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2016年11月の記事

2016年11月30日 (水曜日)

ヴィトウスの新盤は良い感じ

久し振りにMiroslav Vitous(ミロスラフ・ヴィトウス)の新作を見つけた。これは即ゲット、即聴きである。

ミロスラフ・ヴィトウスは、意外と僕のお気に入りのベーシストである。初の出会いは「Weather Report」。このウェザー・レポート発足時、ジョー・ザビヌル、ウェイン・ショーターと同列のリーダー格。今から思えば、このウェザーのファースト盤とセカンド盤の音作りについては、ヴィトウスの占める割合が大きかったと感じている。

そんなヴィトウスの新盤。Miroslav Vitous『Ziljabu Nights』(写真左)。2016年6月25日のライブ録音。ちなみにパーソネルは、Miroslav Vitous (b), Aydin Esen (key), Roberto Gatto (ds), Gary Campbell (sax), Robert Bonisolo (sax)。正直に言うと、ヴィトウス意外は全く知らない顔である。

が、冒頭の「Ziljabu」を聴いただけで「ああ、これはウェザー初期の音世界である」としみじみ感動。あの頃のアコースティックとエレクトリックを融合した、柔軟なリズム&ビートとモーダルで限りなく自由度の高い「最先端のメインストリーム・ジャズ」。しかも、あの頃よりも演奏レベルは「より高く」、アドリブの展開は「より自由」。
 

Ziljabu_nights

 
2曲目「Morning Lake」以降も、その音世界は「ウェザー初期の音世界」。う〜ん、この音世界、実は大好きなのだ。今でも、ウェザー・リポートのアルバムで、ちょくちょく聴く回数が多いのは「ファースト盤とセカンド盤」そして「Mr.Gone」。どうも、僕のウェザーの好みはマイナーな部類である。

特に感じ入ったのは、ラストの「Stella By Starlight Variations」。あらら、最後の最後で「どスタンダード曲」が出てきて、ガッツリと聴衆の印象を掴む作戦か、と思いきや、その演奏を聴くと「あらビックリ」。捻れてシュールでシンプルな「ヴィトウスの音世界」。いい、これはいい。

ミロスラフ・ヴィトウス、1947年生まれ、今年で69歳。チェコ、プラハが生んだ偉大なベーシスト。彼の音世界は、ウェザーのファースト盤をリリースした1971年当時とちっとも変わっていない。どころか、この新盤を聴いて、その彼の音世界はグレードアップしていると強く感じた。ジャズの今日、ジャズの明日はまだまだ明るい、そう感じた。

 
 

震災から5年8ヶ月。決して忘れない。まだ5年8ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2016年11月29日 (火曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・43

1950年代のハードバップを基本としたメンストリーム・ジャズは、いつの時代にも「鉄板」である。我々ジャズ者を始めとして、素人の方々にとっても、聴いてみて「ああ、これはジャズやなあ」と感じるのは、このハードバップを基本としたメインストリーム・ジャズであろう。

ただ、このハードバップを基本としたメインストリーム・ジャズは「理路整然」としていて、カッチリと整っているので、ちょっと変化に乏しい。というか、ジャズ者ベテランのレベルになると、演奏の先読みが出来てしまうので、聴き過ぎると結構「飽きる」。でも、時々、この理路整然、カッチリと整ったメインストリーム・ジャズを聴くと、やっぱりジャズはええなあ、と感激したりする。

Harry Allen & Vladimir Shafranov『Dear Old Stockholm』(写真左)。今日聴いた、ハードバップを基本としたメインストリーム・ジャズのアルバムである。2016年7月ストックホルムでの録音、アルバムとしては先月のリリース。ちなみにパーソネルは、Vladimir Shafranov (p), Harry Allen (ts), Hans Backenroth (b), Bengt Stark (ds)。

Vladimir Shafranov(ウラジミール・シャフラノフ)は、ロシアはサンクト・ペテルブルグ生まれ。1980年代、ニューヨークに活動拠点を移す。1999年、日本の「澤野商会」からリーダー作がリリースされ、日本における「欧州ジャズ・ピアノ」の認識に大きな影響を与えたピアニストとされる。
 

Shafranov_dear_old_stockholm

 
Harry Allen(ハリー・アレン)は、1966年10月、米国はワシントン生まれ。アレンのテナーは、非常に整然としていて破綻が無い。スタイルはややオールド・スタイル寄りのテナー。ジャズ・テナーの世界でよくある「コルトレーン・テナーのフォロワー」では無い。理路整然、整いまくったオールドスタイルの雰囲気漂う、骨太なテナーはアレンならではの個性。

確かに、この新盤『Dear Old Stockholm』は、確かにシャスラノフのピアノとアレンのテナーの出来が目立つ。「Dear Old Stockholm」や「Besame Mucho」を始めとして、この盤には有名な、若しくは知る人ぞ知る「粋」なスタンダード曲で固められており、このスタンダード曲の枠の中で、フロントを司るシャスラノフとアレンが、各々が何処まで自由にアドリブ・フレーズを展開するところが聴きどころになる。

アルバム全体の雰囲気は、明確に「欧州メインストリーム・ジャズ」。どのスタンダード曲もしっかりほ弾きこなし、吹きこなす。徹頭徹尾、絵に描いた様な「理路整然、カッチリと整ったメインストリーム・ジャズ」。ゆったりと安心して聴けるハードバップである。しかも、バックのリズム・セクションの演奏レベルも高い。スネアの抜けるような音、ブンブン唸るアコベの心地良い響き。ジャズ喫茶の昼下がりがこの盤をかけるのが一番の時間帯かも、です。

さすがはヴィーナス・レコード。ジャケットも風景写真をあしらった地味なもの。通常の「少しエロチックな」ジャケットでは無い。それだけにこのアルバムに詰まったメインストリームなジャズに相当な自信があると見た。ああ〜心地良いジャズやな〜、とリラックスして聴き込める良いアルバムです。

 
 

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2016年11月28日 (月曜日)

ガッド生誕70周年凱旋ライヴ !

僕がジャズを聴き始めた頃、1970年代後半では「今をときめく」ニュータイプなマルチ・ドラマー。純ジャズからフュージョン・ジャズまで「なんでもござれ」。強烈個性の「縦ノリ・スイングな垂直ドラミング」は唯一無二。僕は彼のドラミングの大ファン。スタッフからガッド・ギャングまで、彼のドラミングを毎日のように聴いていた。

Steve Gadd『Way Back Home - Live from Rochester NY』(写真左)。副題「生誕70周年凱旋ライヴ !」。1970年代後半に現れ出でた、ニュー・タイプなマルチ・ドラマー。今やレジェンドなドラマーとなったスティーヴ・ガッド。そんな彼の生誕70周年を記念して、故郷のニューヨーク、ロチェスターで行われたライブを記録した盤。

日本盤はつい先日、11月23日のリリース。バンドはスティーヴ・ガッド自身のバンド。パーソナルは、Jimmy Johnson (b), Steve Gadd (ds), Michael Landau (g), Larry Goldings (key), Walt Fowler (tp, flh)。2015年6月26日、ニューヨーク、ロチェスター、イーストマン音楽院での「Rochester International Jazz Festival」にてのライヴ収録。

この最新のライブ盤でもガッドの強烈個性、「縦ノリ・スイングな垂直ドラミング」は健在。ストンすとんストトンと独特の縦ノリが心地良い。特に、R&B系の楽曲でのシャッフルっぽい縦ノリは「たまらない」。縦ノリの4ビート。
 

Way_back_home

 
このライブ盤、ガッドという唯一無二なドラマーがリーダーの作品、ドラマーとしてのガッドが一番に全面に出て、彼のテクニックが一番目立つ。リズム&ビートが数フレーズ毎に変化する。チェンジ・オブ・ペースな変幻自在なドラミング。これが70歳になるドラマーのプレイかと思わず耳を「そばだてる」。

サイドメンも良い。特に、キーボードを担当するラリー・ゴールディングのオルガンとフェンダー・ローズの音が素晴らしい。早逝した盟友、リチャード・ティーを彷彿とさせる、思いっきりプンプンと漂うファンクネス。コッテコテの「ソフト&メロウ」な音の揺らぎ。ジミー・ジョンソンのエレベも秀逸。アコベのようにエレベを弾き倒す。ブンブンと唸るエレベ。芳しい重低音。

ファンクネスがコッテコテではあるが、演奏全体はスッキリしている。これぞ現代の「コンテンポラリーな純ジャズ」。フュージョンな要素もふんだんに取り入れながら、演奏の基本は「純ジャズ」。テクニックも優秀、聴き応え満載のライブ盤である。

スティーヴ・ガッド・バンドの来日公演が12月に決定したとのこと。行きたいなあ。何はともあれ、少し穏やかにはなったが、ガッドのドラミングは健在。とにかくその「健在」が嬉しくて、このライブ盤、我がバーチャル音楽喫茶「松和」では現在ヘビロテです。

 
 

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2016年11月27日 (日曜日)

