ジョーイ・カルデラッツォである
立冬を過ぎて寒くなった。今年は寒くなるスピードが速い。平年11月と言えば、もう少し暖かいはずなんだが、既に12月上旬の気温になったりしている。しかし、これだけ気温が下がれば、集中力も上がる。純ジャズの鑑賞にも気合いが入るというもんだ。
最近、ピアノ・トリオを聴き込んでいる。特に欧州ジャズのピアノが気になっている。欧州ジャズのピアノは、一言で言うと、ファンクネスが希薄で透明度が高い。テクニックがあって端正で破綻が無い。アドリブ・フレーズは流麗。タッチは硬質。クラシック・ピアノと相対しても遜色の無い、アーティスティックなインプロビゼーション。
欧州ジャズではないが、この盤に漂う欧州ジャズ的な雰囲気は注目である。『Joey Calderazzo』(写真左)。シャープなタッチ、情熱的なアドリブ・フレーズ、透明感あふれるユニゾン&ハーモニー。そして、個性的なリリシズム。ちなみにパーソネルは、Joey Calderazzo (p), John Patitucci (b) , Jeff "Tain" Watts (ds)。2000年の作品。
素晴らしいピアノ・トリオである。2000年のジャズ・ピアノである。ジャズの歴史を振り返り、米国ジャズのピアノの個性を様々に「引用」する。しかし、タッチ、アドリブ・フレーズは確かにジョーイ・カルデラッツォその人ならではの個性。聴き続けて、このピアノは他に無い。ニューヨーク出身のカルデラッツォ。どこか欧州の香りがする。
バックのジョン・パティトゥッチのベースが良い。鋼の様な硬質でしなやかな、弾く様なベース弦の音。それでいて堅実に刻むビート。そして、変幻自在、八面六臂なワッツのドラミング。カルデラッツォのフレーズの先を読むような、カルデラッツォに寄り添うようなドラミング。この盤のベースとドラム。一期一会な雰囲気濃厚な「素晴らしいバッキング」。
米国東海岸出身のジャズでありながら、欧州ジャズの雰囲気が濃厚に漂う個性的なピアノ・トリオ。キースよりもジャジー、しかし、ファンクネスは希薄。こういう米国東海岸のジャズ・ピアノがあったのか、と感慨に耽る。そして、つくづく思う。ジャズの世界は奥が深く、裾野が広い。
震災から5年8ヶ月。決して忘れない。まだ5年8ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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