こんなアルバムあったんや・73
ジャズ喫茶というもの、一歩足を踏み入れると、そこは決して気を許すことは出来ない空間。珈琲を頼んで、流れてくるジャズの音に耳を傾ける。ああ、これは知っている盤だ、という時は良い。盤が代わる。流れてくるジャズに不意打ちを食らう。「誰や、これ」。
ジャズ喫茶では、リクエストが無い時、そのジャズ喫茶ならではの選盤で個性的なジャズを披露していく。そんな意外な選盤の中でも知っている場合は気持ち良い。「これ知ってるぜ」。しかし、そんな個性的な選盤の中で「これは判らん」という盤が出てくると焦る。「誰や、これ」。
そんなジャズ喫茶「御用達」の個性的な選盤の一枚がこれ。Misha Mengelberg『Four In One』(写真左)。2000年の録音。Misha Mengelberg=ミシャ・メンゲルベルク と読む。担当楽器は「ピアノ」。ちなみにパーソネルは、Brad Jones (b), Han Bennink (ds), Misha Mengelberg (p), Dave Douglas (tp)。ワンホーン・カルテットである。
聴けば判る。もの凄く骨太で硬派でメインストリームな純ジャズ。爽快である。ハードバップ風のコードの展開もあれば、新主流派ばりのモードな展開もある。特に、モーダルな演奏には充実感が漂う。そして、アブストラクトでフリーな展開も見え隠れして、これはこれで、また聴きものなのだから堪らない。
この盤、ジャケットを見れば判るが、このジャケット写真では、絶対にジャズ者初心者は手を出さないだろうな(笑)。ジャズ者ベテランだって手を出さない。でも、中に入っている音は極上のメインストリーム・ジャズである。これだけ、ジャケット写真と内容とのギャップが激しい盤もなかなか無い。このジャケット見たら、絶対に中身は「アブストラクトなフリージャズ」オンリーだと思うジャズ者が大半だろう。
こういう個性的な、意外性のある、それでいて中身は「骨太で硬派でメインストリームな純ジャズ」なアルバムが聴ける、ということが「ジャズ喫茶ならでは」な瞬間である。そういうことが必ずあるから、ジャズ喫茶は面白いし、ジャズ喫茶はいつになっても外せない。
震災から5年9ヶ月。決して忘れない。まだ5年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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