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2017年1月の記事

2017年1月31日 (火曜日)

R&B系のフュージョンは良い

R&B系のフュージョン・ジャズが大好きである。思いっきりファンキーで思いっきり黒い、リズム&ビートの効いたダンサフルなフュージョン・ジャズ。古き良き時代のブルースやR&Bを基調としたフュージョン・ジャズ。これが大好きで、今でも時々聴き直す。

もともと大学に入った時、当時のロックの先行きに見切りをつけて、ジャズかモータウン系、いわゆるR&Bに走るか、悩んだクチである。思いっきりファンキーでオフビートなR&Bは大好きなのだ。結局、インストがメインのジャズに走ったんだが、当時から今まで、R&Bは大好きだ。

Joe Sample & David T. Walker『Swing Street Cafe』(写真左)。クルセイダースのキーボード奏者ジョー・サンプルとソフト&メロウなフュージョン・ギタリスト、デヴィッド・T・ウォーカーの双頭リーダーのバンドである。この二人が組むと、ソフト&メロウなAOR系のフュージョン・ジャズをやってるのか、と思うのだがこれが全く違う。

この盤、曲目を見渡して「Hallelujah, I Love Her So」や「C.C. Rider」「Honky Tonk」などの曲名が目につく。もしや、これって、コッテコテR&B系のフュージョン・ジャズをやってるのか、なんてちょっと嬉しくなる。そして、盤から出てくる音を聴いて、思わず「うひょ〜」と歓喜の雄叫びを上げるのだ(笑)。
 

Swing_street_cafe1

 
徹頭徹尾、コッテコテのR&B系のフュージョン・ジャズである。リリカルな切れ味の良いピアノが個性のジョー・サンプルが、これだけファンキーでR&Bなピアノを弾きまくるとは思わなかった。そして、ソフト&メロウなギタリストであるデヴィッド・T・ウォーカーも、思いっきりファンキーでR&Bチックなギターを弾きまくる。

徹底してR&Bなフュージョン・ジャズ。ラスト前の「Honky Tonk」で、そのノリと興奮は頂点に達する。ノリノリであり、ソウルフルであり、黒くてダンサフル。ベースにジェイムズ・ジェマーソン、ドラムにアール・パーマーというモータウン・レコーディング仲間。否が応でも「R&B」基調になる。

このアルバム、録音されたのが1978年、マスタリングが1981年、リリースが1982年。R&B系のフュージョン・ジャズである。当時、流行のソフト&メロウなフュージョン・ジャズでは無い。どういうマーケティングを経てのリリースかは判らないが、売れたのかなあ。

こればっかり聴き続けると、ちょっと飽きがきますが、ハードでシリアスはジャズを聴き続けた後、耳直しに聴く「R&B系のフュージョン・ジャズ」は格別です。あっけらかんと難しいことを考えず、ただただR&B系のリズム&ビートに身を委ねる。良い感じです。

 
 

震災から5年10ヶ月。決して忘れない。まだ5年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年1月30日 (月曜日)

至極納得「シルキー・ヴォイス」

ジャズを聴き始めた時、ジャズはインストに限る、としたため、ジャズ・ボーカルは一番後回しになった。というか、オーソドックスな正調ジャズ・ボーカルは、その唄い方がどうにも苦手で、ジャズ者初心者の頃、明らかに敬遠した。

今でも、オーソドックスな正調ジャズ・ボーカルは苦手である。力強く、こぶしを回しつつ唄い上げる。これがどうにも苦手である。ということで、僕のジャズ・ボーカルの趣味は「異端」である。おおよそ、ジャズ・ボーカルを理解しているとは言えないのでは無いか。ジャズ者ベテランのボーカル好きの方々からはお叱りを受けることもある。

それでも、男性ボーカルはまだ聴く方だ。フランク・シナトラとか、メル・トーメなどは、たまに思い出したように聴く。シナトラやトーメはオーソドックスな正調ジャズ・ボーカルでありながら、ポップでクロスオーバーなところが「聴き易さ」のポイント。このポイントがあるから、僕はシナトラ、トーメを聴くことができる。

さて、一時期の厳寒な日々が一瞬緩んだ今日、突然、思い出したようにメル・トーメを聴く。久し振りにこの盤を選択。Mel Torme and Friends『Recorded Live At Marty's, New York City』(写真左)。1981年の作品。洒落たイラストのトーメが可愛い印象的なジャケット。このジャケットを見る限り、きっと内容は良い筈である。
 

Recorded_live_at_martys_new_york_ci

 
発売時は2枚組のLPだった。当時、僕はまだ学生。苦手なジャズ・ボーカルのLP2枚組に投資する余裕は無かった。が、有り難いことに、例の「秘密の喫茶店」にこのメル・トーメの2枚組LPはあった。早速、かけてもらった。そして、この男性ボーカルは大丈夫だ、と思った。

メル・トーメは、オーソドックスな正調ジャズ・ボーカルでありながら、ポップで柔らかでライトなところが個性。シルキー・ヴォイスと形容される滑らかな歌唱。適度にエッジが丸いボーカルが特徴で、スタンダード曲ではポップで明るい曲がピッタリ。スインギーな歌唱ではあるが、ジャジーなスイング感というよりは、ポップス・ソングなスイング感と形容したほうが良いか、と思う位の軽やかなスイング感。

そして、このLP2枚組の僕のお目当ては、2曲目の「New York State Of Mind」。米国ポップ・ロックの雄、ビリー・ジョエルの名曲、ニューヨーク讃歌である。もともと僕は、この曲についてはビリー・ジョエルのオリジナルが大好き。この曲は歌が上手く、情感を込めて唄える歌い手にしか扱えない、珠玉の名バラード。そんな難曲をいとも容易くメル・トーメは唄い上げていく。

メル・トーメは1925年生まれなので、このライブ盤を録音した頃は55〜6歳である。ボーカリストとしても人としても一番充実した時期である。他の楽曲についてもメル・トーメのボーカルは絶好調。メル・トーメの代表作の一枚であろう。ジャズ者初心者からジャズ・ボーカル者ベテランの方々まで、広くお勧め出来る男性ボーカル盤である。

 
 

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2017年1月29日 (日曜日)

北欧ヤンソンのセルフ・カヴァー

最近、欧州ジャズのピアノが楽しい。欧州ジャズのピアノは、一言で言うと、ファンクネスが希薄で透明度が高い。テクニックがあって端正で破綻が無い。アドリブ・フレーズは流麗。タッチは硬質。クラシック・ピアノと相対しても遜色の無い、アーティスティックなインプロビゼーション。

ジャズ雑誌に掲載される2016年の「ディスク・グランプリ」の結果を見ていて、Lars Jansson(ラーシュ・ヤンソン)のアルバムが挙がっていた。ラーシュ・ヤンソンも日本ではメジャーな存在になったなあ。ラーシュ・ヤンソンは、1951年スウェーデン生まれ。今年65歳。いかにも北欧のピアニストらしい繊細なピアノを弾く。ファンクネスは皆無。しかも湿り気無く、とことんドライ。このカラッとしたところが、ラーシュ・ヤンソン独特の個性。

そんなラーシュ・ヤンソンのセルフ・カヴァー集が、このLars Jansson Trio『More Human』(写真左)である。昨年の作品になるのだが、これがまあ素晴らしい内容なのだ。ちなみにパーソネルは、Lars Jansson (p), Thomas Fonnesbeak (b), Paul Svanberg (ds)。鉄壁のトリオ。

もともとラーシュ・ヤンソンは良い曲を書く。北欧ジャズ独特のリリカルで繊細なピアノが十二分に活きる、透明度の高い印象的な旋律を持った秀曲ばかり。ヤンソンの場合は、彼のオリジナル曲ばかりでアルバム全体を構成されていても全く問題が無い。逆に、北欧ジャズの特質がグッと浮き出てくる。
 

More_human1

 
このアルバムでは、そんなラーシュ・ヤンソンの自作曲の中から人気の高い「モア・ヒューマン」「マリオネット」「マザーズ・イン・ブラジル」「ホープ」を始めとして、ラーシュ・ヤンソン自身が15曲を厳選してセルフ・カヴァーしているのだ。ジャズではこういうセルフ・カヴァー集は珍しいのだが、ヤンソンとしては、この若手のベースとドラムを迎えた「このトリオ」で再録したかったのだろうと推察する。

その目論見はバッチリ当たっている。もともとの曲が良いのだから、もちろん、この現時点でのラーシュ・ヤンソン・トリオでの演奏は素晴らしいの一言。適度な緊張感、心地良い演奏の「音の密度」、北欧ジャズ独特の透明感、どれをとっても極上の演奏である。新旧の演奏を比較すれば良く判るのだが、現時点でのトリオの「表現力の柔軟性の高さ」と「創造力のバリエーションの豊かさ」が良く判る。

こういうセルフ・カヴァー集もありやなあ、と思わず確信してしまうほど、このセルフ・カヴァー集はその狙いをしっかりと実現している。非常に優れた内容の企画盤である。また、ジャケット・デザインも秀逸。最近のアルバム・ジャケットを描いているのは孫娘のヒルダで、今作品のジャケットも彼女の作品とのこと。まさに「優れた内容のジャズ盤のジャケットは決まって優秀」である。

 
 

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2017年1月28日 (土曜日)

なんとも魅力的なパーソネルです

ジャズ雑誌に掲載される2016年の「ディスク・グランプリ」の結果を見ていて、これは素敵だなあ、と思わせてくれるパーソネルを発見。これは素敵なパーソネルだ。レジェンドレベルのリーダーのアルバムに、中堅のジャズメンから現代の若手ジャズメンまでが集う。ジャズの歴史をしっかりと追うようなパーソネル。

