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2016年10月の記事

2016年10月31日 (月曜日)

秋深まる季節にボサノバ・ジャズ

この秋深まる季節に「ボサノバ・ジャズは合わないよな」と思うのは性急ではある。確かに、この秋真っ只中の季節、朝と夜はちょっと寒い。寒い中で聴くボサノバ・ジャズは「殺風景」である。軽妙洒脱のリズム&ビートが寒々と感じる。

しかし、である。この秋深まる季節、ちょっと暖かな「小春日和」な昼下がり、ホンワカ暖かい部屋の中で、ブラック珈琲を傾けながら聴くボサノバ・ジャズは、意外に「オツなもの」である。昼ご飯をお腹いっぱい食べた後、ちょっと眠くなってきて微睡みながら聴くボサノバ・ジャズは、一時の「至福の時」である(笑)。

微睡みながら聴くボサノバ・ジャズは、微睡みの「至福の時」を妨げる様な、難しい演奏はいけない、複雑な演奏もいけない。イージーリスニング一歩手前の、ほとんどイージーリスニングでも良い、聴いていて心地良い、難しいことを考えず、聴く耳をそばだてることも無い、聴き心地がライトでシンプルなボサノバ・ジャズが良い。

そんな聴き心地がライトでシンプルなボサノバ・ジャズ盤を選盤する。Laurindo Almeida『Guitar From Ipanema』(写真左)。1964年の作品。ローリンド・アルメイダは、1917年生まれのブラジルのギタリスト。惜しくも1995年7月逝去しました。アルメイダは、生粋のボサノバ系ギタリストというよりは、ボサノバ・ジャズ系のギタリストという印象が強い。テクニックはかなり高く、聴いていて爽快かつ深みのあるギター。
 

Guitar_from_ipanema

 
ジャック・マーシャルの口笛をフィーチャーしているのが面白い。口笛をフィーチャーすれば、もはやこれは純ジャズでは無いだろう。しかし、このジャック・マーシャルの口笛が心地良い。「The Girl From Ipanema」の口笛の気持ちよさ、「 Old Guitaron」のボーカルの愛らしさ。

とにかく全編に渡ってユルユルの緩さ。この緩さが堪らなく心地良い。ボサノバのリズム&ビートは純正で、ボサノバ・ジャズ独特のライトさと心地良さ満点。メインストリーム・ジャズとは対極の「ユルユル」イージーリスニングなジャズである。
 
硬派なジャズ者の方々からすると「けしからん」ボサノバ・ジャズ盤でしょう。でも、そういう時は、この盤はイージーリスニング盤と解釈して耳を傾けていただければ、と思います。

ジャケットも全くジャズらしからぬ「ユルユルさ」。でも、この緩さが堪らない。この秋深まる季節、ちょっと暖かな「小春日和」な昼下がり、ホンワカ暖かい部屋の中で、ブラック珈琲を傾けながら聴くボサノバ・ジャズは、意外に「オツなもの」。固いこと抜きで、この盤に詰まっている、聴き心地がライトでシンプルなボサノバ・ジャズを楽しみましょう。

 
 

震災から5年7ヶ月。決して忘れない。まだ5年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2016年10月30日 (日曜日)

ハードバップの萌芽の記録

小川隆夫さんの『マイルス・デイヴィスが語ったすべてのこと——マイルス・スピークス』を読んでいる。以前より、ジャズの関連本は一通り目を通すようにしている。ジャズの関連本からは、音を聴くだけでは判らない、そのミュージシャンの背景、考え方が理解出来たり、そのアルバムの内容や時代毎のジャズのトレンドに関する知識などの「情報」を入手することが出来る。

小川隆夫さんのジャズに関する本はどれも読んでいて楽しい。特にマイルスに関するものは、どれもが含蓄に富んでいる。マイルスに関する書籍については、小川さんの著書が一番だ。客観的にマイルスを分析し、ある時は一ファンとしてマイルスを語る。特に、いかなるジャズメンに対しても、リスペクトの念を忘れないところに共感を覚える。

当然、読みながらのBGMは「マイルス」である。今日は久し振りに、Miles Davis『Dig』(写真左)を聴く。1951年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), Jackie McLean (as), Sonny Rollins (ts), Walter Bishop, Jr. (p), Tommy Potter (b), Art Blakey (ds)。まだ、マイルスがメンバー固定の自前のバンドを持つ前の頃の録音。

このアルバムに記録されたセッションは「ハードバップの萌芽」を記録したものとされる。1951年と言えば、まだジャズの演奏のトレンドは「ビ・バップ」。ビ・バップは、最初に決まったテーマ部分を演奏した後、コード進行に沿った形でありながらも、自由な即興演奏(アドリブ)を順番に行う形式が主となる。テクニック優先のアドリブ芸を競うことが最優先とされた。

しかし、これでは演奏のメロディーや旋律の展開を楽しめない。いわゆる鑑賞音楽としてアーティステックな切り口を有しつつ、ポップス音楽として、多くの人々にも聴いてもらいたい。そういう欲求を踏まえて、ビ・バップの後を継ぐトレンドとして、ハードバップが定着した。つまりは、ハード・バップにはビ・バップの自由さとリズム&ブルースが持つ大衆性の両方が共存しているという訳。
 

Miles_davis_dig

 
確かにそういう情報を基に、このマイルスの『Dig』を聴くと、なるほどなあ、と思う。1951年言えば、まだジャズのトレンドは「ビ・バップ」。そんな時代背景の中、この『Dig』の演奏は、確かにビ・バップでは無い。ビ・バップよりロングプレイなアドリブ展開の中に、旋律がもたらす雰囲気・味わいをしっかり織り込もうとしていることが良く判る。

ビ・バップよりも音数を少なくして、旋律がもたらす雰囲気・味わいを感じ取れる様にしつつ、テクニックは高度なものを要求するフレーズを紡ぎ出す。いきおいアドリブ部の演奏の長さは長くなる。そのロングプレイの中で、芸術性溢れるフレーズを展開為なければならない。テクニックと音楽の知識をしっかり持ったジャズメンでないと太刀打ち出来ない。

この『Dig』の演奏では、そんなハードバップのコンセプトを一生懸命に「実験」しているジャズメン達の様子がしっかりと記録されている様に感じる。なるほど、このアルバムに記録されたセッションが「ハードバップの萌芽」を記録したものとされる所以である。

さすがは「ジャズの革新性」を重んじるマイルス。既に1951年にして、ハードバップなコンセプトにチャレンジしている。もう一つのハードバップの萌芽の記録とされる、ブルーノートの名盤『A Night at Birdland』のライブ録音が1954年だから、如何にマイルスが先進性に優れていたか、が良く判る。僕はそういうマイルスが大好きだ。

 
 

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2016年10月29日 (土曜日)

ジャジーなカーペンターズ曲集

この女性ジャズ・ボーカリストの新盤を聴きながら、もうあれから40年以上が経ったんやなあ、と感慨に耽ってしまった。あの頃といえば、1971年から1974年までの間、僕がまだ中学生の頃、親の転勤の為、岡山に住んでいた頃である。

米国のポップス・ヒット・チャートで猛威を振るっていた兄妹デュオ「カーペンターズ」。この猛威が日本にも上陸して、日本でもヒットし始めていた頃である。僕は1972年の冬、深夜ラジオで初めて、この「カーペンターズ」に出会った。その歌は「Top of the World」。素晴らしくポップで爽やかな楽曲で、即お気に入りとなった。

以降、僕の中学時代は、結構、カーペンターズの曲で埋められる。1973年の夏、とある銀行の独身寮から毎日のように聞こえてきた「Yesterday Once More」も懐かしい想い出だ。そんなカーペンターズの大ヒットの数々。そうあれからもう40年以上が経過しているのだ。

ということで、カーペンターズの楽曲については、ジャズの新スタンダード・ソングとなっても不思議では無い。そう思っていたら、こんなボーカル盤が出た。Nicki Parrott『Yesterday Once More 〜 The Carpenters Song Book』(写真左)。しっかりと副題に「カーペンターズ曲集」とある。
 

Nicki_yesterday_once_more

 
日本のビーナス・レコードからのリリース。ビーナス・レコードの「ハウス女性ボーカリスト」ニッキ・パロットに新盤である。 収録された曲を見れば、ズラリとカーペンターズの往年の大ヒット作が並んでいる。とくれば、どうやって、このカーペンターズの楽曲をジャズにアレンジし、ジャズ・ボーカル盤として成立させているのか。もう興味津々。

日本のレコード会社の企画盤なので、もしかしたら、旧来の平凡なありきたりな内容に陥っているのか、と不安におののきながら聴き通したが、どうしてなかなかの内容である。
 
アレンジもしっかりしていてフレッシュな印象、全体の雰囲気も現代ジャズとして十分に鑑賞に耐えるレベル。そんな鮮度の高い演奏をバックに、ニッキ・パロットが、これまた印象的な、柔らかで爽快感あふれるボーカルで唄い上げていく。

オリジナルのカーペンターズと比較するのは野暮ではあるが、このニッキ・パロットのカーペンターズ・トリビュート盤は、ニッキ・パロットの個性を活かして、洒落たアレンジ共々、なかなか善戦している。カフェ・ミュージック風のサラッとした、ライトなジャズ・ボーカルのイメージでまとめ上げたところが良い感じなのだ。

ビーナス・レコードの宣伝文句にこうある。「私はいつもカーペンターズの音楽が好きだったし、カレンの歌声を愛しているの。彼らの曲の数々は時代を超えていると思う。だから私も歌ってゆきたいの……」 ニッキ・パロット 。なるほど。