ビートルズのカヴァー集・3

1962年10月のデビューから、一気に世界最高のロックバンドにまでのし上がったビートルズ。その人気は凄まじく、ジャズの世界でも、ボサノバ・ジャズの流行の後、1960年代半ばからビートルズの解散する1970年くらいまで、猫も杓子もビートルズのカヴァー曲を、という時代があった。

例えば、ジャズ・ビッグバンドの老舗中の老舗のこのバンドですら、ビートルズ曲のカヴァーに手を染め、ビートルズ曲のカヴァー盤までリリースしている。Count Basie『Basie's Beatle Bag』(写真左)。1966年のリリース。1964年がビートルズの初の北米上陸だったから、全米では人気絶頂の時期でのリリースになる。

いやはや、あのジャズ・ビッグバンドの老舗カウント・ベイシー楽団である。あのカウント・ベイシー楽団までもが、ビートルズのカヴァー集を出すのか、とこのアルバムの存在を知った時には、改めて、当時のビートルズの人気の凄さを再認識したものだ。

ただ、このアルバムを聴いていて、ジャズ・ビッグバンドの老舗カウント・ベイシー楽団としての矜持をほのかに感じるのは、このカヴァー集のアレンジは、そんなに趣向を凝らした、優れたものでは無いということ。恐らく、このアルバム、レコード会社からの強い要請があって、あんまり乗り気のしないまま、制作されたのでは無いか、と想像している。
 

Basies_beatle_bag

 
選曲も、とにかくビートルズのヒット曲ばかりがズラリと並ぶ。ビートルズの楽曲はコードのチョイス〜進行がかなりユニークなものが多く、ジャズとしてアレンジして良い曲と、ジャズとしてアレンジすると魅力が半減する曲とが混交している。ヒット曲だからといって、全てがジャズ化に向いているか、というとそうでは無い。

そういう意味でカヴァーする楽曲の選定からアレンジまで、あんまり「力」が入っていないように感じるカヴァー盤ではある。がしかし、じゃあ、これが全くの平凡盤かというとそうでないところに、これまた、老舗カウント・ベイシー楽団としての矜持をほのかに感じるのだ。

アレンジは平凡なんだが、それぞれの楽曲でのアドリブ・ソロはなかなか気合いが入っている。先にも書いたが、ビートルズの楽曲はコードのチョイス〜進行がかなりユニークで、このジャズには全く無いであろう、ユニークなコード進行をベースにアドリブ・ソロに突入すると、結構、テクニックと経験がものを言う。そこが恐らくジャズメンのプロ意識とプライドを擽るのではないだろうか。

アルバム・ジャケットもジャズ・ビッグバンドらしからぬもの。楽団の総帥、カウント・ベイシー翁を囲む子供たち。このデザインがなぜ、ビートルズの楽曲のカヴァー集のデザインなのか、甚だ疑問である。何か当時の狼狽・困惑を良く表していると思って、思わず苦笑してしまう(笑)。

 
 

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2016年11月26日 (土曜日)

ながら聴きのジャズも良い・12

子供の頃から「ながら聴き」が好きだった。特に、中学時代にカセットテレコを買って貰って以来、家で勉強するにも読書をするにも、必ずBGMで音楽が流れていた。今でも「ながら聴き」が好きで、特にフュージョン・ジャズや70年代ロックが良い。

そんな「ながら聴き」、今週は久し振りにこんなアルバムを引きずり出した。Paul Desmond『Summertime』(写真左)。1969年のリリース。フュージョン・ジャズの先駆け、クロスオーバー・ジャズの老舗A&M/CTIレーベルからのリリースである。

もちろん、プロデューサーはCreed Taylor。バックを支えるミュージシャンの中には、若き日のハービー・ハンコックやヴァイブにマイク・マイニエリ、アレンジにドン・セベスキーが名を連ねている。

クリード・テイラー監修のクロスオーバー・ジャズものは「ながら聴き」によく合うものが多い。ジャズをベースに「イージーリスニング」風のアレンジを施した演奏は「聴き易さ」を優先したもの。演奏に対峙して聴き込むにはちょっと物足りない感じだが、演奏自体の内容は濃い。ジャズメンとして一流どころが演奏を担当しているので、基本的にテクニックが高く歌心もある。

そこが良い。そこが「ながら聴き」最適なのだ。チープな演奏だと「ながら」の傍ら、耳がイライラしてきて「ながら」どころでは無くなる。「ながら聴き」に必須の要素は、テクニックと歌心に裏打ちされた「高度な演奏」と「聴き易さ」なのだ。
 

Paul_desmond_summertime

 
そういう観点から聴くと、このPaul Desmond『Summertime』は「合格点」。リーダーのアルト・サックス奏者のポール・デスモンドのテクニックは高い。しかも、柔らかであるが芯に力強さを秘めた流麗なアルト・サックス。奏でる演奏内容は「イージーリスニング」風のアレンジを施したクロスオーバー・ジャズ。「聴き易さ」満点である。

さて、このアルバム、サンバあり、ビートルズのカバーあり、バリバリのジャズ・スタンダード曲あり、と収録された楽曲はごった煮なんだが、不思議な統一感で満たされてる。なんでやろ、と考えたら、ポール・デスモンドのアルトの音にあると感じた。ごった煮のそれぞれの曲の中で、デスモンドのアルト・サックスだけが一本筋が通っている。

そもそも、テクニック満点、歌心も満点、柔らかであるが芯に力強さを秘めた流麗なアルト・サックスである。このデスモンドのアルト・サックスをふんだんに愛でることがアルバムである。さすがはデスモンド、純ジャズだろうが、クロスオーバー・ジャズだろうが、イージーリスニング風のアレンジだろうが、そんなことでは「ぶれ」はしない。

そんなデスモンドのアルト・サックスの統一感が聴きもののこのアルバム。そういう意味で「ながら聴き」にも最適です。内容的にも、実に「A&M/CTIレーベル」らしい内容で、クロスオーバー・ジャズの好盤の一枚としてもお勧めです。

 
 

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2016年11月25日 (金曜日)

ながら聴きのクロスオーバー

高中正義。日本が誇るエレギ奏者。特にそのインスト・エレギは唯一無二。思いっきり、高中ならではの個性で固められている。1曲聴けば、直ぐに高中と判るほどの個性。しかし、その個性的な音は「ジャンルレス」。ロックとも言えず、ジャズとも言えず。一言で言えば「高中」。

僕はそんな高中のインスト・エレギを「クロスオーバー」と位置づけている。ロックとフュージョン、そしてラテンなどなど、色々なジャンルの音楽の美味しいところを混ぜこぜにしている。リズムの基本はロック、混ぜこぜのところはクロスオーバー・ジャズ。スッキリ整った、エネルギッシュな「クロスオーバー」。

そんな「クロスオーバー」なインスト・エレギを堪能出来るアルバムの一枚がこれ。高中正義『Ocean Breeze』(写真左)。高中正義の2枚目のライブ盤。1982年のリリース。1980年代初頭、高中正義がノリに乗っている頃に敢行された「Power Play」と銘打ったライヴ・ツアーの模様が収録されたもの。
 

Oecean_breeze

 
このライブ盤、初期の頃からの「高中者」からすると、充実な内容なのだ。冒頭の「メドレー」を聴けば、高中がソロとして活躍するようになった初期の代表曲が、メドレー形式で演奏されているもの。どっかで聴いたことのある「高中フレーズ、高中節」がどんどん出てくる。しかも、メドレーとは言え、しっかりアレンジされていて、聴き心地満点。

2曲目の「Plastic Tears」以降、高中の往年の名曲、名演がズラリと並ぶ。ゆったりしたバラードあり、爽快なアップテンポの曲あり、様々なフォーマット、様々なリズム&ビートに乗って、高中がエレギを弾きまくる。弾きまくってはいるが、さすがは高中。徹頭徹尾「メロディアス」。流麗なアドリブ・フレーズが止めども無く沸き出でる。

このライブ盤、実は聴き流しに最適。僕はこのライブ盤には、社会人になって独身寮の休みの朝、必ずこのライブ盤を聴いていた時期がある。この盤の持つ爽快感が良い。メロディアスでテクニカルなエレギの音が良い。朝の起き抜けに心がポジティブになる様な、アグレッシブに一日を過ごせるように背中を押してくれるような「高中サウンド」が実に見事だった。

 
 

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2016年11月24日 (木曜日)

ハード・バップ時代のバリサク

寒い。朝、雪になるとは思わんかった、我が千葉県北西部地方。昼から晴れるなんて予報だったが、これが全く晴れない。午後から、雪が酷くなったりする東京は高田馬場。そして、夕方からグッと冷え込んで、これってどう考えたって11月終わりの気候では無い。東京都心では気象観測を始めた1875年以来、初めて11月に積雪が確認されたとのこと。

そんな寒い寒い、雪のバンバン降る日には、温々の部屋で熱いブラック珈琲でも飲みながら、ジャズをじっくり聴くに限る。決して、外に出てはいけない。絶対に身体に悪い(笑)。そして、こういう日には通常聴くよりも、ちょっと捻った楽器の、ちょっと捻ったアルバムが聴きたくなる。