Dr.Lonnie Smith『Evolution』(写真左)。昨年1月のリリース。宣伝の触れ込みは「伝説のオルガン奏者が、45年ぶりにBlue Noteレーベルに復帰!ロバート・グラスパー、ジョー・ロヴァーノをスペシャル・ゲストに迎えた新作をリリース」。まさに、そんな宣伝どおり、出てくる音は、ジャズの基本であるハードバップであったり、現代の先端を行くニュー・ジャズだったり。

白髭を蓄えた怪しげなターバン姿のオルガン奏者ロニー・スミス。ジャズ・オルガンのレジェンドである。パーソネルを整理すると以下の様になる。

Dr. Lonnie Smith (B3 organ, key), Robert Glasper (p)1, Joe Dyson (ds)1,2,3,5,7, Jonathan Blake (ds)1,2,3,4,5,6,7, John Ellis(ts, fl)1,2,3,5,7, Joe Lovano (ss, ts)2,3, Jonathan Kreisberg (g)1,2,3,4,5,6,7, Keyon Harrold (tp)1,2, Maurice Brown (tp)5。

ジャズのレジェンドからベテラン、中堅、若手まで、なんとも魅力的なパーソネルである。収録曲はスミス曲が5曲と、モンクの「Straight No Chaser」、リチャード・ロジャースの「My Favorite Things」で全7曲。スミス作の曲の出来が良い。スミス作の曲の出来の良さが、このリーダー作の内容を濃くしている。
 

Evolution1

 
ロニー・スミスのオルガンがメインのアルバムなので、ファンキーなオルガン・ジャズを思い浮かべるが、この最新作の内容はそうでは無い。このジャズのレジェンドからベテラン、中堅、若手まで、ジャズの歴史をしっかりと追うようなパーソネルが「それ」をさせないのだ。

フロント楽器は、ネオ・ハードバップからニュー・ジャズの路線を踏襲する。柔軟度を高める為のモード・ジャズの展開や、聴き易さを高めるためのハードバップ的なシンプルで判り易いユニゾン&ハーモニー。ロニー・スミスのオルガンは、しっかりとバックに回って、フロントの演奏を支える。

このバッキングに回った時のロニー・スミスのオルガンが実にプログレッシブ。ジャズのレジェンド的な存在でありながら、出てくる音は現代の最先端を行く先進的な音なのだ。今までに聴いたことの無い、ジャズ・オルガンでのバッキング。良いものを聴いたなあ、という気持ちを高めてくれる。

ファンクネスを撒き散らしながら、前面にこれでもかと押し出てくるジャズ・オルガンも良いが、このアルバムの様に、変幻自在でバッキングに回った時の先進的で小粋なジャズ・オルガンは新しい発見だ。ジャズ・オルガンの新しい音を聴かせてくれるこのアルバム、とっても気に入った。好盤です。 

 
 

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2017年1月27日 (金曜日)

そんな小粋なAOR盤の一枚です

1970年代後半から1980年代前半は「AOR」の時代。日本では「AOR=Adult-oriented Rock」として「大人向きのロック」と解釈された。米国では「Adult Contemporary(AC)」と呼ばれるこのジャンル音楽、クロスオーバー的なサウンドと大人向けの落ち着いたヴォーカルが特徴で、とにかく聴き応え満点。

僕の大学時代が、この「AOR」の時代で、この日本のAORブームをリアルタイムで体験している。当時、ジャズを聴き始めていた「ジャズ者初心者」ではあったが、ジャズの合間の耳休めとして、このAOR系のアルバムは結構聴いている。そう、僕のあの「秘密の喫茶店」のママさんも、小粋なAOR盤をジャズの合間によくかけてくれた。

そんな小粋なAOR盤の一枚が、Crackin'『Special Touch』(写真左)。1978年の作品。黒人白人混合のアーバンソウル・バンドである「クラッキン」。その代表盤がこの『Special Touch』。シンプルではあるが、抒情性溢れる星座をあしらった濃い青色のジャケットはとっても印象的で、このジャケットだけで、このアルバムの内容は保証されたも同然。
 

Special_touch1

 
ファンクネスを強調、かつ流麗でメロウなサウンド。R&B志向のフュージョンAORである。ボーカルを交えたこのクラッキンのパフォーマンスは「ライトでポップなスティーヴィー・ワンダー」といった感じの雰囲気。決して、コッテコテでは無い、適度で爽やかなファンクネスを色濃く漂わせながら、シンプルでポップな演奏がむっちゃ心地良い。

ほんまええ雰囲気やな〜、と思ってプロデュースを見たら、後にクリストファー・クロスを手掛けて名を挙げるマイケル・オマーティアンが担当しているんですね。なるほど趣味が良い訳だ。ほんと、むっちゃ丁寧に作り込まれたフュージョンAORである。ジャジーな雰囲気とR&Bな雰囲気とポップロックな雰囲気をない交ぜにした極上のAOR。

ファンキー、ソフト&メロウ、ジャジー、そしてポップロックがフュージョンしたAORの好盤です。アルバムの宣伝コピーが「LAの風に吹かれて、ソフィスティケイトなサウンドに抱かれたい」。歯が浮くようなコピーですが、その雰囲気、何と無く判ります(笑)。アーバンポップな雰囲気がむっちゃお洒落です。

 
 

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2017年1月26日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・57

ジャズ雑誌に掲載される2016年の「ディスク・グランプリ」の結果を見ていて、やはり、このピアニストが常連になって来たな、とほくそ笑んでいる。

1955年生まれ。今年で62歳になる。1980年代のデビューなので、ジャズメンとしては遅咲きである。ジャズ雑誌やジャズ本にその名が挙がってきたのは、つい5年ほど前なのではなかろうか。僕も3年ほど前にやっと彼の名前に気がついた。Fred Hersch(フレッド・ハーシュ)。

かなり破天荒な人生を歩んでいる。デビュー当時は麻薬とHIV。1980年から1986年にかけて、ニューイングランド学院で教鞭をとる。2008年、HIVウィルスが脳に転移し、生命の危険に見舞われるが、リハビリの結果再び演奏活動に取り組むことができるようになる。それからである。その名前がメジャーになり出したのは・・・。

Fred Hersch『Sunday Night at the Vanguard』(写真左)。昨年リリースのライブ盤。Fred Hersch (p), John Hebert (b), Eric McPherson (ds)。2016年3月、NYの老舗ライブハウス、ビレッジ・ヴァンガード(略して「ビレバガ」)でのライブ録音。
 

Sunday_night_at_the_vanguard1

 
冒頭の「A Cockeyed Optimist」を聴くと、このピアノ・トリオはその辺によくある、エバンス派とかパウエル派と呼ばれる、ピアノ・トリオの先達のイメージを引き継ぐものでは無いことに気がつく。圧倒的に「個性的」である。美しい耽美的な響きが芳しい右手、良く動く左手、モンクを彷彿とさせる幾何学模様のようなフレーズ。

そう、このハーシュのピアノって、ビル・エバンスとセロニアス・モンクを合わせて2で割った様な「耽美的なモンク」な風情が素晴らしく個性的なピアノなのだ。メロディアスなフレーズとフリーキーなインタープレイが拮抗し、相見える展開。ビ・バップ、ハードバップな香りは皆無。現代音楽の様な独特な静謐感と透明感が独特である。

こんな個性的なジャズ・ピアノが、この21世紀になって存在するなんて、思わず言葉を失った。HIVとの闘病生活の中、決して健康な身体では無い。年齢的にも60歳を過ぎている。これからどこまで彼のピアノは発展するのか、どこまで彼のピアノを愛でることができるのか、確約される様な状況ではないのだろうが、明らかに僕はこの人のピアノの明日を期待する。

それほどまでにこのフレッド・ハーシュのピアノは個性的であり、唯一無二である。ビレバガ独特の音の響きと相まって、一期一会のライブ盤に仕上がっている。見事である。 

 
 

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2017年1月24日 (火曜日)

「多弁」なピアニストの最右翼

このところ、優れたジャズのライブ録音が聴きたくて、モントルー・ジャズ・フェスティバル(Montreux Jazz Festival)でのライブ盤を漁っている。モントルー・ジャズ・フェスのライブ音源はどれもが出来が良く、内容がある。つまりは「駄作」が無い。

モントルー・ジャズ・フェスに呼ぶジャズメンを厳選していること、そして、ジャズ・フェス自体の雰囲気が、ジャズメンの良い面、優れた演奏能力を必ず引き出す様な、「良い雰囲気」なんだろう。

モントルー・ジャズ・フェスのライブ盤を漁っていたら、モンティ・アレキサンダー(Monty Alexander)の『Montreux Alexander Trio Live!』を思い出した。モンティ・アレキサンダーかあ〜。

モンティ・アレキサンダーといえば「多弁」なピアニストの最右翼である。とにかく「多弁」。喧しい位に「多弁」。しかもファンクネス過多。加えて速弾きテクニック優秀。速弾きテクニックを駆使して、こってこてファンキーで「多弁」なピアニスト。タッチは明確でエッジが立っている。

そんなモンティ・アレキサンダーを確認できる好盤が、Monty Alexander『Uplift 2 Higher』(写真左)。2013年のリリース。ちなみにパーソネルは、Monty Alexander (p)に、John Clayton (b)+Jeff Hamilton (ds)のトリオと、Hassan Shakur (b)+Frits Landesbergen (ds)のトリオの2つのトリオで演奏を棲み分けている。
 

