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2016年8月の記事

2016年8月31日 (水曜日)

ネオ・ハードバップなペットです

何時の時代も「ハードバップ」なメインストリーム・ジャズは不滅なんだなあ、とつくづく思う。やはり、一番、ジャズを感じる演奏スタイルが「ハードバップ」なのだ。それは、ハードバップ発祥の1950年代からずっと続いている。

今年リリースのこのアルバムを聴いて、そんな意を再確認した次第。Jim Rotondi『Dark Blue』(写真左)。Jim Rotondi=カタカナ表記で「ジム・ロトンディ」。トランペット奏者。1962年生まれだから今年54歳。

僕は、デビュー盤の『Introducing Jim Rotondi』で、ロトンディに出会った訳だが、2006年の頃の話なので、もう10年間もの間、ロトンディのトラペットを付かず離れずで聴いて来たことになる。初めて出会ったデビュー盤の頃が、ロトンディ35歳。ちょっと歳がいった若手有望株という印象だったが、もう今年で54歳になるのか。もうバリバリの中堅である。

さて、この『Dark Blue』というアルバム、なかなかに出来が良い。ネオ・ハードバップな好盤として、申し分の無い内容に仕上がっている。ちなみにパーソネルは、Jim Rotondi (tp), David Hazeltine (p,elp), David Wong (b), Carl Allen (ds), Joe Locke (vib)。

クインテット構成。トランペットのワンホーンは、演奏を長時間収録可能なCDの時代にはちと辛い。上手くヴァイブを取り込んで、趣味の良い音世界を現出しているところはさすが。
 

Dark_blue1

 
フロントを張る、切れ味の良い、ブリリアントなトランペットと流麗で典雅なヴァイブの対比が、実に良い効果を上げている。決して、耳に付かない流麗さ。加えて、リーダーのロトンディのトランペットの円やかで流麗なアドリブ展開が見事。ふっと、アート・ファーマーのトランペットを彷彿とさせる瞬間が堪らない。

後半に全面に出てくる、デビッド・ヘーゼルタインのフェンダー・ローズの音色も実に魅力的だ。このローズの円やかで揺れるような流麗な音色に、ロトンディの円やかなトランペットと、ポップで転がる様なジョー・ロックのヴァイブが絡む雰囲気は、まさにハードバップである。

ジャケットのイメージ同様、アーバンな夜の雰囲気満載。テクニックも申し分無い、21世紀の現代の感覚をダイレクトに反映した「ネオ・ハードバップ」な音世界が、このアルバムにギッシリと詰まっている。聴き応え抜群。さりげなく、デビッド・ロングのベース、カール・アレンのドラムのリズム・セクションが趣味良く、フロントのトランペットとヴァイブをサポートする様も、実に好ましい。

こういうアルバムが、21世紀の今でも、コンスタントにリリースされる訳だから、何時の時代も「ハードバップ」なメインストリーム・ジャズは不滅なんだなあ、とつくづく思う。

  
 

震災から5年5ヶ月。決して忘れない。まだ5年5ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2016年8月30日 (火曜日)

成熟仕切った大人のフュージョン

このアルバムは、フォープレイの3枚目のアルバムになる。これだけのフュージョン・ジャズの玄人職人集団でも、ちょっとマンネリ気味な雰囲気が漂う、良く言えば「実が落ちる寸前の成熟しきった状態」。とにかく、テクニック抜群、歌心抜群、アレンジ抜群。もうこれ以上の発展はあり得ないほどの成熟度である。

Fourplay『Elixir』(写真左)。1995年のリリース。フュージョン・ジャズの玄人職人集団「フォープレイ」のパーソネルは、Bob James (key), Nathan East (b), Harvey Mason (ds), Lee Ritenour (g)。何遍みても凄いメンバーやなあ。1970年代から始まったフュージョン・ジャズの究極の「進化形」である。

このフォープレイの音世界を「スムース・ジャズ」と評する方もいるが、僕にとっては「スムース・ジャズ」では無く、あくまで「フュージョン・ジャズ」。聴き心地優先、耳当たり優先のソフト&メロウな演奏というよりは、テクニックに優れ、しっかりとリズム&ビートが入っていて、クールだけれど熱い演奏。やはりこれは「フュージョン・ジャズ」の進化形だろう。
 