ちょっと捻った楽器と言えば、最近は「バリサク」である。バリサク=バリトン・サックス。低音域をベースとするサックス。調性は変ホ(E♭)調で、実音は記譜より1オクターヴと長6度低く、アルトよりも1オクターヴ低い。音量が上がると、サックスのブラスがブリブリっと低音を響かせる。これが良い。これが快感のバリサクである。

ジャズでバリサク、と言われれば、僕はまず「ペッパー・アダムス(Pepper Adams)」を想起する。米国出身の1930年生まれ。1986年、56歳の若さで亡くなっている。ハード・バップ時代のバリサクと言えば「ペッパー・アダムス」と言われるほど、リーダー作を始め、名立たる多くのジャズメンと共演を果たしている。

しかも、このペッパー・アダムス、リーダー盤でもサイドメンとしての参加盤でも安定した水準以上の演奏ばかりである。加えて、リーダー盤に駄作が無い。水準以上のアルバムばかりで、どのリーダー作を聴いても、バリサク・ジャズの良いところが体感できる。地味な楽器ながら、高度なテクニックで、テナーやアルトの様に滑らかに旋律を吹き回していく。爽快である。
 

Critics_choice

 
そんなペッパー・アダムスのリーダー盤から、きょうはこの盤を聴く。Pepper Adams『Critics' Choice』(写真左)。1957年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Katzman (tp), Pepper Adams (bs). Jimmy Rowles (p), Doug Watkins (b), Mel Lewis (ds)。サイドメンを見渡せば判るが、米国西海岸はロスでの録音になる。

全6曲。何の変哲も無い、歴史的名盤でも無い、ジャケットも地味の一言というかチープ。でも、この盤の内容は、ミスター・バリサク=ペッパー・アダムスを愛でるに最適なアルバムの一枚ではある。バックのサイドメンの演奏が適度に穏やかで、ペッパー・アダムスの重低音バリサクのアドリブ・フレーズを十分に惹き立てている。

そして、ロスで録音されたとは言え、演奏全体の雰囲気が思いっきり「ハードバップ」。しかし、米国西海岸で録音された音なだけに、東海岸のハードバップに比べて、この盤に詰まっているハードバップは適度に軽い。趣味の良い軽快さとでも形容しようか。警官感溢れる「ハードバップ」。そこにペッパー・アダムスのバリサクが「ブリブリッ」。これがたまらない。

何の変哲も無い、ジャズ盤紹介本でもなかなか採り上げられることの無いアルバムなんですが、実はこれが良い。ジャズ鑑賞の面白さですね。ジャズ本に頼らず、自分の手と耳で選んだアルバムが「当たり」だった時、なんだかホンワカした「幸せ」を感じます。ブリブリッなバリサクのペッパー・アダムス。実に魅力的です。

 
 

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2016年11月23日 (水曜日)

チックとハービーの連弾ライブ盤

最近、久し振りにこの連弾ライブのアルバムを聴いた。この連弾ライブのアルバムは同じツアーの音源から編集されたLP2枚組の2種類しか無い。その二人とは「Herbie Hancock & Chick Corea」。1978年2月、この2人は唐突に連弾ライブのツアーを敢行した。

1978年2月の頃は、ハービーのあの大人気となった「V.S.O.P.」での活動が一段落した頃。ジャズ界では「フュージョン・ジャズ」の人気がピークの頃。しかしながら、この大人気となった「V.S.O.P.」のお陰で、にわかに「アコースティック・ジャズ」が再び脚光を浴び始めた。その時流に乗った連弾ツアーだったのだろう。

日本でもこの連弾ツアーの様子はジャズ雑誌を通じて速報され、「当代二大人気ピアニストによる世紀の競演」などと大いに煽られ、この様子を捉えたライブ盤が出るとなった時には、レコード屋で予約を入れたほどである。僕は当時、ピッカピカのジャズ者1年生。この人気ピアニスト二人の連弾ライブは「取っ付き易かった」。

まずは『An Evening With Herbie Hancock & Chick Corea In Concert』(写真左)。1978年11月のリリース。当時、ハービーが所属していた大手レコード会社Columbiaからのリリースであった。LP2枚組のボリュームで、ジャケットも大手レコード会社ならではの整然としたもの。

こちらの連弾ライブは一言で言うと「バランスが良い」。ステレオで聴くと、左チャンネルがはービー、右チャンネルがチックである。Columbiaからのリリースなので、ハービーが前面に出た演奏を選んで選曲している様だが、ハービーばかりが目立ってはいない。バランス良く、ハービーとチック、半々に目立っている。

選曲も冒頭からの2曲「Someday My Prince Will Come」と「Liza (All the Clouds'll Roll Away)」という馴染みのあるスタンダード曲が収録されているので親しみ易い。さすが、大手のレコード会社Columbiaからのリリース。とにかくバランスが良い。よって、この2枚組LP、売れましたね〜。
 

Chickharbie_duo_live

 
もう一方は『CoreaHancock:An Evening With Chick Corea & Herbie Hancock』(写真右)。こちらは1979年のリリース。当時、チックが所属していたレコード会社Polydorからのリリース。タイトルをよく見ると、チックの名前がハービーの名前の前にある。ちなみに先のColumbia盤は、ハービーの名前がチックの名前の前にある。意外とどちらが前でどちらが後か、しっかり意識している。

加えて、こちらはColumbia盤に遅れて1979年のリリース。Columbia盤の人気に驚き、慌てて追いリリースした様でもあるLP2枚組。音源は1978年2月のライブでの公演ツアーでのものなのだが、当然、Columbia盤とは異なった日時での演奏である。後発リリースである。そりゃ〜当たり前やな。

こちらはPolydorレコードの意向なのか、チックが前面に出ている。明らかにチックが目立っている。選曲からしてそうだ。パルトークの「Mikrokosmos For Two Pnos, Four Hands': Ostinato」が収録さている。これはピアノのテクニックの優劣がモロに出る難度の高い楽曲である。この難曲を当時の若きチックはバンバン弾きまくる。相対するハービーもテクニシャンではあるが、この選曲は明らかに「チック持ち」である。

ラストの2曲、ハービーの「Maiden Voyage」、チックの「La Fiesta」の収録はColumbia盤と同じではあるが、演奏内容は全く異なる。こちらのPolydor盤では、明らかにチックが弾けている。ハービーも負けじと応戦しているが、このチックの弾け方には「お手上げ」の様子。

このPolydor盤は、明らかにチックを「贔屓」にした編集である。先のColumbia盤ではチックとハービーは拮抗していたから、やはり、この連弾ライブ、チックに有利、ハービーに不利だった感じがする。それ故なのか、この二人の連弾ライブは再結成されることは無かった。まあ、これだけ有名で優れたピアニストの二人である。再び、連弾ライブをする意義・意味・動機が無いんでしょうね。

 
 

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2016年11月22日 (火曜日)

Queenの初期の頃のライブ音源

1991年11月24日、フレディー・マーキュリーはこの世を去った。45歳という若さであった。クイーン(Queen)という歴史的なバンドの終焉であった。クイーンは正式に解散したことは無い。しかしながら、ボーカルにフレディーのいないクイーンは、やはりクイーンでは無いと思っている。

最近、クイーンの初期の頃のライブ音源が発掘〜リリースされている。クイーン者の私としては喜ばしい限りである。最近聴いた2枚がこれ。Queen『A Night At The Odeon - Hammersmith 1975』(写真左)と『On Air』(写真右)。

前者はクイーンが1975年12月24日にロンドンのハマースミス・オデオンで行ったコンサートの模様を収めたライヴ作品になる。「Queen invite you to A Night At The Opera」と名付けられたツアー最終日、当日のフルセット音源全19曲を収録していて、充実のCDセットである。当時のコンサートを追体験出来るようだ。

「このコンサートは特別だった。ライヴをまるまるTVで生中継したのは、この時がはじめてだったからだ……クリスマスのライヴだった」とブライアン・メイ。クイーンが名実ともにメジャーなロックバンドとして認められた瞬間だった。1975年のライブ音源としてはクオリティは高い。修復とデジタル・トランスファーが見事だ。

後者はクイーン初期の貴重なBBCセッション音源を、一挙まとめてリイシューしたもの。一挙まとめてくれて、クイーンのBBCセッションが聴き易くなった。1973〜77年に掛けてレコーディングされた6回のスタジオ・セッションをすべて収録していて、これまた充実のCDセットである。
 

Queen_live_2016

 
『Queen』『Queen II』からの楽曲がふんだんに聴けるところが良い。「Keep Yourself Alive」「Liar」「Great King Rat」「Son and Daughter」「Ogre Battle」「White Queen 」「Nevermore」などなど。高校時代に「Queen」「Queen II」そして「Sheer Heart Attack」を聴き込んだ僕達にとって、宝物の様なライブ音源だ。