Uplift_2_higher

 
1曲目の「Battle Hymn」からご機嫌。多弁、良く動く指、爽やかな溢れんばかりのファンクネス。切れ味良いエッジの立った煌びやかなタッチ。日本語で言う「ごんべさんの赤ちゃんが風邪引いた」の歌詞で有名な「リパブリック讃歌」。アメリカ合衆国の民謡・愛国歌・賛歌であり、南北戦争での北軍の行軍曲。判り易くて俗っぽい曲やけど、思いっきりファンキー。

4曲目「You Are My Sunshine」から、5曲目「St. Thomas」の米国ルーツ・ミュージックからカリプソ。思いっきり俗っぽくてファンキーな曲を、モンティ・アレキサンダーは多弁、良く動く指、爽やかな溢れんばかりのファンクネスを撒き散らして、弾きまくっていく。

極めつけは、8曲目「What a Friend」。邦題「いつくしみ深き」。「いつくしみふかき ともなるイエスは」で始まる、むっちゃポピュラーな賛美歌である。このむっちゃポピュラーな賛美歌を、やっぱし、モンティ・アレキサンダーは多弁、良く動く指、爽やかな溢れんばかりのファンクネスを撒き散らして、バッシバシ弾きまくっていく。

モンティ・アレキサンダーばかりを聴き続けると、3枚目くらいで「もうお腹いっぱい」とばかりに聴くのを中断してしまうほどの「多弁ぶり」である。しかし、良く動く指、爽やかな溢れんばかりのファンクネス、明朗で切れ味良いエッジの立ったタッチ。これは実に魅力的であり、思いっきり個性的。

だから、暫くするとやっぱり1〜2枚、思いっきり聴きたくなる。そんな変わった魅力満載のモンティ・アレキサンダーである。

 
 

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2017年1月23日 (月曜日)

ながら聴きのジャズも良い・15

植田典子とは誰か。ネットのレビューからの転載になるが「1997年バークリー音楽大学卒業、1998年よりニューヨークを拠点に活動するジャズ・ベーシスト。現代のNYのファースト・コール・ベーシストの一人」とある。ふ〜ん、知らなかった。

しかし、この盤の音を聴くと合点がいく。むっちゃ魅力的な音が鳴り響くアコベである。ブンブンブンと胴と弦が唸りを上げる。それも、実に上品なベース音である。ネットのレビューには「哀愁とガッツ」とある。なるほど、女性ベーシストならではの音の響きが実に「典雅」。

植田典子トリオ『Debut』(写真左)。2015年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、植田典子 (b), テッド・ローゼンタール(p), クインシー・デイヴィス (ds)。正統なピアノ・トリオである。ジャケットもなかなか良い感じのデザインで、これまた正統なジャズ盤のイメージである。
 

Debut

 
これだけベースが正統な純ジャズ基調なのである。当然、ローゼンタールのピアノも、クインシー・デイヴィスのドラムも正統な純ジャズ路線ど真ん中である。現代のネオ・ハードバップな音世界を踏襲しながら、モードありコードあり、メインの旋律はあくまで「哀愁感溢れるマイナーな響き」。

このトリオの音は圧倒的に「絵に描いた様な純ジャズなピアノ・トリオ」。はたまた、このアルバムは「現代の純ジャズの教科書」の様なアルバムである。ピアノ・トリオの美味しいところが、アルバム一杯にガッツリと盛り込まれている。現代のジャズ・ピアノ・トリオとはこれ、と差し出したくなるような演奏内容である。

良いアルバムです。これだけ「現代の純ジャズの教科書」な内容だと、スピーカーに対峙して聴き込むというよりは、静かな部屋の中で、本でも読みながらの「ながら聴き」に最適なアルバムだと思います。ピアノ・トリオの音の響きがとっても素敵なアルバムです。

 
 

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2017年1月22日 (日曜日)

2010年代後半の新しい純ジャズ

年が明けて1月から2月になると、ジャズ雑誌では前年にリリースされたジャズ盤の中から「優秀盤」を選定する「ディスク・グランプリ」の季節になる。2016年の「ディスク・グランプリ」の結果がジャズ雑誌に掲載されるのだ。

意外とこの「ディスク・グランプリ」って面白い。前年のジャズのトレンドが良く判るし、評論家と一般のジャズ者の方々と感じ方、捉え方の違いが興味深い。実は一般のジャズ者の方々の方が、その時代時代のジャズのトレンドを的確に捉えている事の方が多いのだ。評論家というもの、音楽業界の中ではいろいろとしがらみがあるのかなあ、なんて想像したりする(笑)。

さて、この「ディスク・グランプリ」を眺めていると、何枚か聴き逃したアルバムがあるのに気付く。ありゃりゃ、これはいかんいかん、ということで、2016年の優秀盤の落ち穂拾いをするのが、これまたこの1月から2月にかけての季節になる。そんな「落ち穂拾い」の一枚がこれ。

New Century Jazz Quintet『ARISE』(写真左)。宣伝の触れ込みは「古き良きジャズのエッセンスを基に若い感性で創造する新時代のジャズをニューヨークから発信する」カルテットである。2014年6月にデビュー以来、着実に成果を挙げてきている。その存在は雑誌を通じてしってはいたが、この新作については、ついうっかり「ノーマーク」。

ちなみにパーソネルは、Benny Benack Ⅲ (tp), Tim Green (as), Yasushi Nakamura (b), Takeshi Ohbayashi (p), Ulysses Owens Jr. (ds)。日本人ミュージシャンが2名参加している。ピアノの大林武司、ベースの中村恭士の2名。他はNYのジャズ・シーンの中での期待の若手ジャズメン達である。
 

Arise1

 
ジャズ界において、こういう若手ジャズメンを中心とした「古き良きジャズのエッセンスを基に若い感性で創造する新時代のジャズをニューヨークから発信する」バンドは、10年に1つ位、必ず発生する。

1980年代後半の「Out of Blue」がそうだったし、1990年代後半の「One for All」もそうだった。2000年代後半は「European Jazz Trio」がそうだったかな。で、今回、2010年度後半にさしかかる2016年にこの「New Century Jazz Quintet」である。

このアルバムに詰まっている音は、1950年代後半の「ハードバップ」、そして、1960年代のメインストリーム・ジャズのトレンドだった「モード・ジャズ」。1980年代、純ジャズ復古以降の「ネオ・ハードバップ」。それぞれの時代のメインストリーム・ジャズのメインとなったトレンドを振り返り、現代の新しい感覚で再構築している。

面白いのは、ジャズの個性の代名詞だった「ファンクネス」が希薄になってきていること。コッテコテのファンクネスは希薄になって、洗練されたブルーノートな響きがそれにとって代わり、その洗練されたブルーノートな響きの中に「マイナーでジャジーな雰囲気」が漂っていて、その中にそこはかとなく「ファンクネス」が残っているのみ。

洗練された、硬質でテクニカルなブルーノートがメインの「「古き良きジャズのエッセンスを基に若い感性で創造する新時代のジャズ」である。これから2010年代後半に深く時代が進む中、この現代のメインストリーム・ジャズはどう変化していくのだろうか。興味津々である。

 
 

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2017年1月21日 (土曜日)

「パット個人の音」の原点回帰

パット・メセニーの聴き直しは続く。が、パット・メセニー・グループ(Pat Metheny Group, PMGと略す)名義としては、このアルバムが最新になる。いよいよである。Pat Metheny Group『The Way Up』(写真左)。2005年のリリースである。

パーソネルは以下の通り。Pat Metheny (g), Lyle Mays (p, key), Steve Rodby (b), Cuong Vu (tp), Grégoire Maret (harmonica, perc), Antonio Sánchez (ds)。鉄壁のレギュラー・メンバーである。

前作『Speaking of Now』で、PMGは原点回帰した。米国の大自然を彷彿とさせる、フォーキーでネイチャー・ジャズ(僕が勝手に名付けている)な音の響き。独特の浮遊感と疾走感。あの「Still Life」の頃の音が、PMGならではの個性的な音世界に立ち戻った。

そして、今回のこの現時点での最新作『The Way Up』においては、前作でPMGとしての音世界の原点回帰を実現したことを踏まえて、このアルバムではリーダーのパット・メセニー個人としての原点回帰を実現していると感じる。

もともと、パットは活動初期の頃から、パット個人としての活動とPMGとしての活動の「二足の草鞋」を履いていた。今回は、このパット個人としての活動の色合いが濃い。アルバムの名義が「パット・メセニー with PMG」と形容して良い位の音作りになっている。
 

The_way_up1

 
その音世界の構成が壮大である。序章+3部構成となるコンセプト・アルバムとなっていて、これはもうジャズという範疇からは逸脱しているかもしれない。便宜上、序章+3部構成という4つのパートに分かれてはいるが、曲としては、ひとつの流れを持つ全72分の大曲である。全くもっての力作である。

音世界はPMGの音を基本にはしているものの、PMGのポップな部分をそぎ落として、結構シリアスな、メインストリーム・ジャズを基調としている。そんな音を前提に、ジャズの交響組曲の様な壮大でシリアスな演奏が展開される。

当然、ファンクネスは皆無。米国の大自然を彷彿とさせる、フォーキーでネイチャー・ジャズも基本的に抑制されている。前衛的な音世界も見え隠れして、これは明らかに初期の頃のパット・メセニー個人としての音世界である。

2002年の『Speaking of Now』の時点で48歳、この『Speaking of Now』の時点で、51歳。50歳という人生の節目の前後で、パットはPMGとパット個人の音世界を原点回帰させたことになる。理屈好きなパットらしい話ではある。

 
 

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2017年1月20日 (金曜日)

こんなアルバムあったんや・76

まず、ジャケットが良い。この線画の漫画チックな人物イラストが良い。見ていてほのぼのする。「The Poor People Of Beverly Hills」とタイトルを読んで、思わず口元が緩む。こういう印象のジャケットって絶対に内容は外れない。いわゆる「ジャケ買い」OKなアルバムである。

