カシオペアの傑作フュージョン盤 『Cross Point』
CASIOPEA『Eyes of The Mind』で、明確に音が変化したカシオペア。腰のしっかりと座った、太くて逞しいリズム&ビートに乗った、余裕あるAOR系のフュージョン・ジャズ。ハーヴィー・メイソンのプロデュースの賜であった。 これだけ音の変化したカシオペア。次作はどうなるのか。当時、興味津々であった。
その次作が、CASIOPEA『Cross Point』(写真左)。1981年10月のリリース。この盤は、ハーヴィー・メイソンを日本に呼んで、リズム・トラックのプロデュースを依頼した作品。前作『Eyes of The Mind』で得た「それまでと違うビート感」を日本のレコーディングでも出したい、というのが動機らしい。
で、リリース当時、聴いてみたら、ちょっと違うんですよね。リズム&ビートの部分の雰囲気が。なんか違う。当時、確か、そんな記事を「ADLIB」誌で読んで聴き比べましたね〜。具体的にどう違うんだ、と。そして、聴いたら明らかに音の乾き方というか、抜け方というか、『Eyes of The Mind』がドライで、『Cross Point』がウェットな雰囲気に感じるんですよね。面白いなあ、と単純に思いました。
そういう音のニュアンスの違いはあったんですが、『Cross Point』単体で聴けば、カシオペアとして、実にバランスの取れた演奏が印象的です。さを前面に押し出した「イケイケ」のカシオペアと腰のしっかりと座った、太くて逞しいリズム&ビートに乗った、余裕あるAOR系のフュージョン・ジャズのカシオペアの割合が「3対7」くらい。
つまり、エフェクターやシンセの大量導入で彩りある音で埋め尽くす「イケイケ」のカシオペアとくて逞しいリズム&ビートに乗った、余裕あるAOR系のフュージョンのカシオペアのミックス度合いが絶妙なんですね。野呂・向谷・神保・桜井の4人の演奏のバランスも絶妙で、バンドとしての音がガッチリと固定されたアルバムだと僕は感じています。
以前のブログ記事で「カシオペア者(カシオペア・ファン)に大歓迎された、エフェクターやシンセの大量導入で彩りある音で埋め尽くされたアルバム『Make Up City』。そして、今回の『Eyes of The Mind』は『Make Up City』とは、全く対極にある音。この二極性がカシオペアの音作りの個性として定着していく。」と書きましたが、この『Eyes of The Mind』の音の完成形が『Cross Point』だと思います。
改めて聴き直してみても、良い音だしてますよね。日本を代表するフュージョン・バンドとしても全く異論の無い音が、このアルバムに充満しています。カシオペア者の皆さんからも評価の高いアルバムなのも頷けます。日本フュージョン・ジャズの代表的アルバムの一枚です。
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