Elixir_1

 
ギターがフロントのカルテット構成ではあるが、これだけのフュージョン・ジャズの玄人職人集団であるが故、それぞれが表現できる全てを出し尽くして、さすがにアルバムも3枚目になると、フロント楽器の部分でマンネリ感が出てきてしまうのは仕方のないことである。でも、演奏内容は超一級品なんですよ。他のフュージョン・バンドには出来ない演奏の数々がこのアルバムに詰まっています。

このアルバムを聴き通して改めて思う。このフォープレイの音世界は唯一無二であろう。アーバンな雰囲気ではあるが、ファンクネスは控えめ、ベッタベタ、コッテコテな展開にはならない。クールで切れ味良く、ジックリ聴けば聴くほど判る「ハイ・テクニックな展開」。全くもってアダルトな雰囲気ではあるが、絶対に懐古趣味な展開にならない。音の質は時代の先端をいくもの。

これだけのスーパースター集団である。3枚もアルバムを出せばマンネリ感が漂い、いきなり解散して、ハイお終い、という有りがちな展開が見え隠れするのだが、このフォープレイはそうはならない。次作ではマンネリ感打破の為、思い切った手を打つ。フロント楽器であるギタリストの交代である。やはり、フュージョン・ジャズの玄人職人集団。やることが違う。

 
 

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2016年8月29日 (月曜日)

日本の夏のフュージョン・ジャズ

今年の夏は思いっきり「蒸し暑かった」。これだけ蒸し暑いと不快指数MAXで、体調もボロボロ、気分も優れず、なんか今年の夏はパッとしなかったなあ。で、今日も台風10号が近づいていて、抜群に蒸し暑い。体調もボロボロである。

僕達が子供の頃の、蒸し暑さはほどほど、カラッと晴れ上がった夏の日が懐かしい。このアルバムのジャケットがそんな昔の夏の日のイメージをピッタリと表現してくれている。ということで、この盤は毎夏、必ず聴く。

松岡直也『夏の旅』(写真左)。1984年の作品。日本の夏のフュージョン・ジャズとして、この盤は格好の内容。曲名を見ても、ああ夏の盤やなあ、という感じが思いっきりする。「日傘の貴婦人」「田園詩」「夏の旅」「風のしらべ」「虹のしずく」「雲のゆくえ」などなど、日本の夏の季節を彷彿とさせるタイトルが実に魅力的。
 

Natsu_no_tabi  

 
松岡直也と言えば「ラテン・フュージョン」なんだが、このアルバムでは、ラテン・フュージョンな演奏は「日傘の貴婦人」と「風のしらべ」くらいで、あとは正統派フュージョン・ジャズのオン・パレード。実に聴き応えのある、良質なフュージョン・ジャズが展開されている。ハイテクニックかつ歌心満載。キャッチャーな旋律を持った楽曲が実に良い雰囲気。

今泉洋と斉藤英夫のツイン・ギター、高橋ゲタ夫の強烈ベース、ノリノリにビートを刻む広瀬徳志のドラム。そんなゴキゲンでアグレッシブなリズム・セクションをバックに、松岡直也のピアノが突っ走る。

本作は少年時代の「故郷の夏」。それぞれの曲を聴いていると、昔の夏の日のイメージや風景が浮かんでは消えていく。これだけイメージが明確でストーリー性のある企画型のフュージョン・ジャズって、なかなかありそうで無い。希少価値な一枚である。

 
 

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2016年8月28日 (日曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その28

ボサノバ・ジャズは純粋なボサノバでは無い。でも、ボサノバ・ジャズを聴けば、リラックスできるし、ストレス解消にもなる。ボサノバ・ジャズは、純ジャズとの補完関係にあると思っていて、特に、夏の暑い時期、純ジャズを聴くに辛い時、ボサノバ・ジャズはそれを補ってくれる。

ボサノバ・ジャズはある程度、耳当たりが良いことが大切。シビアな純ジャズ風で耳に迫る風だと、夏の暑い時期、ちと辛い。イージーリスニングに陥ること無く、聴き応えと聴き易さを両立させるバランス感覚が大切になる。

基本的に純ジャズをメインに展開している日本のジャズ・レーベルに「ヴィーナス・レーベル」がある。日本人好みの純ジャズをプロデュースし続けていて、ジャズ者ベテランの方々を中心に、熱心なファンを持つレーベルである。そんなレーベルなんで、ボサノバ・ジャズなんてやらんやろう、と思ってカタログを見ていたら、幾枚かあるではないか。