以前、クイーンのBBCセッションはブートで出回っており、購入に骨が折れた。しかし、今回はオフシャル盤である。音質も改善されており、もうブートに頼ることも無い。1973〜77年の音源とあるが、1973〜74年そして77年というのが正解。74年から77年までいきなり飛ぶが「A Night at the Opera」と「A Day at the Races」のBBCセッションの音源は存在しないので仕方が無い。

僕達が高校〜大学時代、クイーンのライブ盤と言えば『Live Killers』しかなかった。20歳代の1980年代でも『Live Magic』と『At the Beeb』の2枚があるだけだった。そんな頃に比べれば、今では『Live at Wembley '86』はあるわ、『Queen Rock Montreal』はあるわ、今回の2枚はあるわ、クイーン者として、本当に充実した時代になった。

高校1年生の冬、先輩Nさんのお陰で、早い時期に『Queen』『Queen II』を聴き込ませてもらった。高校の中で真っ先にクイーンを評価し、校内のロック者にいち早く広めた我が映画研究部。今でもこの思い出話が同級生の間で話題になる度に、なんだか、ちょっと得意げになってしまうんやな〜。遠い遠い42年ほど前の話である。

 
 

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2016年11月21日 (月曜日)

ながら聴きにビートル・ジャズ

ビートルズのアルバムがCDで正式にリイシューされたのが1986年。それでもジャズではビートルズのカバーはなかなか再来しなかった。1960年代から1970年代前半にかけて、その世界的ブームに乗って、ジャズ界ではビートルズの楽曲のカバーが乱造された。玉石混交としたカバーの出来に一喜一憂したもんだが、1980年代以降、とんと御無沙汰であった。

それから、30年余りが経って、再び、ジャズ界でビートルズの楽曲がカバーされ出した切っ掛けは、このアルバムでは無かったかと思う。Beatlejazz『Another Bite of the Apple』(写真左)。1998年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Dave Kikoski (p), Charles Fambrough (b), Brian Melvin (ds)。聴けば判るのだが、正統派のジャズ・ピアノ・トリオである。「捻り」は全く無い。

Beatlejazzは、ビートルズのカバーアルバムを何枚かシリーズでリリースしている(3枚だったかな)。その中で、僕はこの『Another Bite of the Apple』が一番のお気に入り。選曲が適度に良く、アレンジもバッチリ決まっている。しかも、シンプルにビートルズの楽曲の持つ旋律の良さを感じることが出来るピアノ・トリオのフォーマット。この盤が一番聴いていて落ち着く。
 

Another_bite_of_the_apple

 
アレンジが優れている。ビートルズの楽曲と直ぐ判るように原曲の旋律をしっかりと踏襲しているのだが、アドリブに入ると、ビートルズの楽曲の持つユニークなコード進行を借りつつ、ジャズとしてなかなかの内容のアドリブ・フレーズを展開する。ジャズ者初心者でもビートルズの楽曲のカバーと判り、アドリブ部ではジャズ者ベテランがその展開に耳をそばだてる。そんな初心者の耳にも、ベテランの耳にもしっかりと応える内容が良い。

アレンジの勝利である。「Let It Be」のアレンジが格好良い。この「Let It Be」は様々なジャズメンがカバーしているが、このBeatlejazzのアレンジがかなり格好良い。もしかしたら、一番、格好良いかも。「Magical Mystery Tour」のアレンジがこれまたユニークで良い。この楽曲がジャズにアレンジ出来るとは思わなかった。しかも実にクールにアレンジされている。

Beatlejazz『Another Bite of the Apple』。2001年、このカヴァー盤が出た時はその内容に思わず唸った。あれから15年。ビートルズのピアノ・トリオ・カヴァー盤として定盤化。今でも時々、ひきずり出して来ては「ながら聴き」してます。とにかくアレンジが秀逸。参考になります。

 
 

震災から5年8ヶ月。決して忘れない。まだ5年8ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2016年11月20日 (日曜日)

ジョンスコの「C&Wのジャズ化」

ジャズ化の対象というものは、現代では「何でもあり」である。1950年代、ハードバップの時代は、ミュージカルや映画の主題歌や挿入歌をジャズの「スタンダード曲」としてジャズ化した。これは現代でも継続されている。が、最近ではワールドミュージック系の曲やR&Bの名曲まで、なんでもジャズ化する。

ジャズは懐が深いのお〜、と感心しているところへ、このアルバムがリリースされた。John Scofield『Country for Old Men』(写真左)。ジャズ界の「捻れエレギの達人」ジョン・スコフィールド(長いので以下「ジョンスコ」と略)が、カントリー・ミュージックのジャズ化を目論んだアルバムである。

カントリー&ウエスタン(C&W)と言えば、米国ルーツ・ミュージックのメイン・ジャンルの一つ。僕達の子供の頃は、カントリー&ウエスタンと言えば「米国」。カントリー&ウエスタンの音楽がラジオから流れて来たら、遠く見たことも無い憧れの地「米国」を感じたもんだ。

そんなカントリー&ウエスタンをジャズ・アレンジするというこのアルバム、しかも、メインの楽器がエレギである。加えて弾き手が「捻れエレギの達人」ジョンスコ。どうなるんだ、このアルバム。

冒頭の「Mr Fool」を聴く。ジャズのアレンジはされているもののカントリー・ミュージックの雰囲気は色濃く残っている。やっぱり、カントリー・ミュージックのジャズ化は難しいのか、とも思うが、どうして、ジャズはもともと懐が深い。そもそもジャズ化されない音楽ジャンルは無い、と僕は思うのだ。
 

Country_for_old_men

 
2曲目の「I'm So Lonesome I Could Cry」で、アップテンポの4ビートなアレンジで「おお、これはジャズであるな」と感心する。カントリー・ミュージックの持つ郷愁を誘う旋律に、上手くアップテンポのジャジーなアレンジを施して、しっかりジャズ化している。これぞ、アレンジの才の成せる技である。

このアルバム、聴き進めて行くと判るのだが、ジャズのアレンジはされているもののカントリー・ミュージックの雰囲気は色濃く残っているものと、しっかりと4ビートのアレンジを施して明確にジャズ化しているものと上手く組み合わせて収録している。カントリー・ミュージックの雰囲気もしっかり楽しめるし、ジャズの雰囲気も楽しめる。これはプロデュース力の成せる技かな。

意外とジャズの世界で、ジャズ化の対象にカントリー・ミュージックを採り上げることはあまり無いのだが、このジョンスコの新盤には感心した。アレンジの才の成せる技。最後にパーソネルは、John Scofield (g), Larry Goldings (p, org), Steve Swallow (b), Bill Stewart (ds)。2016年4月の録音である。

米国ルーツ・ミュージックが大好きな僕にとっては「即ヘビロテ」。コッテコテのカントリー&ウエスタンはちょっと「ひく」が、このジャズ化は良い。

 
 

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2016年11月19日 (土曜日)

人生の黄昏をジャズで表現する

現代のジャズは、様々なジャンルの楽曲を選択しジャズ化する。ミュージカルや映画の主題歌や挿入歌、これは、ジャズ・スタンダード曲として定着している。60年代以降はポップスやロックの楽曲を取り込み、70年代以降はワールドミュージック系の楽曲をも取り込む。まあ、現代ではジャズ化の対象は「何でもあり」の感がある。

このアルバムは、黒人霊歌や賛美歌、トラディショナルなどを中心とした選曲で構成されている。米国ルーツ・ミュージックがベースのこの構成は、ジャズの世界では「ありそうで無い」。

Charlie Haden & Hank Jones『Come Sunday』(写真左)。2010年2月の録音。録音時、ピアノのハンク・ジョーンズは91歳、ベースのチャーリー・ヘイデンは72歳。ちなみに、ハンク・ジョーンズがこの世を去るわずか3ヶ月前の録音になる。

ジャズ盤としては珍しく、明確な4ビートの演奏は少ししかない。しかし、淡々としたピアノとベースの語り合いの中で、ゆったりとしたジャジーなビートは漂っている訳で、そこは大ベテランの二人、一筋縄ではいかない。若くて硬派なジャズ者の方々からすると、あんまりにノンビリしていて「これはジャズじゃない」と言いそう。
 

Come_sunday

 
このデュオ、枯れ具合が抜群。淡々とした滋味深いタッチで、黒人霊歌や賛美歌、トラディショナルなどの米国ルーツ・ミュージックを弾き紡いでいくハンクのピアノは実に味わい深い。そのピアノに呼応するするようにな訥々としたベース。ベースの哲人、チャーリー・ヘイデンの面目躍如です。

しかし、ただ枯れている訳ではありません。ピアノにもベースにも音の中にしっかりとした芯がある。素朴な旋律の連続である黒人霊歌や賛美歌、トラディショナルなどの米国ルーツ・ミュージックが、何故かふくよかに豊かにゴージャスに響く。ジャズのアレンジの成せる技。二人の匠の成せる技。敬虔な想いに包まれます。

丁々発止の4ビートジャズを想定すると相当にフラストレーションが溜まると思いますが、この滋味深い枯れた味わいのデュオ演奏はなかなかに聴きどころ満載。人生の黄昏を音でジャズで表した様な演奏。こういう表現が出来る音楽って本当に素晴らしい。

