ながら聴きのジャズも良い・11
そう言えば、我がバーチャル音楽喫茶『松和』のブログ、「ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログ」ではほとんど話題にしたことが無いのではないか。でも、僕はこのトランペッターが好きだ。
ダスコ・ゴイコヴィッチ(Dusko Goykovich)。「〜ヴィッチ」のラストネームだから、バルカン半島辺りの出身か、と想像する。彼のバイオグラフィーを確認すると、ダスコ・ゴイコヴィッチは旧ユーゴスラビア、現在のボスニア・ヘルツェゴビナの出身。
1955年ドイツへ亡命し、61年に渡米。幾つかのビッグバンドで活躍、その後、ドイツへ戻り、1970年代以降は自己のグループやビッグバンドの作品を継続的に発表している。そうか、やっぱりバルカン半島の出身なのか、と彼のトランペットの音を聴いて何となく納得する。
僕はこのアルバムを聴いて、彼のトランペットに親近感を覚えた。Dusko Goykovich『Celebration』(写真左)。1987年8月の録音。Disk Unionが絡んだ「DIWレーベル」からのリリース。ちなみにパーソネルは、Dusko Goykovich (tp,flh), Kenny Drew (p), Jimmy Woode (b), Al Levitt (ds)。
このアルバムでのゴイコヴィッチのトランペットが実に良い。端正かつ流麗。まさに「ファンクネスを薄めたマイルス・ディヴィス」。ゴイコヴィッチのトラペットの音は「マイルス・デイヴィス」にとても良く似ている。うっかり聴いていると、本当にマイルスと間違ってしまう位、良く似ている。
しかし、決定的な違いは「ファンクネスの濃さ」そして「モード演奏の創造性の幅」。それでも、欧州出身のトランペッターとしての端正で流麗なアドリブ・フレーズ、そして、フレーズのそこかしこに感じる「東欧のマイナーな響き」。ゴイコヴィッチのトランペットの音は「一流のスタイリスト」としての個性を持ったものである。
この『Celebration』というアルバムは、そんなゴイコヴィッチのトランペットの音を体験するのに格好の「入門盤」である。選曲を眺めて見ても、馴染みのあるスタンダード曲が多く採用されて、とても聴き易いし、他のトランペッターとの比較もし易い。
モード奏法バリバリという、ジャズ表現の先端をいくものでは無いが、ゴイコヴィッチのトランペットを体験するという切り口では、このアルバムはとてもポイントが高い。ゴイコヴィッチの明快で流麗なトランペットは「ながら聴きのジャズ」としても十分に活躍してくれる。
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