そんなヴィーナス・レーベルからリリースされた、ボサノバ・ジャズな一枚が、Joe Beck『Brazilian Dreamin'』(写真左)。2005年の録音。Joe Beckはエレクトリックとガット・ギターで、Ira Colemanのベース、Thierry Arpinoのドラムスというトリオ編成。2曲だけGregoire Maretのハーモニカが加わりますが、基本的にはギター・トリオというシンプルな編成。
 

Brazilian_dreamin

 
アルバム・タイトルどおり、ボサノバを中心にしたブラジル風味で統一されたアルバムで、聴き心地のとても良いものです。耳当たりが良く、リズム・セクションはしっかりとしていて、聴いていて飽きがくることはありません。純ジャズの基本とボサノバの雰囲気をしっかりと押さえていて、その出来は良い。

ジョー・ベックのギターについては、やはりエレクトリック・ギターが良い。ボサノバ・ジャズの雰囲気に合わせた、気味良く柔らかで官能的なエレギの音色は個性的。Antonio Carlos Jobimの名曲の旋律をクッキリと印象付けていきます。柔らかで典雅ではあるが甘くは無い、いわゆる「クール」なエレギの音色です。

このアルバムの収録曲の中でユニークなのは、ジョン・コルトレーンのシーツ・オブ・サウンドの名曲「Giant Steps」が収録されていること。ボサノバを中心にしたブラジル風味で統一されたアルバムの中に、メカニカルな複雑なコード進行を持つ超難曲が入っている。思いっきり違和感を覚えますが、殆ど「換骨奪胎」、原曲、元演奏の雰囲気は微塵も無い、歌心満載のボサノバ・チューンに変身しています。話題性は無いと思われます。

ボサノバ・ジャズのアルバムとしては、まずまずの出来で、純ジャズの基本とボサノバの雰囲気をしっかりと押さえた「ボサノバ・ジャズ」の一枚として、コレクションに加えるのには良い盤では無いでしょうか。

 
 

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2016年8月27日 (土曜日)

「ミスターAOR」と呼ばれる男

我が愛読月刊誌「レコード・コレクターズ(略称レココレ)」の特集が「黄金時代のAOR(Adult-Oriented Rock)」。AORとは、1970年代半ばから80年代前半にかけて、音楽用語としてよく使用された「音楽ジャンル言葉」である。

実は、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では「ジャズの合間の耳休め」として流すアルバムとして、AORの好盤をよく選盤する。今回、レココレの特集として採り上げられたことで、いよいよAOR再評価の機運が高まってきたのか、と嬉しくなる。

さて、そんな我がバーチャル音楽喫茶『松和』では「ジャズの合間の耳休め」として流すアルバムとしての「AORの好盤」であるが、1980年前後から、ずっと聴き続けているAOR系のアーティストの一人が「ボビー・コールドウェル(Bobby Caldwell)」。

ボビー・コールドウェルは「AOR」を代表するシンガーの一人。デビュー盤などを聴けばその個性は歴然としているのだが、彼のボーカルはR&B色が濃く(最初、スティーヴィー・ワンダーかと思った・笑)、ブルー・アイド・ソウル系のAORの代表格と評して良いかと思う。

僕にとってのボビー・コールドウェルと言えば、このデビューからの2枚のアルバムにとどめを刺す。1978年、デビュー盤の『Bobby Caldwell(邦題:イヴニング・スキャンダル)』(写真左)と、1980年のセカンド盤『Cat in the Hat(邦題:ロマンティック・キャット)』(写真右)。
 

Bobby_caldwell_1st_2nd

 
デビュー盤の『Bobby Caldwell』には、デビュー・ヒット・シングル曲の「What You Won't Do for Love(邦題:風のシルエット)」を収録していて、収録された楽曲全てが「AOR」の名曲揃いと言っても良い。とにかく、アルバム全体のアレンジが、明快に「AOR」風のアレンジなのだ。所謂、ソフトなR&Bな雰囲気満載なのだ。