 
 

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2016年10月28日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・93

ジャズ者を40年以上やっているのだが、ジャズ者になった時から、マイルス・デイヴィスが大好きである。とにかく、ジャズ者になってから、ずっと機会があるごとにマイルスを聴いてきた様な気がする。もはやマイルス無しでは、ジャズ者としての生活は語れない状態であり、暫くマイルスを聴かないと「マイルス禁断症状」が出てくる(笑)。

で、最近、マイルスと御無沙汰で、ちゃっかり「マイルス禁断症状」が出てきたので、慌ててマイルス盤を選盤する。若き日のマイルスを選盤。珍しいマイルスのワンホーン盤である。

Miles Davis『The Musings of Miles』(写真左)。プレスティッジの7007番。1955年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), Red Garland (p), Oscar Pettiford (b), Philly Joe Jones (ds)。

1950年代マイルスの黄金のクインテットのメンバー、ピアノのガーランドとドラムのフィリージョーの名が見える。実はまだこのアルバムの録音時点では、あの伝説の1950年代マイルスの黄金のクインテットのメンバーとして、マイルスと長くやっていく事をまだ知らない。しかし、この二人とマイルスとの相性は既に抜群。

不思議なことに、マイルスについては、マイルスのトランペット、ワンホーンのアルバムが少ない。というか、ほとんど無い。というか、この『The Musings of Miles』のみではないか、と思う。実際、マイルスが公式に録音したリーダーアルバムの中では、唯一のワンホーンカルテット作品。
 

The_musings_of_miles

 
で、これが「良い」。マイルスはワンホーンの時にはワンホーンとして、マイルスのトランペットが一番クールで、一番格好良く聴こえる様に吹く。そして、アレンジも同様。マイルスのトランペットが一番クールで、一番格好良く聴こえる様なアレンジが施されている。

加えて、ワンホーンならではの「効果的なアドリブ・フレーズ」「印象的なアドリブ・フレーズ」が満載。もうマイルスだけが目立ってしまう、マイルスだけが印象に残るイメージ。さすが「我らがマイルス」である。素晴らしい、実に素晴らしい。

なぜか世間では評価が低いアルバムである。が、マイルス者からすると、結構、このアルバム、ポイントが高いのではないか。マイルスとして珍しいワンホーン盤で、マイルスの個性、マイルスの演奏の意図が手に取るように判る。マイルスの考え方が結構読み取れる。そんな「マイルス者にとってマストアイテム」な盤である。

上品で豊かで心地良い音色。ひたすらスイングし、ひたすら唄う様にアドリブ・フレーズを紡ぎ上げていく。マイルスのトランペットのベーシックな姿。マイルスの個性の判り易いサンプル。このマイルスの唯一のワンホーンは「マイルス者の我々にとって宝のアルバム」。

 
 

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2016年10月27日 (木曜日)

今年のロバーノのライブ盤が良い

今年の新盤であるが、一聴して、これがなかないの内容で、思わす速報である(笑)。今年の7月のブルーノート・レーベルからリリースされたライブ盤である。これが、内容良し、音良しの好盤なのだ。

そのライブ盤とは、Joe Lovano Quartet『Classic! Live at Newport』(写真左)。2005年8月14日、ニューポート・ジャズ・フェスティバルでのライブ録音。 ちなみにパーソネルは、Joe Lovano (ts), Hank Jones (p), George Mraz (b), Lewis Nash (ds)。錚々たるメンバー、ズラリ、レジェンドが名を連ねる。

まず、このパーソネルを見れば、そのライブの内容が悪いはずが無い。充実のライブ盤である。主役のジョー・ロバーノのテナーは絶好調。これだけ吹きこなすロバーノはなかなか他では聴かれない。しかも、少し歪んだロバーノ独特のテナーの音色については、このライブ盤で強く感じることが出来る。ロバーノのテナーの個性はこれだ、と判る、ロバーノ入門盤として良い内容だ。

ジャケットはちょっとジャズらしく無いのですが、一応、ニューポートの海岸風景のようです。あまり気にしないでおきましょう。
 

Joe_lovano_classic

 
バックのピアノ・トリオも充実のパフォーマンス。伴奏に回った時の燻し銀の様な、渋いバッキングが相変わらずのハンク・ジョーンズ。とにかく典雅であり、とにかく粋だ。間合いは絶妙、アドリブ・ラインは流麗。そして、その底に横たわるファンクネス。素晴らしいピアノだ。

ベースのジョージ・ムラーツも素晴らしいベースを聴かせてくれる。鋼の様にしなやかで骨太なウォーキング・ベース。ソリッドの心地良くブンブン唸る。そして、ルイス・ナッシュのドラムが実に堅実。このライブ演奏をしっかりと整え、しっかりと支える。ナッシュのドラミングが、このライブ演奏の底をガッチリと支えている。

レジェンド達のモーダルなジャズなんだが決して古く無い。逆に新しいインスピレーション、新しい展開が感じられる。それが素晴らしい。決して懐古趣味に走らない、あくまで自らのジャズを前進させるレジェンド達の心意気が素晴らしい。

 
 

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2016年10月26日 (水曜日)

こんなアルバムあったんや・69

こういう音源がいきなり「コロッ」と出てくるから、ジャズは隅に置けない。必ず、ジャズ情報誌やネットでのジャズCDのリリース情報、それも国内だけでは無く、米国やドイツなど、海外の情報もしっかりとチェックしておく必要がある。

Barney Kessel『Live At The Jazz Mill』(写真左)。今年いきなり、こんな「未発表音源」がリリースされた。ジャズ・ギターのレジェンドの一人、バーニー・ケッセルのライブ音源。1954年の録音。当時ジャック・ミラーというジャズ・ファンがテープ・レコーダーに残していたもの。

ちなみにパーソネルは、Barney Kessel (g), Pete Jolly (p), Gene Stoffell (b), Art Kile (ds)。米国西海岸のジャズメン中心のチョイスと見える。まだ、時代は1954年。ハードバップの萌芽期。バックのリズム・セクションは、ビ・バップの「リズム&ビートを刻み続ける役割」を忠実に果たしている。
 

Barney_kessel_live_at_the_jazz_mill

 
このライブ盤では、明確にギターのバーニー・ケッセルだけが突出している。テープ・レコーダーでの録音なので、音は中の下程度。ちょっと「もやって」いて、音の輪郭もぼけている。それでも、ケッセルの弾き出すアドリブ・フレーズは迫力満点。音はイマイチではあるが、これだけケッセル節を楽しめる盤はなかなか無い。

バーニー・ケッセルのギターは、チャーリー・クリスチャンの延長線上にある、とジョンスコは言った。このライブ盤の高速アドリブ・フレーズを聴きながら、そんなジョンスコの「ケッセル評」を思い出した。確かに、ケッセルのギターの基本は「ビ・バップ」。しかし、その「ビ・バップ」に留まらない、イマージネーションと展開の妙を演奏のそこかしこに感じる。

Arizona州 Phoenixのライブ・ハウス「The Jazz Mill」での私蔵ライブ音源。音は「イマイチ」だが、ケッセル節は堪能できる、そんなジャズ者中級盤。ジャケットもオールディーズな雰囲気で「マル」。久し振りに「ケッセル節」を堪能させてもらいました。

 
 

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2016年10月25日 (火曜日)

インパルス!の最初の一枚目

若い頃、ジャズ者初心者の頃から、インパルス!レコード(Impulse! Records)がなんとなく好きである。このレーベルは、かのフュージョン・ジャズの仕掛け人の一人、クリード・テイラーによって1960年に設立されたジャズレーベルである。

まず、ジャケットが良い。見開きのジャケットで、黒とオレンジ色で統一されたデザインが特徴的。紙の厚みもあって重厚、コーティングも上等で、その光沢がお洒落。そして音が良い。ブルーノート・レーベルの録音技師で有名な、ルディ・ヴァン・ゲルダーがサウンド・エンジニアをしている。インパルス!レコードの音には独特の個性がある。聴いていて「あっこれは、インパルス!やな」と判る。

アルバムの内容には、しっかりとした統一感がある。ジャズのその時点でのトレンドをしっかりと押さえ、旬の音を捉える。インパルス!のジャズの音はどれもが新しい。プロデュースがしっかりしているのだ。多くのアルバムはボブ・シールによりプロデュースされている。なるほど、ボブ・シールの仕業か。納得。

そんなインパルス!レコードのアルバムをカタログの順に聴き直している。まずは、Impulse! 9000 seriesからだろう。最初の1枚目(A-1)は、Kai Winding & J.J. Johnson『The Great Kai And J.J.』(写真左)。1960年10月、11月の録音になる。

ちなみにパーソネルは、J. J. Johnson, Kai Winding (tb), Bill Evans (p), Paul Chambers (tracks 1, 3, 6, 7) ; Tommy Williams (tracks 2, 4, 5 & 8-11) - (b), Roy Haynes (tracks 1, 3, 6, 7) ; Art Taylor (tracks 2, 4, 5 & 8-11) - (ds)。当時として、なかなか充実の布陣である。パーソネルの選定にも気を配っていることが感じ取れる。
 

The_great_kai_jj

 
カイ・ウィンディングとJ.J.ジョンソン、二人の一流トロンボーン奏者の双頭リーダー盤である。二人の一流トロンボーン奏者の双頭リーダー盤なので、競演バトルが繰り広げられるのか、と思いきや、そうはならない。録音年は1960年。ジャズが鑑賞音楽としてのポジションを獲得しつつある時代である。

