魅惑のダブル・ベース+ピアノ
9月も9日なのになかなか涼しくならない。なかなか爽やかな陽気にならない。それでも、日は短くなって、夜は虫の鳴き声で秋を感じる。さて、今日は昨日に引き続き、アコ・ベースが主役のアルバムをもう一枚。このアルバムのアコベも聴きものである。
Ray Brown『Two Bass Hits』(写真左)。1998年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Ray Brown (b), Pierre Boussaguet (b), Dado Moroni (p) 。アメリカの名手Ray Brown とフランスの実力派Pierre Boussaguet、2 人のベーシストが素敵な共演。
Ray Brownが「左チャンネル」、Pierre Boussaguetが「右チャンネル」。Ray Brownがテクニックを駆使して、高速フレーズをビンビンブンブン叩き出し、Pierre Boussaguetが重心の低いウォーキング・ベースで応酬する。フロント的な演奏に終始するのが、「左チャンネル」のRay Brown、フロントを支えるバッキングよろしいPierre Boussaguetのベースが「右チャンネル」。
そんな魅惑的な重低音を響かせる2本のベースをバックに、小気味のよいタッチのDado Moroni のピアノが歯切れよく響き渡る。ちょっと硬質のピアノは、適度なエコーを伴って、実に判りやすく、ハードバップに響き渡る。
メインストリームなジャズ、ハードバップなジャズが好きなジャズ者には堪えられない、正統派なジャズ・ベース、正統派なジャズ・ピアノの音が、この盤にぎっしりと詰まっている。余裕があるというか、ゆったりと悠然とした演奏。そんな演奏に身を委ねる贅沢な時間。
しかし、Ray Brownって人は、いつでも負けん気が強くて目立ちたがり屋なんやなあ。このアルバムでも「右チャンネル」のPierre Boussaguetのベースの手数の倍は弾きまくっている。いや3倍かも知れない。音も大きい手数は多い。
しかし、そういう不利な環境でも、重心の低いウォーキング・ベース中心に、しっかりとした存在感を醸し出すPierre Boussaguetのベースも曲者である。太くて芯のしっかりした「骨太な」ベースはとっても魅力的。
とにかく、2本の個性の異なる、玄人職人アコベの音が魅力的。ユニゾン&ハーモニー、そして、絡み&チェイス。どれをとっても魅惑的な重低音の響きがとにかく芳しいこと限り無し。ピアノのDado Moroniも負けずに大活躍。
良いアルバムです。僕はこのアルバムの存在を3年前まで知らなかった。ネットで見つけた時も、地味なベースの2本がアップの地味なデザインにも戸惑った。しかし、聴いてみれば「あらビックリ」。メインストリームなジャズ、ハードバップなジャズがギッシリ詰まって好印象。
良いアルバムです。アコベが好きな人はもちろん、ジャズ者初心者もジャズ者ベテランの方々も、あらゆるジャズ者の方々が聴いて楽しめる好盤だと思います。
震災から5年5ヶ月。決して忘れない。まだ5年5ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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