忘れじのハンプトン・ホーズ盤
ジャズを40年以上聴いていて、暫く御無沙汰のアルバムが出てくる。前にいつ聴いたのか、覚えていない位、昔に聴いたアルバムを、ふとした切っ掛けで再び聴き返すチャンスが時にある。今回は、ちょうとApple Musicを徘徊していて、このアルバムに再会した。
Hampton Hawes『The Sermon』(写真左)。1958年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Hampton Hawes (p), Leroy Vinnegar (b), Stan Levey (ds)。米国西海岸ジャズの名手が集うピアノ・トリオ。
端正で破綻の無い、軽快で明るいトリオ演奏。ホーズのピアノが良い音を出している。変にファンクネスを強調したり、ブルージーな雰囲気を意識して押し出したりしない。それぞれのスタンダード曲を、その曲の持つ旋律の雰囲気そのままに、捻り無くシンプルにピアノを弾いている。
あまりに癖の無いシンプルで自然なピアノなので、ジャズらしい癖のあるアドリブ・フレーズが希薄である。ややもすれば、イージーリスニング的なピアノ・トリオな雰囲気。ジャズ・ピアノをジャズとして聴くと、ちょっと物足りないかもしれない、端正で捻りの無いピアノ。
事実、このアルバムは、録音されてから29年間、お蔵入りだったそうだ。ホーズの死後10年にして、ようやくリリースされた。このアルバムが録音されたのが1958年、ハードバップ全盛の時代に、これだけ端正で聴き易い、ファンクネスが希薄なイージーリスニング的なピアノ・トリオは「ちょっと失敗」なイメージだったのかもしれない。
飛んだり跳ねたりするビ・バップなジャズ・ピアノもいいですが、こういう捻り無くシンプルで聴き易いジャズ・ピアノも良いですよ。
ジャズとして聴けるかは、バッキングを司るベースとドラムの内容が鍵を握りますが、この盤は問題ありません。ロイ・ヴィネガーのベースもスタン・リーヴィーのドラムスについてはテクニック優秀、小粋なバッキングが印象的。
1980年代後半のリリースなので、ジャケットがあまりに平凡なのが玉に瑕ですね。このジャケットでは、恐らく、このハンプトン・ホーズのジャズ・ピアニストとしての力量を知らなければ、触手が伸びることは無いでしょうね。勿体ないことです。
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マスターこんにちわ。^^
実はこのアルバムには想い出があります。
CDの1曲目「ダウンバイザリバーサイド」のゴキゲンなブラッシュワークに
思わず(これは誰だ!?)とライナーをみると、スタンリーヴィーでした。
ドラムに関心のある自分にとっても、この1曲のブラッシュワークはまさに「目が覚める」ような衝撃でした。
しかし色々な評をみてもだれもこのことには触れていませんでしたが、寺島靖国氏の初期の本の中で、私とまったく同じこと(ブラシのすばらしさ)をとりあげていてうれしくなりました。
ドラムでブラッシュワークといいますと、ジョージョーンズ(エベレスト盤のレイブライアントを含むトリオ)や、チコハミルトンが特にスイング感があふれて好きですが、スタンリービーも当時の売れっ子セッションマンのようでしたが、このホーズのスイング感との相性はやはりしびれますね。^^
投稿: おっちゃん | 2016年11月 9日 (水曜日) 09時24分