PMGの原点回帰的な『Speaking of Now』
これだけ寒くなると、どんなに激しいジャズを聴いても汗をかかない。これだけ寒くなると、透明度の高いフュージョン・ジャズが耳に映える。基本的に冬はジャズ鑑賞に適したシーズンであると言えるのでは無いか。
ということで、Pat Metheny Group(以降PMGと略)の聴き直しを進めている。切れ味良く、透明度の高いフュージョン・ジャズ。PMGの真骨頂である。そんなPMGの音が僕は大好きである。で、一昨年から聴き直しを進めていて、結構、こちらの時代に近づいてきた。
Pat Metheny Group『Speaking of Now』(写真左)。2002年のリリース。ベーシスト兼ヴォーカリストにリチャード・ボナを起用している。ちなみにパーソネルは、Pat Metheny (g), Lyle Mays (key), Steve Rodby (b), Antonio Sanchez (ds), Cuong Vu (tp), tRichard Bona (ac-g,b,vo,per)。魅力的なメンバー構成です。出てくる音に期待感が高まりますね。
で、出て来る音を聴けば、往年のPMG者からすると、涙涙のPMGの原点回帰である。米国の大自然を彷彿とさせる、フォーキーでネイチャー・ジャズ(僕が勝手に名付けている)な音の響き。独特の浮遊感と疾走感。あの「Still Life」の頃の音が、PMGならではの個性的な音世界が、この『Speaking of Now』に戻って来ている。
音世界の基本は「Still Life」の頃なんだが、音の広がりが違う。この『Speaking of Now』のほうが音の広がりがある。ぶわ〜と横に奥に広がる様な、山水画の様な音の広がり。そこに、パットのエレギがズバっと切り込んでくる。クオン・ブーのトランペットがそれに反応する。官能的で印象的なメイズのキーボードが彩りを添え、ボナのボーカルが郷愁を誘う。
リズム・セクションが実に個性的だ。PMGの音世界の基本的骨格を担う、サンチェスのドラムとロドヒーのベース。この二人の複雑でありながらシンプルなリズム&ビートが、まさに明らかにPMGのリズム&ビートなのだ。この複雑でありながらシンプルなリズム&ビートは他のフュージョン・バンドには無い。
全ての曲の曲調に統一感があって、トータル・アルバムとして聴き応え十分。そういえばこの盤、グラミーのBest Contemporary Jazz Albumを受賞してますよね。ジャズの重要要素である「ジャジーな雰囲気」「ファンキーな雰囲気」が希薄で、米国の大自然を彷彿とさせる様な、ネイチャーな音世界。僕はこの「PMGの原点回帰」的なアルバムが大好きです。
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