鯔背なリー・モーガンを堪能する
ジャズ・トランペットの「隠れ好盤」を聴き直している。ジャズ・トランペットの通な選択の一つは「リー・モーガン(Lee Morgan)」。僕は彼のトランペットを「鯔背なトランペット」として、長年愛聴している。僕は、彼のライブ盤が殊の外お気に入り。
Lee Morgan『Live at The Lighthouse』(写真左)。1970年7月10〜12日、カリフォルニアのHermosa Beachにある「Lighthouse Café」でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp, flh), Bennie Maupin (ts, fl, b-cl), Harold Mabern (p), Jymie Merritt (el-b), Mickey Roker (ds)。5曲目の「Speedball」のみJack DeJohnette (ds)。
リーダーのリー・モーガンのトランペットとベニー・モウピンのテナーの2管クインテット。1961年である。音の雰囲気は「モード・ジャズ」。限りなくフリーに、時にアブストラクトに吹きまくるモーガンとモウピン。モーガンの「鯔背で端正」なトランペットと自由度の高い「うねる」テナーのモウピン。自由に疾走するフロントの二人。
バックのピアノ・トリオも良い音出している。特に、多弁なピアニスト、ハロルド・メイバーンの流麗な多弁フレーズが印象的。バリバリに弾きまくるメイバーン、アップライトのエレベをブンブン、ウネウネ響かせて、しっかりと演奏のビートを押さえるメリット。そして、モーダルで多彩なドラミング、職人技が冴えるローカー。それぞれのジャズメンの演奏レベルが高くて、聴いていて爽快。
当初,Blue Note から2枚組LP、全4曲でリリースされましたが、僕が聴いたのは、CD3枚組、全13曲のボックス盤。さすが13曲もあるので、かなり聴き応えがある。しかも、このライトハウスでのライブ、モーガンが絶好調。トランペットをブリブリ響かせながら吹きまくる。どの曲も演奏時間が10分以上と長いが、決して飽きることは無い。
初期の頃の若々しく溌剌としたモーガンも良いが、余裕をかましながら鯔背にブリブリ吹きまくる「大人になった」モーガンも良い。このライブ盤でのプレイは、モーガン晩年のベストプレイのひとつと言って良い。とにかく、キラキラ煌めく様に、ポジティブで爽快なアドリブ・フレーズを吹きまくるモーガンは、とにかく「格好良い」。
しかし、構造上、長時間のソロが苦手なトランペットという楽器で、アドリブ・ソロを相当時間、吹きまくるモーガンの馬力とテクニックには驚愕する。トランペットを吹く、というテクニックが優れていないと、トランペットは長時間吹くとかなり疲れて、音程が「撚れる」。しかし、モーガンのトランペットは決して「撚れる」ことは無い。
良いライブ盤です。CD3枚、トータルで約3時間弱の長尺ライブですが、決して、聴き飽きることはありません。リー・モーガンの真髄を感じることが出来る、凄まじい内容のライブ盤です。ジャズ・トランペット者の方々は必聴です。
震災から5年9ヶ月。決して忘れない。まだ5年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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