ながら聴きのジャズも良い・19
ジャズの企画盤でよく採用されるのが「ミュージカルもの」。ジャズはミュージカルで流れる楽曲を、まとめてジャズ化する企画が多い。そんな「ミュージカルもの」の中でも、採用される機会が圧倒的に多いのが「My Fair Lady」と「West Side Story」。
どちらもミュージカルも収録された楽曲がとても美しくとても楽しい。名曲がてんこ盛りって感じで、丸ごとジャズ化したくなる。特に「West Side Story」は、レナード・バーンスタインが音楽を担当しているので、もともとジャズの要素を織り込んできてるので、圧倒的にジャズ化し易い。
アルト・サックスの使い手に「Richie Cole(リッチー・コール)」がいる。1948年生まれ。今年で69歳になる。もう大ベテラン。このリッチー・コールって、1970年代終盤に突如現れ出でて、老舗ジャズ雑誌で採り上げられて、褒めあげられたり貶されたり。ジャズ雑誌の一人芝居によって、時代の寵児となった「リッチー・コール」という印象がある。
テクニックに優れる速弾きが「軽薄」とされ、明朗な音色で吹き上げる様を捉えて「単調」と揶揄され、ビ・バップものをやればパーカーの物真似といじられ、バラードをやれば「深みがない」と切り捨てられる。とにかく散々な扱いだった。けど、僕は当時、ジャズ者初心者でしたが、このリッチー・コールのアルト、判り易くて好きでした。
Richie Cole『West Side Story』(写真左)。1996年3月の録音。ヴィーナス・レコードからのリリース。しかし、なかなか目の付け所の良い企画盤だ。明朗な音色でハイテクニックでアルト・サックスを吹き上げるリッチ・コールが「ウエストサイド物語」をやる。これってなかなか良い企画じゃないのか。
アルバムを聴けば、その意を強くする。リッチー・コールのアルト・サックスは明朗で切れ味抜群。ウエストサイド物語に収録された様々な魅力的な楽曲をしっかりとジャズ化し、しっかりとジャズとして吹き上げていく。とにかく判り易い。よって聴いていてとっても楽しい。明るくて楽しいのだから、もう「無敵」である。
バックのジャズメン達も好演している。アレンジも良好。そう言えば、この盤でのリッチー・コールのアルト・サックスのプレイはオーソドックスでハイテクニックで明朗なもの。良い感じのアルト・サックスである。でも、これって、1970年代終盤当時のリッチー・コールの音と変わらないと思うのだが。
我が国ではあまり話題にならない、というか全く話題にならない、リッチー・コールの『ウエストサイド物語』ですが、どうして、かなり良い内容ですよ。判り易くて聴き易い。この『ウエストサイド物語』、そう言えば、ジャズ喫茶での流し聴きに最適ですね。そう言えば、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では「ながら聴き盤」としてヘビロテでした(笑)。
震災から6年1ヶ月。決して忘れない。まだ6年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっとずっと復興に協力し続ける。
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