スッ〜とストレートなアルト
うへ〜っと驚くばかりの湿気の多さ。風はあるのだが、ちょっとでも身体を動かすと、額に汗がネチョ〜と絡みつく。なんて湿気の多さなんだ。体中が汗でコーティングされたような気色悪さ。この湿気の高さが知らず知らずのうちに体力を奪っていく。
そんな夏にはシンプルなジャズが良い。というのが、昨日のブログの展開。今日も同様の展開で突っ走る。シンプルなジャズと言えば、やっぱりワンホーンである。ここまで湿気の多い酷暑な夏の気候からすると、あまりフロントに管が複数あると、ちょっと耳にもたれる。聴き心地の良いユニゾン&ハーモニーもちょっと辛い。
ということで、やっぱり、湿度の高い、不快指数の高い夏には「ワンホーン」なジャズが良い、という結論になる。軽快でシンプルでスッ〜とストレートなワンホーン。とくれば、アルト・サックスかなあ。ちょっと高めのキーでスッと伸びたブラスな音色が清々しいアルト・サックスのワンホーン盤を探す。
軽快でシンプルでスッ〜とストレートなアルト・サックスは、と問われれば、その一人に「ソニー・スティット」が浮かぶ。スティットか、良いねえ。ということで、ソニー・スティットのアルバムの中から、今日はこの盤を選択。Sonny Stitt『Stitt Plays Bird』(写真左)。1963年1月の録音。
ちなみにパーソネルは、Sonny Stitt (as), John Lewis (p), Jim Hall (g), Richard Davis (b), Connie Kay (ds)。ソニー・スティットのアルトに加えて、フロント楽器っぽいギター、ジム・ホールが参入しているが、ホーンでは無いので、ここでは、この盤は「ワンホーン」盤として扱うこととする。
チャーリー・パーカーの得意曲のカバー集なんですが、面白いのは、この盤のスティットの演奏を聴けば聴くほど、パーカーとの相違点をしっかりと押さえることが出来る趣向になっています。パーカーはオリジナルの楽曲の旋律を抽象的にデフォルメしてアドリブしていくが、スティットは、オリジナルの楽曲の旋律に忠実に従いつつアドリブとして崩していく。
スティットのアドリブには、オリジナルの楽曲の旋律の部分や展開が雰囲気が見え隠れするので、明らかにパーカーの劣るとされるのですが、このアルバムの演奏を聴く限り、そんなことは全くありません。アドリブを展開する時のアプローチの違いというだけで、どちらのアプローチも個性として超一流です。
ジム・ホールのギターは控えめにフロントのスティットのアルトを惹き立てる演奏を繰り広げているので、このアルバムを聴き進めて行くと、明らかにワンホーンのスティットのアルトがバッリバリに目立ってきます。端正でエモーシャル、それでいて、軽快でシンプルでスッ〜とストレートなアルト・サックス。爽快です。
ポジティブなアルト・サックス。バックのリズム・セクションの伴奏上手なところにも、ほとほと感心。爽快なスティットのアドリブ展開に清々しさを感じて、ちょっと気持ちが涼しくなります。ジャケットのイラストがちょっと不気味なんですが、ジャズ者初心者の方々も迷わず手にして良い、ジャズ者初心者向けの好盤でもあります。
震災から5年4ヶ月。決して忘れない。まだ5年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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