この盤の音世界は、一言で言うと「お洒落で聴き流しに最適」。ほどよくアレンジされて、カイ・ウィンディングとJ.J.ジョンソン、二人の一流トロンボーン奏者のユニゾン&ハーモニー、チェイス、アドリブ交換、どれもがとても心地良い響きを持って展開される。アドリブ・フレーズですら流麗で、これも事前にアレンジされているのでは、と勘ぐってしまう位な「お洒落度合いの高さ」。

曲によっては、その流麗さにブレーキがかかって「オヨヨ」と前のめりになるが、これはアレンジ・ミスが原因で、二人の一流トロンボーン奏者の問題では無い。二人の一流トロンボーン奏者はどちらも、この盤ではご機嫌なプレイを聴かせてくれる。

ピアノにビル・エバンスの名が見えるが、この盤では特に目立ったプレイを展開している訳では無い。あまり個性を前面に押し出しておらず、平均点なピアノに落ち着く。逆に、ベース、ドラムは、曲によってそれぞれ二人のプレーヤーが分担しているが、いずれもなかなか粋なサポートを繰り出していて、聴いていて楽しい。

お洒落な聴き流しが最適なトロンボーン盤である。トロンボーンのほのぼのとした、伸びやかなトーンをベースに、聴いていて、なんか優しい、聴いていて、なんか心温まる音世界が実に心地良い。とにかく、当時としてアレンジが新しい。鑑賞音楽としてのジャズが根付いてきたんやなあ、ということが追体験できる好盤である。

 
 

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2016年10月23日 (日曜日)

ミルトのプレスティッジ好盤

プレスティッジ・レーベルの聴き直しを始めた。プレスティッジ・レーベルとは、1949年にプロデューサーのボブ・ウェインストック(Bob Weinstock)によって設立されたアメリカ合衆国のジャズ・レコード会社。ブルーノート、リヴァーサイドと並んでモダン・ジャズ3大レーベルの一つである。

レーベルのオーナのボブ・ウェインストックはジャズをビジネスとしか捉えておらず、ブルーノートやリヴァーサイドの様な、アルバム制作に関してのポリシーが希薄。従って、アルバムの出来不出来は、録音時のジャズメンの志や調子に大きく左右され、内容的に素晴らしい好盤もあるが、とんでもない駄作も存在する。その辺りが聴き直しをする上でスリリングではある(笑)。

プレスティッジは、7000番台から7800番台までが主要なアルバム。多作ではある。とりあえず、まずは7000番台である。1954年〜1957年の録音が中心。ハードバップ初期からハードバップが隆盛を極めるまでの過程が聴ける。

今日の選盤は『Milt Jackson Quartet』(写真左)。PRLP7003番になる。1955年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), Horace Silver (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。プレスティッジにしては珍しく、単一日のセッションのみで構成されている。
 

Milt_jackson_quartet_7003

 
単一日のセッション、固定されたカルテットメンバーのみの演奏で構成されているので、アルバム全体の音に統一感があって、アルバム全体の品位を高めている。1955年の録音。ミルト・ジャクソンが、モダン・ジャズ・カルテットの一員として本格的に活動する前の録音であり、ミルト・ジャクソンのヴァイブの本質と個性が良く判る内容になっている。

思いっきりファンキーなピアニスト、ホレス・シルバーがピアノを担当しているのが理由なのか、ミルト・ジャクソンのヴァイブは、ファンクネスを押さえた、適度に洗練された、透明度の高い音になっているのが面白い。ミルトはソロになるとファンクネスを放出するなんて言われることがあるが、それは時と場合によるのだろう。

総収録時間が30分ちょっとと収録時間が短いのが玉に瑕ではあるが、この盤には、若き日のミルト・ジャクソンの清々しく爽快なヴァイブが詰まっている。ミルトのヴァイブの個性を確かめ、楽しむには格好のアルバムである。

なんともチープなアルバム・ジャケットがこのアルバムの印象を平凡なものにしている。プレスティッジ・レーベルによくありがちな、やっつけ仕事なジャケット。いわゆる「ジャケ買い」が通用しないプレスティッジ・レーベルである。

 
 

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2016年10月22日 (土曜日)

マル晩年のソロ・ピアノ盤です

秋である。やっと気温も落ち着いた様で、秋たけなわの気温、湿度に落ち着いた感がある。加えて、知らないうちに日が短くなった。ここ千葉県北西部地方では、夕方の6時になればもう辺りは暗い。肌寒くなるわ、湿度は低くなるわ、日は短くなるわ、で物寂しいこと限りなし、である。

そんな物寂しい「秋の夜長」、久し振りにジャズ・ピアノのソロ盤にじっくりと耳を傾ける。秋の夜長は室温もほど良く、世の中の喧噪も落ち着いて静かである。そんな空気の中、ピアノ・ソロのパフォーマンスは耳に沁みる。

ピアノ・ソロ盤というと「キース・ジャレット」となるが、それではあまりに「工夫が無い」。あまりに当たり前のチョイスは、どうにもいけない。何かちょっと捻りが効いたピアノ・ソロ盤は無いか、と探していてチョイスした盤がこれである。

そのタイトルはずばり『Mal Waldron』(写真左)。2003年2月のリリース。マルと最後の7年をすごした「3361*BLACKレーベル」の伊藤秀治氏が、自ら所有する音源で構成した未発表ソロ。1995〜99年の間に録音されたソロ・パフォーマンスからの選曲。2002年12月に逝去したマル追悼として、この盤はリリースされた。

選曲を見渡せば、マルの「おはこ」が、ズラリ揃えられている。マルのピアノの個性といえば、かなり特徴的なピアノで、一聴すれば直ぐに判るほどである。
 

Mal_waldron_solo

 
ガンゴンと硬質なタッチに、不協和音中心のおどろおどろしい旋律が前衛っぽく響く。硬質なテンション高い速弾きのフラグメンツ。突然響く、セロニアス・モンクを彷彿とさせる不協和音のブレイク。幾何学模様のような、スクエアに展開する硬派なアドリブ。現代音楽を想起させる、ちょっと取っ付き難い、硬い頑固なピアノだが、底に流れるブルージーな雰囲気が、明らかに「ジャズ」を感じさせる。

しかし、そんな硬質で尖った、ちょっと取っ付き難い、硬い頑固なタッチが、ちょっと優しく穏やかなイメージに変わっている。基本的には硬い頑固なタッチではあるけれど、ちょっと柔らかで暖かな雰囲気が漂っていて、聴いていてとても心地良い。

晩年の録音であること、そして、録音したスタジオが山中湖湖畔のペンションのスタジオであることから、恐らく、適度にリラックスして、穏やかな精神状態の中でのパフォーマンスに至ったのではないか、と睨んでいる。マルのピアノ・ソロのベスト・パフォーマンスのひとつとして良いかと思う。

良いピアノ・ソロ盤です。録音状態も良好で、オーディオ的にもお勧めの一枚。優しく穏やかなマル・ウォルドロンのピアノを体感できる好盤です。

 
 

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2016年10月20日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・92

米国西海岸ジャズ(ウエストコースト・ジャズ)は馴染みが無かった。というか、僕がジャズを聴き始めた頃、1970年代後半、日本は東海岸の黒人ジャズ一辺倒。そして、フュージョン・ジャズの大ブーム。米国西海岸ジャズのアルバムなんて、通常のレコード屋には全く置いてなかった。

1991年の事であった、と記憶している。『スイングジャーナル・プレゼンツ〜ザ・ウエスト・コースト・ジャズ』なるオムニバスCD盤が発売された。タイトル通り、もちろん、老舗ジャズ雑誌スイング・ジャーナルの記事とのタイアップである。僕は、このオムニバスCD盤を通じて、初めて、米国西海岸ジャズにまともに触れた。

さて、僕はこのアルバムの良さが判らなかった。初めて聴いたのが1980年。例の「秘密の喫茶店」で聴かせてもらった。ほどよく、優れたアレンジに乗った、白人のジャズだということは感じ取れた。理路整然としていて破綻が無い。クールで爽快。東海岸ジャズを聴き馴れた耳には、何故か物足りない、と感じた。若さ故の過ちであった。

そのアルバムとは『Quartet: Russ Freeman/Chet Baker』(写真)。1956年11月の録音。真っ赤なバックに、チェット・ベイカーとラス・フリーマンの線画のイラストがとってもお洒落な盤である。この素晴らしい好盤が、1980年、ジャズを聴き始めて3年目の耳には、物足りない、と聴こえたのである。あぁ、穴があったら入りたい(笑)。

今の耳には、そんなことは全く無い。このアルバムは演奏的には、西海岸ジャズらしからぬ、硬派で尖った切れ味鋭いもの。アレンジが効いた聴き心地の良い、ライトなジャズでは全く無い。東海岸ジャズ顔負けの切れ味の鋭いアドリブ・プレイ。豪快な展開。これが米国西海岸ジャズなのか、と思わず、パーソネルを再確認してしまう。
 

Quartet_russ_freeman_chet_baker

 
そのパーソネルは、Chet Baker (tp), Russ Freeman (p), Leroy Vinnegar (b), Shelly Manne (ds)。う〜ん、米国西海岸ジャズの名うての名手達が集結したカルテット構成。う〜ん、なんと素晴らしい布陣であろうか。

チェットのトランペットが凄い。マイルス顔負け。というか、音色はマイルスそっくり。しかし、切れ味と迫力という点ではマイルスを凌駕する。若さ「はち切れん」ばかりのブリリアントさ。人気という面でマイルスと双璧と謳われたチェット・ベーカーがこの盤に「いた」。チェットの伝説的な「トランペットの凄さ」が体感できる。

