AORの先駆的な音が眩しい。
AORは1970年代前半からその萌芽が見られる。バックの演奏が、明らかに後のフュージョン・ジャズっぽかったり、ロックだけで無く、ジャジーな雰囲気やビートが漂っていたり、テクニカルでポップだったり、レゲエやジャマイカンな雰囲気が印象的だったり、明らかに後の1970年代後半から1980年前半のAORの先駆だった盤が幾枚かある。
このアルバムはとても懐かしい。日本で発売されたのは、1974年の春から夏だったかと思う。米国西海岸ロックの人気バンドだったロギンス&メッシーナが1973年秋に出した人気盤、Loggins & Messina『Lahaina』(写真左)。ジャケットは思いっきり夏の雰囲気。ハワイ、って感じのジャケットが明らかにロックっぽくない。
アルバムを聴くと、確かにロックのアルバムではあるんだが、ハードロックやプログレッシブ・ロックの様に、明らかにロック一辺倒のものとは異なる、アーバンでポップ、レゲエやジャマイカンなワールド・ミュージック的要素や、後のフュージョン・ジャズっぽい、テクニカルでアダルトな雰囲気。正に「Adult Oriented Rock」。大人のロックな雰囲気満載である。
しかし、このアルバムは1973年秋に米国でリリースされている。このAORな音が詰まったお洒落なアルバムが、1973年の理リリースとは恐れ入った。ちなみにパーソネルは、ケニー・ロギンス(vo,g)、ジム・メッシーナ(vo,g)、アル・ガース(sax,cl,vln)、ジョン・クラーク(sax,cl,fl,etc)、ラリー・シムズ(b,vo)、マール・ブリガンテ(ds,per) 。
音的には、米国西海岸ロックの音の雰囲気を色濃く出している。しかし、そこにフュージョン・ジャズっぽい音作りがあって、この盤は「AORの先駆」として捉えることが可能である。明らかにロック一辺倒の盤とは違う、バラエティに富んだ曲想、強調の数々。その拡がりとバリエーションは、聴いていてとても楽しい。
この盤に収録されている曲の中で、一番馴染みのある、懐かしさがこみ上げてくる曲が、3曲目の「My Music」。この単純な原題が、邦題になると「放課後のロックンロールパーティー」となる。逆に、僕なんかは「My Music」と言われると「?」だけど、「放課後のロックンロールパーティー」と言われると「おお、懐かしい」となる。
あっけらかんとしたロックンロールっぽいんだが、それでいて意外とアーバンでフュージョンチックな演奏が独特の個性。アレンジもお洒落で、この楽曲の持つポテンシャルの高さを感じ取ることが出来る。いや〜本当に懐かしい。
米国ルーツ・ミュージックの要素をそこかしこに散りばめつつ、唄う歌はシンプルなAORの先駆。実にユニークな盤だと思います。うっかりすると、この盤、明らかにAORど真ん中なアルバムと勘違いしてしまうくらい、AORの先駆的要素が散りばめられている好盤です。
震災から5年9ヶ月。決して忘れない。まだ5年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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