成熟仕切ったフュージョン・ジャズ 『Elixir』
このアルバムは、フォープレイの3枚目のアルバムになる。これだけのフュージョン・ジャズの玄人職人集団でも、ちょっとマンネリ気味な雰囲気が漂う、良く言えば「実が落ちる寸前の成熟しきった状態」。とにかく、テクニック抜群、歌心抜群、アレンジ抜群。もうこれ以上の発展はあり得ないほどの成熟度である。
Fourplay『Elixir』(写真左)。1995年のリリース。フュージョン・ジャズの玄人職人集団「フォープレイ」のパーソネルは、Bob James (key), Nathan East (b), Harvey Mason (ds), Lee Ritenour (g)。何遍みても凄いメンバーやなあ。1970年代から始まったフュージョン・ジャズの究極の「進化形」である。
このフォープレイの音世界を「スムース・ジャズ」と評する方もいるが、僕にとっては「スムース・ジャズ」では無く、あくまで「フュージョン・ジャズ」。聴き心地優先、耳当たり優先のソフト&メロウな演奏というよりは、テクニックに優れ、しっかりとリズム&ビートが入っていて、クールだけれど熱い演奏。やはりこれは「フュージョン・ジャズ」の進化形だろう。
ギターがフロントのカルテット構成ではあるが、これだけのフュージョン・ジャズの玄人職人集団であるが故、それぞれが表現できる全てを出し尽くして、さすがにアルバムも3枚目になると、フロント楽器の部分でマンネリ感が出てきてしまうのは仕方のないことである。でも、演奏内容は超一級品なんですよ。他のフュージョン・バンドには出来ない演奏の数々がこのアルバムに詰まっています。
このアルバムを聴き通して改めて思う。このフォープレイの音世界は唯一無二であろう。アーバンな雰囲気ではあるが、ファンクネスは控えめ、ベッタベタ、コッテコテな展開にはならない。クールで切れ味良く、ジックリ聴けば聴くほど判る「ハイ・テクニックな展開」。全くもってアダルトな雰囲気ではあるが、絶対に懐古趣味な展開にならない。音の質は時代の先端をいくもの。
これだけのスーパースター集団である。3枚もアルバムを出せばマンネリ感が漂い、いきなり解散して、ハイお終い、という有りがちな展開が見え隠れするのだが、このフォープレイはそうはならない。次作ではマンネリ感打破の為、思い切った手を打つ。フロント楽器であるギタリストの交代である。やはり、フュージョン・ジャズの玄人職人集団。やることが違う。
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