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2017年2月の記事

2017年2月28日 (火曜日)

こんなアルバムあったんや・77

とあるジャズ喫茶のマスターのジャズ盤紹介本にこのアルバムがあった。どっかで見たことがある、どっかで聴いたことがある、と思うのだが、とんと思い出せない。うむむ聴きたい、と思っていたら、2000年にリイシューされた。アルバム・ジャケットは似ても似つかないものになったけど(笑)。

Mike Nock『In Out and Around』(写真左)。1978年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Mike Nock (p), George Mraz (b), Al Foster (ds), Michael Brecker (ts)。いやはや、この面子を見れば、この盤に触手が伸びるのも判る。聴いてみたい、そんな気にさせる魅惑的なパーソネルである。

マイク・ノックはニュージーランド出身の白人ピアニスト。クライストチャーチ生まれ。1960年にロンドンに渡る。’61年にダウンビート誌の奨学金でバークリー音楽院に入学。以降、ボストンのクラブのハウス・ピアニストとして活躍。’70年代後半、アコースティック・ジャズに立ち戻り活動。この『In Out and Around』はその時代の録音である。

マイク・ノックはピアニストとしては、日本ではマイナーな存在。しかしながら、その瑞々しいタッチと硬質でクリスタルな響きのピアノは聴き心地がとても良い。アドリブ・フレーズも奇をてらったところは全く無く、ニュージーランド出身らしく、ファンクネスは殆ど感じられない、透明感溢れる誠実な展開で、聴いていてほのぼのする。
 

In_out_and_around1

 
そして、ベースがジョージ・ムラツ。太いしなやかなアコベ。重心の低い強烈に安定感のあるウィーキング・ベース。ドラムが多彩でしなやかなドラミングを提供するアル・フォスター。このベース&ドラムが「半端ない」のだ。ここに瑞々しいタッチと硬質でクリスタルな響きのマイク・ノックのピアノが加わる。相当にレベルの高い、柔軟性の高いリズム・セクション。

そんなマイク・ノックのピアノ・トリオをバックに、なんとあの伝説のテナー奏者、マイケル・ブレッカーが全編に渡って、バリバリに吹きまくるのだ。テクニック最高、音の太さ切れ味最高、ブリブリ、バリバリ、テナーを吹きまくる。マイケル自身が当時のインタヴューで「最近、最もジャズ的に優れた演奏をしたのがマイクノックの作品だよ。」と語っていたのを思い出した。至極納得。

マイク・ノックは、1940年生まれなので、今年で77歳。現在では、オーストラリア・ジャズの重鎮として、まだまだ現役と聞く。日本ではマイナーな存在に甘んじてはいるが、こんなに素敵な純ジャズ盤を残しているのだ。この『In Out and Around』は、1970年代のメインストリーム・ジャズの好盤として、もっと評価されても良い盤だと思います。

こういう盤がごろりと転がっているのだから、ジャズは隅に置けない。この盤、昼下がりの人のほとんどいないジャズ喫茶で、ボリュームを上げて聴きたい盤です。マイケル・ブレッカーのテナーにぶっ飛び、ジョージ・ムラツのベースに下半身を揺さぶられ、アル・フォスターのドラミングに覚醒し、マイク・ノックのピアノに癒される。好盤です。

 
 

震災から5年11ヶ月。決して忘れない。まだ5年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年2月27日 (月曜日)

これはハービーじゃ、と思った

今年もジャズ雑誌「ジャズ批評」から「マイ・ベスト・ジャズ・アルバム 2016」が発表された。テーマは「あなたの2016年のベスト・ジャズ・アルバムを5枚をあげてください」。様々な評論家、アナログ販売店、そして読者、3つの視点から、ベスト・ジャズ・アルバムを5枚あげる、という特集だが、これが毎年面白い。

毎年、この特集を読んでいて、あらら、と思うようなジャズメン、アルバムが登場する。「ジャズ批評」のこういうアルバム紹介記事って、普通の常識的な選盤とはちょっと違った視点から選盤してくるので、思わず「こんなアルバムあったんや」と感じ入ってしまうようなアルバムが何枚も出てくる。これが楽しい。

今回、あらら、と思った、新しい名前の日本人ピアニストが「Megumi Yonezawa(米澤恵実)」。北海道出身、バークリー音楽院を卒業後、NY在住で活躍する女性ジャズ・ピアニストである。ほう〜、またまた有望な日本人女性ピアニストが出てきたことになる。う〜ん、女性ばっかやなあ(笑)。

そんな女性ジャズ・ピアノスト有望株のデビュー盤がこれ。Megumi Yonezawa Trio『A Result of the Colors』(写真左)。2012年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Megumi Yonezawa (p), John Herbert (b), Eric McPherson (ds) 。ベースとドラムは、フレッド・ハーシュ・トリオのメンバー。何と無く、イメージした音が聴こえてきそうだ。
 

A_result_of_the_colors

 
この盤のピアノの音は一言で言うと「現代の新主流派」。女性にしては意外と太いタッチから出てくる音は「ハービー・ハンコック」。僕はこのMegumi Yonezawaのピアノの音、アドリブ・フレーズの展開を聴いて、これはハービーじゃ、と思った。落ちついた、ファンクネスの少ない、硬質でクールな音。

転がる様なフレーズで耽美的な展開、切れ味良く、フレーズの終わりがアブストラクトにフリーに寄る、伝統的な自由度の高い、モーダルな展開を基本とするところが、若かりしハービーを彷彿とさせる。「ジャズ批評」って、こういうピアノ・トリオが好きですよね。毎年必ず、若手のこういう伝統的なジャズ・ピアノ・トリオが出てくる。これがまた「良い」。

日本ではまだ知られていない、それでいて見逃す訳にはいかない位のタレントである。サイドマンでの参加でも良いから、他のアルバムも聴きたくなった。1960年代の新主流派ジャズは、現代ジャズの基本中の基本。そんな基本中の基本をしっかりと押さえ、新しいジャズの響きをクリエイトする。

現代ジャズの基本の様なアルバムである。こういう正統派なアルバムは、何時の時代も絶対に必要だし、聴く側にとっても基本中の基本である。そんな基本的の様なジャズを日本人女性ピアニストが表現する。ちょっぴり嬉しくもある。これからもしっかりと着目していきたい新しいタレントの出現である。

 
 

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2017年2月26日 (日曜日)

英国ジャズのベテラン歌姫

音楽の関連本、アルバム紹介本は基本的にコレクションしていて、できる限り一読するように努めている。今回は、なかなか切り口の面白いアルバム紹介本を入手した。『僕が選んだ「いい音ジャズ」201枚 〜オーディオファンも聴いておきたい優秀録音盤』である。

宣伝コピーが「音楽・オーディオライターの田中伊佐資が選りすぐった、現代の名録音&名リマスター盤=「いい音ジャズ」201枚を紹介。盤ごとの音楽的&オーディオ的聴きどころがわかるガイド本」。確かにその通りで、優秀録音盤というのは基本的に好盤が多く、この本に紹介されている盤はなかなかに興味深い。

この紹介本を読んでいて、ユニークなボーカル盤が目に止まった。Claire Martin『A Modern Art』(写真左)。2009年のリリース。アルバム・ジャケットのデザインが米国っぽく無い。といって、欧州大陸でのお洒落な、デザインセンスに優れたジャケットでは無い。この「質実剛健」風のちょっと無骨なジャケットは英国に多い。確かに、このClaire Martin(クレア・マーティン)は、の英国はロンドン生まれのジャズ・シンガー。

1967年の生まれなので、今年で50歳になる。既にベテランの域に達していて、ブリティシュ・ジャズ・アワードのベスト・ボーカリストに1990年代から何回と選出され、確固たる地位を築き上げている。が、日本では全く知られていないのではないだろうか。実は、僕も今回初めて知った。リリースしているアルバムも多いが日本盤のリリースは殆ど目にしたことが無い。
 

A_modern_art

 
しかし、この『A Modern Art』を聴いてみると、これが「良い」。正統派のジャズ・ボーカル。しかも変な癖やフェイクが無い、素直な歌唱。しっかりと迫力もあり、繊細な表現も良い。声質も明るく張りのあるもので、聴いていて感傷的になるのでは無く、聴いていて明るくなる、聴いていて気持ちがポジティブになる。

この盤は収録曲を見渡すと、アメリカン・ソングブックと解釈して良い内容になっている。もともとアメリカの歌手や音楽の影響を強く受けたというクレアである。アメリカン・ソングブック的な内容は自家薬籠中のものであり、それが証拠に、至ってのびのびと、メリハリ良くポジティブに歌われている。これが実に良い雰囲気なのだ。難しいことを考えずに、クレアのポジティブな歌唱を愛でることが出来る。

そして、この盤、音が良い。好録音で名のある「LINN レコード」だそうで、特にバックバンドの音が生々しい。クッキリはっきりした音でメリハリがばっちり効いている。合わせて、クレアのボーカルも実に良い音で録れている。肉声の暖かさ丸さがしっかりと伝わってくる良好な録音だ。

彼女の声はしっかりと厚みがあってメリハリが効いてポジティブ。加えて、中低音が少しハスキーに伸びてくるところであるが個性。現代的な歌唱とオーソドックスな伝統的な歌唱が混在したジャズ・ボーカルが聴きものである。音の良さと合わせてお勧めのボーカル好盤である。

 
 

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2017年2月25日 (土曜日)

