ジャコの個性と凄みを再認識する
ジャズ・ベースの革命児、特にエレキ・ベースの革命児であり、決定的レジェンドの存在が「ジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)」である。彼のベース・プレイは明らかに天才のそれであり、明らかに伝説として語り継がれるべきものである。
そんなジャコの貴重なインタビュー集である「ワード・オブ・マウス ジャコ・パストリアス魂の言葉」が文庫本で発売されたので、本屋で見つけ次第、即ゲット。なかなか興味深い内容で思わず読み進めてしまう。そのBGMとして、ジャコのライブ盤を聴いたのだが、このブートの様なライブ盤の内容もなかなか興味深かった。
そのブートの様なライブ盤とは、Jaco Pastorius『Live in Italy』(写真左)。1986年12月、イタリアはローマでのライブ録音。ジャコは1987年9月に事故で亡くなっているので、無くなる約1年前のライブ・パフォーマンスになる。
ブートの様なライブ盤と書いたが、今までリリースされたジャコのCDを見渡して見ると、1986年暮れから1987年にかけてのBireli Lagreneとのヨーロッパ・ツアー時の音源は、1987年にJacoが亡くなって以降、何種類かリリースされている。この『Live in Italy』は、そんな中の一枚。
このBireli Lagreneneというギタリストとのコラボレーションが、ジャコのエレベの特質を判り易く伝えてくれている様で、僕はジャコのエレベの個性を確かめる際、この『Live in Italy』を良く聴く。好不調の差の激しさはあるものの、ジャコのエレベならではの素晴らしさは、他のベーシストとは明らかにその次元が異なります。
1曲目の「Improvisation, No. 1/Teen Town」を聴けば、ジャコのエレベの個性が如実に感じ取ることが出来ます。Bireli Lagreneneというギタリストは明らかにロック系で、ジャズ系の音や個性は微塵も無い、単純なプレイです。Deep Purpleの「Smoke On The Water」のリフを弾くおふざけから、下手くそなジミヘンという感じの脳天気でヘヴィなロック・テイストには思わず閉口します。
しかし、ジャコのエレベが入ってくると、その音世界は一変。演奏全体の雰囲気はジャコの個性のみに塗り替えられます。脳天気なBireli Lagreneneというギタリストの音はしていますが、全く影響はありません。「Teen Town」の部分のエレベの弾き回しが凄くて、ユニゾン&ハーモニーの部分では、逆にロック・ギタリストの方が、ジャコのエレベに引っ張られている感じがあります。
脳天気なロック・ギタリストが作ったヘビメタなロックの雰囲気を、ジャコのエレベのフレーズが、ガラッとジャズの音世界に変換させてしまう。それだけ、ジャコのエレベの個性は強烈です。あまり評判の良く無い、このLagreneとのヨーロッパ・ツアーのライブ音源ですが、ジャコのエレベの個性と凄みを再認識出来て、ジャコ者としては意外と楽しめます。
演奏全体の雰囲気は確かに課題の多い内容ですが、ジャコの個性を確認する分には格好のライブ音源だと思います。一般のジャズ者に対してはお勧め出来ませんが、ジャコ者(ジャコのファン)のジャズ者ベテラン方々に対しては一聴をお勧めしています。
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はずかしながら私がジャコのベースが「いいなあ」と思った最初のアルバムはウエザーリポートでもソロでもなく、フローラプリン(ム)の「エブリディエブリナイト」でした。特にその中の「ホープ」と「サンバミシェル」におけるジャコのベースが大好きです。
保守的な私はジャコのフレットレスエレキべースやパットメセニーのギターの音色が苦手で(~_~;)、ロックは大好きですが、そのどれにもなかった音色になじめず、今日に至ります。笑
理由は単純で、私にはなじめない音色、というだけの独断と偏見です。笑
ふりかえりみれば、こうした偏見でずいぶんと損をしているなあ・・と思うのですが、所有する彼らのCDを盆休みにあらためて聞き直してみたいと思います。^^
投稿: おっちゃん | 2016年8月14日 (日曜日) 07時41分