ながら聴きのジャズも良い・10
ここ10年位前になるだろうか。英国ドーセット生まれ、ロンドン在住のマルチ奏者、Nick Palmer(ニック・パーマー)のソロプロジェクト、「Directorsound(ダイレクターサウンド)」を知ったのは。
Directorsoundの音は、これまでのジャズには無い音世界である。トロピカル・ミュージック、クール・ジャズ、ロマンティックなメロディーを融合した様な、独特の個性を持った音。ジャズ、エキゾチカ、ハウス、ユーロビート、モダン・クラシカルなどのエッセンスを絶妙に融合させたリズム&ビート。
そんなDirectorsoundが今年の6月、新作をリリースした。Directorsound『Into the Night Blue』(写真左)。印象的なイラストのジャケット。実はこのジャケットの印象と全く同じ音が、このアルバムの中に詰まっている。
テクニックを愛でたり、ジャズ演奏のトレンドを追体験するような、メインストリームなジャズでは無いのだが、現代の音のトレンドを上手く捉え融合した、新しい感覚の現代ジャズである。
月に照らされた夜の海と星空。聴き心地の良いトロピカルな音のエッセンス。ロマンティシズム漂う、極上のリラクシン・フュージョン・ジャズ。どこかで聴いたことのある懐かしい音の響き。1980年代前半のアンビエント・ミュージックを想起する。それでも、リズム&ビートにはジャジーな雰囲気が見え隠れする。
マニアックな音世界であることは間違い無い。アンビエント・ミュージックと捉えるには違和感は無いのだが、単純なアンビエント・ミュージックでは無いことは聴いていて良く判る。昔のジャズを現代のエレクトリック環境にリコンパイルしたような懐かしい響きもなかなかマニア心を擽る。
静かな部屋の中で、ぼんやりと本でも読みながら「ながら聴き」するのに心地良い、極上のリラクシン・フュージョン・ジャズ。幽玄で美しい音世界。これからのシーズンのピッタリの「ながら聴きフュージョン」です。
震災から5年6ヶ月。決して忘れない。まだ5年6ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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