バートンとメセニーの師弟関係

ジャズ・ヴァイブといえば、まずは「ミルト・ジャクソン」だろう。これには誰も異論は無いと思う。ジャズ・ヴァイブの第一人者で、今は亡き「レジェンド」である。それでは「その次」は誰か。僕にとっては「ゲイリー・バートン」である。

ゲイリー・バートン(Gary Burton)は、米国インディアナ州出身。 1943年生まれなので、今年で74歳。レッド・ノーヴォが始めた4本マレット奏法を洗練し、ヴァイブの新たな奏法として確立させたジャズ・ヴァイブのイノヴェーターである。僕は、このバートンとは、チックとのデュオ『クリスタル・サイレンス』で出会った。

スピーカーから出てくるヴァイブの音はにわかに理解出来なかった。ヴァイブなのに和音が出ている。通常ヴァイブは同時に音が2音しか出ないのだが、スピーカーから最大4音出てくる。最初は多重録音かと思った(笑)。ライナーノーツかジャズ雑誌の記事を読んで「4本マレット奏法」の仕業だということが判った。

この「4本マレット奏法」のお陰で、バートンのヴァイブは表現力が豊かである。ファンクネスが希薄で、雰囲気は「クラシカルでクリスタル」。透明度があって硬質、和音が入るのでヴァイブの音に深みが出る。一聴して「バートンのヴァイブ」と判る位の個性である。僕は、このバートンのヴァイブが大好きで、1978年に出会って以来、ずっと聴いている。

そんなバートンのヴァイブを気楽に聴けるアルバムがこれである。Gary Burton『Reunion』(写真左)。1989年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib), Pat Metheny (g), Mitchel Forman (p, key), Will Lee (b), Peter Erskine (ds, per)。うへ〜、このパーソネルを見れば、このアルバム、聴く前から内容は保証されたようなもの。
 

Reunion

 
バートンはパット・メセニーを世に送り出したことで有名。メセニーの才能を見出し、マイアミ大学を中退させ、ボストンのバークリー音楽院に招き入れた。そして、1974年、バートンの『リング』でデビュー。1976年までバートンと活動を共にした。以降、メセニーは現代ジャズ・ギターの代表格の一人として大活躍。

つまり、バートンとメセニーは、いわゆる「師弟関係」である。この師弟関係が復活したのが、1988年のモントリオール・ジャズ祭での再会をキッカケに翌年録音された本作である。よって、この盤のタイトルが「Reunion(再会)」。

しかし、この師弟関係って、この盤を聴くと、なるほどなあ、と思う。ギター・シンセなどで前へ前へ出てくるエレギのメセニーが、一歩引いてサイドマンに徹しているのだ。これが良い。バッキングに徹するメセニーのギターとフロントで乱舞するバートンのヴァイブとの相性が抜群に良い。

ユニゾン、ハーモニー、チェイス、どれもが良い響きで惚れ惚れする。そこに、リズム&ビートをしっかりと支える、繊細でシャープなピーター・アースキンのドラミングが、これまた良い感じである。

爽やか叙情派な、ちょっと感傷的なネイチャージャズ系のフュージョン・ジャズ。僕はこの盤の雰囲気が大好きで、気分がイライラする時、このアルバムを良く聴く。聴くとスッとイライラした気分が落ち着く、そんな精神安定剤の様な内容に、聴く度に惚れ惚れする。純ジャズの雰囲気を残した、爽やかなフュージョン・ジャズ。良い感じです。

 
 

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2017年2月24日 (金曜日)

スウェーデン・ジャズの好盤

北欧ジャズ、スウェーデン・ジャズである。なかなか情報が潤沢に無いので選盤には苦労するのだが、さすがは、老舗ジャズ喫茶のマスターである。ジャズ喫茶御用達のジャズ盤のラインアップの中に、この盤があった。聴いてみた。これがなかなか良い。

『Per 'Texas' Johansson』(写真左)。1997年1月、ストックホルムでの録音。ちなみにパーソネルは、Per 'Texas' Johansson,  Fredrik Ljungkvist (ts, b-cl), Dan Berglund (b), Mikel Ulfberg (ds)。基本はピアノレスの変則トリオ。リーダーのヨハンソンとユンクヴィストの双頭テナーのフロントがユニーク。

冒頭のタイトル曲「Holon」を聴けば、明らかに「欧州ジャズ」であることが判る。ストレートでシンプルで力強い、ファンクネスが限りなく僅少で、音の響きに透明感が半端ない。演奏内容は限りなくフリーに近いが、決してフリー・ジャズには傾倒しない。ぎりぎりのところで、メインストリームな純ジャズに留まる。音数は厳選され、間を活かしたアドリブフレーズは明らかに「北欧」。

Per 'Texas' Johanssonは、1970年、スウェーデンはセーデルテリエの生まれ。1990年辺りから、Stockholm Jazz Orchestraなどで頭角を現す。我が国ではほとんど無名状態のテナー奏者。当然、僕もこの盤を聴くまでは、ヨハンセンの名は全く知らなかった。
 

Per_texas_johansson  

 
しかし、この盤を聴けば、ヨハンソンのテナーの素性の良さをビンビンに感じる。とにかくテナーが良く鳴る。ユニークなのは、この盤に限ってなのかもしれないのだが、ジョン・コルトレーンの陰を感じないのだ。

現代のジャズ・テナーの若手〜中堅と言えば、ほとんどがコルトレーンの影響下にあると言って良い。しかし、ヨハンセンにはそれがない。あるとすれば、ヤン・ガルバレクの影響が見え隠れするくらい。ガルバレクはノルウェー出身のテナー奏者だが、同じ北欧ジャズのテナー奏者、音の響きの中の透明感やストレートな吹きっぷりといい、スタイルがどこか底で通じているものがあるみたいだ。

スローでシンプルなデュオ基調の曲から、ミッドテンポの透明度が高く透明感のあるポジティブな展開の曲まで、全くそつなく吹き判るヨハンセンの力量は素晴らしいものがある。曲やテンポに左右されること無く、悠然と余裕を持ったアドリブ展開は一級品です。

欧州ジャズは面白い。個性豊かなジャズメンが揃っているのも何と無く判ってきた。このヨハンセンもそんな中の一人。ミドルネームの「Texas」の通り、テキサステナーのような太いテナーを吹くが、基本的にファンクネスは僅少。これがユニーク。これが欧州ジャズ、北欧ジャズの個性のひとつなのである。

 
 

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2017年2月23日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・58

僕にとって、ジャズの中では「ピアノ・トリオ」が一番。もともとピアノは幼稚園から小学校時代、8年間習っていたので、ちょっとは弾ける。ピアノを弾く、ということが追体験できるので、やっぱり、他の楽器と比べると、ピアノが一番判り易いし、一番聴いていて楽しい。ということで、今日は「ピアノ・トリオ」。

Jacky Terrasson『Smile』(写真左)。パーソネルは、Jacky Terrasson (p), Sean Smith (ac-b), Eric Harland (ds), Remi Vignolo (el-b, tracks 2,4,5)。基本はピアノ・トリオ。曲によって、ベースをエレベとアコベと使い分けている。2002年6月の録音。

僕は、このJacky Terrasson(ジャッキー・テラソン)のピアノが好きだ。デビュー作の『Jacky Terrasson』からずっと彼のリーダー作は聴き続けている。この人のピアノは、バリバリ弾きまくる「バップ」なタッチなんだが、フレーズがメロディアスで、雰囲気は「ビル・エバンス」に近い。いわゆる「力強いビル・エバンス」って感じだと僕は解釈している。

初めて聴いた時は、あまり心に引っ掛かる特徴が無くて、ちょっと地味やなあ、と思ったりするんだが、聴き込むほどに、その「力強いビル・エバンス」的な弾き回しが徐々に心に沁みてくる。そして、彼のバリバリ弾きまくる「バップ」なタッチとメロディアスなアドリブ・フレースが癖になる。そうすれば、彼のリーダー作の楽しみ方は「収録曲それぞれのアレンジと弾き回し」一点になる。
 

Smile_jacky_terrasson

 
そういう点では、このアルバムは合格点。まず、タイトル曲の「Smile」が良い。というか、僕はこの曲が入っていたら、どんなアルバムでも「ウエルカム」状態になるほど、この曲が好きだ。しかも、このテラソンのピアノ・トリオのアレンジ、テラソンの弾き回しが抜群なのだ。ほんと、この盤の「Smile」は良い。

5曲目の「Isn't She Lovely?」も良い。スティーヴィー・ワンダーの名曲なんだが、シンプルに原曲の旋律を右手で弾きつつ、ドラムの音がリズムの底を支える。ユニークなアレンジ。テラソンの右手の手癖の個性が面白い。こういうアレンジも面白い。ジャズの面白さを感じる。

7曲目の「Nardis」も叙情的で良い響きだし、4曲目の「Sous le Ciel de Paris」、8曲目の「Autumn Leaves」のシャンソンの名曲の内容がこれまた良い。こうやって聴いていると、このアルバム、収録曲の原曲自体がどれも魅力的で、そんな魅力的な収録曲をテラソンのピアノ・トリオが個性的にアレンジして、メロディアスなアドリブ展開にして聴かせてくれる。

この盤、テラソンのピアノ・トリオの好盤の一枚に挙げて良い、なかなか充実した内容の好盤だと思います。最初聴くと、ちょっと地味かな、なんて思うんですが、どうして時々思い出した様に引っ張り出して聴き込んでいくと、どんどんその小粋な内容に惹き込まれていく。そんな噛めば噛むほど味が出る「スルメ」の様な味わいのピアノ・トリオ盤です。

