典型的なハードバップな演奏
フュージョン・ジャズやフリー・ジャズ、はたまた、現在の最前線、最先端のコンテンポラリーな純ジャズを聴いていると、ふと、古き良きハードバップ時代の、「ど」が付く位の典型的なハードバップな演奏を無性に聴きたくなる時がある。
そんな時が今朝やってきた。古き良きハードバップが聴きたい。これはいかん、と思わず選んだ盤がこのアルバムである。ブルー・ミッチェルの初リーダー作であるこのアルバム。Blue Mitchell『Big 6』(写真左)。リバーサイド・レーベルらしいデザインのジャケットも「ちょっとお洒落」。
ちなみにパーソネルは、Blue Mitchell (tp), Curtis Fuller (tb), Johnny Griffin (ts), Wynton Kelly (p), Wilbur Ware (b), Philly Joe Jones (ds)。6重奏団=「Big 6」である。こうやってパーソネルを改めて見てみると、凄いメンバーやなあ。1958年7月の録音。ハードバップ全盛期ど真ん中。
このパーソネルである。当然、出てくる音は明らかに想像出来る。もう絵に描いた様な、典型的な「ハードバップ」な演奏がズラリ。もう堪りません。冒頭の「Blues March」からして明らかなハードバップ。ゆったりとしたリズムがこれまた「ニクイ」。
まず、当然、リーダーのブルー・ミッチェルのトランペットの音が素晴らしい。ブリリアントで滑らか。溢れんばかりに漂うファンクネス。活き活きしていて、素晴らしいハードバップなトランペット。いいなあ〜ブルー・ミッチェル。
トロンボーンのフラー、テナーのグリフィンもバリバリ吹きまくる。もう楽しくてしょうがない、ってな感じで溌剌と吹きまくる。どちらもテクニック優秀、歌心満載。いいなあ〜カーティス・フラー、そして、いいなあ〜ジョニー・グリフィン。
そして、よくよく耳をそばだてると、このセッション、リズム・セクションがかなり優秀なのに気がつく。まず、ピアノのウィントン・ケリーが好調。コロコロ転がる様な優雅でリズミックな右手、そこはかとなく哀愁とファンクネス漂う左手のコード。
そして、ちょっと捻りの効いたビートでうねりまくるウエアのベース。これがなかなか効いている。ちょっと他の月並みなハードバップと違う雰囲気が漂うんだが、これが「なぜか」が判らない。暫く聴いていて「ハッ」とする。ベースのラインがちょっと違うのだ。
そこに、明らかにハードバップなドラミングをフィリー・ジョーが披露する。ちょっと新しい響きを宿した「ハードバップな」リズム・セクション。このちょっと荒々しい、男性的なフィリー・ジョーのドラミングが演奏全体をグッと引き締める。
肩肘張らず、メインストリームなジャズらしい音を浴びるように聴くことが出来る。何の変哲もない典型的なハードバップな演奏なんですが、これが良い。こういう盤に出会えることがジャズ者をやっている醍醐味です。
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