 
 

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2016年11月18日 (金曜日)

ヤン・ハマーという鍵盤奏者

風邪をひいて寝込んだ。このところ、季節が先に進んだ感じで寒い日が続いた。加えて、ちょっとだけ仕事で無理をした。この無理が積もって疲労感が広がったところで風邪をひいた。寝込みついでに寝ながらCDを聴く。日頃聴けないCDを聴きながら、とにかく風邪を追いやる。

このキーボード奏者を、僕は高校時代から、EL&Pのキース・エマーソン、YESのリック・ウェイクマンと同列に置いている。シンセサイザーの使い方も実に高度で、他のキーボードにも精通している。その実力はエマーソン、ウェイクマンと同等と評価している。

しかも、このキーボード奏者の奏でるフレーズは独特で相当に個性的。1曲聴くだけで「それ」と判るほどの強烈な個性で、エスニックな雰囲気、ワールドミュージック的に妙に捻れた音感が独特。逆に、このエスニックで捻れた音が駄目、というロック者の方々も多い。それほどに独特の個性を有している。

そのキーボード奏者とは「ヤン・ハマー(Jan Hammer)」。1948年生まれだから今年68歳。チェコ出身なので、この出身から個性的である。プラハの春をきっかけに渡米、これまた劇的である。

そして、1970年代前半、マハヴィシュヌ・オーケストラのキーボード担当として有名になる。僕がこのヤン・ハマーを知ったのは、ジェフ・ベックの『ワイヤード』への客演の時。僕はこの個性的なキーボード奏者に思わず「はまった」。
 

Oh_yeah

 
そんな個性的なキーボード奏者を体感するには、このアルバムがまずは最初だろう。Jan Hammer『Oh Yeah?』(写真左)。1976年のリリース。Jan Hammer Group名義のファースト盤である。ちょうど、ジェフ・ベックの『ワイヤード』に客演したり、その後のツアーを一緒に周っていた時期の作品である。

このアルバムを聴けば、ヤン・ハマーのキーボードの個性が全て体験出来る。エスニックな雰囲気、ワールドミュージック的に妙に捻れた音感、攻撃的なキーボード・ワーク。とにかく「ヤン・ハマー」節全開のアルバムである。

演奏全体の雰囲気は、1970年代前半、メンバーであったマハヴィシュヌ・オーケストラを踏襲してはいるが、マハヴィシュヌ・オーケストラの音世界よりもポップで判り易い。ヤン・ハマーのキーボードは、キーボードをフロントに据えてバンド・サウンドではあるが、その音は常に「アグレッシブ」。

特にシンセサイザーは思いっきり攻撃的。うっかり聴いていると、エレギの音と間違ってしまうくらい。そう言えば、どこかに「a Minimoog-Oberheim combination that sounds a lot like a Guitar」とクレジットされていた記憶が。ヤン・ハマーも意識していた様です。なんか「エレギなんかに負けるもんか」ってな感じで弾きまくっています。

このアメリカン・コミックの抜粋の様なジャケットに「ひいて」はいけません(笑)。ジャズロック、もしくはプログレのキーボードファンの方には一聴をお勧めします。僕は、このキーボードは好きです。

 
 

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2016年11月16日 (水曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・56

ピアノ・トリオを聴き込んでいる。特に欧州ジャズのピアノが気になっている。欧州ジャズのピアノは、一言で言うと、ファンクネスが希薄で透明度が高い。テクニックがあって端正で破綻が無い。アドリブ・フレーズは流麗。タッチは硬質。クラシック・ピアノと相対しても遜色の無い、アーティスティックなインプロビゼーション。

と、一昨日書いた。で、今日は正真正銘、欧州ジャズのピアノ・トリオです。欧州ジャズもど真ん中。北欧ジャズの代表的ピアノ・トリオです。Lars Jansson『In Search of Lost Time』(写真左)。実に北欧らしいイラストのジャケットが実に印象的な、明らかに北欧らしいアルバム。

Lars Jansson(ラーシュ・ヤンソン)は、1951年スウェーデン生まれ。今年65歳。いかにも北欧のピアニストらしい繊細なピアノを弾く。ファンクネスは皆無。しかも湿り気無く、とことんドライ。このカラッとしたところが、ラーシュ・ヤンソン独特の個性。
 

In_search_of_lost_time  

 
この『In Search of Lost Time』(邦題;失われた時を求めて)は、2009年3月の録音。ちなみに、Christian Spering (b), Anders Kjellberg (ds), Lars Jansson (p)。このアルバムに詰まっているピアノ・トリオのパフォーマンスは「これぞ、ラーシュ・ヤンソン」と叫びたくなる様な内容です。

この硬質でダイナミック、それでいてクリスタル感満載なピアノ。これぞ、ラーシュ・ヤンソン。そして、ベースのクリスチャン・スペリングも実に良い。骨太でしなやかで硬質なベース。しかもファンキー感全く無しでソリッド感抜群。あ〜これぞ欧州ジャズのベースである。ドラミングも良い。大胆にして細心、緻密でダイナミックなドラミングは欧州ジャズならでは。

徹頭徹尾、欧州ジャズですね〜、このピアノ・トリオ。心地良い緊張感を良し。ジャケット・デザインも明らかに北欧していて良し。北欧ジャズ、それもピアノ・トリオで「これ一枚」というリクエストには、このアルバムをお勧めしている。良い雰囲気の、良い感じのピアノ・トリオ盤です。

 
 

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2016年11月15日 (火曜日)

ピンク・フロイドの個性の確立

今日は「ジャズの合間の耳休め」。プログレッシブ・ロックの雄、ピンク・フロイドのアルバムである。11月11日、ピンク・フロイドの前代未聞の超レア音源・映像の集大成27枚組限定ボックス・セットがリリースされた。誰が買うんだ、と思いつつ、ポチッとしてしまい、既に手元にある(笑)。聴き始めているがこれが素晴らしい。至福の時である。

そのボックスセットのライナーノーツを眺めていて、このアルバムの存在に気がついた。このアルバム、あまり真剣に聴いた印象が無い。何故なんだろう。う〜ん、そうか。映画のサウンドトラックだからか。高校時代だったか、ロックでありながらも、映画のサウンドトラックというだけで、なんかその音源を低く見てしまう。そんな若さ故の過ちであった(笑)。

Pink Floyd『Obscured by Clouds(雲の影)』(写真左)。1972年のリリース。バーベッド・シュローダー監督の映画『La Vallee』のサウンドトラックである。このアルバムの地味なジャケットと映画のサウンドトラックということで、このアルバムはちょっと敬遠していた。

まともに聴き始めたのは、21世紀に入ってから。で、聴けば、なんと「抒情的なプログレッシブ・ロック」への変化を遂げつつあるピンク・フロイドがそこにある。デビュー当初はサイケデリックなプログレだった。前衛的でありサイケであり、時代のど真ん中、1970年ど真ん中な音作りだった。
 

Obscured_by_clouds

 
が、前作『Meddle(おせっかい)』の「Echoes(エコーズ)」から、その雰囲気がガラリと変わる。歴史を振り返って、結果、サイケから抒情的なプログレへ変貌した。その『おせっかい』から、次作の『狂気』の間の、この『雲の影』である。

良い雰囲気のアルバムである。ニック・メイスンは「Echoes(エコーズ)」ではじめてピンク・フロイドがスタートしたと言っている。そして、この『雲の影』で、全編に渡って「抒情的なプログレッシブ・ロック」なピンク・フロイドの音が確立されている。この「全編に渡って」が重要である。

次作の『狂気』に繋がる音が、このアルバム『雲の影』に満ちている。デヴィッド・ギルモアのギターがフィーチャーされ、リック・ライトのキーボードが、ピンク・フロイドの音作りの重要な位置を担う。音の響きと印象的なフレーズを前面に押し出した「抒情的なプログレッシブ・ロック」がここにある。

このアルバム『雲の影』には、ピンク・フロイドの個性が満載。他のプログレ・バンドには無い、ピンク・フロイド独特のこの「抒情的なプログレッシブ・ロック」な音世界が、このサウンドトラックに詰まっている。

 
 

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2016年11月14日 (月曜日)

ジョーイ・カルデラッツォである

立冬を過ぎて寒くなった。今年は寒くなるスピードが速い。平年11月と言えば、もう少し暖かいはずなんだが、既に12月上旬の気温になったりしている。しかし、これだけ気温が下がれば、集中力も上がる。純ジャズの鑑賞にも気合いが入るというもんだ。

最近、ピアノ・トリオを聴き込んでいる。特に欧州ジャズのピアノが気になっている。欧州ジャズのピアノは、一言で言うと、ファンクネスが希薄で透明度が高い。テクニックがあって端正で破綻が無い。アドリブ・フレーズは流麗。タッチは硬質。クラシック・ピアノと相対しても遜色の無い、アーティスティックなインプロビゼーション。