 
 

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2017年2月22日 (水曜日)

ラリー・コリエル、追悼です

2017年2月19日、ラリー・コリエルが亡くなった。ニューヨークのホテルでの自然死だそうだ。享年73歳。クロスオーバー・ジャズの時代の「エレギの寵児」。超絶技巧、ジャズとロックの融合、いわゆるクロスオーバー・ジャズのシーンで大活躍した。あまりの超絶技巧さとジャズの原型を留めない、完璧ロックな演奏をギンギンにやる傾向にあって、我が国では「キワモノ」扱いされることもしばしばであった。

ということで、暫くは「ラリー・コリエル追悼」である。実に悲しい。ということで、まずはこのアルバムを選盤。Larry Coryell & Alphonse Mouzon『Back Together Again』(写真左)。

1977年の作品。このユニークなイラストのジャケットは馴染みがある。ジャズを聴き始めた頃、このアルバムはよく聴いた。1979年の事である。ちなみにパーソネルは、Larry Coryell (g), Alphonse Mouzon (ds), Philip Catherine (g), John Lee (b)。

このアルバム、バリバリのクロスオーバー・ジャズである。というか、ほとんどロックである。しかし、ロックというには、テクニックがあまりに超絶技巧が過ぎる。とにかく、コリエルのギターは滅茶苦茶に巧い。ロックの世界には、これほどまでに超絶技巧なギターは無い。しかし、リズム&ビートは明らかにロック。
 

Back_together_again  

 
とにかく「やりたい放題」やっている。この時代、クロスオーバー・ジャズの人気楽器だったキーボードの参加が無い、キーボードレスなギター・バンドなので、とにかくギターがメインにドカッと座った、とにかく「豪快」な内容である。

コリエルのギターには一点の曇りも無く、超絶技巧にエレギを弾きまくる。その音は明確にロック。ジャズ・ギターの雰囲気は微塵も無い。しかしながら、ロック・ギターとするには超絶技巧過ぎる。とにかく、ロック・ギターとはテクニックのレベルで明らかに次元が違う弾きっぷりだ。

ムザーンのドラムも「叩きたい放題」。この人のドラミングは聴いていて上手いのか下手なのか、良く判らないが、とにかく手数が多くて、ロックなドラミング。というか、ロックなドラミングとするには手数が余りに多すぎる。また、ムザーンはボーカルも担当しているが、これはまあまあ及第点。

後のフュージョン・ジャズの特徴である「ソフト&メロウ」など微塵も無い。あまりの超絶技巧さとジャズの原型を留めない、完璧ロックな演奏をギンギンにやっている。ジャズロックとするにはあまりにギンギンが過ぎる。これぞ、典型的なクロスオーバー・ジャズ。ラリー・コリエルのプレイが眩しい。ご冥福をお祈りしたい。合掌。

 
 

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2017年2月21日 (火曜日)

ECMレーベルらしい音・3

西洋クラシック音楽の伝統にしっかりと軸足を置いた「ECMの考える欧州ジャズ」。このECMレーベルの音世界は独特の個性がある。限りなく静謐で豊かなエコーを個性とした録音が特徴。ファンクネスは限りなく皆無。明らかに欧州的な音世界。そんなECMレーベルの「らしい」音を体験するには、やはり最初のシリーズ、ECM1000番台のアルバムを聴き進めるのが一番手っ取り早い。

Bobo Stenson『Underwear』(写真左)。1971年5月の録音。パーソネルは、Bobo Stenson (p), Arild Andersen (b), Jon Christensen (per)。オスロのArne Bendiksen Studioでの録音になる。ECM1012番。この辺りから、いよいよ本腰を入れて、ECMレーベルらしい音作りがなされることになる。

一言で言うと「ECM色の強い」音世界である。リーダーのステンソンのピアノの音色も明らかに「ECMらしい」音。明らかに欧州的で自然な音。ECMレーベル盤としてはちょっと残響感は足りない様に感じるが、これはこれでECMらしい音。

1曲目のタイトル曲「Underwear」は、モーダルで元気でシャープなもの。豊かなエコーを個性とした録音は明らかにECMらしい音。演奏内容は明らかに欧州的、北欧的。この1曲だけでもこの盤は「買い」だと思ってます。良い演奏、ECMレーベルらしい演奏。
 

Under_ware_2

 
打って変わって、2曲目「Luberon」は、静かで叙情的な音世界が繰り広げられる美しいトラック。このトラックの演奏も、豊かなエコーを個性とした録音は明らかにECMらしい音。この限りなく静謐で叙情的な演奏も、ECMレーベルらしい演奏。

このアルバムの1曲目と2曲目が「ECMレーベルらしい演奏」の代表的なパターンだと感じる。そこに3曲目「Test」や5曲目「Untitled」の様なフリーな演奏が織り込まれて、これまた「ECMレーベルらしい演奏」となる。

こうやって聴き直してみると、このステンソンのアルバムは、かなり「ECMレーベルらしい音」が詰まった、ECMレーベルの音のショーケースの様なアルバムだということに気付く。

そうですね。誰かに「ECMレーベルらしい音、ECMレーベルらしい演奏ってどんなもんですか」と問われたら、まずこのアルバムをご紹介すると思います。ジャズ者のあらゆるレベルの方々にお勧めの好盤です。

 
 

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2017年2月20日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・101

外ではちょっと強めではあるが、暖かい雨が降っている。温かい雨。いよいよ春が近づいてきたなあ、という実感が嬉しい。今年の冬は寒かったからね。こういう暖かいワクワクする雨の日には、ポジティブな、切れ味の良いハードバップ、ストレートアヘッドなジャズ盤が良い。

この盤の存在を知った時、やはり老舗のジャズ喫茶のマスターは隅に置けないなあと思った。とてもブリリアントに気持ち良く鳴る、切れ味の良いトランペット。小気味良く躍動感のあるリズム・セクション。そのトランペットのリーダーの名を聞いて、どっかで聞いた名前なんだが、と首を捻ったのが2年前。

Charles Tolliver『The Ringer』(写真左)。1969年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Charles Tolliver (tp), Stanley Cowell (p), Steve Novosel (b), Jimmy Hopps (ds)。盟友カウエルらとのカルテット編成。そうか、ピアノはカウエルか。どうりで、モーダルな響きがすると思った。
 

The_ringer

 
この盤、とにかくトリバーのトラペットが素敵。とっても良く鳴るトランペットで、実にクリアな響きなのだ。こんなに伸びの良い、気持ち良く鳴るトランペットは他にありそうで無い。全編、気持ち良く鳴って格好良い。こういうシンプルに素敵なトランペットはなかなか無い。

カウエルのピアノも素敵だ。聴けば判るが、当時として明らかに新しい音がする。ハードバップなピアノ・フレーズとは確実に一線を画する、モーダルで個性的な和音の重ね方がユニークだ。そんな新しいストレートアヘッドなフレーズがバックに鳴り響く。このバックのリズム・セクションの音だけでも「聴きもの」だ。

こういうアルバムを、ヒョコッと紹介してくれるのだから、老舗のジャズ喫茶のマスターは隅に置けない。いや〜、勉強になりました。そう、チャールズ・トリバーって、ジャッキー・マクリーンのグループへの参加でデビューを果たしていて、ブルーノートにその演奏を残していたことを思い出しました。他のアルバムも早速聴いてみようと思います。

 
 

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2017年2月19日 (日曜日)

ECMレーベルらしい音・2

ECMレーベル。西洋クラシック音楽の伝統にしっかりと軸足を置いた「ECMの考える欧州ジャズ」が個性。限りなく静謐で豊かなエコーを個性とした録音が特徴。いつの時代にも、明らかに米国のジャズとは異なる、常にコンテンポラリーな純ジャズを提供してくれる。

そんなECMレーベルの「らしい」音を体験するには、やはり最初のシリーズ、ECM1000番台のアルバムを聴き進めるのが一番手っ取り早い。ということで、このところ、ECM1000番台の聴き直しを進めている。

Robin Kenyatta『Girl from Martinique』(写真左)。ECM1008番。1970年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Robin Kenyatta (fl, as, per), Wolfgang Dauner (p), Arild Andersen (b), Fred Braceful (ds)。プロデュースはManfred Eicher。

このアルバム、CD時代になって、なかなかリイシューされなかった。最近は音楽サイトからダウンロードできるので、やっとこのアルバムの音源にも触れやすくなった。喜ばしいことである。プロデュースはアイヒャーなので、純正ECMのアルバムと言える。
 

Girl_from_martinique

 
自由度の高い、半フリーな内容ではあるが、モーダルな純ジャズな演奏の部分もあって、今の耳には、あまりフリー・ジャズなアルバムには聴こえない。自由度の高いコンテンポラリーな純ジャズといった内容で、意外と聴き応えがある。

ケニヤッタのフルートとアルトは、雰囲気的に「エリック・ドルフィー」に近いものがある。浮遊する部分有り、ビートにしっかり乗った部分有りで、当時のコンテンポラリーな純ジャズの最先端をいく雰囲気。聴いていて懐かしい思いを感じたり、意外と今の耳にも耐える演奏に感心したり。

この「あまりフリー・ジャズなアルバムには聴こえない、自由度の高いコンテンポラリーな純ジャズといった内容」が、ECMレーベルらしい音のメインのひとつになっていく。硬派で尖った内容ではあるが聴き易い。後年のECMレーベルの人気盤に共通する音である。

