ジャジーなカーペンターズ曲集
この女性ジャズ・ボーカリストの新盤を聴きながら、もうあれから40年以上が経ったんやなあ、と感慨に耽ってしまった。あの頃といえば、1971年から1974年までの間、僕がまだ中学生の頃、親の転勤の為、岡山に住んでいた頃である。
米国のポップス・ヒット・チャートで猛威を振るっていた兄妹デュオ「カーペンターズ」。この猛威が日本にも上陸して、日本でもヒットし始めていた頃である。僕は1972年の冬、深夜ラジオで初めて、この「カーペンターズ」に出会った。その歌は「Top of the World」。素晴らしくポップで爽やかな楽曲で、即お気に入りとなった。
以降、僕の中学時代は、結構、カーペンターズの曲で埋められる。1973年の夏、とある銀行の独身寮から毎日のように聞こえてきた「Yesterday Once More」も懐かしい想い出だ。そんなカーペンターズの大ヒットの数々。そうあれからもう40年以上が経過しているのだ。
ということで、カーペンターズの楽曲については、ジャズの新スタンダード・ソングとなっても不思議では無い。そう思っていたら、こんなボーカル盤が出た。Nicki Parrott『Yesterday Once More 〜 The Carpenters Song Book』(写真左)。しっかりと副題に「カーペンターズ曲集」とある。
日本のビーナス・レコードからのリリース。ビーナス・レコードの「ハウス女性ボーカリスト」ニッキ・パロットに新盤である。 収録された曲を見れば、ズラリとカーペンターズの往年の大ヒット作が並んでいる。とくれば、どうやって、このカーペンターズの楽曲をジャズにアレンジし、ジャズ・ボーカル盤として成立させているのか。もう興味津々。
日本のレコード会社の企画盤なので、もしかしたら、旧来の平凡なありきたりな内容に陥っているのか、と不安におののきながら聴き通したが、どうしてなかなかの内容である。
アレンジもしっかりしていてフレッシュな印象、全体の雰囲気も現代ジャズとして十分に鑑賞に耐えるレベル。そんな鮮度の高い演奏をバックに、ニッキ・パロットが、これまた印象的な、柔らかで爽快感あふれるボーカルで唄い上げていく。
オリジナルのカーペンターズと比較するのは野暮ではあるが、このニッキ・パロットのカーペンターズ・トリビュート盤は、ニッキ・パロットの個性を活かして、洒落たアレンジ共々、なかなか善戦している。カフェ・ミュージック風のサラッとした、ライトなジャズ・ボーカルのイメージでまとめ上げたところが良い感じなのだ。
ビーナス・レコードの宣伝文句にこうある。「私はいつもカーペンターズの音楽が好きだったし、カレンの歌声を愛しているの。彼らの曲の数々は時代を超えていると思う。だから私も歌ってゆきたいの……」 ニッキ・パロット 。なるほど。
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