欧州ジャズではないが、この盤に漂う欧州ジャズ的な雰囲気は注目である。『Joey Calderazzo』(写真左)。シャープなタッチ、情熱的なアドリブ・フレーズ、透明感あふれるユニゾン&ハーモニー。そして、個性的なリリシズム。ちなみにパーソネルは、Joey Calderazzo (p), John Patitucci (b) , Jeff "Tain" Watts (ds)。2000年の作品。
 

Joey_calderazzo

 
素晴らしいピアノ・トリオである。2000年のジャズ・ピアノである。ジャズの歴史を振り返り、米国ジャズのピアノの個性を様々に「引用」する。しかし、タッチ、アドリブ・フレーズは確かにジョーイ・カルデラッツォその人ならではの個性。聴き続けて、このピアノは他に無い。ニューヨーク出身のカルデラッツォ。どこか欧州の香りがする。

バックのジョン・パティトゥッチのベースが良い。鋼の様な硬質でしなやかな、弾く様なベース弦の音。それでいて堅実に刻むビート。そして、変幻自在、八面六臂なワッツのドラミング。カルデラッツォのフレーズの先を読むような、カルデラッツォに寄り添うようなドラミング。この盤のベースとドラム。一期一会な雰囲気濃厚な「素晴らしいバッキング」。

米国東海岸出身のジャズでありながら、欧州ジャズの雰囲気が濃厚に漂う個性的なピアノ・トリオ。キースよりもジャジー、しかし、ファンクネスは希薄。こういう米国東海岸のジャズ・ピアノがあったのか、と感慨に耽る。そして、つくづく思う。ジャズの世界は奥が深く、裾野が広い。

 
 

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2016年11月13日 (日曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・55

僕はこの盤を「ジャズピアノ・トリオの教科書的アルバムの一枚」としている。ピアノ・トリオで何か一枚だけと請われたら、このアルバムを出すことが多い。とにかく聴き易い。ジャズ者初心者の耳に優しい。しかも、ジャズの持つ最大の魅力、即興演奏の良さも抜群だ。

『Wynton Kelly!』(写真左)。タイトルはこれだけ。「ウィントン・ケリー+ビックリマーク」。1961年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。ドラムにジミー・コブが座っているのが目を惹く。4ヶ月前、マイルスの『Someday My Prince Will Come』を録音した6重奏団のリズム・セクションの3人である。

ケリーのピアノが心ゆくまで楽しめる。そこはかとなく翳りを漂わせたハッピー・スインガーなピアノ。ハッピーな雰囲気のアドリブを展開しながらも、そこはかとなく愁いが漂う。スインギーなタッチに忍ばせるブルージーでファンキーな感覚。この感覚はウィントン・ケリーのピアノならではの個性である。

聴けばそれが直ぐ判る。冒頭の「Come Rain Or Come Shine」から、ケリー節全開である。この1曲で、ウィントン・ケリーの個性のほとんどが確認出来る。過剰一歩手前の素晴らしく趣味の良いスイング感。そして、このハッピーなスイング感の底に濃厚にブルージーな感覚が漂う。
 

Wynton_kelly

 
バックのポール・チェンバースとの相性は抜群だ。ケリーのアドリブ・フレーズを予見するかのように、ケリーの展開にぴったりとフィットするベースラインを供給する。見事だ。プライベートでも仲が良かった、と聞くが「なるほどな」と思う。素晴らしいコンビネーションである。

加えて、このピアノ・トリオの演奏を典雅なものにしているのは、ジミー・コブのドラミングだ。ダイナミックで破天荒なフィリー・ジョーのドラミングと比べると地味な印象を受けるが、どうして、余裕ある間合いのドラミングは迫力十分。スタンダード曲が中心のこのアルバムからすると、ジミー・コブのドラミングの方がバランスが良い。

余裕ある落ち着いたリズム&ビートに乗った「スタンダード曲」中心のケリー節がとても心地良い。小粋な鼻歌を歌うような、ハッピーでスインギーなケリーのフレーズは、余裕ある落ち着いたリズム&ビートの乗った時が一番だ。そういう意味で、このアルバムでのベースとドラムの選択は見事である。

全編35分弱とアルバム全体としては短いが、それぞれの演奏曲については、長すぎず短かすぎず、スタンダード曲の旋律とアドリブを愛でるにはちょうど良い塩梅だ。ウイントン・ケリーのハッピー・スインギーなピアノを堪能出来る、ピアノ・トリオ入門盤としてもお勧めの好盤です。

 
 

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2016年11月12日 (土曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・54

今日は午後になって暖かくなった。この気温でやっと11月の中旬だって実感する。今年は寒くなるのが早すぎだ。しかし、これだけ寒くなると、本格的なピアノ・トリオをじっくり聴くことが出来る。ということで、キース・ジャレットの「スタンダーズ」の聴き直しを継続する。

キースの「スタンダーズ」、ヘッドフォンで聴くにはちょっと辛い瞬間がある。それはキース「唸り声」である。キースは、アドリブ展開に入ると、決まって「唸る」。それも結構大きな声で唸る。しかも、聴き易い歌声の様なものではない。キースの「スタンダーズ」を聴き込む場合、このキースの唸り声をどう処理するかで、その適合度合いは変わってくる。

Keith Jarrett『Standards in Norway』(写真左)。1989年10月7日、オスロでのライブ録音。改めてパーソネルは、もちろん、Keith Jarrett (p), Gary Peacock (b), Jack DeJohnette (ds)。いわゆる「スタンダーズ」である。

このスタンダーズのライブは入手以来、恐らく、スタンダーズのアルバムの中で一番の「ヘビロテ盤」である。それは何故か。キースの「唸り声」が控えめで、至極、聴き易いからである(笑)。加えて、他のライブ盤に比べて、演奏のリラックス度合いが高い。当方にとっても、のんびり、リラックスして聴くことができるからである。
 

Standards_in_norway

 
しかも、このライブ、トリオの三人の「融合度・連携度」がかなり高い。いつになく、ゲーリー・ピーコックのベースが前面に出てきて、インプロビゼーション全体をリードする瞬間が多く出てくる。これは珍しいこと。目立ちたがり屋のデジョネットのドラムも、後に回ってバッキングに徹する場面が多い。

キースのピアノも、自らを目立たたせる大仰なパフォーマンスを控えめにして、バックのベース、ドラムの音をよく聴きながら、三者融合のアドリブ・パフォーマンスを繰り広げている。これが実に良い。これだけハイテクニックで優秀なジャズメンの3人である。お互いの音をよく聴きながらの融合のパフォーマンスを繰り広げれば、それはそれは素晴らしいものである。

しかし、このライブ盤、1989年の録音であるが、リリースは1995年。録音から発売まで約6年、このライブ音源は寝かされた。他の盤と半分以上の収録曲がダブっているから、というのが大方の理由とされるが、意外とこのライブ盤の評価は評論家筋からあまりは良く無い。これだけ、一般のジャズ者と評論家筋との評価が正反対のアルバムも珍しい。

ジャケットもかなり地味ですが、このスタンダーズのライブ盤、キースの「スタンダーズ」のライブ音源の中でも、僕にとっては一番の内容です。長く「ヘビロテ盤」として付き合っていける好盤、「スタンダーズ」のアルバムの中での「イチ押し」の一枚です。

 
 

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2016年11月11日 (金曜日)

ベース、ドラム入りのケルン

立冬を過ぎて、本格的に寒くなった。これだけ寒くなると、本格的なピアノ・トリオをじっくり聴くことが出来る。ということで、久し振りに、キース・ジャレットの「スタンダーズ」の聴き直しを再開した。さて、どこからだっけ。そうそう、この盤からでした。

Keith Jarrett『Changeless』(写真左)。「スタンダーズ」の1987年10月のライブ録音。1曲目が14日のデンバー、2曲目が11日のダラス、3曲目が9日のレキシントン、4曲目が12日のヒューストン。改めてパーソネルは、もちろん、Keith Jarrett (p), Gary Peacock (b), Jack DeJohnette (ds)。

この盤は、4曲全てがキースのオリジナル。スタンダーズのトリオで、キースのオリジナルを演奏しているのだ。これは1983年1月、ニューヨークでの録音の『Changes』と同じ趣向である。キースのオリジナル曲だけで固められた「即興要素」の強い、インプロビゼーションが中心のライブ盤である。
 

Changeless

 
「ベース、ドラム入りのケルン」という表現が良く似合う。キースのオリジナルばかりなので、その形容が更に信憑性を増す。逆に、ベース、ドラムが無くても、この盤の演奏は成立する。というか、無い方が良いくらいだ。即興演奏の塊である。それも、キースの個性満載の即興演奏。

ベース、ドラムもそれぞれ、テクニックの粋を尽くして、最高のパフォーマンスを繰り広げる。しかし、キースのオリジナル曲の即興演奏とは相容れ無い。三者三様、目指す方向は一緒なんだが、別々の道を歩んでいるような雰囲気。つまりは「スタンダーズ」は、キースのオリジナルをやる、のでは成立しない、と僕は思う。