録音もトン・スタジオでの録音で、限りなく静謐で豊かなエコーがかかった、独特の音で録音されていて、じっくり聴いていると、やはり「これはECMやなあ」なんて呟いて感心したりする。ジャケットはイマイチですが、意外と聴き応えのあるECM初期の一枚です。

 
 

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2017年2月18日 (土曜日)

ECMレーベルらしい音・1

ECMレーベルの聴き直しを進め始めた。「ECM(Edition of Contemporary Music)」。創立者はマンフレート・アイヒャー。演奏家としての素養と録音技術の経験を基に、自らが選んだ「今日的」な音楽を記録し、世に問うべく、自らのレーベルを1969年に立ち上げる。西洋クラシック音楽の伝統にしっかりと軸足を置いた「ECMの考える欧州ジャズ」。限りなく静謐で豊かなエコーを個性とした録音。

このECMレーベルらしい音が、ECMレーベル黎明期、ECM1000番台にはっきりと記録されている。このECMらしい音を体験し、自らの記憶に留めるには、このECM1000番台の聴き通しは必須アイテムである。それほど、このECM1000番台には、ECMレーベルを代表する音が詰まった好盤が目白押しである。

Paul Bley『Ballads』(写真左)。ECMの1010番。1967年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Paul Bley (p), Gary Peacock (b, track:1), Mark Levinson (b, track:2&3), Barry Altschul (ds)。ECM1003番『Paul Bley With Gary Peacock』の続編的位置づけのアルバム。   

このアルバムは、ECMレーベルでの録音ではない。ECM1003番同様、録音にアイヒャーは関与していない。ブレイが私蔵の録音テープをアイヒャーに送りつけ、それをアイヒャーがアルバム化したもの。もちろん、録音もトン・スタジオでの録音盤のものほど良くはない。
 

Ballads1

 
しかしながら、この『Ballads』というアルバム、ECMの録音では無いとは言え、不思議なのは、このアルバムの音がしっかりと「ECMレーベルの音」になっていることです。特に、ブレイの「響きを押さえたピアノの音色」にその特徴を強く感じます。このポール・ブレイのピアノの音が、ECMレーベルの黎明期、ECMレーベルらしい音の「決め」にかなり貢献している様に感じます。

演奏の内容についても、抑制の効いた、ファンクネスの一切を排除した、いかにも欧州的なフリー・ジャズで、これまた、ECMレーベルらしい内容になっています。アイヒャーが関与しない、ECMレーベルとしての録音でもないのに、ECMレーベルらしい音がこの盤には溢れています。

いかに、このポール・ブレイの音が演奏が、後のECMレーベルらしい音の「決め」に貢献したかが、推察出来る内容です。ブレイの私蔵の録音テープなのに、明らかにECMレーベルの音になっているのだから不思議です。

ちなみに、このアルバム、LP時代には意外と入手が可能だったのですが、CDの時代になって、なかなか再発されなかったり、されても流通せず、入手が困難な時期が続き閉口していましたが、最近、やっとなんとか入手できる環境になったようで、有り難いことです。

 
 

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2017年2月17日 (金曜日)

ヴィーナス御用達ジャズメン・1

日本人好みのジャズの雰囲気を一手に引き受けている日本発のジャズ・レーベル、Venus Records(ヴィーナス・レコード)。演出過剰なほどに、スインギーでマイナー調で、耽美的でメロディアス。録音は優秀、演奏のテクニックも優秀。音の傾向は「スムース・ジャズ志向の純ジャズ」。

そんなヴィーナス・レコードには、何人かの「御用達」ジャズメン、いわゆる「ハウス・ミュージシャン」が存在する。例えば、ピアニストのDavid Hazeltine(デビッド・ヘイゼルタイン)などは、そんなヴィーナス・レコートの「ハウス・ピアニスト」的存在である。スインギーでマイナー調で、耽美的でメロディアスなピアノ。それが必要最低限の要件である。

1958年、ミルウォーキー生まれ。今年で59歳。「中堅」どころの脂の乗った「今が旬のピアニスト」である。バップからモードまで、幅広いスタイルに精通し、その多様性溢れるフレーズが個性といえるでしょう。バップからモードまで様々なスタイルを駆使しつつ、ピアノの奏でる雰囲気は「スムース・ジャズ」。こういう個性が、ヴィーナス・レコートの「ハウス・ピアニスト」的存在になっている大きな理由と言えるかと思います。
 

Alfie_david_haseltine

 
David Hazeltine Trio『Alfie』(写真左)。2006年3月の録音。パーソネルは、David Hazeltine (p), David Williams (b), Joe Farnsworth (ds)。バート・バカラックの曲を中心に、ヘイゼルタインの多様性溢れるピアノが「スムース・ジャズ的な純ジャズ」の雰囲気をベースに新しい解釈を提示していきます。

バート・バカラックの曲がメインだからでしょうか、いつになく、ヘイゼルタインはリラックスしてバップなタッチのピアノを弾き回していきます。端正で良く回る右手は「聴きもの」です。響きの豊かな録音で、彼のピアノはさらに「惹き立ち」ます。ウッド・ベースのブンブン響く音も、ドラムの小粋なテクニックを駆使したリズム&ビートも大変心地良い。

絵に描いた様な「日本人好みの純ジャズなピアノ・トリオ」の音を聴かせてくれます。確かにオーバープロデュース気味の、明らかに「作られた」ジャズの音ではありますが、これだけ徹底されると、これはこれで、レーベルの音の個性として、十分に鑑賞に耐えるレベルだと思います。嫌いならば聴かない、それで良いかと思います。

 
 

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2017年2月16日 (木曜日)

日本人好みのジャズのレーベル

日本人好みのジャズというものがある。スインギーでマイナー調で、耽美的でメロディアス。そして、ウッドベースがブンブン唸り、ドラムが小粋にリズム&ビートを刻む。ピアノは限りなく印象的なエコーがかかって豊かに響く。そして、テクニックに優れていなければならない。曲はスタンダードがメイン。そんなジャズが日本人は好き、という通説がある。

僕は全くそういう傾向は無いんだけれど、やっぱり、日本人好みのジャズって、そういう印象になるのかな。そんな日本人好みのジャズの雰囲気を一手に引き受けている日本発のジャズ・レーベルがある。Venus Records(ヴィーナス・レコード)である。演出過剰なほどに、スインギーでマイナー調で、耽美的でメロディアス。録音は優秀、演奏のテクニックも優秀。音の傾向は「スムース・ジャズ志向の純ジャズ」。

Aaron Heick and Romantic Jazz Trio『Europe(哀愁のヨーロッパ)』(写真左)。この盤は、そんなヴィーナス・レコードの音を代表する音がてんこ盛り。宣伝キャッチには「現代人に究極のセクシャル・ヒーリングの癒しを与えてくれる必聴のアルバム」とある。セクシーで耽美的な音作り、スムース・ジャズ志向の癒やしの響き。
 

Aaron_heick_europe1

 
タイトル曲である冒頭の「Europe」からして、明確にヴィーナス・レコード志向の音。この曲、サンタナの1976年の名バラード曲。ヴィーナス・レコードの盤って、こういう日本人のおじさま好みの曲が必ず一曲は入っている。1970年代ロックのバラード曲で、日本で売れに売れたサンタナの名曲。アレンジはまずまず。思わず懐かしさがこみ上げる。

他の楽曲も「スタンダード曲」が中心で、どの演奏もスインギーでマイナー調で、耽美的でメロディアス。果たして、この演奏がリーダーを始めとするジャズメン達の本意なのか、と思ってしまうが、兎にも角にも、オーバープロデュース気味の、明らかに「作られた」ジャズの音である。つまりは「日本人好みのジャズ」を増幅した様な音作りである。

ここまで増幅した音作りになれば、極端に「賛否両論」になる。好きな人もいれば、大嫌いという人もいる。それでも、このヴィーナス・レコードの音は、「スムース・ジャズ志向の純ジャズ」と解釈すれば合点がいき、納得感も増す。そういう観点で聴き耳を立てれば、ヴィーナス・レコードの諸作も意外と、ジャズとして「アリ」ということになる。

 
 

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2017年2月15日 (水曜日)

角の丸い優しい低音のバリサク

トロンボーンの魅力的な低音も良いが、僕はバリトン・サックス(略してバリサク)の低音も大好きだ。ジャズの世界では、バリサクはちょっと変わり種ではあるが、その魅力的な低音を武器に、意外と人気のフロント楽器である。

そんなバリサク奏者のレジェンドに「Gerry Mulligan(ジェリー・マリガン)」がいる。米国西海岸ジャズの重鎮であり、そのバリサクの腕前もさることながら、アレンジの才に優れ、米国西海岸ジャズのキーマンの一人として、今や「伝説的存在」となっている。

そんなジェリー・マリガンであるが、マリガンのバリサクは、通常のバリサクとはちょっと違う。通常のバリサクの印象は「男性的な骨太なブリブリッとした豪快な重低音」が魅力であるが、マリガンのバリサクは違う。マリガンのバリサクは優しい。マリガンのバリサクの低音は角の丸い優しい低音である。

そんな角の丸い優しい低音のバリサクを心ゆくまで堪能するには、現代の録音技術を駆使した、良い音で録れたアルバムが一番良い。そんなアルバムあるかいな、と探したら、あったあった。Gerry Mulligan『Dream a Little Dream』(写真左)。ジャケットもなかなか好印象。このジャケットを見る限り、内容は良い、と見た(笑)。
 

