ながら聴きのジャズも良い・12
子供の頃から「ながら聴き」が好きだった。特に、中学時代にカセットテレコを買って貰って以来、家で勉強するにも読書をするにも、必ずBGMで音楽が流れていた。今でも「ながら聴き」が好きで、特にフュージョン・ジャズや70年代ロックが良い。
そんな「ながら聴き」、今週は久し振りにこんなアルバムを引きずり出した。Paul Desmond『Summertime』(写真左)。1969年のリリース。フュージョン・ジャズの先駆け、クロスオーバー・ジャズの老舗A&M/CTIレーベルからのリリースである。
もちろん、プロデューサーはCreed Taylor。バックを支えるミュージシャンの中には、若き日のハービー・ハンコックやヴァイブにマイク・マイニエリ、アレンジにドン・セベスキーが名を連ねている。
クリード・テイラー監修のクロスオーバー・ジャズものは「ながら聴き」によく合うものが多い。ジャズをベースに「イージーリスニング」風のアレンジを施した演奏は「聴き易さ」を優先したもの。演奏に対峙して聴き込むにはちょっと物足りない感じだが、演奏自体の内容は濃い。ジャズメンとして一流どころが演奏を担当しているので、基本的にテクニックが高く歌心もある。
そこが良い。そこが「ながら聴き」最適なのだ。チープな演奏だと「ながら」の傍ら、耳がイライラしてきて「ながら」どころでは無くなる。「ながら聴き」に必須の要素は、テクニックと歌心に裏打ちされた「高度な演奏」と「聴き易さ」なのだ。
そういう観点から聴くと、このPaul Desmond『Summertime』は「合格点」。リーダーのアルト・サックス奏者のポール・デスモンドのテクニックは高い。しかも、柔らかであるが芯に力強さを秘めた流麗なアルト・サックス。奏でる演奏内容は「イージーリスニング」風のアレンジを施したクロスオーバー・ジャズ。「聴き易さ」満点である。
さて、このアルバム、サンバあり、ビートルズのカバーあり、バリバリのジャズ・スタンダード曲あり、と収録された楽曲はごった煮なんだが、不思議な統一感で満たされてる。なんでやろ、と考えたら、ポール・デスモンドのアルトの音にあると感じた。ごった煮のそれぞれの曲の中で、デスモンドのアルト・サックスだけが一本筋が通っている。
そもそも、テクニック満点、歌心も満点、柔らかであるが芯に力強さを秘めた流麗なアルト・サックスである。このデスモンドのアルト・サックスをふんだんに愛でることがアルバムである。さすがはデスモンド、純ジャズだろうが、クロスオーバー・ジャズだろうが、イージーリスニング風のアレンジだろうが、そんなことでは「ぶれ」はしない。
そんなデスモンドのアルト・サックスの統一感が聴きもののこのアルバム。そういう意味で「ながら聴き」にも最適です。内容的にも、実に「A&M/CTIレーベル」らしい内容で、クロスオーバー・ジャズの好盤の一枚としてもお勧めです。
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