Terry Gibbs『A Jazz Band Ball』(写真左)。1957年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Max Bennett (b), Mel Lewis (ds), Lou Levy (p), Terry Gibbs (vib, marimba), Larry Bunker, Victor Feldman (vib, xylo), Marty Paich (arr)。テリー・ギブス、ヴィクター・フェルドマン、ラリー・バンカー。3人のヴィブラフォン(マリンバ、シロフォンも)の名手が顔を揃える。

なんてユニークなアルバムなんだろうか。なんせヴァイブ奏者が3人なんて、そんなジャズ盤、見たり聴いたりしたことがありません。しかも、この3人のヴァイブ奏者が丁々発止とやりあうんですから、これはもう堪らない。ヴァイブ3人のアドリブ・バトル、聴き応え満点です。これって、所謂ジャズの醍醐味ですよね〜。
 

A_jazz_band_ball

 
西海岸の幻のレーベル「モード」の、 西海岸の洗練と実験性が同居したプロジェクトでもある「Jazz Band Ball」の第二弾アルバムだそうで、何と無くその意味、判ります。まず、ヴァイブ3人のジャム・セッションなんて、実験的チャレンジ以外の何者でもありませんよね。しかも、その3人のアドリブ・バトルのレベルが高い。聴いていて思わずワクワクします。躍動感溢れるヴァイブのバトル。良いですね〜、ジャズですね〜(笑)。

マーティ・ペイチがアレンジを担当する。このペイチのアレンジが効いている。ペイチのアレンジあっての、ヴァイブ3人のジャム・セッション、その3人のアドリブ・バトルなんだな〜、ということを実感する。加えて、ルー・レヴィのピアノ、マックス・ベネットのベース、メル・ルイスのドラムスのリズム・セクションも堅実でご機嫌。しっかりとヴァイブ3人のアドリブ・バトルを支えるのだ。

米国西海岸ジャズの範疇の演奏なので、爽快感と清涼感が半端ない。しっかりとアレンジされた3人のヴァイブのバトルなんだが、演奏の雰囲気は自由でシンプル。ジャズの基本をしっかりと聴かせてくれる好盤です。

 
 

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2017年1月19日 (木曜日)

プログレなフュージョン盤です

CASIOPEA 3rd(カシオペア・サード)がお気に入りで良く聴く。特に、新参入のキーボードが殊の外お気に入り。向谷の後任である大高清美である。基本はオルガニスト。ジャズ・オルガンというよりは、プログレ・オルガンといって良いほどの手癖が魅力。

そんな大高清美がスーパー女子高生ドラマー・川口千里とユニットを組んでいる。その名は「Kiyo*Sen」(キヨセン)。キャッチフレーズが「<仲良く★激しく★美しく>最強の女子力ユニット」。このユニット、オルガンとドラムなので、あとベースがいれば、オルガン・トリオが成立する。

そんな「Kiyo*Sen」がファースト・アルバムをリリースしたのが2014年。Kiyo*Sen『Chocolate Booster』(写真左)である。2014年のリリース。改めてパーソネルは、大高清美(Organ、Keyboards、Programming), 川口千里(Drums、Percussion), 矢堀孝一(Guitar / M-4(Guitar Solo)、M-5、M-9)。一部にエレギがゲスト参加。

アルバム全体で一貫した「オルガン+エレギの思いっきりプログレ」なフュージョン・ジャズ。まず、大高清美のオルガン、シンセの音の雰囲気が思いっきり「プログレ」なのだ。具体的に言えば「キース・エマーソン」。あの体育会系プログレバンドEL&Pのレジェンドなキーボード奏者である「キース・エマーソン」の音色、手癖がところどころに出てくる。プログレ者からするとこれが堪らない。
 

Chocolate_booster  

 
加えて、大高のキーボードの疾走感は半端無い。バカテクをひけらかされて「うぇ〜」という感じでは無い、なんかちょっと余裕をかました感じで、シュッと引き切ってしまう様な「清々しさ漂う疾走感」。アドリブ・フレーズもキャッチャーで、疾走感と相まって、サラッとしていて聴いていて気持ちが良い。

そんな大高の疾走感溢れるキーボードを更に煽り、更に鼓舞しつつ、自らも飛ぶように叩きまくる川口千里のドラミングも見事。重量感がありつつ、適度にスインギー。この娘のドラムは「ロックなドラム」では無い。この娘のドラムは「フュージョンなドラム」だ。疾走感に加えてスインギーな雰囲気漂い、オフビートなドラミングが大高のキーボードにしっかりとフィットする。

ゲストの矢堀孝一のエレギの雰囲気も実に良い。これがまあ、これまた「プログレ」なエレギの響きなのだから堪らない。プログレっぽくて、フュージョンぽいエレギのフレーズが面白い。このエレギの参入をアルバム全体の中で良い「アクセント」になっている。

ベースが入っていたほうが良い、という見方もあるが、実は僕もそう思う。但し、重量感を増す方向でのベースの参入は疑問。演奏のベースラインをしっかり押さえた「爽やかなベース」が良いだろう。

良い雰囲気のオルガン・フュージョン。オルガン・フュージョン自体が珍しいので、この盤、異色のフュージョン盤として、お勧めのアルバムです。ふふっ、「プログレ」オルガン・フュージョンですかね(笑)。

 
 

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2017年1月18日 (水曜日)

ジックリと聴き耳を立てる盤

パット・メセニー・グループ(Pat Metheny Group=PMGと略)に、専門のトランペッターが参入したのが、1995年リリースのアルバム『We Live Here』で、Mark Ledfordであった。このトランペットの参入は、PMGの音世界の彩りをワンステップ拡げた。ちょっとジャズっぽくなった。

そして、2002年リリースの『Speaking of Now』から、専門のトランペッターは、Cuong Vu(クオン・ヴー)に交代した。このクオン・ヴーが当たりで、PMGの音世界にピッタリな音色と音の拡がりに、初めて聴いた時はちょっと驚いた。パットのギターシンセとのユニゾン&ハーモニーが素晴らしい。PMGの唯一無二な音世界である。

そんなクオン・ヴーがリーダーとなってトリオを結成、そこに親分のパット・メセニーがギターで参加する、という、それって実はPMGとちゃうん、みたいなアルバムが出た。『Cuong Vu Trio Meets Pat Metheny』(写真左)である。昨年の5月のリリース。ちなみにパーソネルは、Cuong Vu (tp), Stomu Takeishi (b), Ted Poor (ds), Pat Metheny (g)。

それって実はPMGとちゃうん、と思っていた『Cuong Vu Trio Meets Pat Metheny』であるが、パーソネルを見て気が変わった。これは第2のPMGを狙った盤では無い。まず、PMGの音の要であるライル・メイズに該当するキーボードが無い。とすれば、PMG十八番のフォーキーでネイチャーなフュージョン・ジャズは期待薄である。
 

Cuong_vu_trio_meets_pm

 
そもそもクオン・ヴー・トリオからして、トランペット+ベース+ドラムのピアノレス・トリオ。フロント楽器(ここではトランペット)がリーダーでのピアノレス・トリオの主な目的は「限りなく自由度が高い」ということ。心情の趣くままに限りなく自由にフロント楽器を吹きまくりたい。そういう欲求が前面に押し出たのがピアノレス・トリオ。

そんな「限りなく自由度の高い」ピアノレス・トリオにパットがギターで参入する。ということは、PMGな音世界では無く、パット個人な音世界が狙いとなるだろう。そう、このアルバムは「限りなく自由度の高い」メインストリーム・ジャズである。部分的にはフリー・ジャズと言い切ってよいだろう自由でアブストラクトなアドリブ・フレーズが宙を舞う。

録音テクニックが優れていることもあって、4人編成の演奏ではあるが、音がとても厚い。フロント楽器がトランペットとギターであるが、音がとても厚くて豊か。この盤は、現代の硬派なメインストリーム・ジャズとして聴いた方が良い。戸惑うこと無く、この盤の素晴らしい演奏を堪能出来る。逆に、PMGな音世界を前提とすると、まず戸惑うだろう。

現代のメインストリーム・ジャズの好盤です。決して甘くは無い、どちらかと言えば硬派でシリアスな内容で、聴き流しなどには合いませんね。ある程度のボリュームで、良好なステレオ装置に相対して、ジックリと聴き耳を立てて聴き込むタイプのアルバムだと思います。

 
 

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2017年1月17日 (火曜日)

良い感じのスムース・ジャズです

スムース・ジャズだってジャズである。フュージョン・ジャズもそうだったが、演奏の基本は「ジャズ」。スムース・ジャズと聴くと、スムース・ジャズは「ジャズじゃない」と切り捨てるジャズ者の方々もいるが、それはそれで感じ方、考え方の違いなので、いざ仕方ない。

ところで、バーチャル音楽喫茶『松和』のマスターこと私にとっては、スムース・ジャズは守備範囲。専門的に聴き込むことは無いが、スムース・ジャズを聴かなかったり否定したりはしたことが無いです。音楽として捉えると「良いものは良い、悪いものは悪い」。良い感じのスムース・ジャズについてはウエルカム。

さて、そんな良い感じのスムース・ジャズの一枚が、Chuck Loeb『Listen』(写真左)。1999年の作品。チャック・ローブはギタリスト。主にスムース・ジャズ、フュージョン・ジャズがメイン。平穏でムーティーな音色とフレーズが特徴。大上段に振りかぶって、仰々しいアドリブ・フレーズを展開する、なんてことは決して無い。暖かく丸くて流麗なアドリブ・フレーズ。
 

