ピンク・フロイドの個性の確立
今日は「ジャズの合間の耳休め」。プログレッシブ・ロックの雄、ピンク・フロイドのアルバムである。11月11日、ピンク・フロイドの前代未聞の超レア音源・映像の集大成27枚組限定ボックス・セットがリリースされた。誰が買うんだ、と思いつつ、ポチッとしてしまい、既に手元にある(笑)。聴き始めているがこれが素晴らしい。至福の時である。
そのボックスセットのライナーノーツを眺めていて、このアルバムの存在に気がついた。このアルバム、あまり真剣に聴いた印象が無い。何故なんだろう。う〜ん、そうか。映画のサウンドトラックだからか。高校時代だったか、ロックでありながらも、映画のサウンドトラックというだけで、なんかその音源を低く見てしまう。そんな若さ故の過ちであった(笑)。
Pink Floyd『Obscured by Clouds(雲の影)』(写真左)。1972年のリリース。バーベッド・シュローダー監督の映画『La Vallee』のサウンドトラックである。このアルバムの地味なジャケットと映画のサウンドトラックということで、このアルバムはちょっと敬遠していた。
まともに聴き始めたのは、21世紀に入ってから。で、聴けば、なんと「抒情的なプログレッシブ・ロック」への変化を遂げつつあるピンク・フロイドがそこにある。デビュー当初はサイケデリックなプログレだった。前衛的でありサイケであり、時代のど真ん中、1970年ど真ん中な音作りだった。
が、前作『Meddle(おせっかい)』の「Echoes(エコーズ)」から、その雰囲気がガラリと変わる。歴史を振り返って、結果、サイケから抒情的なプログレへ変貌した。その『おせっかい』から、次作の『狂気』の間の、この『雲の影』である。
良い雰囲気のアルバムである。ニック・メイスンは「Echoes(エコーズ)」ではじめてピンク・フロイドがスタートしたと言っている。そして、この『雲の影』で、全編に渡って「抒情的なプログレッシブ・ロック」なピンク・フロイドの音が確立されている。この「全編に渡って」が重要である。
次作の『狂気』に繋がる音が、このアルバム『雲の影』に満ちている。デヴィッド・ギルモアのギターがフィーチャーされ、リック・ライトのキーボードが、ピンク・フロイドの音作りの重要な位置を担う。音の響きと印象的なフレーズを前面に押し出した「抒情的なプログレッシブ・ロック」がここにある。
このアルバム『雲の影』には、ピンク・フロイドの個性が満載。他のプログレ・バンドには無い、ピンク・フロイド独特のこの「抒情的なプログレッシブ・ロック」な音世界が、このサウンドトラックに詰まっている。
震災から5年8ヶ月。決して忘れない。まだ5年8ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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