ちなみに、この『Changeless』以降、キースのオリジナルで固めた即興演奏中心の所謂「ベース、ドラム入りのケルン」を演奏する「スタンダーズ」は封印される。やはり「スタンダーズ」はスタンダード曲を中心にインプロビゼーションするのが一番だ。

 
 

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2016年11月 9日 (水曜日)

こんなアルバムあったんや・70

寒くなった。今日は北風ビュービュー。今日はここ千葉県北西部地方では「木枯らし一号」が吹きました。とにかく寒い。そんな寒い日、こういうほのぼのとしたハードバップ盤に出会うと、なんか心が温かくなってホッとします。特に、トロンボーンの音は丸くて柔らかくて暖かい。寒くなってきたら、トロンボーンの音が恋しくなる時があります。そんな時に、この盤はジャズトミートです。

Kai Winding『Trombone Summit』(写真左)。1980年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Albert Mangelsdorff, Bill Watrous, Jiggs Whigham, Kai Winding (tb), Mads Vinding (b), Allan Ganley (ds), Horace Parlan (p)。タイトルどおり、トロンボーンがフロントに4本。バックのピアノ・トリオも渋い。

僕はこのアルバムの存在を最近知った。1980年の録音でMPSレーベルからのリリース。1980年と言えば、僕は「ジャズ者2年生」。でも当時、まだまだMPSレーベルのレコードは入手が困難だった。まず、MPSレーベルの存在は知ってはいたが、カタログの内容を全く知らない。1980年当時は、その存在を知らないのは当たり前。

最近になって、MPSレーベルのレコードが組織的にリイシューされる様になって、その一環でこのアルバムの存在を知った次第。トロンボーンがフロントに4本配備されているアルバムなので、まずこの盤は企画盤か、と警戒した。しかし、MPSレーベルのアルバムなので「日本の企画盤のようなことはないだろう」と思い返した。
 

Tronbone_summt1

 
で、聴いてみて納得。確かに「日本の企画盤のようなこと」は無かった。トロンボーン4本それぞれがテクニック優秀、歌心満載。加えて、バックのピアノ・トリオが優秀。マッズ・ヴィンディングのベースがブンブン唸りを立てて、ホレス・パーランの音数の少ない印象的なタッチが心地良く、アーラン・ガンリーのドラミングは堅実至極。

演奏のスタイルは「ハードバップ」。なんの捻りも無い、ストレートな「ハードバップ」である。ポップやファンキーを強調することも無い、モードな展開をすることも無い、コード中心の「シンプルなハードバップ」。1980年当時としては、全く古いスタイルかも知れない。でも、この盤の演奏メンバーは心から楽しむ様に、旧来の「ハードバップ」な展開を奏でている。

その潔さがとっても良い。トロンボーン4本を据えたジャズとしてアレンジも良好。最初「企画盤か」と尻込みしたことなんて全く何処吹く風。聴いていてとっても楽しい、聴いていてグッと味わいのある好盤です。この晩秋から初冬の季節に、心から暖まるジャズとしてお勧めです。

 
 

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2016年11月 8日 (火曜日)

忘れじのハンプトン・ホーズ盤

ジャズを40年以上聴いていて、暫く御無沙汰のアルバムが出てくる。前にいつ聴いたのか、覚えていない位、昔に聴いたアルバムを、ふとした切っ掛けで再び聴き返すチャンスが時にある。今回は、ちょうとApple  Musicを徘徊していて、このアルバムに再会した。

Hampton Hawes『The Sermon』(写真左)。1958年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Hampton Hawes (p), Leroy Vinnegar (b), Stan Levey (ds)。米国西海岸ジャズの名手が集うピアノ・トリオ。

端正で破綻の無い、軽快で明るいトリオ演奏。ホーズのピアノが良い音を出している。変にファンクネスを強調したり、ブルージーな雰囲気を意識して押し出したりしない。それぞれのスタンダード曲を、その曲の持つ旋律の雰囲気そのままに、捻り無くシンプルにピアノを弾いている。

あまりに癖の無いシンプルで自然なピアノなので、ジャズらしい癖のあるアドリブ・フレーズが希薄である。ややもすれば、イージーリスニング的なピアノ・トリオな雰囲気。ジャズ・ピアノをジャズとして聴くと、ちょっと物足りないかもしれない、端正で捻りの無いピアノ。
 

Hampton_hawes_the_sermon

 
事実、このアルバムは、録音されてから29年間、お蔵入りだったそうだ。ホーズの死後10年にして、ようやくリリースされた。このアルバムが録音されたのが1958年、ハードバップ全盛の時代に、これだけ端正で聴き易い、ファンクネスが希薄なイージーリスニング的なピアノ・トリオは「ちょっと失敗」なイメージだったのかもしれない。

飛んだり跳ねたりするビ・バップなジャズ・ピアノもいいですが、こういう捻り無くシンプルで聴き易いジャズ・ピアノも良いですよ。
 
ジャズとして聴けるかは、バッキングを司るベースとドラムの内容が鍵を握りますが、この盤は問題ありません。ロイ・ヴィネガーのベースもスタン・リーヴィーのドラムスについてはテクニック優秀、小粋なバッキングが印象的。

1980年代後半のリリースなので、ジャケットがあまりに平凡なのが玉に瑕ですね。このジャケットでは、恐らく、このハンプトン・ホーズのジャズ・ピアニストとしての力量を知らなければ、触手が伸びることは無いでしょうね。勿体ないことです。

 
 

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2016年11月 7日 (月曜日)

ネオ・バップなヴァイオリン

ヴァイオリン・ジャズは潰えそうで潰えない。衰退基調で、もはや希少価値かと思われた頃に、また新しいヴァイオリン・ジャズメンが現れる。レジェンドが亡くなっても、中堅どころが新しい展開を見せて、良作を量産したりする。細々とではあるが、ヴァイオリン・ジャズの歴史は永続的である。

1997年、ステファン・グラッペリが亡くなって、さすがに以降、ヴァイオリン・ジャズを聴く事も無いか、と思っていたら、このヴァイオリン・ジャズメンに出会った。Billy Bang(ビリー・バング)である。ビリー・バングは1947年生まれ、惜しくも2011年に亡くなった。享年63歳であった。

2011年に亡くなっているとは言え、このバングのヴァイオリン・ジャズは聴いたことが無い。まだこんな聴いたことの無いヴァイオリン・ジャズメンがいたんや、と思わずビックリした。そして、聴けば、かなり個性的なヴァイオリン・ジャズが展開されている。いやはや、ジャズメンの世界は裾野が広い。
 

Big_bang_theory

 
ビリー・バングは、オーネットやコルトレーンの影響を受けつつ、1970年代後半のロフトジャズ運動のあたりから活動を開始。Sun Raのバンドに参加するなどした後、ソロでフリージャズ的な作品を展開。1990年代以後、志向を変え、2011年、癌で亡くなるまで、ストレートなバップ・サウンドに取り組み良作を量産した。

このビリー・バングと僕はこのアルバムで出会った。Billy Bang『Big Bang Theory』(写真左)。2000年のリリース。ピアノ、ベース、ドラムとのカルテット編成によるバップ・アルバム。ストレートアヘッドで切れ味の良い演奏が素晴らしい。とりわけ、ヴァイオリンがバップしているところがミソ。ところどころ、フリーキーな要素も織り込んでいて、コンテンポラリーな雰囲気ムンムン。

めっちゃ硬派なヴァイオリン・ジャズだと思います。ヴァイオリン・ジャズって、ヴァイオリンの哀愁あふれる音を活かした、ちょっとマイナーでムーディーな、イージーリスニング・ジャズ的アプローチをどうしても想起してしまいがちですが、このビリー・バングの『Big Bang Theory』を聴くと、いやいやそんなことな無い、と思いますね〜。

 
 

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2016年11月 6日 (日曜日)

モントローズって知ってる?