Listen_chuck_loeb

 
この『Listen』では、全ての楽曲のおいて、スムース・ジャズが貫かれている。ローブのアルバムは、全編スムース・ジャズというアルバムは少なくて、アレンジ的に捻りをいれて、バラエティーに富んだ内容を追求する向きが強いのであるが、このアルバムは違う。大向こうを張った大袈裟なチャレンジも皆無。

徹頭徹尾、スムース・ジャズしながら、アレンジは控えめに、ストレード・アヘッドなスムース・ジャズを展開する。そして、ローブはただただエレギを弾きまくる。このただただ弾きまくるところがこのアルバムの特徴で、チャック・ローブのエレギを愛でるのに最適な「弾きまくり」を聴くことの出来る好盤なのである。

これぞスムース・ジャズのど真ん中を行く好盤でしょう。リズム&ビートもシンプルで好ましいもの。これだけ、メインのエレギが太く爽やかに響くスムース・ジャズ盤も珍しい。加えて、この盤のローブのエレギは絶好調で、チャック・ローブのエレギの個性を理解するのに最適な盤とも言えると思います。

 
 

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2017年1月16日 (月曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・41

久し振りに、ジャズ・オーケストラが聴きたくなった。ジャズ・オケが聴きたくなったら、まずは「ギル・エバンス(Gil Evans)」。マイルスが認め、一目置き続けた「音の魔術師」。木管楽器をも駆使した独特のユニゾン&ハーモニーを醸し出し、「間」と「拡がり」を活かした独特の音世界が個性。僕には堪らない個性である。

木管楽器をも駆使した独特のユニゾン&ハーモニーを醸し出し、「間」と「拡がり」を活かした独特の音世界、これを体感するのにピッタリなアルバムがこれ。Gil Evans『Svengali』(写真左)。1973年の録音。NYのトリニティ協会での録音。なるほど、魅力的で好適なエコーがかかっているのは、協会での録音だからなのか、などと感心する。

タイトルは「Svengali」=スベンガリと読むらしい。「人の心を操る人物」の意味らしく、とある小説の中では「ヒロインを催眠術でたぶらかす音楽家の名前」とある。ギル・エバンスは「音の魔術師」と呼ばれるので、この「スベンガリ」というタイトルは意外と言い得て妙では無いか、と感じている。加えて、ギルの名のアナグラムでもあるらしい。面白いタイトルだ。
 

Svengali1

 
さて、このアルバムは、1973年の録音なので、エレピ、シンセ、エレギも積極的に導入している。加えて、木管楽器などを特別に取り入れた、ギル独特のユニゾン&ハーモニー。「ギル・エバンス」のジャズ・オケ独特の響きと流れを惜しげも無く展開している。冒頭のビリー・ハーパー作「Thoroughbred」を聴けば、それが良く判る。何処から聴いても「ギル・エバンス」印のジャズ・オケの音。独特である。

バンド・メンバーのソロも魅力的で、ハンニバル・マーヴィン・ピーターソンの熱く燃えるようなトランペット、若き日のデイヴィッド・サンボーンのストレートで切れ味良く尖ったアルト・サックス、激しく熱く硬派なビリー・ハーパーのテナー・サックスなどなど。オケの総帥、ギル・エバンスはソロイストに限りなく自由を与えている。それに呼応して、いずれのソロもどれもが素晴らしい。

ジャズ・オーケストラの伝統的な部分をしっかり踏まえながら、その時その時のジャズのトレンドを大胆に導入、木管楽器などを特別に取り入れ、ギル独特のユニゾン&ハーモニーをベースに展開するジャズ・オケな演奏は実に見事。ジャケット・デザインはイマイチですが、ギル・エバンスの入門盤として、ジャズ者初心者の方々にもお勧めの好盤です。

 
 

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2017年1月15日 (日曜日)

異色のウィズ・ストリングス盤

Ahmad Jamal『Jamal At the Penthouse』(写真左)。1959年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Ahmad Jamal(p), Israel Crosby(b), Vernell Fournier(ds), Joe Kennedy(cond,arr)。タイトルを見るとライブ盤と思ってしまうが、実は、Nola Penthouse Studiosでのスタジオ録音。

しかも、ジョー・ケネディー率いる15人のストリングスとの共演盤。いわゆる「アーマッド・ジャマル・ウィズ・ストリングス」という風情の企画盤。こういう「ウィズ・ストリングス盤」って、ストリングスのアレンジが陳腐だったり、時代を感じさせるものだったりすると、全く聴くに堪えないものになってしまうのですが、この盤はそういうことも無く、アーマッド・ジャマルのシンプルでスインギーなピアノもしっかりと捉えられています。

パーソネルを見渡すと、かの名盤『At the Pershing: But Not for Me』と同じベーシスト&ドラマー。この名盤がシカゴで録音された後、1年後のNY録音なので息もピッタリ。この名盤『But Not for Me』での、マイルス・デイヴィスも惚れ込んだ、「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選し、シンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入る左手のブロックコードが特徴のジャマルのピアノは継続され、それを的確にサポートするトリオ・サウンドは健在です。
 

Jamal_at_the_penthouse1

 
但し、先にも書いた様に、この盤は「ウィズ・ストリングス盤」なので、内容的にはムーディーで、良質なジャズのBGM、もしくは良質なラウンジ・ミュージック的な雰囲気が色濃く、ジャズ喫茶や自室のステレオで、盤に対峙してピアノ・トリオのサウンドをじっくりと聴き込むような盤ではありません。僕は「ながら聴き」に最適なジャズ企画盤として重宝しています。

「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選したアーマッド・ジャマルの右手のフレーズ。その「間」を埋めるようにアレンジされたストリングス。この良くアレンジされたストリングスの存在が、この盤を「ながら聴き」に最適な「ウィズ・ストリングス盤」に仕立て上げています。この盤の録音された後、10年ほどの後の、ヴァーヴ時代のクリード・テイラーの「イージーリスニング・ジャズ」の繋がる音世界にホンワカ和みます。

盤に対峙してピアノ・トリオのサウンドをじっくりと聴き込むようなメインストリームな純ジャズも良いですが、日曜日の昼下がり、本を片手にちょっと微睡みながら「ながら聴き」する、こんな「ウィズ・ストリングス盤」も良い感じです。これもジャズ。僕は意外と愛聴しています。

 
 

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2017年1月14日 (土曜日)

こんなアルバムあったんや・75

レジェンド級のジャズ・ジャイアントの残したリーダー作の中では、幾枚か「異色盤」とされるユニークな内容のアルバムが必ずある。この「異色盤」については、その内容を紐解くことによって、リーダーであるジャズ・ジャイアントの本来の個性を再認識することが出来るものが多い。

Bud Powell『A Portrait of Thelonious』(写真左)。1961年12月、パリでの録音。ちなみにパーソネルは、Bud Powell (p), Pierre Michelot (b), Kenny Clarke (ds)。Cannonball Adderley のプロデュース。同時期に欧州に渡っていた、ビ・バップなドラマー、ケニー・クラークが、ベースはフランスのビ・バップなベーシスト、ピエール・ミシュロが参加している。

ビ・バップの祖の一人、モダンジャズ・ピアノの祖、バド・パウエルの晩年の録音。37歳の録音だが、この録音の5年後、42歳で鬼籍に入ることになる。麻薬に溺れ、精神状態に支障を来し、欧州はパリに活動の場を移したパウエルが、この異国の地パリで録音した、これまた珍しい「セロニアス・モンク」の自作曲を中心に収録したアルバムである。

これまた珍しい、というのは、セロニアス・モンクの自作曲というのは、独特のタイム感覚と独特の旋律を持つ楽曲ばかりで、ハイテクニックのもと、高速アドリブ・フレーズを旨とするビ・バップには意外と合わないところがあって、特に、バド・パウエルのプレイ・スタイルには絶対に合わない、と思ってしまうのだ。
 

A_portrait_of_thelonious1

 
で、興味津々でこのアルバムを聴くと、思わず「クスリ」と笑ってしまう。あの癖のある、独特のタイム感覚と独特の旋律を持ったセロニアス・モンクの楽曲が、パウエルの手によって解体され、なんとパウエルの自作曲の様に、パウエルのプレイスタイルにフィットした曲の様に様変わりしているのだ。モンクの楽曲の個性がパウエルの強烈な個性にとって変わってしまっている。

このアルバムに収録されたセロニアス・モンクの自作曲については、パウエルの手にかかると、モンクの曲と直ぐには判らない位に、デフォルメされている。しかしながら、このパウエルの強烈な個性によるデフォルメについて、違和感が全く無いところが凄い。デフォルメされた後のフレーズの響きが良好で、全く別の曲の様な魅力的な響きを宿しているところが面白い。

この『A Portrait of Thelonious』を録音した当日のパウエルは、体調面・精神面共に比較的調子が良かったとのことであるが、このアルバムの聴くとそれに納得する。とはいえ、もはやパウエルは晩年のパウエル。指がもつれたり、ミスタッチをしたりする箇所もあるが。ピアノの響き、フレーズの響きが良好で全く気にならない。

晩年のプレイを聴くにつけ、最盛期のハイ・テクニックを駆使して弾きまくった、煌びやかな「ビ・バップ」なプレイに隠れてしまった、パウエルのピアノの歌心、ピアノやフレーズの響きの個性がとっても良く判る。思わず「こんなアルバムあったんや」と呟いてしまう、パウエル晩年の好盤です。

 
 

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2017年1月13日 (金曜日)

PMGの原点回帰的なアルバム

これだけ寒くなると、どんなに激しいジャズを聴いても汗をかかない。これだけ寒くなると、透明度の高いフュージョン・ジャズが耳に映える。基本的に冬はジャズ鑑賞に適したシーズンであると言えるのでは無いか。