セカンド盤の『Cat in the Hat』は、デビュー盤のR&B色を少し薄めて、ポップ色を前面に押し出した、前作よりは明るい雰囲気のAORになっている。バックバンドが小編成でアレンジがシンプル。アーバンで小粋な米国ロックのアレンジを踏襲していて、これはこれで味わい深い。ポップな分、日中に流しても違和感が無い。

このコールドウェルの2枚の好盤、アルバム・ジャケットから来る印象がスバリで、僕は、セカンド盤の音世界が「アーバンな夜半前の夜の雰囲気」、ファースト盤が「アーバンな深夜の夜の雰囲気」と形容している。

我が国では特に人気が高く、AORのジャンルでは、クリストファー・クロス、ボズ・スキャッグスと並んで未だに人気が高いですね。そんな中で、ボビー・コールドウェルは「ミスターAOR」と呼ばれるくらい、AORらしさを前面に押し出したミュージシャンです。

しかし、イメージがかなり先行した邦題はどうにかならないんでしょうか。今でも、見る度に軽く赤面します(笑)。

 
 

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2016年8月26日 (金曜日)

こんなアルバムあったんや・65

ジャズ畑のミュージシャンがボサノバをやっても、最終的には純粋なボサノバにならない、と言われる。確かにそうで、根本的にリズム&ビートの捉え方と叩き出し方が違う様なのだ。タッチのアクセントもちょっと違うし、ボサノバにはファンクネスは基本的に無縁だ。

それでは、ジャズ・ボサを作った男と言われる名ドラマーがいる。そんな彼がジャズ・ピアノ・トリオでボサノバをやったら、どうなるのだろう。その具体的な答えの一つが、このアルバム『Milton Banana Trio』(写真左)。ミルトン・バナナは、ボサノバのトップ・トラマー。そんなミルトン・バナナがリーダーとなって、ジャズ・ボッサをピアノ・トリオのフォーマットで演奏する。

冒頭の有名曲「Garota de Ipanema(イパネマの娘)」を聴けば、その個性が良く判る。確かに、リズム&ビートの扱い方、アクセントの置き方が違う。加えて、ファンクネスは皆無。乾いていて切れ味が良い。そして、全く「甘い」ところが無い。軽音楽のボサノバは甘いところを前面に押し出しているが、本格的なボサノバは決して「甘く」は無い。
 

Milton_banana_trio1

 
2曲目以降、「プリミチーヴォ」「サマー・サンバ」などなど、ボサノバの名曲がズラリと並ぶ。そして、それぞれのジャズ・ボッサの演奏は、実に硬派で聴き応え十分。実に切れ味良く、ほどよい趣味の良い苦みのある演奏で、聴き込み甲斐がある。そして、クールで硬派な演奏の背後に、ホットな音世界が見え隠れするところも聴き逃せない。

聴いていて面白いのは、米国東海岸、西海岸、はたまた欧州のジャズとは全く雰囲気が異なるジャズ・ボッサの音世界で、ブラジルの人が、南米のラテンな血がジャズをやるとこんな感じになるのか、と思わず感じ入ってしまう。特に、リーダーのミルトン・バナナのドラミングは秀逸で、ピアノ・トリオの演奏とはいえ、知らず知らずのうちに「ドラミングの妙」に聴き入ってしまう。

こういうピアノ・トリオがあるとは、ジャズ・ボッサの演奏があるとは、全く思わなかった、と、目から鱗では無い、耳から鱗な「このアルバム」の存在を知ったのは、今から10年ほど前。今では、CDやダウンロード音源で入手出来て、気軽に聴くことが出来る様になったのだから素晴らしい。ほんと、長生きはしてみるものである(笑)。

 
 

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2016年8月25日 (木曜日)

米国ポップなレオン・ラッセル

今日は「ジャズの合間の耳休め」。米国ロックの、とあるスワンプなんだが、実は極めてポップな感覚を持つシンガー・ソング・ライターのお話。

レオン・ラッセル(Leon Russell)と言えば「スワンプ、若しくはサザン・ロック」という印象が強い。が、それは結構、偏った見方で、レオン・ラッセルはスワンプ・ロックやサザン・ロックもやる、という表現が正しいだろう。

レオン・ラッセルはコンポーザーとしても有名。その風貌からなかなか想像出来ないが、なかなかポップな曲を書く。そして、自分で唄う。所謂「シンガー・ソング・ライター」である。例えば「A Song for You」「Delta Lady」「Time For Love」「This Masquerade」そして「Superstar」。ポップな名曲がズラリ。

