ベース、ドラム入りのケルン
立冬を過ぎて、本格的に寒くなった。これだけ寒くなると、本格的なピアノ・トリオをじっくり聴くことが出来る。ということで、久し振りに、キース・ジャレットの「スタンダーズ」の聴き直しを再開した。さて、どこからだっけ。そうそう、この盤からでした。
Keith Jarrett『Changeless』(写真左)。「スタンダーズ」の1987年10月のライブ録音。1曲目が14日のデンバー、2曲目が11日のダラス、3曲目が9日のレキシントン、4曲目が12日のヒューストン。改めてパーソネルは、もちろん、Keith Jarrett (p), Gary Peacock (b), Jack DeJohnette (ds)。
この盤は、4曲全てがキースのオリジナル。スタンダーズのトリオで、キースのオリジナルを演奏しているのだ。これは1983年1月、ニューヨークでの録音の『Changes』と同じ趣向である。キースのオリジナル曲だけで固められた「即興要素」の強い、インプロビゼーションが中心のライブ盤である。
「ベース、ドラム入りのケルン」という表現が良く似合う。キースのオリジナルばかりなので、その形容が更に信憑性を増す。逆に、ベース、ドラムが無くても、この盤の演奏は成立する。というか、無い方が良いくらいだ。即興演奏の塊である。それも、キースの個性満載の即興演奏。
ベース、ドラムもそれぞれ、テクニックの粋を尽くして、最高のパフォーマンスを繰り広げる。しかし、キースのオリジナル曲の即興演奏とは相容れ無い。三者三様、目指す方向は一緒なんだが、別々の道を歩んでいるような雰囲気。つまりは「スタンダーズ」は、キースのオリジナルをやる、のでは成立しない、と僕は思う。
ちなみに、この『Changeless』以降、キースのオリジナルで固めた即興演奏中心の所謂「ベース、ドラム入りのケルン」を演奏する「スタンダーズ」は封印される。やはり「スタンダーズ」はスタンダード曲を中心にインプロビゼーションするのが一番だ。
震災から5年7ヶ月。決して忘れない。まだ5年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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