コブのテナーが悠然と吹き進む
8月3日のブログ(左をクリック)で、恐らく、このブログでは初めて「アーネット・コブ(Arnett Cobb)」をご紹介した。豪快で悠然として歌心のある骨太のテナー。テナーのレジェンドとして紹介されることは殆ど無いんだが、僕はこのコブのテナーが好きだ。
そんなコブの素敵なテナーを聴くことが出来るアルバムがもう一枚ある。Arnett Cobb『Sizzlin'』(写真左)。1960年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Arnett Cobb (ts), Red Garland (p), George Tucker (b), J. C. Heard (ds)。アーネット・コブに、レッド・ガーランド・トリオがバックを務める。
まず、レッド・ガーランドのピアノが良い味を出している。さすがにバックを務めるリズム・セクションの名手である。コブのテナーをシッカリと支え、しっかりと鼓舞する。決して前に出ない。それでいて、しっかりと主張するとことは主張する。コブのテナーと相乗効果を醸し出す「主張」。ガーランドのピアノの趣味の良さと個性の豊かさが故である。
そんなガーランドのピアノをバックに、コブのテナーが悠然と朗々と吹き進む。コブのテナーはサラッとしている。ネバネバ、ベトベトしていない。そこが良い。サラッとした音でファンキーなフレーズを朗々と吹き上げる。ブルージーな雰囲気が実に魅力的。ああ、ジャズを聴いているんやな〜、と改めてしみじみと感じてしまう。
加えて、コブのテナーは抑制が効いている。決して破綻することなく、決して逸脱することなく、優しくて温かみのあるアドリブ・フレーズを吹き進めていく。これがまた良い。変にベタベタすること無く、変にネバネバすること無く、シンプルなアドリブ・フレーズを吹き進めていく。これがまた良い。
派手では無い。複雑では無い。難しく無い。判り易いシンプルな、それでいて、しっかりとジャジーでファンキーなテナー。アーネット・コブのテナーはそんなテナーだ。スッキリしている分、酷暑の夏に聴くに最適なテナーである。
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