ラス・フリーマンのピアノも良い。こんなに多弁に弾きまくるピアニストとは思わなかった。ビ・バップのように多弁であるが、音の選択、音の展開が理知的で理路戦前としている。そこが東海岸ジャズのピアニストとは異なる。豪快に弾き回していても、お洒落な感覚は変わらない。これぞ、米国西海岸ジャズのピアノである。

そして、もう一つ。ラス・フリーマンのアレンジが良い。米国西海岸ジャズの面目躍如。このフリーマンの優れたアレンジがあるからこそ、このアルバムの中の演奏の全てが映える。アレンジされたジャズなんて、というジャズ者の方々がいるが、それは違う。アレンジもジャズのテクニック、じゃず演奏の必須要素の一つである。

ジャケット良し、演奏良し、音良し。揃いも揃った三拍子。好盤です。米国西海岸ジャズを感じるのにうってつけ、米国西海岸ジャズの入門盤としても最適な「好盤中の好盤」です。

 
 

震災から5年7ヶ月。決して忘れない。まだ5年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2016年10月19日 (水曜日)

世界一ソウルフルなギタリスト

う〜ん、このアルバム・ジャケットは印象深い(笑)。最初見た時は、何のアルバムなんや、と思いっきり思った。でも、フュージョン・ジャズ全盛時代、このアルバム・ジャケットは我々の間では人気があったなあ(笑)。

で、このアルバムは何か。David T. Walker『On Love』(写真左)。1976年のリリースになる。デヴィッド・T.ウォーカーとは誰か。ソウル、R&B、フュージョンなど、それぞれのジャンルで有名なギタリストである。

よくよく調べてみると、マーヴィン・ゲイ、スティーヴィー・ワンダー、ジャクソン5、マイケル・ジャクソン、クインシー・ジョーンズ、ダイアナ・ロス、キャロル・キングらのアルバムのクレジットに名を連ねている。モータウン黄金期を支えた世界一ソウルフルなギタリスト、とされる。

柔らかなタッチと流麗なオブリガードが印象的。繰り出すリフも一級品。よくよく聴くと、確かにどこかで聴いたギターである。中学生の頃から、モータウン好きだったので、このデヴィッド・T.ウォーカーのギターをフュージョン・ジャズとして聴いた時、どっかで聴いた音やなあ、フレーズやなあ、と思った。
 

On_love1

 
確か、デイヴィッドがギターとして参加したヒット曲には、ジャクソン5の帰ってほしいの(I Want You Back)、ABC、アイル・ビー・ゼア(I'll Be There)などがあるとのこと。そうか、そうか、ジャクソン5かあ。あのギターか。うんうん、そうそう、なるほどね〜。

さて、この『On Love』、デヴィッド・T.ウォーカーのギターが印象的で、上質のフュージョン・ジャズ盤に仕上がっている。アーバンでソフト&メロウなフュージョン・ギター。アドリブ・フレーズのグルーブ感が堪らない。趣味の良いファンクネスが小粋。ストリングスもアレンジが秀逸でとても美しい。

パーソネルを見渡すと、ベースがチャック・レイニーで、粘りのある硬質な響きが演奏全体の雰囲気をグッと引き締めている。それ以外の参加ミュージシャンは、意外と無名のスタジオ・ミュージシャンで固められているが、演奏の内容は一級品。当時の米国のスタジオ・ミュージシャンって凄いなあ、って単純に感心する。

アーバンでソフト&メロウなフュージョン・ジャズの好盤です。デヴィッド・T.ウォーカーって、意外と日本ではポピュラーな存在では無いのですが(これがまた不思議)、この『On Love』を聴けば、飛び切り素晴らしいフュージョン・ギタリストであることを再認識すること請け合いです。

 
 

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2016年10月18日 (火曜日)

こんなアルバムあったんや・68

僕はこの盤の存在を暫くの間、知らなかった。ジャズを聴き始めて20年経って、世の中が21世紀になった頃、この盤の存在を知った。二人のベテラン・サックス奏者の競演。ジャケットを見ても「これは渋い」と思わず唸りたくなる。見るからにハードバップな出で立ち。聴いてビックリ「こんなアルバムあったんや」。

Gene Ammons & Sonny Stitt『Boss Tenors』(写真左)。ジャケットにもあるが、1961年8月、シカゴでの録音。ちなみにパーソネルは、Gene Ammons (ts), Sonny Stitt (ts, as), John Houston (p), Buster Williams (b), George Brown (ds)。リズム・セクションが渋い。超有名なメンバーではないが、出てくる音は堅調そのもの。

そんな堅調なリズム・セクションをバックに、ボス・テナーの二人、ジーン・アモンズ(写真右)とソニー・スティットが思いっきり吹きまくる。恐らく、向って右がジーン・アモンズ、向って左がソニー・スティットではないかなあ。まあ、どちらもで良い。どちらもドッシリ腰が据わっていて、ダイナミックで大らかなサックスである。
 

Boss_tenors

 
どちらもパーカー譲りの節回しではあるが、パーカーよりも大らかで音の隙間が大きい。アドリブ・ラインもミッド・テンポで悠々と吹き回していく。ビ・バップのマナーで吹き回すが、ハードバップの特徴を最大限活かして、豪快ではあるが彩り豊かなテナーを長時間、聴かせてくれる。

スティットの伸びやかなアルトとテナー、そして、アモンズの太いテナーの音色が好対照で、これが「良い」。掛け合いも良い、ユニゾン&ハーモニーも良い、チェイスも良い、良いことずくめの二人のベテラン・サックス奏者の競演である。訊けば、ジャズ研などで2本のテナーの競演モデルとして、お手本の一枚らしい。などほどなあ、と感心する。

アモンズもスティットも日本の評論家筋からすると、あまり覚えめでたくない。全く不思議なんだが、そんな評論家筋の蘊蓄は置いておいて、実際に自分の耳でこの二人のベテラン・サックス奏者の競演盤を聴いて欲しい。ハードバップ好きなら、即ゲットの一枚です。

 
 

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2016年10月17日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・91

最近、北欧ジャズの新盤を聴いていて、ふとこのアルバムの存在を思い出した。1960年代前半の録音。1960年代前半の北欧ジャズ。もうこの頃から、北欧ではジャズがしっかり根付いていて、北欧ジャズならではの成果をしっかりと出していたことが判る。

Bengt Hallberg『At Gyllene Cirkeln』(写真左)。1963年の録音。スウェーデンを代表する名ジャズ・ピアニスト、ベンクト・ハルベルグ(1932-2013)の1963年リリースのピアノ・トリオの好盤。ベンクト31歳の好プレイである。

ちなみにパーソネルは、Lars Petterson (b), Sture Kallin (ds), Bengt Hallberg (p)。さすがに北欧ジャズ。ピアノのベンクト以外、全く知らない(笑)。それでも、このトリオ盤を聴くと、ベースとドラム、かなり素性の良いもので、演奏全体のレベルは高い。

ベンクトのピアノは一聴して、基本は「ビ・バップ」だと判る。パッキバキ硬質でクリスタルなタッチ。アドリブ・ラインは硬派で豪快で、その展開は前もっての予想を覆す、スリリングなもの。クールなラインを弾きこなす、粋なピアノではあるが、そのタッチは「熱い」。底に「ビ・バップ」の要素がどっしりと横たわっている。
 

Bengt_hallberg_at_gyllene_cirkeln

 
1963年の録音で、基本は「ビ・バップ」というのは、ジャズの演奏スタイルの歴史上、ちょっと違和感がある。1963年の米国ジャズのトレンドは、モード・ジャズ、もしくはファンキー・ジャズ。しかし、欧州は違った。欧州については、ジャズと言えば「とりあえずビ・バップ」なところがある。欧州では「ビ・バップ」に対する評価が高い。

そういう背景もあるのであろう、このトリオ盤の基本は「ビ・バップ」。それでも、ピアノのアドリブ展開のイメージや、リズム・セクションとの絡みは、正統な1940年代後半のビ・バップと比較すると、複雑で奥が深い。1963年の北欧のビ・バップは、米国のビ・バップを発展、進化させたものであることが聴いていて判る。

こういうシンプルで素直なジャズは、聴いていてとても心地良い。何度聴いても飽きが来ない。聴き疲れることも無い。ジャケットもアーティスティックで秀逸。こういう好盤がコロッと出てくるから、北欧ジャズは隅に置けないのだ。

 
 

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2016年10月16日 (日曜日)

70年代フュージョンのテイスト

最近、米国でも日本でも、フュージョン・ジャズのテイストがベースのアルバムに良く出くわす。フュージョン・ジャズといっても、1970年代後半から1980年代初頭の頃の「フュージョン・ジャズ全盛時代」の音のテイストがリバイバルしている様に感じる。

今年、メジャーデビューを飾ったこのサックス奏者のアルバムもそんな音のテイストである。寺地美穂『Beautiful Maic』(写真左)。宣伝文句を見ると「瑞々しく爽やかな美貌のサックス・プレイヤー、寺地美穂」とある。まだまだ元気な日本人女性ジャズ・サックス奏者の新人である。

冒頭の「Beyond The Rainbow」を聴くと、思わず「ああ、懐かしい音やなあ」としみじみする。明らかに1970年代後半のフュージョン・ジャズの音世界である。アルト・サックスもしっかり鳴っているので、最初、聴いていたら「あれ、これってナベサダさん?」と思う。が暫く聴いていて「ナベサダさんとはちゃうなあ」ということで落ち着く。