先週の後半、帰阪していました。久し振りに高校時代の友人と語らい合っていると、当時、聴いていた音楽をふと思い出したりします。懐かしさにつられて、往き帰りの新幹線の中で、懐かしい盤を聴き込みました。今日はそんな中の2枚をご紹介。

米国のハードロック・バンドに「モントローズ(Montrose)」というバンドがありました。1970年代半ばに差し掛かる頃、ハードロックやプログレッシブ・ロックなど、ロックは英国主導。米国のロックはまだまだ、という時代。そんな中で、いきなりこの「モントローズ」が出現しました。

確か、1974年の冬だと記憶していますが、高校の映研の先輩Muさんが持ち込んだファーストアルバム『Montrose』(写真左)が最初の出会いです。邦題『ハード・ショック』、1973年の作品です。米国らしい、あっけらかんとした表裏の無い、ストレートなハードロックが見事でした。印象的なギターリフも満載で、このファースト盤は、当時の映研でヒットしました。

もともとこのバンド、セッション・ギタリストのロニー・モントローズを中心に結成されたバンドで、バンド名はリーダーのラストネームを取ったシンプルなもの。米国では大勢しませんでした。このデビュー盤の『Montrose』も全米133位と振るいませんでした。しかし、日本では意外と受けたようです。今でもこのモントローズというバンド名を懐かしく思い出す年配のロック者の方々が結構多くいます。
 

Montrose

 
このファースト盤は米国ハードロックの基本形としてもよいでしょう。この盤には、よくよく振り返って見れば、米国ハードロックのクラシック・ナンバーが何曲も収録されています。後の有名バンドに結構カバーされていて、彼らが如何に偉大な成果を残したか、がよく判ります。

僕はこのデビュー盤の『Montrose』と、ラストアルバムとなった4枚目の『Jump On It』(写真右)を良く聴きます。『Jump On It』は、ハードロック一辺倒のデビュー盤の雰囲気から、メロディアスな面、AORな面を少し織り込んで、ポップなハードロックに仕上がっています。爽快感が溢れ、ハードロックな面もしっかりとベースにあって、意外と印象に残る好盤です。この盤も全米118位と振るいませんでしたが、米国ハードロックの好盤だと思います。再評価が望まれますね。

この『Jump On It』、ジャケットがとっても印象的(笑)。デザインは、かのヒプノシスが担当しているんですが、女性の股間をアップにした写真を使用したもの。このジャケット見たさに、様々な友人達が映研の部室に来たもんです。

モントローズ。米国ではもしかしたらマイナーな存在かもしれませんが、日本では米国ハードロックの祖として、70年代ロック者を中心に「レジェンドなバンド」のひとつとして評価されています。日本人のロックの耳もなかなかなものだと、ちょっと胸を張れる「モントローズ」です。

 
 

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2016年11月 5日 (土曜日)

ジミ・ヘンのライブ音源・1

この木曜日から今日にかけて、16年ほど前に早逝した高校時代からの親友の墓参りで帰阪していました。2日ほどブログをお休みしました。今日再開です。

さて、高校時代からの親友達と再会して色々な話をしていると、当時、聴いていた音楽の話題にもなります。そういうことで、往き帰りの新幹線の中では、60〜70年代のロックを中心に、最近リリースされた音源を聴きこみました。

その1枚がこれ。Jimi Hendrix『Machine Gun : Live at the Fillmore East 12/31/1969(First Show)』(写真左)。つい先日、今年の9月末にリリースされた、ジミ・ヘンドリックスの未発表ライブ音源です。伝説の「1969年12月31日から1970年1月1日のフィルモアイーストのコンサート」の一部です。

オール黒人ミュージシャンによるバンド、Band Of Gypsys名義の演奏で、タイトできっちりまとまったパフォーマンスでちょっとビックリ。ジミのエレギだけだ突出して、バックの演奏はラフで未熟な演奏を想像していたので、この充実したバンド全体のライブ・パフォーマンスについては「目から鱗」状態です。
 

Jimi_hendrix_machine_gun

 
ジミのエレギも破綻が全く無い、ブルージーでジャジーなアドリブ・フレーズを淀みなく止めどなく弾き上げていきます。平凡なフレーズが全く無いのには驚くばかり。しかも整然としていてメリハリも効いて流麗、速弾きテクニックも優秀。ジミ・ヘンドリックスの伝説のエレギを余すこと無く体感できます。

今までのジミ・ヘンドリックスのパフォーマンスについては、音的にちょっと古い感じがしていたのですが、このライブ盤は違う。リマスターがバッチリ効いていて、Band of Gypsysのリズム&ビートが思いっきりタイトに響いて、充実かつ密度の濃いライブ・パフォーマンスに仕上がっています。そう、とにかく、今回のこのライブ盤は音が良い。

ExperienceからBand Of Gypsysへ移行。音世界も、ハードでサイケデリックなロックから、R&B・ファンクに軸足を移したものに変化している。そのR&B・ファンクに軸足を移した音世界が、この今回のライブ盤に詰まっている。ファンキーというよりは、ブルージーでジャジーに感じるこのジミ・ヘンドリックスのアドリブ・フレーズはなかなかに味わい深い。

今回の、1969年12月31日の初回公演を当時の曲順のまま初めて完全な形で収録したライブ音源。かなり濃い内容で、聴いて充実のライブ音源で「嬉しい不意打ち」でした。続編が楽しみです。

 
 

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2016年11月 2日 (水曜日)

Paul Jackson Jr.の初ソロ盤

スムース・ジャズって、ムーディーで耳当たりの良い響きがメインなので、どうにも、硬派なジャズ者の方々からは受けが悪い。でも、テクニック優秀、アレンジ優秀、歌心満載、アドリブ全開な内容となると、スムース・ジャズだって、意外と聴き応えがある。なかなか隅に置けないスムース・ジャズの好盤もあったりして、なかなか目が(耳が)離せない。

このアルバムなど、スムース・ジャズの好盤の一枚として、我がバーチャル音楽喫茶「松和」では時々選盤される。Paul Jackson Jr.『I Came to Play』(写真左)。1988年のリリース。ポール・ジャクソン・ジュニアのソロ・デビュー作。

とにかく器用なギタリストなので、あれもこれもと、とっちらかった雰囲気がするが、全編「しっかりと芯が入っていて太い」エレギの音で貫かれている。この印象的なエレギの音、ポール・ジャクソン・ジュニア独特の個性である。

ポール・ジャクソン・ジュニア(Paul Jackson Jr.)とは、1959年ロスアンジェルス生まれ、柔軟性を持つ有名セッション・ギタリスト。セッション・ギタリスト出身の、テクニック「バリバリ」+歌心「満載」+演奏の「幅が広い」ギタリスト。典型的なセッション・ギタリストで、その参加セッションの多さから「セッション王」と呼ばれることもある位である。
 

I_came_to_play

 
さて、このアルバム、内容的には典型的なスムース・ジャズ。様々なスタイルの演奏のてんこ盛りなのだが、このてんこ盛りな音楽性が、このポール・ジャクソン・ジュニアの特質である。但し「八方美人的」な雰囲気は全く無い。ポール・ジャクソン・ジュニアの個性的なエレギの音によって、一本筋の通った統一感がある。

彼はギターを弾きながら歌を歌うのですが、これがまた良い。味がある。この歌の存在が「スムース・ジャズ」である。女性シンガーが微妙に絡むところなんかも「スムース・ジャズ」。でも、ポール・ジャクソン・ジュニアの「しっかりと芯が入っていて太い」エレギの音のお陰で、アルバム全体の雰囲気が「甘くならない」。

ファンクネスも適度に漂っていて、リズム&ビートは打ち込み中心みたいなんですが、意外とジャジーな内容で聴いていて、スムース・ジャズっぽさは気にならない。まずは、ポール・ジャクソン・ジュニアのエレギを愛でて理解するに最適のアルバムだと思います。好盤です。

 
 

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2016年11月 1日 (火曜日)

ペテルブルク出身のピアニスト

いろいろとジャズの新盤を物色していると、予期せぬ新しいジャズメンに出会って、ホッコリと幸せな気分に浸ることがある。しかし、ジャズの世界は裾野が広い。40年間、ずっとジャズを聴いていても、どんどんと魅力的な新しいジャズメンが出てくる。一体誰が「ジャズは死んだ」なんて言ったんだ。

Misha Tsiganov『Spring Feelings』(写真左)。Misha Tsiganov =「ミシャ・シガノフ」と読むらしい。ロシアのサンクトペテルブルク出身のピアニスト。1989年にはロシアの有名レーベルMelodiyaでリーダー作を吹き込んでいるらしいから、ジャズ・ピアニストとしてのキャリアは長い。1990年代半ばからはニューヨークに拠点を移して活動を続けている。

この『Spring Feelings』というシガノフのリーダー作、2016年、今年の新盤になる。トランペットとテナーをフロントに据えた2管クインテット。シガノフのピアノのスタイルは「ポスト・バップ」。モーダルな展開をベースにした、コンテンポラリーな純ジャズである。ピアノのタッチや展開は「伝統的」。
 

Spring_feelings1

 
タッチは「溌剌」。切れ味良く、適度に耽美的。ハーモニーがちょっと哀愁を帯びていて、マイナー調な展開はグッと心に沁みる。端正な切れ味の良い展開と音の広がりを愛でる様な印象派的な展開との組合せ。他のピアニストにありそうでない、シガノフ独特の個性がこのリーダー作で聴いて取れる。

耳を傾けていると、何となく不思議な感じのスイング感に気がつく。結構、変拍子が多いのだ。いわゆる黒人のグルーブ感では無い。ファンクネス皆無の透明度の高いスイング感。欧州独特のスイング感が強く印象に残る。少し、後に引く哀愁感を含んだリズム&ビートが何とも良い雰囲気。サンクトペテルブルク出身というDNAがそういう雰囲気を醸し出させるのだろうか。

なかなか印象的な個性を持ったピアニストで、他のアルバムも是非聴いてみたいなあ、と思わせる魅力的なピアニストとの出会いです。アルバム・ジャケットは何とも平凡なものですが、これはまあ「ご愛嬌」ということで(笑)。Criss Crossレーベル、もう少し、ジャケットのデザインにも気を配って欲しいですね。でも、内容はなかなか。好盤です。

 
 

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