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2016年12月19日 (月曜日)

ハマーのキーボードはセンス抜群

このキーボード奏者の奏でるフレーズは独特で相当に個性的。1曲聴くだけで「それ」と判るほどの強烈な個性で、エスニックな雰囲気、ワールドミュージック的に妙に捻れた音感が独特。そのキーボード奏者の名前は「ヤン・ハマー(Jan Hammer)」。

このキーボード奏者を、僕は高校時代から、EL&Pのキース・エマーソン、YESのリック・ウェイクマンと同列に置いている。シンセサイザーの使い方も実に高度で、他のキーボードにも精通している。その精通度合いとセンスの良さはこのアルバムを聴けば納得する。

Jan Hammer『The First Seven Days』(写真左)。1975年のリリース。時々、ドラムやシーケンサーのリズムが入るが、基本的にはキーボード・オンリーの演奏がメイン。アコピからシンセサイザー、エレピ、そしてメロトロンまで、ありとあらゆるキーボードを駆使して、多重録音にて目眩くキーボード・ミュージックの世界を現出している。

まず、シンセの使い方のセンスが抜群。ムーグとオーバーハイムを併用している様だが、とにかくセンスが良い。ロックの世界においてはダントツ、ジャズの世界でも指折りのレベルである。加えて、アレンジが素晴らしい。シーケンサーを駆使して「テクノ・ポップ」の先駆的な音が出てきたり、ジョー・ザビヌルのWR的な音が出てきたり、内容的には当時の最先端をいく演奏。
 

The_first_seven_days_drive

 
アルバム全体の演奏は「クロスオーバー・ジャズ」基調のもの。ロックでは無い。ロックとしては内容が高度過ぎる。このアルバムはキーボード好きのジャズ者の方々は傾聴に値する内容。逆にこのアルバムがアルバム紹介本に挙がらないのが、大いに不満である。

そして、そんなセンスの良いキーボードの使い手が、メロディアスなスムース・ジャズに手を染めたアルバムが、これ。Jan Hammer『Drive』(写真右)。1994年のリリース。シンセでいろいろな音を万華鏡の様に紡ぎ出す様は、昔ながらのヤン・ハマーですが、アルバムのコンセプトは「スムース・ジャズ」。

このアルバムは、ヤン・ハマーのセンスの良いキーボード・プレイをバックに回した、とっても趣味の良いスムース・ジャズの音世界。安易にテクニックに走らず、曲の持つ旋律をセンスの良いキーボード・プレイで、しっかりとバッキングしながら、広がる様な音世界を通して、雰囲気で聴かせるという、なかなか粋なアプローチが新鮮です。

我が国では、このヤン・ハマーは過小評価されている様で、ネットをググってもヤン・ハマーの記事があまり無いのが残念です。マルチ・キーボード奏者として、ピカイチのセンスの持ち主だと思います。再評価して頂きたいキーボード奏者の一人ですね。

 
 

震災から5年9ヶ月。決して忘れない。まだ5年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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