ナベサダさんのアルトと音色は良く似ていてるのだが、力強さとアルトのブリリアントな鳴りがちょっと弱い。アドリブラインの吹きっぷりが繊細で、ビ・バップ仕込みの豪快な展開とは異なる。それでも、テクニックは申し分無く、アドリブ・ラインの吹き回しも堂々としている。でも今まで聴いたことの無いアルト。「で、誰だこれ」となる。
 

Beautiful_magic

 
1970年代後半のフュージョン・ジャズのテイストのハイライトが、5曲目の「Savanna Hot Line」。前奏から最初のメイン・フレーズを聴けば、1970年代後半のフュージョン・ジャズを聴きまくったジャズ者であれば直ぐに判る。日本フュージョン・ジャズを代表するバンド、ネイティブ・サンの名曲である。うわ〜懐かしい。しかし寺地美穂、ソプラノもいける。

音が素直で綺麗なアルトで最後まで楽しく聴かせてくれます。メジャー・レビューのスタジオ録音ですが、ここまで活き活きと元気にアルト・サックスを吹き上げることが出来れば及第点。1970年代後半のフュージョン・ジャズのテイストが上手くフィットしていて、なかなか聴いていて楽しいフュージョン盤に仕上がっています。

プロデュースは米米CLUBの金子隆博 (a.k.a Flash Kaneko)。なるほどな、と感心。この1970年代後半のフュージョン・ジャズのテイストをズバリ当て込んだプロデュースは、ちょっと変わった、個性的なプロデューサーなんだろうなあ、と想像したんですが、ビンゴ、でした(笑)。

これからが期待できる日本人女性サックス奏者の出現である。しかし、日本人女性ジャズ・ミュージシャン、まだまだ元気ですなあ。しかも、内容のある、まずまず聴き応えのあるアルバムが多くて、ちょっとウキウキしています。

 
 

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2016年10月15日 (土曜日)

ノルウェーを代表するドラマー

今日も「北欧ジャズ」の新盤を。Per Oddvar Johansen『Let's Dance』(写真左)。今年の新盤になる。ノルウェーはオスロ出身のドラマーがリーダー。ジャケットの雰囲気を見た瞬間、ECMレーベルの新盤か、と思ったら違った。

Per Oddvar Johansen=ペール・オッドヴァール・ヨハンセン、と読むらしい。ここではヨハンセンと呼びたい。ノルウェーのグラミー賞に相当するSpellemann 賞を六回受賞しているドラマーだそう。きっと、ノルウェーでは有名なジャズメンであるに違いない。1968年生まれで、今年48歳。中堅中の中堅である。

この盤も例に漏れず、北欧ジャズの基本をしっかりと押さえた内容になっている。透明感のある音とエコー。ファンクネス皆無。クラシック音楽に根ざした正統なフレーズ回し。スピリチュアル&エモーショナルのバランス取れた情感表現。決して熱くならない、冷徹に盛り上がるアブストラクトな表現。

アルバム全体に北欧ジャズ独特の「静謐感」が漂う。そして、曲によっては現代音楽からのエッセンスを反映したアブストラクトな演奏も織り込まれている。ロマンティックな音の側面はほとんど無い。当然、ファンクネスは皆無。切れ味の良い、ほどよくエコーのかかった、クールな楽器の音が「北欧やな〜」な感じを増幅する。
 

Per_oddvar_johansenlets_dance

 
よくよく聴いていると、演奏の音がブワーッと横に縦に広がる雰囲気がある。ん〜っと思ってよくよく聴いてみると、ベースの音が聴こえない。パーソネルを確認すると、Per Oddvar Johansen (ds, vin, vib, g, perc), Helge Lien (p), Torben Snekkestad (sax, tp)。確かにベースレスの変則トリオ。効果的な多重録音もあって、北欧ジャズ独特の音世界を増幅させている。

音の響きは「北欧ジャズ」の基本をしっかりと踏まえてはいるが、収録された曲のイメージはバラエティに富んでいる。メランコリックなサウンドもあれば、壮大なオーケストレーションもあれば、はたまたフォーク調のナンバーまである。そんなバラエティに富んだ楽曲のバックで、ヨハンセンの柔軟度の高いドラミングが、しっかりと見事に音の底を支える。

北欧ジャズの個性の基本を十分に感じ取る事のできる好盤です。季節の良い春や秋に、じっくり腰を据えてリスニングに集中するのが最適だと思います。ながら聴きとか仕事のBGMには、ちょっと内容が硬派でシビアで合わないかな。現代の北欧ジャズの好盤としてお勧めの好盤です。

 
 

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2016年10月14日 (金曜日)

北欧ジャズも意外と面白い。

1950年代後半、ハードバップ全盛時代から、北欧のジャズ・シーンは無視出来ない。どこでどうなったのか、理解出来ないところがあるのだが、北欧においてジャズは確実に市民権を得ている。

北欧、そしてジャズとくるとパッと浮かぶのが、コペンハーゲンのカフェ・モンマルトル、ストックホルムのゴールデン・サークルかな。ジャズのライブ録音で有名になったライブ・スポットである。そして、ノルウェー、オスロにあるレインボー・スタジオ。ECMレーベルのメイン・スタジオだ。そんな無視出来ない北欧。当然、北欧を活動拠点にするジャズメンも多々存在する。

最近、新盤の世界で北欧のジャズメンの新盤にちょくちょく出くわす。例えばこのアルバム。Hanna Paulsberg Concept『Eastern Smiles』(写真左)。今年の新盤になる。ノルウェー出身の若手女性テナーサックス奏者 Hanna Paulsberg(1987年生まれ・今年29歳)のレギュラー・ユニットによる第3作目。

北欧の純ジャズは一定の傾向がある。透明感のある音とエコー。ファンクネス皆無。クラシック音楽に根ざした正統なフレーズ回し。スピリチュアル&エモーショナルのバランス取れた情感表現。決して熱くならない、冷徹に盛り上がるアブストラクトな表現。聴いていると、思わず「欧州やな〜」と唸ってしまう(笑)。
 

Eastern_smiles1

 
このハンナの新盤もそんな北欧ジャズの傾向を外すことは無い。しっかりと北欧ジャズしている。冒頭のタイトル曲を聴くと、思わず「コルトレーンか」と思ってしまうが、しばらく聴いていると「違う」と確信する。ファンクネス皆無。スピリチュアル&エモーショナルなブロウが冷静かつバランス感抜群。品良く適度に抑制されたコルトレーン。

やはり純ジャズのテナーは何時の時代も「基本はコルトレーン」なんだろうな。でも、ハンナのブロウは単純なコルトレーンのフォロワーではない。コルトレーンの雰囲気をベースにしつつ、しっかりと北欧ジャズの要素を取り込んだ「北欧の女性コルトレーン」と呼んでも良い様な、しっかりと整った、魅力的なブロウを聴かせてくれる。

現代の純ジャズの雰囲気濃厚、モーダルで、ポップでライトなスピリチュアル感が新しい感覚。冷静に盛り上がる展開ではあるが、決して、途中でダレたり飽きたりすることは無い。アルバム全体に適度なテンションが張っていて、しっかりと最後まで聴き切ることが出来る。メインストリーム・ジャズがメインの好盤である。

こりゃ〜、北欧ジャズ、しばらく注目ですね。イスラエルジャズも面白いのですが、北欧ジャズも意外と面白い。しばらく追いかけてみようと思っています。

 
 

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2016年10月13日 (木曜日)

Miles Reimaginedな好盤・1

今から40年ほど前、マイルス・デイヴィスのエレクトリック・ジャズについては、なかなか理解されることが少なかった。酷い時は、酔狂なマイルスの余興とか、マイルスの乱心とか、散々な言われようだった。

まあ、当時のジャズ者の方々は、ジャズと言えばアコースティックしか許さない、というのが主流だったので、エレクトリックな楽器を使ってのエレ・ジャズなど邪道中の邪道。そんな時代でした、今から40年ほど前のジャズ・シーンって。

ということで、あれから数十年経って、エレ・マイルスのフォロワーが多数現れ出でて、エレ・マイルスの音楽的要素が発展して、21世紀の新しいエレ・ジャズを生み出すなんて想像だにしなかった。なので、このアルバムを聴いた時はたまげた。

菊地成孔DCPRG『Report From Iron Mountain(アイアンマウンテン報告)』(写真左)。2001年のリリース。DCPRGとは「DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN(デートコース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデン)」の頭文字を取って並べたもの。マイルスに私淑する菊地成孔 (sax) がリーダー。

菊地の私淑するエレ・マイルスを演奏コンセプトに据えつつ、アフロポリリズムや現代音楽などの要素を取り入れ、エレ・マイルスと同じ到達点、いわゆる「ダンスミュージック」を標榜した音世界。いや〜、この音世界にはビックリした。
 

Report_from_iron_mountain

 
見事なまでに、エレ・マイルスの忠実なフォロワーであった。しかも日本人のバンドがエレ・マイルスをやる。いや〜長年、エレ・マイルスの偏見に耐えてきた日々を思うと、思わず溜飲が下がる思いがした。とにかく、最初から最後まで良い。エレ・マイルス者であれば絶対に気に入る。思わず、ニヤニヤしながら聴いてしまう。

4曲目の「CIRCLE / LINE ~HARD CORE PEACE」を聴くと、思わず歓声を上げてしまう。1980年リリースの菊地雅章の名盤『ススト』に収録された名曲「Circle/Line」。dCprGのライブでは必ず演奏されているらしいこの名曲。実に良い感じでリニューアルされている。