ということで、Pat Metheny Group(以降PMGと略)の聴き直しを進めている。切れ味良く、透明度の高いフュージョン・ジャズ。PMGの真骨頂である。そんなPMGの音が僕は大好きである。で、一昨年から聴き直しを進めていて、結構、こちらの時代に近づいてきた。

Pat Metheny Group『Speaking of Now』(写真左)。2002年のリリース。ベーシスト兼ヴォーカリストにリチャード・ボナを起用している。ちなみにパーソネルは、Pat Metheny (g), Lyle Mays (key), Steve Rodby (b), Antonio Sanchez (ds), Cuong Vu (tp), tRichard Bona (ac-g,b,vo,per)。魅力的なメンバー構成です。出てくる音に期待感が高まりますね。

で、出て来る音を聴けば、往年のPMG者からすると、涙涙のPMGの原点回帰である。米国の大自然を彷彿とさせる、フォーキーでネイチャー・ジャズ(僕が勝手に名付けている)な音の響き。独特の浮遊感と疾走感。あの「Still Life」の頃の音が、PMGならではの個性的な音世界が、この『Speaking of Now』に戻って来ている。
 

Speaking_of_now1

 
音世界の基本は「Still Life」の頃なんだが、音の広がりが違う。この『Speaking of Now』のほうが音の広がりがある。ぶわ〜と横に奥に広がる様な、山水画の様な音の広がり。そこに、パットのエレギがズバっと切り込んでくる。クオン・ブーのトランペットがそれに反応する。官能的で印象的なメイズのキーボードが彩りを添え、ボナのボーカルが郷愁を誘う。

リズム・セクションが実に個性的だ。PMGの音世界の基本的骨格を担う、サンチェスのドラムとロドヒーのベース。この二人の複雑でありながらシンプルなリズム&ビートが、まさに明らかにPMGのリズム&ビートなのだ。この複雑でありながらシンプルなリズム&ビートは他のフュージョン・バンドには無い。

全ての曲の曲調に統一感があって、トータル・アルバムとして聴き応え十分。そういえばこの盤、グラミーのBest Contemporary Jazz Albumを受賞してますよね。ジャズの重要要素である「ジャジーな雰囲気」「ファンキーな雰囲気」が希薄で、米国の大自然を彷彿とさせる様な、ネイチャーな音世界。僕はこの「PMGの原点回帰」的なアルバムが大好きです。

 
 

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2017年1月12日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・98

ジャズって、有名なジャズメンもいれば、そうでない、知る人ぞ知るジャズメンもいれば、全く無名のジャズメンもいる。それでは、有名なジャズメンだけが良い演奏をするのか、と言えばそうでは無く、知る人ぞ知るジャズメンだって、全く無名のジャズメンだって、これはっ、と驚くほどの好演を残している場合も多々ある。

そういうところがジャズの不思議で面白いところで、有名なジャズメンではないから、とスルーすると残念なことになってしまうこともある。まあ、ジャズ者初心者の頃は「有名なジャズメン」中心に「推薦盤」を攻めるのが安心で良いだろう。しかし、ジャズ者ベテランの域に差し掛かると、知る人ぞ知るジャズメンに触手を伸ばして、ジャズの奥深さを感じるのも良い経験である。

さて、そんな「知る人ぞ知る」ジャズメンの一人が「Wardell Gray」=ワーデル・グレイ。ファッツ・ナヴァロなど初期ビ・バップ中で、早くからテナー・サックスをプレイしていた男。1921年生まれ。1955年5月、34歳の若さで亡くなった天才テナー奏者である。活動期間は約10年程度。40年代末にデクスター・ゴードンとバンドを組んでテナー・バトルを繰り広げたころ、全米では大変な人気があったそうだ。

生涯、リーダー作は約20枚ほど残してはいるようだが、ジャズ盤紹介本に出てくるアルバムは、ほぼ「これだけ」と言ってもよいだろう。というか、僕はこの盤しか所有していない。『Wardell Gray Memorial, Vol. One and Two』(写真)。

このメモリアル盤は、ジャズ盤紹介本に時々出てくる。ジャズを聴き初めて2年位、僕も彼の名前はジャズ盤紹介本で知った。しかし、この「メモリアル・アルバム」をレコード屋で見かけたことは無い。この「メモリアル・アルバム」を手にすることが出来る様になったのは、CDで復刻されてから。それまでは「幻の名盤」扱いだった。
 

Wardell_gray_memorial

 
ワーデル・グレイのテナーは、太すぎず細すぎず、良い音で鳴る。ああ、テナー・サックスが心地良く鳴っているなあ〜、って心から感じる。そして、アドリブ・フレーズが良い。イマージネーション豊かに、唄うが如く、アドリブ・フレーズを紡ぎ上げていく。加えて、ビ・バップ奏者ならではの躍動感が良い。

そんなワーデル・グレイのテナーを心ゆくまで楽しめるアルバムがこの『Wardell Gray Memorial, Vol. One and Two』の2枚。ワーデル・グレイを偲んで編まれた名演集。録音年は1950年4月25日、1950年8月27日、1952年1月21日の3つに分かれる。録音年によって、録音の音質も変わる。

このメモリアル・アルバムの録音の音質が良好なトラックのワーデル・グレイが好きだ。彼のテナーの特質である、太すぎず細すぎず、良い音で鳴るところが心底楽しめる。音質が良いので、イマージネーション豊かに唄うが如くのアドリブ・フレーズを心から堪能出来る。音質が良いので、ビ・バップ奏者ならではの躍動感もダイレクトに伝わってくる。

僕は、このメモリアル・アルバムの録音の音質が良好なトラックをチョイスして、iTunesでプレイリストを組んで、ステレオで聴くのが最近のトレンド。といって、音質がイマイチのトラックも、イマージネーション豊かに唄うが如くのアドリブ・フレーズについては十分に味わえる。同じ曲のテイク違いも沢山入っているが、アドリブ・フレーズのバリエーションが豊かなので飽きることは無い。

知る人ぞ知るテナー奏者、ワーデル・グレイ。彼のテナーを味わう最適な「メモリアル・アルバム」の2枚。さり気なく、ジャズ喫茶で流すというシチュエーションが良い感じですね。

このアルバムの収録の最後の年、1952年の3年後、1955年5月25日に巡業先のラスベガスの郊外で変死体となって発見されることになる。死因はオーバードーズ。ジャズメンによくありがちな最期であるが、惜しいテナーマンを早々に亡くしたもんだ。ジャズ界には往々にある悲劇のひとつである。 

 
 

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2017年1月11日 (水曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・47

こういうジャズ盤って、単純に良いな〜って思う。1曲聴けば直ぐ判る、徹頭徹尾、明らかな「ハード・バップ」。テクニックと歌心溢れるブロウ。イマージネーション豊かなアドリブ・フレーズ。しかも、演奏全体の雰囲気が古さを感じさせない、エヴァーグリーンな演奏内容。聴けば「ジャズやな〜」と感じ入ってしまうジャズ盤。

そういうジャズ盤は、ブルーノート・レーベルに多く存在する。例えば、今日聴いて感じ入ったブルーノート盤がこれ。『Hank Mobley Quintet』(写真左)。1957年3月の録音。ブルーノートの1550番。ちなみにパーソネルは、Hank Mobley (ts), Art Farmer (tp), Horace Silver (p), Doug Watkins (b), Art Blakey (ds)。収録された曲は全てハンク・モブレーの作曲である。

この盤、リーダーのサックス奏者ハンク・モブレーが元気なのが特徴。珍しく、ポジティブで明朗に元気なのだ。ポジティブにテナーを吹くモブレーは無敵である。もともと、モブレー作曲の曲は流麗で印象的なフレーズを持つ曲が多い。そんな曲を歌心溢れる優しいテナーのモブレーが明朗に元気に吹き上げる。凄く良い。ジャズを強く感じる。
 

Hank_mobley_quintet1

 
加えて、リズムセクションが良い。ファンキー・ピアノが代名詞のホレス・シルバーの紡ぎ出すアーバンでジャジーな響き。ファンキーに唸り粘るワトキンスのベース。そして、このアルバムで一番感じ入ってしまうのが、ブレイキーのドラミング。ファンキーかつ、モダンなスイング感溢れるドラミングは、この盤では特に楽しむことが出来る。

そして、聴いていて「おおっ」と思わせてくれるのが、ファーマーのトランペット。後に円やかでジェントルなフリューゲルホーンが個性のファーマーが、この盤では、バリバリにトランペットを吹き回してくれる。バイタルな吹き回しに、トランペットの真鍮が輝く様に鳴る。この盤のファーマーは良い。格好良いトランペットである。

しっかりリハーサルを積んだであろう、素晴らしく端正な演奏で、テーマ部のユニゾン&ハーモニーが心地良く響き、アドリブ部のアンサンブルが見事。適度な疾走感と哀愁感を漂わせながら流れる様なアドリブが素敵。
 
ジャズってええなあ〜、とつくづく思う。ジャズ喫茶の昼下がりにピッタリな、明らかにハードバップで、明らかにジャズな盤。良い雰囲気です。

 
 

震災から5年10ヶ月。決して忘れない。まだ5年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年1月10日 (火曜日)

ワールド・フュージョンな音世界

パット・メセニーの聴き直しを進めている。パット・メセニーがお気に入りだ、と言うと、「え〜っ、マスター、パットがええの?」と聞き返されることが時々ある。どうも、パット・メセニーは、ジャズ者の方々の中では、かなり極端に好き嫌いが分かれるようだ。

