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2016年10月 5日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・90

ヒューストン出身のジャズ・ピアニストRobert Glasperが率いる、ロバート・グラスパー・エクスペリメント(Robert Glasper Experiment、以降RGEと略)。現代ジャズの最先端を表現するバンドである。

様々な音楽の要素を融合することが出来る「懐の深い」ジャズ。そんな懐の深いジャズの特質を最大限に活かして、Hip Hop、R&Bのみならず、ファンク、ソウル、ジャズ、エレクトロなどを取り込み、現代ジャズの進化の最先端を聴かせてくれる。ジャズがまだまだ進化していることを、このRGEは再認識させてくれる。

そんなRGEの約3年ぶりの新作が登場した。改めて、Robert Glasper Experiment『ArtScience』(写真左)。

「BLACK RADIO」シリーズで全米チャートNo.1にも輝き、現代ジャズ・シーンの中で、今をときめくジャズメンのひとり、ロバート・グラスパー。そんなグラスパーがソングライティングそしてヴォーカルまでシェアした作品。全編に渡って、新しいジャズの響きが満載。こういうアプローチもあるんだなあ、とか、こんなアレンジもあるのか、と感心することしきりの好盤である。

ずっと聴き進めていくと、1970年代後半、ハービー・ハンコックは「エレ・ハンコック」の中で、こういう音を創造したかったのではないか、と思ったり、このRGEの演奏をバックに、マイルスのトランペットが「ププッ」と入ってきたら、どんなに素敵だろう、と思ったり。
 

Rge_artscience

 
このアルバムには、ジャズの最先端を走り最先端の表現を追い求めてきたレジェンド達の魂が宿っているような、そんな気持ちにさせてくれる内容である。しっかりとジャズの伝統を踏まえ、しっかりとエレクトリック・ジャズの正統な進化の跡を追い、しっかりと現代ジャズの最先端のトレンドを押さえる。

聴き応え満点である。聴き始めたら、あっと言う間に終わってしまうような、充実かつバリエーションに富んだ内容。懐かしい音の響きと最先端の音の響きが拮抗した、心地良い緊張感。小粋で印象的なボイスの使い方。クールで優雅なボーカルの活用。

現代の最先端をいくジャズ・ピアニストとしての新境地を切り拓いているグラスパー。エレ・ジャズなサウンドの中で、アコースティックなソロを弾きまくるところは「ただただ快感」以外の何物でも無い。ほどよくコントロールされた趣味の良いエコー、モーダルで印象派的なグラスパーのフレーズそしてタッチ。

良いアルバムです。ギターの音も新鮮で、聴き応え満点な新作です。ジャズの進化、グラスパーの充実がしっかりと聴いてとれる好盤です。今年の最大の成果の一枚、と言って良いでしょう。ジャズ者万民にお勧めです。

 
 

震災から5年6ヶ月。決して忘れない。まだ5年6ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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