Dream_a_little_dream1

 
1994年の作品。ちなみにパーソネルは、Gerry Mulligan (bs), Dean Johnson (b), Ron Vincent (ds), Bill Mays, Ted Rosenthal (p)。テッド・ローゼンタルのピアノを核にしたピアノ・トリオをリズム・セクションに、フロントにマリガンのバリサクのワンホーン。所謂「ワンホーン・カルテット」である。

ワンホーン・カルテットの良いところは、フロント楽器の良さを心ゆくまで感じることが出来ること。この盤はマリガンのバリサクが実に良く録れている。選曲も良い。マリガンの自作曲を織り交ぜながらも、渋いスタンダード曲中心の選曲。優しい低音のマリガンのバリサクが、印象的なフレーズを吹き上げていく。

バリサクの印象がガラッと変わる好盤です。バックのテッド・ローゼンタル中心のピアノ・トリオの演奏が実に小粋。とっても趣味の良い、小気味の良いピアノ・トリオの演奏がマリガンのバリサクをしっかりと支え、盛り立てていきます。輪郭がハッキリクッキリ、穏やかな躍動感が魅力のピアノに、小技が冴える堅実なドラム、そして、しっかりと演奏の底を支えるベース。

バックのリズム・セクションが優秀なワンホーン・カルテットに駄盤無し。この盤は、とりわけ、フロントのバリサクがレジェンド級のジェリー・マリガンですから悪かろう筈が無い。ジャケットのイメージ通り、夜の静寂の中でしっとりと聴き込むのに最適な、優しいバリサクの音色が魅力の好盤です。ジャズ者万民にお勧め。

 
 

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2017年2月14日 (火曜日)

フラー盤の落ち穂拾い、です

昨日からトロンボーン・ジャズ。トロンボーン・ジャズは、ジャズ者初心者の頃から聴き親しんで来たので、有名どころのアルバムは結構聴いている。それでも、ネットを徘徊していると、あれっ、と気付く「未聴の盤」がある。ということで、トロンボーン・ジャズのアルバムの「落ち穂拾い」と洒落込む。

ジャズ・トロンボーンと言えば「J.J.ジョンソン」が真っ先に浮かぶが、僕は2番手の「カーティス・フラー」が好み。フラーは1934年12月の生まれなので、今年で83歳になる。J.J.ジョンソンの売りは「驚異的なテクニック溢れる」奏法。逆にフラーの売りは「木訥として丸くてモッコリした」奏法。J.J.ジョンソンと正反対な個性といって良い。

僕は、そんなカーティス・フラーのトロンボーンの方が、丸くて暖かくてホッコリしているところが「お気に入り」である。今日は、そんなフラーのトロンボーンが好調に響く『The Magnificent Trombone of Curtis Fuller』(写真左)を選盤。

1961年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Curtis Fuller (tb), Les Spann (fl, g), Walter Bishop, Jr. (p), Buddy Catlett, Jimmy Garrison (b), Stu Martin (ds)。ベースだけが2人で分担している。意外と地味なパーソネルではある。それでも、フラーのトロンボーンは好調で、彼の個性全開のトロンボーンをジックリと聴き取ることが出来る。
 

The_magnificent_trombone_of_curtis_

 
僕はこの盤の存在は知ってはいたが、何故か縁が無かった。もともとフラーのアルバムって、ハードバップ時代のものは外れが無い。特に、ブルーノート時代のリーダー作はどれもが好盤。その前のサボイ時代のリーダー作も佳作揃い。その辺を聴き込んでいると、なかなか60年代のフラー盤まで行き着かない。

この1961年のEpic盤を耳に出来たのは何と昨年である。この盤、ハードバップの良いところを全て反映しているような盤で、硬質なギターのスウィング感、流麗で端正なビショップ・ジュニアのピアノ、堅実でバップなドラム、骨太な音で底座さえするベース。渾然一体となって、その雰囲気は明確に「ハードバップ」。

そんな明確な「ハードバップ」なバックを得て、フラーのトロンボーンが、丸くて暖かくてホッコリと魅力的なアドリブ・フレーズを紡ぎ上げていく。フラーのトロンボーンのグルーブ感が半端無い。良い感じの盤です。こんな良好盤、あったんやなあ。ほんまラッキーです。

1960年代に入ってからのフラー盤なので、意外とジャズ本やジャズ盤紹介本に挙がることの少ないアルバムだけど、フラーのトロンボーンを愛でる適した好盤です。

 
 

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2017年2月13日 (月曜日)

スティーヴ・トゥーレの名を知る

トロンボーンの音色が好きである。ジャズにおいても、トロンボーンの存在はユニーク。その楽器の構造上、速いアドリブ展開は苦手とされるが、そのホンワカした太く丸い音色は、テナーやトランペットに無い、ユニークなアドリブ展開を聴かせてくれる。

ジャズ・トロンボーン奏者の数はあまり多くはない。新しいトロンボーン奏者の名を聴くことも希である。そんな中、このトロンボーン奏者の名を知った。スティーヴ・トゥーレ(Steve Turre)である。 J.J.ジョンソン亡き後、最高のトロンボーン奏者のひとりに数えられる実力者。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズやローランド・カーク、ウディ・ショウのバンド等で活躍してきた。

僕はこのスティーヴ・トゥーレを全く知らなかった。昨年、このアルバムで彼の名を知った。Steve Turre『Colors for the Masters』(写真左)。昨年のリリース。ちなみにパーソネルは、Steve Turre (tb), Kenny Barron (p), Ron Carter (b), Jimmy Cobb (ds), Javon Jackson (ts), Cyro Baptista (per)。
 

Colors_for_the_masters1

 
パーソネルを見渡すと、ピアノのバロン、ベースのカーター、ドラムのコブ、この大ベテラン揃いのピアノ・トリオがバックのリズム・セクションを司るのだ。この盤の内容、絶対に期待出来るぞ、と思わせてくれる。いやいや、しかし、バロン、カーター、コブと以前よりありそうで無いトリオ編成。このピアノ・トリオのバッキングだけでもワクワクする。

既に大ベテランの域に達している、リーダーのトゥーレのトロンボーンは端正かつ流麗。ほのぼのとしたトロンボーン独特の音色を活かしつつ、ブルージーにファンキーに、多彩なナンバーを吹き分けつつ、朗々とアドリブを唄い上げる。絶妙の余裕を持たせた、溜めの効いたアドリブ展開は「匠の域」の技である。

いや〜、久し振りに良質のハードバップなトロンボーン・ジャズを聴きました。スティーヴ・トゥーレは現在68歳。もう大ベテランというか、生きるレジェンド状態なジャズメンではある。が、この『Colors for the Masters』という盤は、このトゥーレの他のアルバムも是非聴いてみたい、という気にさせるご機嫌な内容の好盤です。

 
 

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2017年2月12日 (日曜日)

ながら聴きのジャズも良い・17

あっけらんかんとしたスムース・ジャズ。それでいて、基本的なテクニックはしっかり押さえていて、明らかに「イージーリスニング」とは一線を画する。しかし、その端麗な容姿から「際物」扱いされることもしばしば。

でも、それは失礼だろう。自ら楽器を演奏する経験があるのなら、そういう的外れな「揶揄」は出来ない。そう、彼女のサックスのテクニックは確かなものであり、演奏される内容はしっかりとした「スムース・ジャズ」である。端麗な容姿とは切り離して楽しみたい。

小林香織『MELODY』(写真左)。2016年の作品。デビュー盤から一貫して、あっけらかんとしたスムース・ジャズである。テクニック的にも速いパッセージを吹きまくることは無い。いわゆるハード・バッパーな吹き回しは全く無い。その曲が持つメロディを判り易く吹き、判り易くアドリブ展開する。

収録された曲を見渡せば、この盤が「洋楽カヴァー・アルバム」であることに気付く。どういう基準で選曲したのかは不明だけれど、なかなか粋な選曲に思わずニンマリする。
 

Kaori_kobayashi_melody

 
エリック・クラプトンの「Tears In Heaven」、ボズ・スギャッグスの「We’re All Alone」、シカゴの「Saturday In The Park」など、70年代ロックのマニアの我々の心を擽る選曲から、テイラー・スイフトのヒット曲「Shake It Off」、ホール&オーツ「I Can’t Go For That」など、ちょっと小粋な選曲に目を惹かれる。

小林香織のサックスは「音が良い」。ブラスが良く鳴っていると形容したら良いのか、とにかく、サックスが良い音で鳴っている。この盤はサックスの音がとても良く録れている。バックの演奏も解像度良く、躍動感良く録れている。難しいことは全くやっていないが、演奏される音世界が耳に心地良い。

クレジットを見れば、あの「さかなクン」がバリサクで参加している。1曲目の「Shake It Off」なんだけど、これがまずまず良い雰囲気。小林との掛け合いでソロがなかなか良い。これは話題の1曲ですね。

難しいこと言わずに、雰囲気で聴く「スムース・ジャズ」盤です。カヴァーされた洋楽曲の旋律がキャッチャーなものばかりなので、聴き心地が良い。ながら聴きに良い雰囲気のアルバムです。

 
 

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2017年2月11日 (土曜日)

ジャズは進化しているなあ・・・

ニューリリースのアルバムを聴いていて、ジャズは生きているなあ、ジャズは進化しているなあ、と思う瞬間がある。明らかに現代の新しい音を吸収して融合して、新しいジャズの響きを獲得している盤を聴くと、まだまだジャズは死んでないなあ、と心から思う。