僕もこの『ススト』というアルバムは大のお気に入りで、この「Circle/Line」も大好きな曲。この名曲を忠実にカバーしつつ、そこはかとなく新しい感覚、展開を織り交ぜて、ちょっとリニューアルした感じがとても良い。

エレ・マイルスを基本に、新しい響きを宿した「ダンスミュージック」を創造するDCPRG。エレ・マイルス者の我々にとっては、実に魅力的なバンドである。そして、この『アイアンマウンテン報告』は愛聴盤です。

 
 

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2016年10月12日 (水曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・42

先週末から、やっと秋らしい涼しさとなった我が千葉県北西部地方。今朝などは最低気温14度。涼しいを通り越して寒いくらい。ここまで涼しくなると、やっとジャズ鑑賞についても、硬派な純ジャズなどを聴く気になる。そして季節は秋。抒情的なアドリブ・フレーズに耳を傾けたくなる。

こういう秋たけなわな気候になると、決まって聴きたくなるジャズ盤が何枚かある。そんな中の一枚がこれ。Art Farmer『Sing Me Softly Of The Blues』(写真左)。邦題「ブルースをそっと歌って」。なんと情緒的な邦題であることよ。秋のこの季節にぴったりではないか。

1965年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (tp,flh), Steve Kuhn (p), Steve Swallow (b), Pete LaRoca (ds)。 当時、新進気鋭な、尖ったモード・ジャズが得意のスティーブ・キューン・トリオをバックに、アート・ファーマーのトランペット&フリューゲル・ホーンのワンホーン・カルテット。

アート・ファーマーの抒情的な面がよく表われた作品ではある。が、よくよく聴くと、バックのスティーブ・キューン・トリオの演奏が聴きもの。時は1965年。この新進気鋭のトリオは、徹頭徹尾、モーダルなジャズで、アート・ファーマーのバックを務める。とにかくキューンのピアノのアドリブ・フレーズの自由度が圧倒的に高い。モードのピアノはこう弾く、とでも言いたげな圧倒的にモーダルな展開。
 

Farmer_sing_me_softly_of_the_blues

 
リーダーであるアート・ファーマーのアドリブ・ソロが面白い。バックのスティーブ・キューン・トリオの演奏に引き摺られて、ファーマーもモーダルなアドリブ・ソロを披露する。おおっこれはなかなか、と身を乗り出したりするのだが、モーダルなソロは長続きすること無く、コードが基本の旧来のハードバップなブロウが見え隠れ。どっち付かずの「モードとコード」の交錯。

逆にバックのスティーブ・キューン・トリオは終始モーダルなジャズに没頭。ベースのラインは捻れまくっているし、ドラムは自由度の高いリズム&ビートを叩きだし、その上をキューンのピアノが乱舞する。ファーマーのフリューゲル・ホーンが無くても、トリオとして演奏が成立するくらいの圧巻な演奏。

タイトルとファーマーの抒情的なフリューゲル・ホーンの音色が、ちょっとロマンチックでメランコリックな雰囲気を押しだしてくる、と思いきや、バックのスティーブ・キューン・トリオのモーダルなバッキングのお陰で、演奏全体の雰囲気は、甘いというよりは真逆の、ちょっとビターで硬派な、ややフリー寄りの演奏という感じがする。

ジャケットも抒情的な雰囲気満載なので、ロマンチックでメランコリックな内容を想起するんですが、その先入観はこのアルバムにとっては危険。リーダーのファーマーのフリューゲル・ホーンの抒情性を抑制して、意外とビターで硬派な自由度の高いモーダルなジャズがメイン。この盤、ジャケットに騙されてはなりません(笑)。

 
 

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2016年10月11日 (火曜日)

天文関連のジャズ盤ジャケ・1

私、松和のマスターについては、ジャズや70年代ロック、70年代Jポップのアルバム蒐集という趣味の他に「天文」という趣味がある。天文の趣味は小学4年生の秋からだから、もう48年もの長きに渡って天文の趣味を続けている。

ということで、ジャズのジャケットを見ていて、天文に関するジャケットがあったら、ついつい手にしてしまう。ジャズのジャケットって、理由はよく判らないが、天文に関するジャケットが時々あって、どうして、そのアルバムに天文写真のジャケットがあしらわれるかは皆目見当がつきかねるが、天文ファンの自分にとっては、なかなかの楽しみではある。

Bill Stewart『Space Squid』(写真左)。今年のリリース。現代ジャズのファースト・コール・ドラマーの一人、ビル・スチュアートのリーダー作である。ちなみにパーソネルは、Bill Stewart (ds), Seamus Blake (ts,ss), Bill Carrothers (p), Ben Street (b)。不勉強ではあるが、ビル・スチュアート以外のメンバーについては「ピン」とこない。

しかし、内容は充実している。スリリングな展開を保ちつつ、演奏全体の個性は整然とした規律あるもの。ジャズ演奏の傾向としては「モーダル」な演奏であり、演奏全体の自由度は高い。それぞれの楽器については、テクニック、切れ味、申し分無く、現代のコンテンポラリーなジャズの良いところをガッツリ表現してくれていて、ついつい聴き耳を立ててしまう内容。
 

Bill_stewart_space_squid

 
全11曲中、10曲がビル・スチュアートの自作。といって、マンネリ感は無い。バラエティーに富んでいて、ビル・スチュアートの作曲の才能に感心する。ラストにとって付けたように、スタンダード曲の「Dancing in the Dark」が演奏される。自作曲の演奏内容が良いだけに、この最後のスタンダード曲は無くてもよかったのでは、と勘ぐったりする。

さすがリーダーだけあって、このアルバムでのビル・スチュアートのドラミングは素晴らしい。どの演奏でも演奏のリズム&ビートをしっかりと支え、コントロールし、フロントのサックスを鼓舞する。このビル・スチュアートのドラミングのお陰で、このアルバム全体に渡って「統一感」がしっかりと存在している。

と、ジャケットを見れば、なんと「オリオン座大星雲」のM43ではないか。M43 (NGC 1982) はオリオン座の三ツ星の南にあるオリオン大星雲のすぐ北側に広がる小さく暗い円形の散光星雲。このM43の大写しの写真が、このビル・スチュアートの新作にジャケットにドーンと鎮座ましましている。いや〜、天文ファン+ジャズ者の我々にとっては、文句無しに「ゲット」である(笑)。

限りなく自由度の高い、現代のコンテンポラリーな純ジャズな演奏がギッシリ詰まった、このビル・スチュアートの新作のジャケットが、何故M43の大写しなのかは判りませんが、内容的に、この『Space Squid』という新作はなかなか「いける」、ジャケ買いOKの好盤だと思います。

 
 

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2016年10月10日 (月曜日)

ファナリッチの個性の大転換

ドミニク・ファリナッチ(Dominick Farinacci)。1983年、オハイオ州クリーヴランド生まれの今年33歳。トランペッター。ジャズメンとしてはまだまだ若手の有望株。作曲家、そしてビッグバンド・リーダーでもある。かのウィントン・マルサリスの目にとまり、頭角を現す。ストレート・アヘッドな正統派トランペットが個性。

私、松和のマスターにとっては、2003年、弱冠19歳で初リーダー作「マンハッタン・ドリームズ」で幸運なデビューを果たして以来、ずっと注目しているトランペッターである。とにかく、メインストリームど真ん中なトランペットが清々しくて良い。バラード・プレイにも秀でていて聴き応えがある。

そんなファリナッチが、その音楽的個性を大転換したアルバムをリリースした。Dominick Farinacci『Short Stories』(写真左)。今年6月のリリース。ファリナッチのMack Avenue移籍第一弾である。パーソネルからプロデュースを眺めていると「あれっ」と思う。なんと、あのフュージョンの仕掛け人、フュージョンのプロデューサーのレジェンド、トミー・リピューマがプロデュースを担当しているではないか。

ということは、と、このアルバムを聴いてみると、まずは「唖然」。メインストリームど真ん中なトランペットが、フュージョン・ジャズなトランペットに変身している。これは「個性」の大転換である。様々な音楽的要素を組み合わせたフュージョン・ジャズ的な作品に仕上がっている。
 

Dominick_farinacci_short_stories

 
アルバム全体の選曲が振るっていて、冒頭の1曲目にジプシー・キングスの大ヒット曲である「Bamboleo」。おおっ、と思いきや、2曲目はファンキー・ジャズの古典的名曲「Senor Blues」が来る。続いて、トム・ウェイツの「Soldier’s Things」、そして、5曲目は、クリームの名曲「Sunshine of Your Love」。うへ〜っ、と言う感じです(笑)。

さすがに、プロデュースがトミー・リピューマだけあって、完璧な「ポップ・フュージョン」な音世界に統一されています。曲によってはゴージャスなストリングスやボーカルが入ったりして、明らかに「フュージョン・ジャズ」な仕上がり。これ、かのウィントン・マルサリスが聴いたら、どう思うんでしょう。ちょっと心配です。

でも、フュージョン・ジャズ者の私としては、これはこれで「あり」かな、と思います。全体の雰囲気はフュージョン・ジャズですが、ファリナッチのトランペットは良く鳴っていますし、アドリブ・ラインも流麗でイマージネーション豊か。その辺は、ストレート・アヘッドなトランペットを吹きまくっている時と変わらない。

先に「個性の大転換」と書きましたが、意外と今回に限って「目先を変えた」異色作の位置付けに落ち着くかもしれませんね。次作がどう出るか、楽しみになりました。フュージョン・ジャズなファリナッチも、意外と魅力的なんやなあ、と評価しています。