確かに、ジャズの重要要素である「ジャジーな雰囲気」「ファンキーな雰囲気」が希薄で、特にパット・メセニー・グループ(以降PMGと略す)米国の大自然を彷彿とさせる様な、ネイチャーな音世界が特徴。これが、硬派なジャズ者の方々には「これはいかん」ところで、パットは好きじゃない、ということになる。

そんなパット・メセニーは、PMGでのパットと単独のパットと、これまた演奏する内容が全く異なったりするから、これがまた嫌われる要素になる。硬派なジャズ者の方々から「二股かけんなよ」ということで、パットは好きじゃない、ということになる(笑)。

さて、PMGの音世界の最大の特徴が「米国の大自然を彷彿とさせる様な、ネイチャーな音世界」であるが、その雰囲気が一番、極端に触れたアルバムが、このアルバムである。Pat Metheny Group『Imaginary Day』(写真左)。1997年10月のリリース。

このアルバムは、明らかにワールド・ミュージックに大々的に取り入れた「ワールド・フュージョン」と呼んで良いほどの内容である。世界の様々な地域の音世界が取り込まれていて、聴いていてとても楽しい。
 

Imaginary_day

 
というのも、僕はワールド・ミュージックが大好きで、ワールド・ミュージック好きの僕にとって、このアルバムは「とても美味しい」。オリエンタルな響きあり、ケルト音楽を彷彿とさせる響きあり、牧歌的な響きあり、様々な国の音楽の香りがとても芳しい。

そして、何より、このアルバムが優れている点は、この様々な国の音楽、いわゆるワールド・ミュージックな要素をしっかりとPMGの音世界として取り込み昇華させているところである。聴き応え満点である。

このPMGの音世界をジャズとするかどうか、という議論もあるみたいだが、バックのリズム&ビートはジャズっぽくもあり、もともとジャズは融合の音楽である、と言う観点からしても、ワールド・ミュージックに大々的に取り入れた「ワールド・フュージョン」的なアプローチは「ジャズらしい」と僕は感じていて、これはこれで「アリ」かな、と。

1950年代の4ビートのハードバップを「純ジャズ」とするなら、このPMGのアルバムはその対極に位置する内容ですね。これもジャズ、されどジャズ。肩肘張らずに、極上の「ワールド・フュージョン」を愛でるのもよいものです。

 
 

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2017年1月 9日 (月曜日)

マイルスが愛した「スライ」

我が千葉県北西部地方は、午前中は昨日の雨が残り、台風の様な西風が吹き付け、午後から天気は回復したが、相当に寒い成人の日であった。こんな日は外へ出ることは無い。一日、家に籠もって、ジャズの合間の耳休め。日頃聴けないロック盤を中心に聴き直しを進める。

今日、印象に残った盤がこれ。Sly & The Family Stone『There's a Riot Goin' On』(写真左)。1960年代後半から1970年代前半に流行した「ファンク・ロック」の代表的バンドの好盤である。1971年のリリース。邦題は「暴動」。

Sly & The Family Stone(スライ&ザ・ファミリー・ストーン)は、特に1967年から1975年にかけてサンフランシスコを本拠地として活動した、アメリカの人種・性別混合ファンクロックバンドである。ロックを聴き始めた頃は、その存在は知ってはいたが、全く気にかけてはいなかった。が、マイルスがエレ・マイルスを推進する上で、リズム&ビートのノリの参考にしたということをマイルス本で読んで、聴くようになった。

この「スライ」は、米国では影響力のあるバンドであった。このアルバムも、1970年代に入って、多くの米国人の夢や希望の喪失感を反映した内容になっており、そのメッセージ力は相当なものがあったと聞く。しかしながら、マイルスは、ジェームズブラウンや、このスライ&ザ・ファミリーストーンの音楽をよく聴き、自分の音楽に取り入れていた。
 
Theres_a_riot_goin_on
  
ここに有るのは、暗く不吉なサウンドであり、ネアカでは無い、シリアスなファンク・ロックである。コカインをやりまくった影響から生まれ出でた、唯一無二な、この時代独特の、スライ独特のファンク・ロックである。暗く不吉なサウンドではあるが、決して後ろ向きでは無い。

バックのリズム&ビートをスライ・ストーンがリズム・ボックスを駆使して、一人で録っている。ヒスノイズ等が乗って、チープでシンプルな音ではあるが、うねるような独特なリズム&ビートを生み出しており、マイルスが耳を傾け、エレ・マイルスに積極的に取り込んでいたのも理解出来る。最終的にマイルスの名盤「On The Corner」でその成果が花開くこととなる。

ファンク・ロック、R&Bなど、黒人音楽の独特のリズム&ビートがとっても魅力的である。この盤がリリースされて、既に45年、約半世紀が経過した訳であるが、この盤に詰まっている、スライ独特の「リズム&ビート」は永遠である。日本ではあまり評価が高くないようだが、適正に再評価されるべきアルバムである。

特に、エレ・マイルス好きのジャズ者の方々は一度は耳にしておくべきロック盤の一枚でしょう。
 
 
 

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2017年1月 8日 (日曜日)

こういうソロ・ギターは粋である

ギター・ソロって、ちょっと苦手であった。ギターって、音の線が細いところがあるので、演奏される曲の旋律が良く聴きとれないところがある。ましてや、ソロ・ギターになると、ギターの構造上、伴奏と旋律を同時に弾くことが出来ないので、どうしても演奏全体の線が細くなる。好んで聴くところまでに至らなかった。

が、この人のソロ・ギターを聴いてから気が変わった。その音が薄くなる弱点を、ジョー・パスは超絶技巧なテクニックを駆使しつつ弾きまくり、音を敷き詰め、演奏全体の音の密度を濃くした。この工夫によって、このジャズ・ギターのソロ・パフォーマンスについては、結構、ダイナミックな展開を楽しめるのだ。そんなジョー・パスの隠れ好盤がこれ。

Joe Pass『I Remember Charlie Parker』(写真左)。1979年2月の録音。ソロ・ギターの名手、ジョー・パスの好盤である。このアルバム、ジャズ盤紹介本では、まず見たことが無い。しかも、この簡単な、味もしゃしゃらも無いジャケットである。僕がこのアルバムを知ったのは、ジャズを聴き始めてから10年以上経ってからである。

これは実に渋いソロ・ギター盤です。ジョー・パスはガット・ギターで語りかけてきます。気品高く、しみじみと語りかけてきます。夜の静寂にピッタリの極上のソロ・ギターです。一人で静かに聴くのがピッタリの雰囲気。これがまあ、こういうソロ・ギターは粋である。
 

I_remember_charlie_parker1

 
このアルバムは「企画盤」。チャーリー・パーカーゆかりの曲を選曲しているのですが、チャーリー・パーカーらしい高速フレージングを聴かせる「ビ・バップ」な曲というよりは、バラード曲を中心にしっとりと曲の良さを味わわせてくれる内容です。チャーリー・パーカーのバラード曲に注目してソロ・ギターで攻める、というのは、なかなか無い「企画盤」です。

このジョー・パスのソロ・ギターで、チャーリー・パーカーゆかりのバラード曲を演奏してもらうと、パーカーのバラード曲の良さがはっきりと判ります。恐らく、ジョー・パスの演奏テクニックがなせる技でしょう。旋律の美しさがはっきりと判ります。加えて、ジョー・パスのアドリブ部も流麗で、このアドリブ部もパーカーの作曲か、と思ってしまうほど。

演奏内容は、しっかりとしたメンストリーム・ジャズであり、それでいて挑戦的。地味ではあるが、旋律の展開の仕方など、決して古く無い。モーダルに展開するところもあれば、スイングに展開するところもある。ジャズのスタイルの新旧を織り交ぜながら、ジョー・パスならではの個性が溢れている。

実に渋い、実に小粋なソロ・ギターである。しかも、バラード集。夜の静寂を感じながら、一日を振り返りながら、今日のラスト盤に相応しい好盤。しっとりしみじみ、語りかける様なソロ・ギター。この盤って、ジャズ喫茶で聴くよりも、一人でしっとりと聴くに相応しい「隠れ好盤」です。

 
 

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2017年1月 7日 (土曜日)

最新編成のキング・クリムゾン

今日は「ジャズの合間の耳休め」。僕が正式にロックに填まったのは「プログレッシブ・ロック」。1974年夏の事である。それ以来、ジャズがメインになった後も、ジャズの合間の耳休め盤はプログレッシブ・ロック盤が多い。

プログレッシブ・ロックのバンドの中で、僕は「King Crimson」が一番のお気に入り。初めて手に入れた彼らのアルバムは『Starless and Bible Black』。これに填まった。以来、キング・クリムゾンは僕の一番のお気に入り。

さて、そんなキング・クリムゾン、昨年の7月にリリースされた、2015年ワールドツアーを収録したボックスセットが最新の音源になるのかな。King Crimson『Radical Action To Unseat The Hold Of Monkey Mind』(写真左)。僕は、3CD+1blu-rayのスタンダード・エディションを入手しました。

CD音源3枚は、キング・クリムゾンの2015年ワールドツアーより日本、英国、カナダでの公演の音源をオーディエンス音なしで収録。各ディスク毎にテーマがあるという「ヴァーチャル・スタジオ盤」という位置付け。Blu-rayには、日本公演のフルセット・コンサート(約3時間)のパフォーマンス映像を収録。

キング・クリムゾンの総帥、ロバート・フリップが、突如、音楽業界からの引退を表明し、活動終了を宣言したのが、2011年。その当時は「さもありなん」と思った。フィリップ翁も歳だし仕方がないかな、と。しかし、である。2013年、これまた突如、前言を撤回し、トリプルドラム編成での再始動が発表された。
 

