クラシック作品の無伴奏ソロ化
この人のギターは超絶技巧。1960年代後半に、クロスオーバー・ジャズの先駆けとして登場。その超絶技巧とクロスオーバーなエレギは「革命」に近い衝撃だったと聞く。そのギタリストとは、Larry Coryell(ラリー・コリエル)。
まずは彼はクロスオーバーなエレギで一世を風靡した訳だが、アコギも凄いということが1970年代の半ばに判明。Steve Khan とのコラボだったが、このコリエルのアコギがこれまた「革命的」だった。このコラボは僕はリアルタイムで体験している。これが、アコギの音、アコギの演奏とは思えなかった。凄まじいばかりのインプロには耳を疑った。
そんなアコギを弾きまくったアルバムが、このLarry Coryell『Bolero』(写真左)。1981年の作品になる。クラシック作品の無伴奏ソロ化。超絶技巧でクロスオーバーなコリエルのアコギが唸りを上げ、コリエルは思いっきりな速弾きで攻めまくる。
コリエルのアコギにはファンクネスは皆無。アコギ一本、ジャズで勝負する訳だから、リズム&ビートの基本はジャジー&ファンクネスを漂わせれば良いのだが、コリエルのリズム&ビートにはファンクネスは皆無。即興演奏の部分で、ほんのりとジャジーな雰囲気が漂うが、エッジが立って乾いている。いわゆる「欧州ジャズ」的な響きである。
アコギを弾きまくるコリエルの雰囲気は、1980年の頃の「スーパー・ギター・トリオ」の雰囲気そのもの。一人で「スーパー・ギター・トリオ」をやっている感じ。よっぽど「スーパー・ギター・トリオ」に触発されたのだろう。とにかく弾きまくる弾きまくる。全編ノリノリのコリエルが「聴きもの」だ。
クラシック作品の無伴奏ソロ化の成否などという難しいことは考えずに、単にアコギの超絶技巧な演奏を楽しむに最適なアルバムだと僕は思っている。このアルバムのコリエルは「弾きたいように弾きまくる」感じで、あんまり難しいことは考えていないように感じるのだ。全18曲、1時間以上の超絶技巧なアコギのパフォーマンス。聴き終えたら「お腹いっぱい」。聴き直そうなんて絶対に思いません(笑)。
しかし、ラリー・コリエルって、日本では名は通っているんですが、意外と人気が無いんですよね。爽快感満載の超絶技巧なアコギなんですが、ジャジー&ファンクネスが僅少というところがネックなんでしょうか。
しかし、このアルバム・ジャケットはユニーク。少女漫画じゃあるまいし、このジャケットだと、まず硬派なジャズ者の方々は触手を伸ばさないですかね。でも、意外と僕はこのジャケットが好きです(笑)。
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