ジャズ喫茶で流したい・91
最近、北欧ジャズの新盤を聴いていて、ふとこのアルバムの存在を思い出した。1960年代前半の録音。1960年代前半の北欧ジャズ。もうこの頃から、北欧ではジャズがしっかり根付いていて、北欧ジャズならではの成果をしっかりと出していたことが判る。
Bengt Hallberg『At Gyllene Cirkeln』(写真左)。1963年の録音。スウェーデンを代表する名ジャズ・ピアニスト、ベンクト・ハルベルグ(1932-2013)の1963年リリースのピアノ・トリオの好盤。ベンクト31歳の好プレイである。
ちなみにパーソネルは、Lars Petterson (b), Sture Kallin (ds), Bengt Hallberg (p)。さすがに北欧ジャズ。ピアノのベンクト以外、全く知らない(笑)。それでも、このトリオ盤を聴くと、ベースとドラム、かなり素性の良いもので、演奏全体のレベルは高い。
ベンクトのピアノは一聴して、基本は「ビ・バップ」だと判る。パッキバキ硬質でクリスタルなタッチ。アドリブ・ラインは硬派で豪快で、その展開は前もっての予想を覆す、スリリングなもの。クールなラインを弾きこなす、粋なピアノではあるが、そのタッチは「熱い」。底に「ビ・バップ」の要素がどっしりと横たわっている。
1963年の録音で、基本は「ビ・バップ」というのは、ジャズの演奏スタイルの歴史上、ちょっと違和感がある。1963年の米国ジャズのトレンドは、モード・ジャズ、もしくはファンキー・ジャズ。しかし、欧州は違った。欧州については、ジャズと言えば「とりあえずビ・バップ」なところがある。欧州では「ビ・バップ」に対する評価が高い。
そういう背景もあるのであろう、このトリオ盤の基本は「ビ・バップ」。それでも、ピアノのアドリブ展開のイメージや、リズム・セクションとの絡みは、正統な1940年代後半のビ・バップと比較すると、複雑で奥が深い。1963年の北欧のビ・バップは、米国のビ・バップを発展、進化させたものであることが聴いていて判る。
こういうシンプルで素直なジャズは、聴いていてとても心地良い。何度聴いても飽きが来ない。聴き疲れることも無い。ジャケットもアーティスティックで秀逸。こういう好盤がコロッと出てくるから、北欧ジャズは隅に置けないのだ。
震災から5年7ヶ月。決して忘れない。まだ5年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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