Radical_action_to_unseat_the_hold_o

 
以降、オリジナルのスタジオ録音盤はリリースされてはいませんが、ライブ盤が2枚『Live at the Orpheum』『Live In Toronto』がリリースされており、特に『Live In Toronto』を聴く事で、最新のトリプル・ドラムのキング・クリムゾンの様相を掴むことが出来た。そして、今回のこのボックスセットである。

内容的には、キング・クリムゾンのベスト盤的な選曲。というか、「Nuovo Metal(ヌォーボ・メタル)」のコンセプトに沿った、トリプル・ドラムなキング・クリムゾンが映える選曲になっていて、聴いていて圧巻である。昔の曲も最近の曲も実に良い演奏内容である。このトリプル・ドラムなキング・クリムゾンはズバリ「良い」。

長年、苦楽を共にしたドラマー、ビル・ブルーフォードから「フィリップはビートを理解していない」と酷評されていたが、この最新キング・クリムゾンでは、ロバート・フィリップ翁、「理解していないついでにドラムを3台にしてみました」という感じが潔い。確かにこのトリプル・ドラムがバッチリ効いている。

新旧織り交ぜての過去の名曲の数々がライブ演奏されているが、そろそろこの最新編成でのスタジオ録音盤が聴いてみたい。ネットによると、2017年のキング・クリムゾンは、トリプル・ドラムから、フォース・ドラム、つまりドラム4台の編成にアップグレードされるようだ。まずます、期待が高まる最新キング・クリムゾンである。

 
 

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2017年1月 6日 (金曜日)

こんなアルバムあったんや・74

ジャズのアルバムの世界を彷徨っていると「あれ、これは何だ」と叫んでしまう様なアルバムにヒョコッと出会うことがある。このアルバムもそんなアルバム。見た時、思わず「おおっ」と叫んでしまった。

Delta Saxophone Quartet『Crimson ! 』(写真左)。これだけ見れば、なんのアルバムか、判らないよな。でも「Crimson」という文字を見て、プログレバンドの「キング・クリムゾン」を想起した僕はちょっと「プログレ」ヺタクなんだろうか(笑)。

まさかねえ、と思いながら、収録曲を見れば「おおっ」。やっぱり、これ、キング・クリムゾンの楽曲のカヴァー盤なのだ。うわ〜、こんなアルバムあったんや〜。いやいや、プログレッシブ・ロックの雄、現役のレジェンド「キング・クリムゾン」の楽曲が、ジャズにアレンジされ、カヴァーされる時代になったんですね。

Delta Saxophone Quartetとは。サックス奏者4人を中心に1984年に結成。4人のメンバー構成は、 Graeme Blevins (soprano sax), Pete Whyman (alto sax), Tim Holmes (tenor sax), Chris Caldwell (baritone sax)。今回のアルバムは、このサックス4人組に、Gwilym Simcock (piano)が加わる。

しかし、キング・クリムゾンの楽曲がジャズでカヴァーされるとは思わなかった。しかし、収録曲を見渡せば、キング・クリムゾンの楽曲の中でも、ジャズのアレンジにフィットする楽曲をしっかりと選んでいることが判る。そんな収録曲は以下の通り。
 

Crimson

 
 
1. A Kind of Red (Gwilym Simcock)
2. VROOOM/Coda: Marine 475 from THRAK
3. The Night Watch from Starless And Bible Black,
4. Dinosaur from THRAK
5. Two Hands from Beat
6. The Great Deceiver from Starless And Bible Black

 
1曲目の「A Kind of Red」だけが、Gwilym Simcockの自作曲。その他はキング・クリムゾンのオリジナル。1995年の「THRAK」から2曲、1974年の「Starless And Bible Black」から2曲。1982年の「Beat」から1曲。実に良い曲を選んでいる。かつ、確かにジャズにアレンジし易い曲ばかりだ。

特に僕は、3曲目の「The Night Watch」が一番だ。というか、キング・クリムゾンのオリジナルの「The Night Watch」が大好きなので、もうこのジャズ・アレンジのこの曲が、もう良くて良くて(笑)。他の曲も良い塩梅。サックス4本のアンサンブルで、キング・クリムゾンの楽曲をジャズにアレンジして演奏する。これが全く良くて良くて(笑)。

演奏のスタイルが、所謂21世紀のニュー・ジャズ風だからこそ、キング・クリムゾンの楽曲がフィットする。フリーよりの演奏から、モーダルな演奏まで、ジャズの先端をいく演奏内容がとても格好良い。それにしても、この盤には参った。キング・クリムゾンの楽曲のカヴァー盤。いや〜まさに「こんなアルバムあったんや〜」。

 
 

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2017年1月 5日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・73

ジャズ喫茶というもの、一歩足を踏み入れると、そこは決して気を許すことは出来ない空間。珈琲を頼んで、流れてくるジャズの音に耳を傾ける。ああ、これは知っている盤だ、という時は良い。盤が代わる。流れてくるジャズに不意打ちを食らう。「誰や、これ」。

ジャズ喫茶では、リクエストが無い時、そのジャズ喫茶ならではの選盤で個性的なジャズを披露していく。そんな意外な選盤の中でも知っている場合は気持ち良い。「これ知ってるぜ」。しかし、そんな個性的な選盤の中で「これは判らん」という盤が出てくると焦る。「誰や、これ」。

そんなジャズ喫茶「御用達」の個性的な選盤の一枚がこれ。Misha Mengelberg『Four In One』(写真左)。2000年の録音。Misha Mengelberg=ミシャ・メンゲルベルク と読む。担当楽器は「ピアノ」。ちなみにパーソネルは、Brad Jones (b), Han Bennink (ds), Misha Mengelberg (p), Dave Douglas (tp)。ワンホーン・カルテットである。
 

Misha_mengelbergfour_in_one

 
聴けば判る。もの凄く骨太で硬派でメインストリームな純ジャズ。爽快である。ハードバップ風のコードの展開もあれば、新主流派ばりのモードな展開もある。特に、モーダルな演奏には充実感が漂う。そして、アブストラクトでフリーな展開も見え隠れして、これはこれで、また聴きものなのだから堪らない。

この盤、ジャケットを見れば判るが、このジャケット写真では、絶対にジャズ者初心者は手を出さないだろうな(笑)。ジャズ者ベテランだって手を出さない。でも、中に入っている音は極上のメインストリーム・ジャズである。これだけ、ジャケット写真と内容とのギャップが激しい盤もなかなか無い。このジャケット見たら、絶対に中身は「アブストラクトなフリージャズ」オンリーだと思うジャズ者が大半だろう。

こういう個性的な、意外性のある、それでいて中身は「骨太で硬派でメインストリームな純ジャズ」なアルバムが聴ける、ということが「ジャズ喫茶ならでは」な瞬間である。そういうことが必ずあるから、ジャズ喫茶は面白いし、ジャズ喫茶はいつになっても外せない。

 
 

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2017年1月 4日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・97

2017年になりました。明けましておめでとうございます。今年もバーチャル音楽喫茶『松和』をよろしくお願いします。

今回は初めて、年末から年始にかけてブログをお休みしました。年末は30日から年始は3日まで、生産的なことは何もせず、ノンビリと過ごしました。音楽もあんまりガツガツ聴くことをせず、聴きたいなあ、と思ったアルバムを幾つか、ノンビリ聴いただけ。

そんな中に、久し振りに聴いたアルバムがあった。これが聴く度に「ジャズ」を強烈に感じるアルバムで、時ある毎に聴いていた時期があった。スイング感、アドリブの流麗さ、ブロウの迫力、ブラスの響き、ユニゾン&ハーモニー、どれをとっても「ジャズやな〜」と強烈に感じることが出来るアルバムである。

Duke Ellington & Johnny Hodges『Back To Back (Duke Ellington And Johnny Hodges Play The Blues)』 (写真左)。

あのデューク・エリントン楽団の総帥とその主要メンバーで「モダン・ジャズ」を演る、「ハードバップ」を演る、という小粋な企画盤である。1959年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Duke Ellington (p), Johnny Hodges (as), Harry "Sweets" Edison (tp), Les Spann (g), Al Hall (b, tracks 1 and 4), Sam Jones (b, tracks 2, 3, 5, 6, 7), Jo Jones (ds)。
 

Back_to_back

 
冒頭の「Wabash Blues」を聴くだけで、思いっきりジャズを感じることが出来る。特に、ジョニー・ホッジスのアルトの吹き上げの音がたまらない。この音が「モダン・ジャズ」である。そして、ハリー・エディソンのトランペット。このトランペットの音も良い。バイタルでブラスの響きが芳しいトランペット。「ああ、ジャズやなあ」としみじみ思ってしまう。

デューク・エリントンのピアノも良い。ガーンゴーンと出しゃばることが決して無い、趣味の良い小粋なバッキング。右手のパランポロンと単音の響きが美しい。そこに、寄り添うようにポーンと入ってくる左手。この音を聴けば、これってデュークか、と何と無く判る、それほど個性的なピアノ。さすがである。

フロントを鼓舞し支える、モダンなリズム&ビートを供給するジョー・ジョーンズのドラムも聴き物だ。そうそう、アル・ホールとサム・ジョーンズで分担するベースも堅実。そして、このアルバムにリズムの彩りを添えてくれるのが、レス・スパンのギター。スバンのリズム・ギターが、このアルバムのリズム&ビートを色彩豊かにしている。

ジャズの雰囲気、ジャズの楽しさ、ジャズの魅力をストレートに伝えてくれる好盤である。アルバム全体に蔓延するブルースの響き。聴いていて気持ち良く心地良い。こういうアルバムから新年をスタートする。粋である。

 
 

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