レオン・ラッセル自身が唄うと、ちょっとスワンプっぽくなるものもあるが、基本的にはポップ。「A Song for You」「This Masquerade」そして「Superstar」などは、米国ポップの伝説的デュオ、カーペンターズがカバーして大ヒットさせているくらいだ。

そんなレオン・ラッセルのポップな面が前面に出ているアルバムが2枚。1972年の『Carney』(写真左)、1975年の『Will O' the Wisp』(写真右)の2枚。この2枚がレオン・ラッセルのポップな面がとても楽しいアルバムになっている。『Carney』には「This Masquerade」が収録されている。
 

Carney_willo_the_wisp

 
レオン・ラッセルの書く曲はメロディーラインが綺麗である。アレンジひとつで、歌い手ひとつで、ポップな曲に大変身するポテンシャルを持っている曲ばかりである。そんな曲がこのアルバムに詰まっている。アルバムとして、全米2位のヒットとなったのも頷ける出来だ。

『Will O' the Wisp』は、ヘレン・レディーがカバーしてヒットした「Bluebird」が収録されている。邦題には『鬼火』という、おどろおどろしいタイトルが付けられているが、内容的にはポップでサザン・ディープな内容で、レオン・ラッセルの好盤として申し分無い。

シンセサイザーの大幅な導入も僕には「アリ」で、ソウルやブルース、ジャズ、カントリーなど、このアルバムで聴かれるそれぞれの楽曲はポップで幅広い。この『Will O' the Wisp』は、1975年に聴き込んで以来、ずっと今日までお気に入りの一枚である。

レオン・ラッセルは、単に「スワンプ、若しくはサザン・ロック」な人では無い。ソウルやブルース、ジャズ、カントリーなど、幅広い音楽性を併せ持った、飛び切りポップなシンガー・ソング・ライターである。

 
 

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2016年8月24日 (水曜日)

シダー・ウォルトンの傑作ライブ

ジャズ盤をいろいろと漁っていて、こういうライブ盤と出くわすから、ジャズ盤収集は面白いし、やめられない。このライブ盤3部作と出会ったのは、今から10年ほど前。シダー・ウォルトン(Cedar Walton)というピアニストに着目して、アルバムを順に聴き込んでいた頃である。

Cedar Walton Quartet 『First Set』『Second Set』『Third Set』。いずれも1977年10月1日、デンマークはコペンハーゲン、ジャズハウス・モンマルトルでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Cedar Walton (p), Bob Berg (ts), Sam Jones (b), Billy Higgins (ds)。ジャズハウス・モンマルトルと言えば、Steeple Chaseレーベルのライブ録音の本拠地。

Steeple Chaseレーベルは、マイルス・コレクターとして有名なデンマークのニルス・ウインターが、1972年立ち上げたジャズ・レーベル。1970〜80年代を中心に、ジャズ史に残る名盤を数多く生み出した欧州ジャズ・レーベルの老舗。このレーベルは欧州のレーベルとしては、比較的、米国系のレーベルに近い演奏の色や雰囲気を持っていて、ハードバップ系の演奏に秀作が多い。

そんなハードバップ系の秀作のライブ盤のひとつが、このCedar Walton Quartetの3部作だろう。さすがレーベルのライブ録音の本拠地だけあって、聴衆の雰囲気も良く、録音された音もまずまず。リーダーのシダー・ウォルトンのピアノの個性がとても良く判る内容である。

シダー・ウォルトンのピアノは、ハード・バップに軸足を置きながらもモーダルでモダンなサウンドが個性。決して、フリーには走らないし、モードも明らかにハードバップの延長上にある伝統的なモード・ジャズ。メインストリーム・ジャズど真ん中なピアノの展開が個性である。
 

Cedar_walton_quartet_1st_2nd_3rd_se

 
といって、シダー・ウォルトンのピアノはタッチとが手癖に明快な個性がある訳では無い。じっくり聴いていても、暫くは誰のピアノだか判らない。ずっとアルバムを聴き続けていって、やっと「これって、シダー・ウォルトンのピアノかも知れんなあ」くらいの個性。つまり、シダーのピアノは突出した個性が特徴では無く、総合力で勝負するタイプである。

