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2017年2月26日 (日曜日)

英国ジャズのベテラン歌姫

音楽の関連本、アルバム紹介本は基本的にコレクションしていて、できる限り一読するように努めている。今回は、なかなか切り口の面白いアルバム紹介本を入手した。『僕が選んだ「いい音ジャズ」201枚 〜オーディオファンも聴いておきたい優秀録音盤』である。

宣伝コピーが「音楽・オーディオライターの田中伊佐資が選りすぐった、現代の名録音&名リマスター盤=「いい音ジャズ」201枚を紹介。盤ごとの音楽的&オーディオ的聴きどころがわかるガイド本」。確かにその通りで、優秀録音盤というのは基本的に好盤が多く、この本に紹介されている盤はなかなかに興味深い。

この紹介本を読んでいて、ユニークなボーカル盤が目に止まった。Claire Martin『A Modern Art』(写真左)。2009年のリリース。アルバム・ジャケットのデザインが米国っぽく無い。といって、欧州大陸でのお洒落な、デザインセンスに優れたジャケットでは無い。この「質実剛健」風のちょっと無骨なジャケットは英国に多い。確かに、このClaire Martin(クレア・マーティン)は、の英国はロンドン生まれのジャズ・シンガー。

1967年の生まれなので、今年で50歳になる。既にベテランの域に達していて、ブリティシュ・ジャズ・アワードのベスト・ボーカリストに1990年代から何回と選出され、確固たる地位を築き上げている。が、日本では全く知られていないのではないだろうか。実は、僕も今回初めて知った。リリースしているアルバムも多いが日本盤のリリースは殆ど目にしたことが無い。
 

A_modern_art

 
しかし、この『A Modern Art』を聴いてみると、これが「良い」。正統派のジャズ・ボーカル。しかも変な癖やフェイクが無い、素直な歌唱。しっかりと迫力もあり、繊細な表現も良い。声質も明るく張りのあるもので、聴いていて感傷的になるのでは無く、聴いていて明るくなる、聴いていて気持ちがポジティブになる。

この盤は収録曲を見渡すと、アメリカン・ソングブックと解釈して良い内容になっている。もともとアメリカの歌手や音楽の影響を強く受けたというクレアである。アメリカン・ソングブック的な内容は自家薬籠中のものであり、それが証拠に、至ってのびのびと、メリハリ良くポジティブに歌われている。これが実に良い雰囲気なのだ。難しいことを考えずに、クレアのポジティブな歌唱を愛でることが出来る。

そして、この盤、音が良い。好録音で名のある「LINN レコード」だそうで、特にバックバンドの音が生々しい。クッキリはっきりした音でメリハリがばっちり効いている。合わせて、クレアのボーカルも実に良い音で録れている。肉声の暖かさ丸さがしっかりと伝わってくる良好な録音だ。

彼女の声はしっかりと厚みがあってメリハリが効いてポジティブ。加えて、中低音が少しハスキーに伸びてくるところであるが個性。現代的な歌唱とオーソドックスな伝統的な歌唱が混在したジャズ・ボーカルが聴きものである。音の良さと合わせてお勧めのボーカル好盤である。

 
 

震災から5年11ヶ月。決して忘れない。まだ5年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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