Throttle Elevator Music『Throttle Elevator Music IV Featuring Kamasi Washington』(写真左)。西海岸を拠点に活動するスピリチュアル・ジャズ・バンドの4thアルバム。この盤の演奏を聴くと、もはやジャズなのかロックなのか判別が難しい。それほど、それぞれのジャンルの音の要素をしっかりと融合して、新しい音の響き、新しいグルーヴを獲得している。

そんな新しいジャズの音の中、むっちゃ目立つサックスが真っ直ぐに耳に入る。聴いた瞬間、只者では無い、そんじょそこらのサックス奏者ではないことは判る。誰だ、とパーソネルを確認したら、なんと「カマシ・ワシントン」が全曲に渡って参加しているのですね。
 

Throttle_elevator_music_iv  

 
ちなみにパーソネルは、Kamasi Washington (ts), Matt Montgomery (b, p, org, g), Gregory Howe (g, p), Mike Hughes (ds), Erik Jekabson (tp, flh)。カマシ・ワシントン以外のメンバーはさすがに馴染みが無いなあ(笑)。最近の新進のジャズメンについては起きかけるのは大変だ。

ヒップホップ、ユーロ、ハウス、などなど、新しいポップ・ミュージックの要素を巧みに取り入れ、ずっと聴いていてると、エレクトリック・マイルスを思わず想起する。ジャズとロック、エレ・ポップの見事な融合。融合の結果、新しい音の響きを獲得している。現代の、現在のスピリチュアル・ミュージック。新しい。新しい響きが心地良い。

こういう最新のジャズを聴いていると、なんだか楽しくなる。明らかに現代の新しい音を吸収して融合して、新しいジャズの響きを獲得している。確かなテクニックと歌心でそれを実践する。まだまだジャズは進化する。若手のジャズを聴くと、こういう体験が出来るから面白い。

 
 

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2017年2月10日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・100

このアルバムは良い。聴いていてとても楽しい。しかも、聴いていて、双方のテクニックが優れていて、双方のアドリブ感覚が素晴らしい、ということが良く判る。ジャズって、聴いていて楽しいことがとっても大事。そういう意味では、このアルバムはジャズとして「満点」である。

Eddy Louiss & Michel Petrucciani『Conférence De Presse... L'Intégrale』(写真左)。  Eddy Louiss (org), Michel Petrucciani (p)。1995年、フランスは Dreyfus Jazz からのリリース。ありそうでなかなか無いオルガンとピアノのデュオ。

オルガンとピアノ。どちらも鍵盤楽器。鍵盤楽器同志がデュオをやったら、変に被ったらデュオの良さがすっ飛んでしまう。テクニックが優秀で、アドリブ展開での反応が優れていないと上手くいかない。そういう意味で、アドリブ展開の反応がとびきり優れているオルガン奏者って、なかなかいない。

Eddy Louiss(エディ・ルイス)は、フランスのオルガン奏者。僕はこのデュオ盤で、エディ・ルイスの存在を知った。テクニック優秀、オルガンの奏法として、かなりプログレッシブなオルガニストである。オーソドックスな奏法からアブストラクトな奏法まで、幅広くオールマイティーに弾きまくる、実に優れたオルガン奏者である。
 

Conference_de_presse

 
そんなエディ・ルイスが、ジャズ・ピアノの巨匠、ミシェル・ペトルチアーニとデュオを組んで、丁々発止とやりあう、ほんと、聴いていてとても楽しいデュオ盤である。ボリューム的にCD2枚組の分厚さ。トータル2時間ちょっとの収録時間なのだが、全く飽きない。聴き始めて、あっと言う間の2時間ちょっとである。

ピアノは打楽器と旋律楽器の両方を兼ねることが出来、ピアノだけで「ひとりオーケストラ」が出来る位の幅広い表現が可能な唯一の楽器なのだが、ペトルチアーニのピアノは、そのピアノの特性を最大限引き出し最大限の表現を見せつける。硬質なタッチに卓越したテクニック。耽美的でありつつダイナミズム満載。僕の大のお気に入りのピアニストの一人である。

ペトルチアーニのピアノが、ピアノの表現方法の全てを出しつつ、思いっきり疾走する。左手でベースラインを小粋に紡ぎ、右手でリズム&ビートを叩き出す。遠慮の無い全てを出し尽くペトルチアーニのピアノ。そこにルイスのオルガンが、あっさりとしたファンクネスを滴らせながら、官能的に弾き進んで行く。相性抜群。インタープレイの息もピッタリ。魅惑的なユニゾン&ハーモニー。

飽きない。全く飽きない。あっと言う間の2時間ちょっと。この優れたデュオ盤を聴いて、フランスは Dreyfus Jazz を改めて見直す。ジャズ喫茶の空間にピッタリの乾いたファンクネスが素敵な一枚。ジャズ喫茶御用達の一枚。

 
 

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2017年2月 9日 (木曜日)

クールなピアノ・トリオの音です

寒い。とびきり寒い。雪である。雪が降っている。鉛色の空から白い雪が降ってくる。こういう時に音楽を聴くなんて、と思う人もいるんだろうが、僕はそうは思わない。こういう時こそ、こういう特別な瞬間に合うジャズは無いか、とアルバムを物色する。

身が切れるほどに寒い日には、クリスタルな硬質な響きのピアノが良い。切れ味の良い硬質な響きのドラムが良い。鋼の様なしなやかで硬質なアコベの音が良い。静謐感溢れる、耽美的ではあるが決して甘くない、逆に甘さを一切排除したストイックでクリスタルな響き溢れるピアノ・トリオが良い。

Jim Black Trio『The Constant』(写真左)。2015年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Jim Black (ds), Elias Stemeseder (p), Thomas Morgan (b)。ピアノ・トリオである。Jim Black(ジム・ブラック)はドラマー。このピアノ・トリオのリーダーはドラマー。ドラマーとベースが米国出身、ピアニストはオーストリア出身。面白い組合せ。どんな音が出てくるんだろう。

リーダーのジム・ブラックは、1967年8月、米国はシアトル生まれ。今年で50歳、ベテランの域である。僕はこのアルバムに出会うまで、このジム・ブラックの名前を全く知らなかった。そういう意味ではピアノもベースも初見。このアルバムを初めて手にした時はどんな音が出てくるのか、皆目見当がつかなかった。
 

The_constant1_2

 
クールなピアノ・トリオの音である。ファンクネスは全く皆無。音だけ聴けば「欧州ジャズ」の系列の音。バップな雰囲気は皆無。静謐で耽美的でクールなピアノ・トリオの響きが淡々と続く。それでも、リズム&ビートはしっかりしていて静かな躍動感が演奏全体を包む。ブラックのドラムとモーガンのベースの相性の良さと絶妙な絡みの成せる技。

ステメスダーのピアノが良い。ずばり、クリスタルな硬質な響きのピアノ。彼はオーストリアはザルツブルクの生まれ。1990年生まれだから、今年27歳の将来有望な若手ピアニスト。時にアブストラクトに現代音楽風のプレイや響きを聴かせてくれる。ファンクネスは皆無。明らかに明快に「欧州ジャズ・ピアノ」の音と響き。

ブラックのドラムの響きも明らかに「欧州ジャズ」のドラミング。ファンクネスは皆無。甘さを一切排除したストイックでクリスタルな響きが個性の、切れ味の良い硬質な響きのドラムである。時にフリーなアブストラクトなドラミングがシュール。静謐感と躍動感が相まみえた、切れ味の良い硬質な、それでいてしなやかなドラミング。

リーダーのドラマーとベースが米国出身なのに、アルバム全体の音世界はオーストリア出身のピアニストの個性によって決定されている。現代の欧州ジャズの音世界。身が切れるほどに寒い日にピッタリな雰囲気の静謐感。ピアノの自然さに対するベースとドラムが迫り来る音。好盤です。

 
 

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2017年2月 8日 (水曜日)

渋いテナー・サックス盤もう一枚

昨日に引き続き、ジャズ喫茶御用達な、粋で聴き応え満点の渋い渋いサックスのアルバムをもう一枚。こういう渋いアルバムって、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌などには、まずその名が挙がることは無い。

Buck Hill『This Is Buck Hill』(写真左)。1978年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Buck Hill (ts). Buster Williams (b), Billy Hart (ds), Kenny Barron (p)。さすが、SteepleChaseレーベルからのリリース。メンバーが実に良い。バックを務めるピアノ・トリオのラインナップを見るだけで、この盤の音の確かさが想像出来る。

バック・ヒルは1927年生まれ。今年で90歳になる。まだ鬼籍に入ったという報は聞いたことがないので存命なのだろう。この『This Is Buck Hill』というアルバムは、バック・ヒルの初リーダー作で51歳の時の作品になる。明らかに遅咲きのテナーマンである。しかし、さすがはSteepleChaseレーベル、目の付け所が違う。よくぞ、このテナーマンのプレイに着目して録音を重ねたもんだ。
 

This_is_buck_hill1

 
さて、このアルバム、バック・ヒルのテナーのワンホーン・カルテットの作品なので、心ゆくまで、バック・ヒルのテナーを愛でることが出来る。豪快かつ流麗なアドリブ・フレーズ。何の捻りも無い、ただただストレートかつ爽快なブロウ。これぞテナー・サックス、と言いたくなるような、気持ちの良いテナー・ブロウを聴かせてくれる。

