« ヴィーナス御用達ジャズメン・1 | トップページ | ECMレーベルらしい音・2 »

2017年2月18日 (土曜日)

ECMレーベルらしい音・1

ECMレーベルの聴き直しを進め始めた。「ECM(Edition of Contemporary Music)」。創立者はマンフレート・アイヒャー。演奏家としての素養と録音技術の経験を基に、自らが選んだ「今日的」な音楽を記録し、世に問うべく、自らのレーベルを1969年に立ち上げる。西洋クラシック音楽の伝統にしっかりと軸足を置いた「ECMの考える欧州ジャズ」。限りなく静謐で豊かなエコーを個性とした録音。

このECMレーベルらしい音が、ECMレーベル黎明期、ECM1000番台にはっきりと記録されている。このECMらしい音を体験し、自らの記憶に留めるには、このECM1000番台の聴き通しは必須アイテムである。それほど、このECM1000番台には、ECMレーベルを代表する音が詰まった好盤が目白押しである。

Paul Bley『Ballads』(写真左)。ECMの1010番。1967年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Paul Bley (p), Gary Peacock (b, track:1), Mark Levinson (b, track:2&3), Barry Altschul (ds)。ECM1003番『Paul Bley With Gary Peacock』の続編的位置づけのアルバム。   

このアルバムは、ECMレーベルでの録音ではない。ECM1003番同様、録音にアイヒャーは関与していない。ブレイが私蔵の録音テープをアイヒャーに送りつけ、それをアイヒャーがアルバム化したもの。もちろん、録音もトン・スタジオでの録音盤のものほど良くはない。
 

Ballads1

 
しかしながら、この『Ballads』というアルバム、ECMの録音では無いとは言え、不思議なのは、このアルバムの音がしっかりと「ECMレーベルの音」になっていることです。特に、ブレイの「響きを押さえたピアノの音色」にその特徴を強く感じます。このポール・ブレイのピアノの音が、ECMレーベルの黎明期、ECMレーベルらしい音の「決め」にかなり貢献している様に感じます。

演奏の内容についても、抑制の効いた、ファンクネスの一切を排除した、いかにも欧州的なフリー・ジャズで、これまた、ECMレーベルらしい内容になっています。アイヒャーが関与しない、ECMレーベルとしての録音でもないのに、ECMレーベルらしい音がこの盤には溢れています。

いかに、このポール・ブレイの音が演奏が、後のECMレーベルらしい音の「決め」に貢献したかが、推察出来る内容です。ブレイの私蔵の録音テープなのに、明らかにECMレーベルの音になっているのだから不思議です。

ちなみに、このアルバム、LP時代には意外と入手が可能だったのですが、CDの時代になって、なかなか再発されなかったり、されても流通せず、入手が困難な時期が続き閉口していましたが、最近、やっとなんとか入手できる環境になったようで、有り難いことです。

 
 

震災から5年11ヶ月。決して忘れない。まだ5年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

保存

« ヴィーナス御用達ジャズメン・1 | トップページ | ECMレーベルらしい音・2 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ECMレーベルらしい音・1:

« ヴィーナス御用達ジャズメン・1 | トップページ | ECMレーベルらしい音・2 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2023年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

カテゴリー