 
 

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2016年10月 7日 (金曜日)

やはり聴かず嫌いは良く無い

この人のアルバムは一筋縄ではいかない。この人のピアノは一筋縄ではいかない。スカッとシンプルにピアノが展開される訳では無い。捻りまくっていて、かつ耽美的で印象的。タッチは包み込むように繊細で柔らか。ダイナミックな展開を期待する向きには、聴いていて「イラッ」とする様な繊細で温和な音。

そんなケニー・ワーナーのピアノの個性を聴くことが出来るアルバムがこれ。Kenny Werner『Form & Fantasy』(写真左)。2001年のリリース。ちなみにパーソネルは、Kenny Werner (p), Johannes Weidenmueller (b), Ari Hoenig (ds)。ケニー・ワーナーは1951年生まれ、米国出身の今年64歳のベテラン・ピアニスト。

ワーナーのピアノは、明らかに「エバンス派」。ビル・エバンスのピアノ表現の流れを強く汲む音で、タッチは、ビル・エバンスほど、明快でダイナミックでは無いが、音のエッジが丸くて繊細で包み込むようなタッチは、喩えれば「繊細で優しいビル・エバンス」。

ちょっと欧州的なクラシック音楽の様なフレーズの展開は、ちょっとキース・ジャレットを彷彿とさせる。誠実に繊細にまとまったキース・ジャレットと形容して良い感じのソロ・パフォーマンス。ビル・エバンス+キース・ジャレット÷2=ケニー・ワーナーである(笑)。
 

Kenny_werner_form_fantasy

 
このアルバムは基本的にスタンダード集という触れ込みだが、エリック・クラプトンの「Tears In Heaven」や、渋めのスタンダード「Dolphin Dance」「Time Remembered」などが収められていて,なかなか聴かせてくれます。ちょっと温和しめの繊細でエッジの丸いピアノは、疲れた頭を休める為に、ひっそり一人の部屋の中で聴くのがぴったりのピアノ・トリオ盤です。

内容的には、ピアノ、ドラム、ベースのそれぞれが弾きすぎず、叩きすぎず、優雅で優しい雰囲気で、それぞれの演奏が進行していきます。音の響きが美しい演奏が多い。フレーズの展開とタッチは明快に「ビル・エバンス」。

音的には、ケニー・ワーナーの個性について「つかみ所」がなかなか見いだせない、判り易そうで意外と難解なアルバムですが、ピアノ・トリオの演奏としては、やはり魅力的な内容だと思います。

我が国ではあんまり評価が芳しく無いケニー・ワーナーですが、聴いてみると意外と良いのでビックリしました。やはり、ジャズは自分の耳で聴いてみないとな、と思います。

 
 

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2016年10月 6日 (木曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・41

日本ではこのサックス奏者は印象が薄い。印象が薄いというか、人気が低い。そのサックス奏者とは「ジジ・グライス(Gigi Gryce)」。米国では作曲家として、それなりの位置付けにあるらしいが、日本ではサッパリである。

ジジ・グライスは1925年生まれ。存命であれば91歳であるが、実は1983年、57歳で鬼籍に入っている。ジジ・グライスのジャズメンとしての活動期間は意外と短く、だいたい1953年から1965年の約10年位である。以降、経済状態や心理状態の問題から、ジャズ界から退いた状態になった。

ジジ・グライスはアルト・サックス奏者であるが、作曲家としての評価の方が高いのかもしれない。メインストリーム・ジャズの古典的スタンダード曲である「マイノリティ(Minority)」や「ソーシャル・コール(Social Call)」、「ニカズ・テンポ(Nica's Tempo)」は、ジジ・グライスの作曲である。

そのひとつをタイトルに戴いた好盤がある。Gigi Gryce『Nica's Tempo』(写真左)。1955年10月の録音。ジャケットの雰囲気を見れば直ぐに判る、Savoyレーベルからのリリース。ノネット、テンテット、もしくはカルテットの構成。ジジ・グライスは、全てのトラックでアルト・サックスを担当している。
 

Gigi_nicas_tempo

 
このジジ・グライスのアルト・サックスの音が良い。オーソドックスなスタイルのアルト・サックスの音色なんだが、これが良い。自作曲とモンクの曲でのジジ・グライスのアルト・サックスが良い雰囲気を醸し出している。とにかく、ジジ・グライスのアレンジが良好なんですね。

特に、大人数の構成、ノネットやテンテットでのジジ・グライスのアレンジは実に優秀。音の重ね方がオーソドックスで端正。明らかに「ハードバップ」って感じのする、音の重ね方と響きが独特の個性。実に端正でオーソドックスなアレンジである。

このジジ・グライスのアルバム『Nica's Tempo』には、ジジ・グライスを感じ、ジジ・グライスを理解する為のアイテムが、必要最低限のレベルでしっかりと詰まっています。ハードバップ初期の正統なジャズ。何度聴いても飽きの来ない好盤だと思います。

余談であるが、ジジ・グライスはジャズ界から身を引いた後、最晩年には公立学校で教鞭を執っている。グライスの生涯で最後の勤務先となった小学校は、その遺功を讃えて「バシール・カシム・スクール」に改名されている。ちなみに「パシール・カシム」とは、ジジ・グライスのイスラム宗での名前である。

 
 

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2016年10月 5日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・90

ヒューストン出身のジャズ・ピアニストRobert Glasperが率いる、ロバート・グラスパー・エクスペリメント(Robert Glasper Experiment、以降RGEと略)。現代ジャズの最先端を表現するバンドである。

様々な音楽の要素を融合することが出来る「懐の深い」ジャズ。そんな懐の深いジャズの特質を最大限に活かして、Hip Hop、R&Bのみならず、ファンク、ソウル、ジャズ、エレクトロなどを取り込み、現代ジャズの進化の最先端を聴かせてくれる。ジャズがまだまだ進化していることを、このRGEは再認識させてくれる。

そんなRGEの約3年ぶりの新作が登場した。改めて、Robert Glasper Experiment『ArtScience』(写真左)。

「BLACK RADIO」シリーズで全米チャートNo.1にも輝き、現代ジャズ・シーンの中で、今をときめくジャズメンのひとり、ロバート・グラスパー。そんなグラスパーがソングライティングそしてヴォーカルまでシェアした作品。全編に渡って、新しいジャズの響きが満載。こういうアプローチもあるんだなあ、とか、こんなアレンジもあるのか、と感心することしきりの好盤である。

ずっと聴き進めていくと、1970年代後半、ハービー・ハンコックは「エレ・ハンコック」の中で、こういう音を創造したかったのではないか、と思ったり、このRGEの演奏をバックに、マイルスのトランペットが「ププッ」と入ってきたら、どんなに素敵だろう、と思ったり。
 

Rge_artscience

 
このアルバムには、ジャズの最先端を走り最先端の表現を追い求めてきたレジェンド達の魂が宿っているような、そんな気持ちにさせてくれる内容である。しっかりとジャズの伝統を踏まえ、しっかりとエレクトリック・ジャズの正統な進化の跡を追い、しっかりと現代ジャズの最先端のトレンドを押さえる。

聴き応え満点である。聴き始めたら、あっと言う間に終わってしまうような、充実かつバリエーションに富んだ内容。懐かしい音の響きと最先端の音の響きが拮抗した、心地良い緊張感。小粋で印象的なボイスの使い方。クールで優雅なボーカルの活用。

現代の最先端をいくジャズ・ピアニストとしての新境地を切り拓いているグラスパー。エレ・ジャズなサウンドの中で、アコースティックなソロを弾きまくるところは「ただただ快感」以外の何物でも無い。ほどよくコントロールされた趣味の良いエコー、モーダルで印象派的なグラスパーのフレーズそしてタッチ。

良いアルバムです。ギターの音も新鮮で、聴き応え満点な新作です。ジャズの進化、グラスパーの充実がしっかりと聴いてとれる好盤です。今年の最大の成果の一枚、と言って良いでしょう。ジャズ者万民にお勧めです。

 
 

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2016年10月 4日 (火曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その29

時は10月は4日。台風が来ていて、更に前線を通過する低気圧の影響で夏の空気が流れ込み、今日は「真夏日」。夕方、日が暮れても、周りの空気は「もわっ」として、ほとんど夏の雰囲気。もう10月だというのに通勤の服装は半袖である。

これだけ蒸し暑くなると、やはり純ジャズを聴くのは辛い。ということで、今日は「夏はボサノバ・ジャズ」リターンズである(笑)。この夏、聴き残したボサノバ・ジャズのアルバムをあれこれ、ごそごそ漁って、選んだアルバムがこれである。

Ivan Lins『América, Brasil』(写真左)。昨年4月のリリース。イヴァン・リンスのキャリア45年におよぶ新旧自作曲から、セルフ・カバーをテーマにした作品。こんなアルバムが聴き残し盤で残っていたとは。全くもって面目無い。

イヴァン・リンスとはブラジル出身のミュージシャン。ブラジリアン・ポピュラー・ミュージック(MPB)やジャズ界で主に活動。流麗なメロディーと繊細で雅なボーカル。このアルバムは、ボサノバ、サンバ、いわゆるブラジリアン・ミュージックの良いところが「てんこ盛り」。
 

America_brasil

 
良い雰囲気のボサノバ・サンバ調のジャズで、さすが本場ブラジルの演奏するボサノバ・サンバ調のジャズは、米国のジャズメンが演奏する雰囲気とはちょっと違う。まず、リズム&ビートの取り方と雰囲気が違う。恐らく、ブラジル人の「血」が成せる技なのだろう。普通に演奏していて、全くもって、正調なボサノバ・サンバ調のジャズになる。