ベースを担当するバスター・ウイリアムス作の「Tokudo」が魅力的。個性溢れるストレートアヘッドな純ジャズ・テナーを聴かせてくれる。2曲目のスタンダードなバラード名曲「Yesterdays」では、バック・ヒルのテナーの素性の良さとハードバップな展開を愛でることが出来る。そして、3曲目のミュージシャンズ・チューンであるロリンズの「Oleo」では、バックの優秀なピアノ・トリオと一体となった、素晴らしい、雄々しいテナーを聴かせてくれるのだ。

この冒頭の3曲で、バック・ヒルのテナーの優秀性を魅力を十分に体感することが出来る。後は推して知るべし。こんなに素晴らしい内容のワン・ホーン・カルテットの演奏が、1978年の録音されていたなんて。目から鱗なバック・ヒルの好盤です。

 
 

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2017年2月 7日 (火曜日)

こんなアルバムあったんや・77

以前、ジャズ喫茶の特集本を見ていて、このアルバムに出会った。しかし、それまで全く知らなかったこういうアルバムが、こういうサックス奏者の好盤が何気なく出てくるのだから、ジャズって恐ろしい。その「ジャズ喫茶の特集本」を読んだのが、今から15年ほど前。ジャズを聴き初めてから、20年ほど、僕はこのアルバムの存在を全く知らなかった。

Turk Mauro『The Underdog』(写真左)。1977年の録音。Turk Mauro(ターク・マウロ)の記念すべきデビュー作。ちなみにパーソネルは、 Bob Cranshaw, Tom Barney (b), Turk Mauro (bs, ts), Al Cohn (ts), Ben Riley (ds), Hugh Lawson (p)。ベーシスト2名が3曲ずつを分担する。そして、3曲ほど、リーダーのマウロにアル・コーンのテナーが絡む。

実に魅力的なテナー&バリトン・サックスである。まず、15年ほど前、僕はこの「ターク・マウロ」を全く知らなかった。今でもあまり知らない。それでも、このアルバムだけは覚えていて、このアルバムだけはたまに聴き直す。そして、聴き直す度に、あぁ〜この人のサックスはなんて魅力的なんだ、と感じ入る。
 

The_underdog1

 
好盤というのは、リーダーの楽器だけが良い、という訳では無い。サイドマンの演奏も良くないと「好盤」とは呼べない。そういう意味でいくと、このアルバムでのベース音が実に「エグイ」。重低音を響かせながら、ブンブンと鋼の様にしなやかに豊かになる。実にソリッド。超弩級のウォーキング・ベースである。

そして、ヒュー・ローソンのピアノが良い。控えめながら躍動感溢れる「バップな」ピアノ。1977年の録音という情報を見て、思わず耳を疑うほど、明確にハードバップなピアノ。ベン・ライリーのドラムも良い。ポリリズムを駆使しつつ、徹頭徹尾、フロントのサックスを鼓舞し続ける、堅実かつ安定のドラミング。

マウロのバリトン&テナー・サックスを心ゆくまで堪能できる好盤です。バックのリズムセクションが優秀なので、マウロのサックス・プレイに集中して聴き込むことができるのが有り難い。「ブリブリッ」と低音鳴り響くブリリアントな音色が聴こえてきそうなジャケットも優秀。良いアルバムです。ジャズ喫茶御用達な一枚です。

 
 

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2017年2月 6日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・99

ジャズのアルバムって、なにも1950年代から1960年代のジャズ・ジャイアント達の定盤ばかりが好盤ではない。ジャズの裾野は広い。優秀な一流ジャズメンの数は意外と多い。何気なくダウンロード・サイトなどを彷徨っていると、これは、と思わず口元綻ぶ好盤に出会うことがよくある。

英国ジャズのアルバム・カタログを手にダウンロード・サイトを彷徨っていて、John Taylor(ジョン・テイラー)というピアニストに出会った。どこかで聞いたことのある名前やなあ、とつらつら記憶を辿っていたら、そうでした、ECMで素敵なアルバムを出しているピアニストであることを思い出した。

ジョン・テイラーは、1942年英国マンチェスター生まれ。惜しくも2015年に鬼籍に入りました(72歳没)。そうそう、僕はこのジョン・テイラーについては、1973年の作品『 Decipher(邦題:覚醒)』が愛聴盤だったことも思い出しました。明確に欧州的な、しっかりした骨太のタッチでありながら、リリシズム溢れるピアノが個性。
 

Whiripool1

 
そんな彼の2007年リリースの盤にバッタリと出会った。John Taylor『Whirlpool』(写真左)。ピアノ・トリオ盤である。ちなみにパーソネルは、John Taylor (p), Palle Danielsson (b), Martin France (ds)。ベースが、これまたECM御用達のベーシスト、パレ・ダニエルソンである。このトリオ盤、きっと内容は良いぞ、と期待する。

リリカルで耽美的な、豊かな響きの流麗なピアノ。骨太でソリッドなアコースティック・ベースが唸りを上げてベースラインを支える。そして、そこに切れ味の良くエッジの立った、とってもテクニック豊かなドラムがビートを供給する。ファンクネスはほぼ皆無。透明感溢れる旋律。明らかに欧州的な音世界。

ピアノ、ベース、ドラムが対等に渡り合う、丁々発止と繰り広げられるインタープレイが素晴らしい。全8曲、全編計55分の長さですが、決して飽きない、どころかあっと言う間の55分です。適度なテンション、緩みの無いアドリブ展開、豊かな曲想の収録曲。それらが相まって、聴きどころ満載の好盤に仕上がっています。

 
 

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2017年2月 5日 (日曜日)

ローゼンウィンケルを思い出した

冬にジャズ・ギターが良く似合う、なんて呟きながら、先週木曜日から、暖かい部屋の中で珈琲をすすりながら聴くアコースティック・ギター(略してアコギ)の好盤を2枚ほど選盤してきた。

で、今度は、現代ジャズのエレクトリック・ギター(略してエレギ)で、冬の季節にぴったり合う好盤は無いか、選盤してみる。シンプルでクールで伸びの良いエレギの音は、意外と冬の季節に合う。特に、冬の静かな昼下がり、一人部屋の中で聴く、クールで伸びの良いエレギのフレーズは何だかしみじみして良い。

ジャズ雑誌の記事を見ていて、このギタリストの名前を久し振りに思い出した。カート・ローゼンウィンケル(Kurt Rosenwinkel)。アメリカ生まれ、現在ドイツのベルリン在住のギタリスト。伸びの良いクールで単音と複雑なコード進行を織り交ぜて弾くアーバンでスムースなエレギが個性。とにかく聴いていて心地良いことこの上無し。
 

Reflections_kurt_rosenwinkel

 
2009年リリースの、Kurt Rosenwinkel『Reflections』(写真左)を聴く。ジャケットのイメージがバッチリの「クールでアーバンでスムースなエレギ」が炸裂。収録された曲名を見ると、これは「ジャズ・スタンダード集」ではないか。ちなみにパーソネルは、Kurt Rosenwinkel (g), Eric Revis (b), Eric Harland (ds)。

トリオ編成によるジャズ・スタンダード集である。むっちゃ良い感じな演奏内容。聴き耳たてつつ惚れ惚れしてしまうくらいの心地良さ。ただし、素直な「スタンダード集」では無い。曲を見れば、思わず口元が緩む。モンクの「リフレクションズ」「アスク・ミー・ナイ」、ウェイン・ショーターの「フォール」「アナ・マリア」などが選曲されている。思い切り捻りの効いた選曲。

実にオーソドックスな純ジャズ路線のジャズ・エレギである。「静謐な熱気」をはらんだクールなジャズ・ギターは、今までにありそうで無い、ローゼンウィンケルならではの音世界である。彼の繊細で静謐で美しいジャズ・ギターは、現代のジャズ・ギターの先端を行く響きに溢れている。聴き応え良し。好盤です。

 
 

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2017年2月 4日 (土曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・48

冬にジャズ・ギターが良く似合う。気温が上がらない寒い寒い昼下がり。空は鉛色、北風が吹き付ける昼下がり。そういう季節は、暖かい部屋の中で珈琲をすすりながら、ジャズを聴くのが一番。それもギター、それもアコースティック・ギター(略してアコギ)。

一昨日、そんなフレーズを書いた。アコギの音色はストイックで透明度が高い。冬の「身が切られるような寒さ」に通じる音の切れ味の良さ。冬にジャズ・アコギは良く似合う。ということで、冬にピッタリのジャズ・アコギの好盤をもう一枚。

John Scofield『Quiet』(写真左)。1996年のリリース。捻れエレギのジョン・スコフィールド(略してジョンスコ)。素敵に捻れたエレギを弾く、現代ジャズ・ギターの代表格の一人。1951年生まれなので65歳になる。もう大ベテランの域に達している。そんなジョンスコが45歳の時に録音した、ジョンスコがアコギを弾いたアルバムである。

ジョンスコのエレギは「捻れ」のフレーズが個性。マイルス・デイヴィスのバンドにも招聘された、とっても素敵に「捻れた」エレギの使い手である。そんなジョンスコである。さぞかし「捻れたアコギ」のプレイを聴かせてくれるのだろう、と期待するのだが、そもそも「捻れたアコギ」ってどんな音なんだ(笑)。
 

Quiet_john_scofield

 
最初の一曲目「After The Fact」のジョンスコのアコギを聴けば、そんな期待は良い意味で裏切られる。ジョンスコのアコギは、徹頭徹尾、真っ当な正統派、オーソドックスなジャズ・アコギのプレイである。しかも上手い。

