまま。

この音の感覚を「Groove」と形容するのが一般的。「Groove」って何と問われたら、この盤をかけたりする。黒くてブルージーでファンキーなジャズ独特の「ノリ」、それが「Groove」。このタビー・ヘイズのリーダー作には、その「Groove」感がギッシリと詰まっている。この「Groove」感が生々しい音で記録されている。英国ジャズ万歳である。 

この盤でのヘイズのテナーは凄い。他のメンバーを置き去りにして、漆黒のファンキー・グルーブなテナーを吹きまくる。あっと言う間の40分間。そう言えばタイトルは「タビーのグルーブ」。けだし名タイトルである。こういう盤があるからジャズのアルバム漁りは止められない。最近の我がバーチャル音楽喫茶『松和』の「隠し球」的なアルバムである。

 
 

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2017年4月 2日 (日曜日)

ガーランドの個性とスタイル

ジャズ・ピアノのレジェンドの一人、「左手のブロック・コード+右手のシングル・トーン」のシンプル・ピアノが身上のレッド・ガーランド。彼は、その個性とスタイルを生涯変えることは無かった。しかも駄作の類が無い。よって、彼のリーダー作については、どのアルバムを選択しても、それなりに彼の個性とスタイルを愛でることが出来る。

ちなみに、この「どのリーダー作をを聴いても同じ」というのは、レッド・ガーランドに対して失礼でもあるし、最高の賛辞でもある。そんな「どれを聴いても同じく」彼の個性とスタイルを愛でることが出来るリーダー作の中でも「とりわけこれは」と感じて、長年愛聴している盤が何枚かある。

『Red Garland's Piano』(写真左)。1956年12月と1957年3月の録音。早くもプレスティッジ・レーベルお得意の音源寄せ集め商法が垣間見える(笑)。それでもパーソネルは変わらない。Red Garland (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。鉄壁のトリオ編成。骨太で安定感抜群のチェンバースのベース、多彩で安心感抜群のテイラーのドラムは最適なパートナーである。
 

Red_garlands_piano

 
真っ赤が基調のジャケットが印象的で、この盤は見た目にも映える。この盤は全曲、小粋な知る人ぞ知るスタンダード曲揃い。ガーランドは、こういう小粋なスタンダード曲をやらせると実に上手い。曲の持つ美しい旋律を崩すこと無く、印象的な右手のシングルトーンで紡ぎ上げ、アドリブになると左手のブロックコードを推進エンジンにして、高テクニックで弾き回す。

ガーランド・トリオの演奏は、よく「リラックスしている」と形容されるが、ゆったりとしたテンポで弾き進める曲が多いので、そういう形容になりがちだが、決して、心からリラックスして流すように弾いている訳では無いだろう。アドリブ部でのソロの交換のタイミングやテーマ部への戻りのタイミングなどでは、フッと緊張感がしっかりと漂う。この瞬間が聴いていて心地良い。

この盤は、レッド・ガーランドの2枚目のリーダー作。ビートに乗った左手のブロック・コード、その上で軽やかにメロディーを奏でる右手のシングル・トーン。そんな味とコクのあるガーランドのピアノを愛でるには、昨日ご紹介した初リーダー作と併せて聴くことをお勧めする。この2枚をもって、ガーランドの個性とスタイルを十分に感じ取ることが出来る。

 
 

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2017年4月 1日 (土曜日)

ガーランドの初リーダー作です

ジャズはいろいろな楽器、いろいろな編成、いろいろな演奏スタイルがあって、それぞれ特徴と個性があって聴いていて楽しいのだが、僕の場合、最後に戻ってくるのは、やっぱり「ピアノ・トリオ」なのだ。

ピアノの表現バリエーションが多彩で幅広であること、シンプルな構成であるが故にベースとドラムのリズム・セクションの詳細が判り易いこと、ピアノが僅かながら自分でも弾けること、この3点から、ジャズを聴き始めた頃から「ピアノ・トリオ」が大好きである。かれこれ40年、ピアノ・トリオを聴き続けていることになる。

ピアノ・トリオと言えば「レッド・ガーランド(Red Garland)」である。1923年生まれ1984年没。ジャズ・ピアノのレジェンドである。判りやすいジャズ・ピアノは、と問われれば、僕は、まず、レッド・ガーランドの名前を挙げる。ビートに乗った左手のブロック・コード、その上で軽やかにメロディーを奏でる右手のシングル・トーン。そんなシンプルな技で味とコクのあるジャズ・ピアノを聴かせてくれる。

ガーランドは、いつの時代も「自分のシンプルな演奏スタイル」を変えることはなかった。シンプルで判り易いが故に「金太郎飴的カクテル・ピアノ」と揶揄されることもあるが、「左手のブロック・コード+右手のシングル・トーン」は実に分かりやすく、実に聴きやすいのだ。
 

A_garland_of_red

 
そんなレッド・ガーランドの初リーダー作が『A Garland of Red』(写真左)。1956年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。鉄壁のトリオ編成。ガーランドのシンプルなジャズ・ピアノに、骨太で安定感抜群のチェンバースのベース、多彩で安心感抜群のテイラーのドラムは最適なパートナーである。

さて、この初リーダー作、まず選曲が抜群に良い。ラストの「Blue Red」以外、他はスタンダード曲が中心なのだが、ガーランドの「左手のブロック・コード+右手のシングル・トーン」のシンプル・ピアノが映える、小粋で判り易い旋律を持ったスタンダード曲が選曲されている。これが良い。ガーランドは自分のピアノの個性を良く理解している。

昔、判り易いことはジャズでは御法度とされた。判り易いジャズ・ピアノはカクテル・ピアノと揶揄された。しかし、このガーランドのピアノを聴いていると、決して安直でチープな演奏では無いことが判る。シンプルなピアノであるが故、いかにジャズとして聴かせるか。これにはとてもテクニックとイマージネーションが必要になる。

このガーランドの初リーダー作を聴いていると、これが「ジャズ・ピアノ・トリオ」の基本形のひとつだと確信する。ガーランドのプロフェッショナルな技を堪能することが出来る。これが初リーダー作だなんて、改めてビックリ。当時、ガーランドは33歳。遅いくらいの初リーダー作。落ち着き払ったガーランドのプレイには風格すら漂う。好盤です。

 
 

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