そんな総合力で勝負するタイプであることが、このライブ盤3部作を聴けばとても良く判る。モダンなハードバップなピアノが主で、その傍らで、モーダルなジャズを展開する。しかし、決してフリーに走ることは無い。欧州での活動に軸足を置いているにも関わら ず、である。シダー・ウォルトンの矜持を強く感じる。

加えて、このカルテットで特筆すべきは、ボブ・バーグのテナーである。これが実に素晴らしい。パワフルなトーンとコルトレーンの流れを汲むが、コルトレーンよりも判り易くライトなアドリブ展開。このライブ盤3部作の中でガンガンに吹きまくる。ボブ・バーグのテナーの個性を感じるに最適なライブ盤3部作である。

このライブ盤、LP時代と同様に3枚のアルバムに別れているが、CDとして再編し、2枚組のアルバムとして、この3部作が一気に入手出来、一気に聴き通すことが出来る方が良いと思う。3部作を一気に聴き通した方が、シダー・ウォルトンとボブ・バーグの個性をガッチリと掴み取ることが出来る。

 
 

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2016年8月23日 (火曜日)

ドン・チェリーのモード・ジャズ

ドン・チェリー(Don Cherry)はフリー・ジャズな人である。フリーもしくは限りなくフリーなモード・ジャズの人。彼のトランペットは伝統的な音。伝統的なトランペットの音で、フリーもしくは限りなくフリーなモード・ジャズをやる。僕にはそういう印象しか無い。

そんなところで、このアルバムを聴く。Don Cherry『Art Deco』(写真左)。1988年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Don Cherry (tp), James Clay (ts), Charlie Haden (b), Billy Higgins (ds)。う〜ん、このメンバーでフリーもしくは限りなくフリーなモード・ジャズをやるのか、という疑問が湧く。

で、このアルバムを聴けば、ちょっと戸惑う。正統派なモード・ジャズをやっているのだ。フリーでは無い、限りなくフリーなモード・ジャズでも無い。ノーマルでメインストリームなモード・ジャズ。ドン・チェリーがそんな「(良い意味で)普通のジャズ」をやるとは思わなかった。
 

Art_deco

 
しかし、このアルバムでのドン・チェリーのトランペットは良く唄っている。オープンもミュートも良く唄っている。滑らかでシンプルな、正統派モード・ジャズ。しかし、その響きは1960年代の響きでは無い。1980年代後半の純ジャズ復古後の先端を行くモード・ジャズ。実に美しいモード・ジャズが展開される。ドン・チェリーは当時52歳。これにはちょっと驚いた。

チャーリー・ヘイデン&ビリー・ヒギンズは以前からの「盟友」。ドン・チェリーの変身にしっかりと付き合う。逆に考えると、正統派モード・ジャズについては、チャーリー・ヘイデン&ビリー・ヒギンズは得意中の得意。ドン・チェリーの正統派モード・ジャズをしっかりと支えている。

若手中心の純ジャズ復古、ネオ・ハードバップの躍進。1980年代の終わり。そんなジャズのトレンドに、1960年代初頭にデビューしたベテラン・トランペッターが真っ向からチャレンジした。そんなチャレンジの記録がこの盤である。このチャレンジは素晴らしい音の記録『Art Deco』を残した。

 
 

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2016年8月21日 (日曜日)

四人囃子の最後の「傑作盤」

1970年代、日本のプログレッシブ・ロックを代表するバンドが「四人囃子」。1971年に結成され1979年に解散。真に1970年代の日本のロック・シーンを駆け抜けたプログレ・バンドであった。

四人囃子『NEO-N』(写真左)。1979年の作品。四人囃子の最後の作品。発売当時のLPレコードは黒では無く「透明」だったなあ。そういう意味でも、この四人囃子のアルバムは「プログレッシブ・ロック」なアルバムだったと言えるだろう。

四人囃子は「プログレ・バンド」というのが本質。しかし、このアルバムは1979年のリリース。ロックの音のトレンドは、既に「ニュー・ウェイブ」や「テクノ」へ移っていた。1970年代前半の「クラシカルで壮大な音絵巻」なプログレは過去のものになっていた。

そんな音環境の中、この四人囃子の『NEO-N』は、1979年ならではの「プログレ」を表現している。アルバムの完成度という点では「最高作」と言える。もはやバンドが終焉状態での作品であるが、その内容はとてもよくまとまっている。
 