「エレギとアコギは違う」とギタリスト達は口を揃えて言う。僕もちょっとだけギターを弾けるので、ギタリストらの意見は理解出来る。エレギの使い手は必ずしもアコギの使い手にはあらず、ということなんだろうが、一昨日ご紹介したディ・メオラや、今日のジョンスコはその法則には当てはまらない。

アドリブ・フレーズは流麗ではあるが悠然。コマーシャルな雰囲気は一切無い。ここまで凜としてストイックなアコギのプレイは、実にアーティスティック。使っているアコギはナイロン弦。このナイロン弦のアコギはジャズ・ギターとしてのもの。決して、クラシックギターのそれでは無い。このアルバムを聴く限り、ジャズとしてジョンスコのアコギは、なかなかに健闘していると感じる。

フレンチホルン、バス・クラリネットなどを加えた異色なホーン編成のバッキングを聴いていると、思わず「ギル・エバンス楽団」を思い出してしまいます。よい雰囲気のバッキングを得て、ジョンスコのアコギは誠実に内省的に、リリカルで印象的なフレーズを紡ぎ上げていきます。

 
 

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2017年2月 3日 (金曜日)

ながら聴きのジャズも良い・16

ジャズ・トラペッターって、何故か「ラテン・ジャズ」をやりたがる。常にではないのだが、ジャズ・トランペッターとして、第一線で活躍している間、どこかで必ず「ラテン・ジャズ」をやる。トランペットという楽器が「ラテン音楽」にフィットする、という感覚があるんだろう。

ジャズ・トランペッターで「ラテン・ジャズ」をやりたがる代表格が「ディジー・ガレスピー」。お祭り男と呼ばれるほど、ライブでその真価を発揮する。そして、ライブでよくやる演奏が「ラテン・ジャズ」。ハイノートをバッチリ決めながら、ラテンのリズムに乗って、バリバリに吹きまくる。ラテン・ジャズはダンサフル。

逆に僕はこのトランペッターがラテン・ジャズに手を染めるとは思わなかった。そのトランペッターとは「Brian Lynch(ブライアン・リンチ)」。1956年イリノイ州生まれ。今年で61歳になる。現在ニューヨークで活躍するジャズ・トランペット奏者。端正で流麗でメロディックなアドリブ・ソロが個性。音はふくよかで切れ味が良い。非常にアーティスティックなトランペットを吹く。

Brian Lynch『Madera Latino : A Latin Jazz Interpretation on the Music of Woody Shaw』(写真左)。そんなリンチが「ラテン・ジャズ」に手を染める。昨年のリリースになる。ウディ・ショウの音楽のラテン・ジャズ的解釈、とでも訳せば良いか。リズムと旋律は「ラテン音楽」。演奏スタイルは正統派、メインストリーム路線のモーダルな演奏。
 

Madera_latino

 
とってもアーティスティックな香りのする「ラテン・ジャズ」。ラテン・ジャズと聞くと、思わず「俗っぽい」コッテコテなラテンチックなリズムと旋律を思い浮かべる。聴いていて、ちょっと気恥ずかしくなる、あからさまにラテンチックな旋律とリズム。しかし、このブライアン・リンチのラテン・ジャズは違う。とってもアーティスティックな、とってもメインストリーム・ジャズな響きと旋律が特徴。

全11曲、トータル1時間50分と、結構なボリュームのアルバムなんだが、聴いていて意外と疲れないし飽きない。このアーティスティックな雰囲気を宿した、ということろが、聴き疲れと聴き飽きを防止している。しかし、これだけ生真面目にアーティスティックな側面を追求したラテン・ジャズを僕は他に知らない。

基本はラテン・ジャズなので、演奏される旋律は「馴染みやすく躍動感のある明るい雰囲気」。聴いていてしっかりとメロディ・ラインは追えるし、リズミカルなリズム&ビートは、しっかりと心にポジティブに響く。

意外と「ながら聴き」に適した「ラテン・ジャズ」である。しかし、結構、難しい高度なこと、やってるんですけどね。そう思わせないところが、リンチのトランペットの優れたところである。「ながら聴き」のヘビロテ盤。異色と言えば異色の盤ではあるが、意外とメインストリームな演奏がこれまた「好感触」。好盤です。

 
 

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2017年2月 2日 (木曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・47

日中の気温が上がらない寒い寒い昼下がり。空は鉛色、北風が吹き付ける昼下がり。そういう時は暖かい部屋の中で、コクのある珈琲をすすりながら、ジャズを聴くのが一番。それもギター、それもアコースティック・ギター。

アコースティック・ギターの音色はストイックで透明度が高い。冬の「身が切られるような寒さ」に通じる音の切れ味の良さ。冬にジャズ・アコギは良く似合う。ということで、冬にピッタリのジャズ・アコギの好盤を探す。

『Di Meola Plays Piazzolla』(写真左)。1996年のリリース。超絶技巧なエレギで一世を風靡したアル・ディ・メオラ(Al Di Meola)。そんなアル・ディ・メオラがアコギを弾きまくる。

しかも、タンゴの革命児、モダン・タンゴの父と言われる、アルゼンチン出身のBandoneon奏者&作曲家 Astor Piazzolla(アストル・ピアソラ)の名曲を弾きまくるという、凄い内容の企画盤。

ディ・メオラがタンゴを弾く。どんなタンゴになるんだ、と思いながら聴く。と、これが「絵に描いた様なタンゴ」な演奏にはならない。さすがはディ・メオラ。自ら迎合することは絶対に無い。
 

Di_meola_plays_piazzolla1

 
ピアソラ・トリビュートなアルバムながら、正統なタンゴ演奏にはならず、ピアソラの名曲の旋律の美しさを、ディ・メオラ独特のフュージョン・ジャズなフィーリングで弾きまくる。

エレギだと、あまりの超絶技巧な弾きっぷりに、ちょっとお腹いっぱいになってしまいがちなディ・メオラであるが、これがアコギになると、あ〜ら不思議。お腹にもたれることも無く、スッキリすんなり心地良く耳に響くのだ。ディ・メオラの超絶技巧さが良い方向に作用している。

そんなスッキリすんなり心地良く耳に響くアコギの音色に乗って、ピアソラの哀愁感溢れる名曲の旋律が駆け抜けていく。アコギの音色にタンゴの哀愁感が良く似合う。程良く抑制されたアコギの音色がタンゴの哀愁感を増幅させる。

ドラムは無い。ベースも無い。伴奏にピアノが入り、パーカッションがリズムを刻むのみ。バンドネオンの哀愁感溢れる音色が良いアクセント。基本的にディ・メオラのアコギがメイン。超絶技巧なディ・メオラのギターにはそれで十分。心地良い音の密度である。

 
 

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2017年2月 1日 (水曜日)

R&B系のフュージョンもう一丁

R&B系のフュージョン・ジャズと言えば、やはり僕にとっては、伝説のフュージョン・バンド「Stuff」そして、フュージョン・ジャズの筆頭ドラマー、スティーブ・ガッド率いる「Gadd Gang」、この2つのグループが決定的存在である。

この「Stuff」と「Gadd Gang」共通のギタリストといえば、コーネル・デュプリー(Cornell Dupree)である。デュプリーのエレギは明らかにファンキー、そしてR&Bなリズム感、いわゆる「ファンキー&ソウルフル」なフュージョン・エレギである。

「Stuff」にしたって「Gadd Gang」にしたって、醸し出すR&B系のフュージョン・ジャズな雰囲気は、このデュプリーのエレギが決め手の一つである。デュプリーの「ファンキー&ソウルフル」なフュージョン・エレギがあってこそ、「Stuff」にしたって「Gadd Gang」にしたって、R&B系のフュージョン・ジャズの代表的バンドとして君臨できるのである。

そんなデュプリーの晩年のアルバムがこれ。Cornell Dupree『Doin' Alright』(写真左)。2011年のリリース。「ファンキー&ソウルフル」なR&B系のフュージョン・ジャズの代表的ギタリスト、デュプリーの個性全開。「デュプリーならではの魅力満載なアルバム」である。とにかくご機嫌なR&B基調の演奏がズラリ。
 

Doin_alright_cornell_dupree

 
収録曲はオリジナル楽曲の他、レイ・チャールズ、ジミー・リード、ジミー・マクグリフ、キング・カーティス&キングピンズ、ハンク・クロフォード、ブルック・ベントン…等。R&B系のフュージョン・ジャズ好きにとっては笑いが止まらない。

もうたまらん内容である。やれ歳をとった老齢のプレイだの、フレーズが出てこないだの、ピッキングがいまいちだの、調子最悪だの、内容的に何かと揶揄されているみたいだけれど、いいじゃないか、とにかくデュプリーがデュプリーらしい盤である。それで良いではないか。

テキサス・ファンク&ブルース・グルーヴの極みである。細かいことを言わずに、盤全体の「デュプリーならではの魅力」をバクッと感じ取り楽しむアルバムだと思います。バリバリのデュプリーが聴きたければ、若い頃の好盤に耳を傾ければ良い。僕はデュプリーが楽しそうに「ファンキー&ソウルフル」なフュージョン・エレギを弾き楽しんでいる、この盤の雰囲気が大好きである。

ちなみに本作はコーネルが亡くなる2ヵ月前、テキサス州オースティンで録音された正真正銘のラスト・アルバム。2011年5月8日、肺気腫の為、鬼籍に入る。合掌。

 
 

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