ゲスト参加のギタリストのレオナルド・アムエドも、1曲ではあるが「 Que Quer De Mim. Part. Leonardo Amuedo」で、良い雰囲気を醸し出している。そうそう、もう一人のゲスト参加、ジャズ・ハーモニカ奏者グレゴリー・マレットも哀愁感溢れるフレーズで、我々聴き手の心を揺さぶる。ラストのメドレー「De Nosso Amor Tão Sincero / Vitoriosa」は絶品である。

アルバムのジャケット・デザインも美しく、上質のボサノバ・サンバ調のジャズとして注目盤。イヴァン・リンスはこの盤を録音した時点で70歳。70歳にしてこの歌声は素晴らしいの一言。ボサノバ・サンバ調のジャズがお気に入りのジャズ者の方々にはお勧めの好盤です。

 
 

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2016年10月 3日 (月曜日)

エルトン・ジョンの新作が良い

1970年代初めから、ずっと、エルトン・ジョンのマニアである。特に、高校時代〜大学時代は聴きまくった。ジャズの合間の耳や住めに、気楽にリラックスして聴くことの出来る、ミディアムなテンポでポップに演奏しまくるエルトンがお気に入りであった。

僕はエルトンのエンタテインメント性とポップス性が大好きで、特に初期の頃のアルバムはどれでもOK.。1980年代初めまでのアルバムは全部持っている。ただ、1980年代以降、暫く下火だったのだが、21世紀に入って以降、またエルトン・ジョンを聴き始めた。

そんなエルトンであるが、今年、新作をリリースした。Elton John『Wonderful Crazy Night』(写真左)である。2010年、Leon Lussellコラボに続き、デビュー盤以降、32作目のスタジオ録音盤。プロデュースは前作と同様、T Bone Burnett。そして、もちろん全曲Bernie Taupinとの共作。

こうやって聴いてみると、やはりエルトンに合うのはBernie Taupinとの共作。このアルバムに詰まっている楽曲の雰囲気は、1970年代の往年のエルトン=トーピンのコラボの音と一緒。このアルバムには、往年のポップ・ロックなエルトンが舞い戻っている。全編通して、テンションの高い、ポップなロックが続く。
 

Wonderful_crazy_night

 
あっけらかんとハッピーでポジティブ。難しいこと無く、良い曲良い詩で、ただただ歌いまくる。変にデコレーションすることなく、アレンジもシンプル。バックの演奏も充実していて、とにかく1970年代のエルトンの楽曲が帰って来た、そんな感じがとても嬉しい新作である。

惜しむらくは、あと1〜2曲、シングル・カットしてヒットする様な、キャッチャーで印象的な曲があるといいんやけどな〜。そうなれば、このアルバムは「名盤」です。このアルバムは好盤ではあるが「名盤」にはなり損ねている感が強い。惜しいなあ〜、って感じが強くする。

やはり、エルトンはポップスしていて、ロックしているところが一番良い。この新作を聴いて改めてそう思った。今年で69歳になるエルトンではあるが陽気で溌剌としている。好評だった2015年のツアーの延長線上で、とってもエルトンらしい新作が届けられました。今から次作が楽しみです。

 
 

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2016年10月 2日 (日曜日)

Panta & Halのロック盤

1970年代、日本のロックは、演奏力が弱い、ボーカルが弱い、日本語がロックビートに乗らない、などなど、評論家筋を中心にケチョンケチョンに言われた。しかし、1970年代半ばより、ニューミュージックの波に乗って、日本のロックはダイナミックに充実していった。

もはや1970年代終盤においては、前述の様な「日本ロック批判」を叫び続ける評論家筋はまだまだいるにはいたが、日本のロックのアルバムについては、日進月歩で充実している。僕の大学時代、1970年代終盤から1980年代初頭においては、後世に残る「日本ロックの好盤」が結構リリースされた。

この2枚のアルバムは、そんな中の2枚である。Panta & Hal『マラッカ』(写真左)と『1980X』(写真右)。『マラッカ』は1979年、『1980X』は1980年のリリース。

『マラッカ』は、1977年7月に始動させたバンド「Panta & Hal」名義で発表したファースト・アルバムになる。内容としては、単純なハード・ロックな展開は全く無く、ポリリズミックなレゲエ・ナンバーやマーク・ボランへの哀悼の念を込めたブギーなナンバーなど、音楽的にバリエーションに富んだロック・ナンバーが詰まっている。
 

Panta_hal

 
『1980X』は、PANTA & HAL名義でのセカンド・アルバム。このアルバムの特徴は、キーボードを排除した、シンプルな「ギター・サウンド」がメインであるということ。前作の音楽的にバリエーション豊かな内容とは打って変わって、ソリッドでシャープな「ギター・ロック」で占められている。

この2枚のアルバムの内容は、当時の日本ロックとしてはかなり衝撃的で、ついに日本のロックもここまで来たか、急速に英米のポップロック・シーンに肉薄した、という感を強くした。演奏テクニックは申し分無く、ボーカルも個性と味があり、日本語はロックビートにしっかり乗っている。

Panta(パンタ)は、1970年代に、伝説のロックバンド、頭脳警察を率いて有名を馳せたロック・ヴォーカリスト。頭脳警察時代の過激なパフォーマンスや現在に至る過激な政治的言動については賛同しかねる面が多々あるのだが、ことさら、ロック・ボーカリストとしての実力、ソング・ライティングの能力については全く申し分無い。どころか称賛に値するレベルである。

特に、この1970年代の終焉と1980年代の初頭にリリースされた『マラッカ』と『1980X』については、日本ロックの歴史の記憶に留めるべき好盤であると思う。確かに、僕達の学生時代、行きつけの喫茶店で、はたまた、徹夜麻雀のBGMに大活躍の「日本のロック盤」であった。

 
 

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2016年10月 1日 (土曜日)

こんなアルバムあったんや・67

ジャズという音楽ジャンルは、とにかく裾野が広い。こんなミュージシャンが、こんなミュージシャンと共演しているんや、とパーソネルを見てびっくりすることがよくある。どう考えても「ロック畑」オンリーなミュージシャンがジャズをやったりする。しかも、それが「聴き応え十分」だから始末が悪い。誰が演奏しているのだか、さっぱり判らなくなる。

Bill Bruford, Eddie Gomez & Ralph Towner『If Summer Had It's Ghosts』(写真左)。最近出会った「さっぱり判らない」ミュージシャンの組合せ盤がこれ。1997年2月の録音。3人のミュージシャンの共同リーダー作。

ドラムのBill Bruford(ビル・ブルーフォード・写真右)は、英国のプログレ・バンド「イエス」そして「キング・クリムゾン」のドラマーであり、アースワークスを率いて、エレクトリックなコンテンポラリー・ジャズもこなすレジェンド。

ベースのEddie Gomezは、長年ビル・エバンス・トリオの常任ベーシストとして活躍。ドラムのスティーブ・ガッドと組んで、フュージョン・ジャズでも活躍。特に純ジャズ系の演奏では結構なセッションの数をこなしてきたレジェンドである。

ギターのRalph Townerは、ECMレーベルを中心に活躍してきた「ニュー・ジャズ」な響きを湛えたアコギが個性。多作では無く、他のセッションへの参加も少ないが、この個性的なアコギは、ジャズ・ギターにおけるスタイリストの一人として認知されている。

冒頭のタイトル曲「If Summer Had Its Ghosts」を聴けば、実に良く出来たコンテンポラリーな純ジャズな演奏にウットリする。素晴らしいなあ。特に、ブルーフォードのドラミングが効いている。他のジャズ・ドラマーに無い、乾いた小気味良いポリリズム、ファンクネス皆無の切れ味の良いオフビート。ブルーフォードのドラミングの面目躍如。
 

If_summer_had_its_ghosts1

 
そんなブルーフォードのドラミングに、エディ・ゴメスの独特の骨太で硬質なベースがしっかりとアクセントを付ける。リズム&ビートに彩りを添える、唄う様なエディ・ゴメスのベース。唯一無二の個性的なリズム・セクション。

そこに、硬質でクリスタルな響きを湛えて、ラルフ・タウナーのアコギが旋律を奏でる。タウナーはストローク・プレイに独特の響き(特に12弦)があって直ぐに彼のプレイと判る。決して黒っぽく無い、明らかに欧州ジャズ的なクラシックな響きが心地良い。ブルーフォード+ゴメスのリズム・セクションの音の「質」にぴったり合ったタウナーのアコギ。

で、このアルバムを聴き進めていて、どうにもこのアルバムで出てくるピアノが誰のピアノなのかが判らない。聴いていて、かなり素性の良い、テクニックも申し分無いジャズ・ピアノである。しっかりとタッチに個性があり、アドリブ・フレーズは流麗で端正。明らかに欧州ジャズ系のピアノの音なんだが誰だか判らない。

そして、遂にパーソネルをカンニングすると、なんと「ラルフ・タウナー」のピアノではないか。そう言えば、タウナーってピアノも弾くって聞いたことがある。しかし、こんなに上質で端正な正統派なジャズ・ピアノを弾きこなすとは思わなかった。実は僕はタウナーのピアノを、このアルバムで初めて聴いた。感心した。

ジャケットを見ると、これECMレーベルのアルバムか、って思うんだが、実は英国の「Summerfold」からのリリース。しかし、このジャケットのイメージって、ECMレーベルのパクリのような雰囲気やなあ。まあ、アルバムの中身の音もECM風なので良しとしますか(笑)。 

 
 

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