ながら聴きにビートル・ジャズ
ビートルズのアルバムがCDで正式にリイシューされたのが1986年。それでもジャズではビートルズのカバーはなかなか再来しなかった。1960年代から1970年代前半にかけて、その世界的ブームに乗って、ジャズ界ではビートルズの楽曲のカバーが乱造された。玉石混交としたカバーの出来に一喜一憂したもんだが、1980年代以降、とんと御無沙汰であった。
それから、30年余りが経って、再び、ジャズ界でビートルズの楽曲がカバーされ出した切っ掛けは、このアルバムでは無かったかと思う。Beatlejazz『Another Bite of the Apple』(写真左)。1998年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Dave Kikoski (p), Charles Fambrough (b), Brian Melvin (ds)。聴けば判るのだが、正統派のジャズ・ピアノ・トリオである。「捻り」は全く無い。
Beatlejazzは、ビートルズのカバーアルバムを何枚かシリーズでリリースしている(3枚だったかな)。その中で、僕はこの『Another Bite of the Apple』が一番のお気に入り。選曲が適度に良く、アレンジもバッチリ決まっている。しかも、シンプルにビートルズの楽曲の持つ旋律の良さを感じることが出来るピアノ・トリオのフォーマット。この盤が一番聴いていて落ち着く。
アレンジが優れている。ビートルズの楽曲と直ぐ判るように原曲の旋律をしっかりと踏襲しているのだが、アドリブに入ると、ビートルズの楽曲の持つユニークなコード進行を借りつつ、ジャズとしてなかなかの内容のアドリブ・フレーズを展開する。ジャズ者初心者でもビートルズの楽曲のカバーと判り、アドリブ部ではジャズ者ベテランがその展開に耳をそばだてる。そんな初心者の耳にも、ベテランの耳にもしっかりと応える内容が良い。
アレンジの勝利である。「Let It Be」のアレンジが格好良い。この「Let It Be」は様々なジャズメンがカバーしているが、このBeatlejazzのアレンジがかなり格好良い。もしかしたら、一番、格好良いかも。「Magical Mystery Tour」のアレンジがこれまたユニークで良い。この楽曲がジャズにアレンジ出来るとは思わなかった。しかも実にクールにアレンジされている。
Beatlejazz『Another Bite of the Apple』。2001年、このカヴァー盤が出た時はその内容に思わず唸った。あれから15年。ビートルズのピアノ・トリオ・カヴァー盤として定盤化。今でも時々、ひきずり出して来ては「ながら聴き」してます。とにかくアレンジが秀逸。参考になります。
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