最近のトラックバック

« 世界一ソウルフルなギタリスト | トップページ | マル晩年のソロ・ピアノ盤です »

2016年10月20日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・92

米国西海岸ジャズ(ウエストコースト・ジャズ)は馴染みが無かった。というか、僕がジャズを聴き始めた頃、1970年代後半、日本は東海岸の黒人ジャズ一辺倒。そして、フュージョン・ジャズの大ブーム。米国西海岸ジャズのアルバムなんて、通常のレコード屋には全く置いてなかった。

1991年の事であった、と記憶している。『スイングジャーナル・プレゼンツ〜ザ・ウエスト・コースト・ジャズ』なるオムニバスCD盤が発売された。タイトル通り、もちろん、老舗ジャズ雑誌スイング・ジャーナルの記事とのタイアップである。僕は、このオムニバスCD盤を通じて、初めて、米国西海岸ジャズにまともに触れた。

さて、僕はこのアルバムの良さが判らなかった。初めて聴いたのが1980年。例の「秘密の喫茶店」で聴かせてもらった。ほどよく、優れたアレンジに乗った、白人のジャズだということは感じ取れた。理路整然としていて破綻が無い。クールで爽快。東海岸ジャズを聴き馴れた耳には、何故か物足りない、と感じた。若さ故の過ちであった。

そのアルバムとは『Quartet: Russ Freeman/Chet Baker』(写真)。1956年11月の録音。真っ赤なバックに、チェット・ベイカーとラス・フリーマンの線画のイラストがとってもお洒落な盤である。この素晴らしい好盤が、1980年、ジャズを聴き始めて3年目の耳には、物足りない、と聴こえたのである。あぁ、穴があったら入りたい(笑)。

今の耳には、そんなことは全く無い。このアルバムは演奏的には、西海岸ジャズらしからぬ、硬派で尖った切れ味鋭いもの。アレンジが効いた聴き心地の良い、ライトなジャズでは全く無い。東海岸ジャズ顔負けの切れ味の鋭いアドリブ・プレイ。豪快な展開。これが米国西海岸ジャズなのか、と思わず、パーソネルを再確認してしまう。
 

Quartet_russ_freeman_chet_baker

 
そのパーソネルは、Chet Baker (tp), Russ Freeman (p), Leroy Vinnegar (b), Shelly Manne (ds)。う〜ん、米国西海岸ジャズの名うての名手達が集結したカルテット構成。う〜ん、なんと素晴らしい布陣であろうか。

チェットのトランペットが凄い。マイルス顔負け。というか、音色はマイルスそっくり。しかし、切れ味と迫力という点ではマイルスを凌駕する。若さ「はち切れん」ばかりのブリリアントさ。人気という面でマイルスと双璧と謳われたチェット・ベーカーがこの盤に「いた」。チェットの伝説的な「トランペットの凄さ」が体感できる。

ラス・フリーマンのピアノも良い。こんなに多弁に弾きまくるピアニストとは思わなかった。ビ・バップのように多弁であるが、音の選択、音の展開が理知的で理路戦前としている。そこが東海岸ジャズのピアニストとは異なる。豪快に弾き回していても、お洒落な感覚は変わらない。これぞ、米国西海岸ジャズのピアノである。

そして、もう一つ。ラス・フリーマンのアレンジが良い。米国西海岸ジャズの面目躍如。このフリーマンの優れたアレンジがあるからこそ、このアルバムの中の演奏の全てが映える。アレンジされたジャズなんて、というジャズ者の方々がいるが、それは違う。アレンジもジャズのテクニック、じゃず演奏の必須要素の一つである。

ジャケット良し、演奏良し、音良し。揃いも揃った三拍子。好盤です。米国西海岸ジャズを感じるのにうってつけ、米国西海岸ジャズの入門盤としても最適な「好盤中の好盤」です。

 
 

震災から5年7ヶ月。決して忘れない。まだ5年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

保存

保存

« 世界一ソウルフルなギタリスト | トップページ | マル晩年のソロ・ピアノ盤です »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80793/68040814

この記事へのトラックバック一覧です: ジャズ喫茶で流したい・92:

« 世界一ソウルフルなギタリスト | トップページ | マル晩年のソロ・ピアノ盤です »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