Neon1  

 
四人囃子はこれで終わり、という諦念感が漂っているが、それも一つの個性として、このアルバムに統一感を与えている。本当によく作り込まれたコンセプト・アルバムである。

テクノ・ニューウェイブ的なコンセプトできっちりと全体を統一し、きっちりと作り込んだ作品で、日本のプログレッシブ・ロックの好盤として、もっと再評価されても良いアルバムだと思います。今ではほとんど忘れさられた存在になりつつあります。

四人囃子ならではのリフが効果的な「Nocto-Vision For You」「Nervous Narration」、ポップ路線を踏襲した「Neo Police」、叙情的な「(Natural)」、どれもが内容のある演奏。

近未来的でクール。アルバム・ジャケットの雰囲気そのものの音世界は聴き応えがあります。聴けば聴くほど、四人囃子の初期の頃の雰囲気が甦ってくるようで楽しくなります。時代の音にマッチした中で、四人囃子の本来の個性をしっかりと表現した最後の好盤です。

 
 

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2016年8月20日 (土曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その27

お盆を過ぎて天候が不安定である。いきなり台風が複数個発生したと思えば、関東地方をかすめ通ったり、関東地方直撃コースを伺ったり。今日などは、朝から激しい雨が降ったと思えば、いきなり厳しい陽射しが差し込んで、思いっきり蒸し暑くなり、またまた、激しい雨が降ったりする。

もはや温暖湿潤気候の日本の気候では無い。亜熱帯性気候の雰囲気である。とにかく思いっきり蒸し暑い。少し歩くと気持ち悪くなる位だ。厳しい蒸し暑さって、かなりのストレスになる。身体は疲れるし、心も疲れる。そんな時、聴く音楽は「ボサノバ・ジャズ」。

イージーリスニングだとか軽音楽だとか揶揄されようが、こんなに厳しい蒸し暑さの中で聴く、ストレス解消の心地良いリズム&ビートな音は「ボサノバ・ジャズ」なのだ。それも、飛び切りイージーリスニング・ジャズ仕様な「ボサノバ・ジャズ」が良い。

ということで、Paul Winter『RIO』(写真左)を聴く。1962年9月の録音。リオデジャネイロの建都400年にあたる1964年に、リオの若きコンポーザーたちへの敬意と感謝を込めて作られたアルバム。
 

Paul_winter_rio

 
このアルバムに詰まっている音が、真の「ボサノバ」とは思ってはいない。ボサノバの音の要素を上手く取り込んだジャズである。リズム&ビートも純正の「ボサノバ」では無い。明らかにジャジーなリズム&ビート。それでも、ボサノバ曲の持つ独特のアンニュイで開放的な響きと、ボサノバ独特の心地良く踊るように心に響くリズム&ビートな刻み方が、ジャジーな演奏をボサノバ的雰囲気に染め上げている。

加えて、ポール・ウィンターのサックスの音が良い。ボサノバの雰囲気にピッタリなサックス。ファンクネスとは無縁の、開放的で乾いたメロディアスなサックス。ボサノバ・ジャズのサックスはこういう「AORチックなフュージョン風サックス」が良い。清々しく爽やかでスムーズ。硬派な純ジャズからすると、完全に「軟弱」なサックスになるが、ボサノバ・ジャズにはこれが良い。

ジャケットもしっかりと「ボサノバ」していて魅惑的。1962年当時のジャズのジャケットとしては明らかに「異端」。聴き流しに最適なボサノバ・ジャズだが、ところどころ「おぉっ」と思わせるフレーズが出てくるので、部分的にしっかり聴き耳を立ててしまう。そんな良質のボサノバ・ジャズ盤です。

 
 

震災から5年5ヶ月。決して忘れない。まだ5年5ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2016年8月19日 (金曜日)

こんなアルバムあったんや・64

The Modern Jazz Quartet(モダン・ジャズ・カルテット)って、ジャズ盤の紹介本で挙がるアルバム以外に、こんなアルバムを作ってたんや、とか、こんなアルバムあったんや、とビックリするほどの充実した内容の「隠れ好盤」は結構ある。そんな中の一枚がこれ。

The Modern Jazz Quartet with Laurindo Almeida『Collaboration』。MJQがブラジル出身のアコースティック・ギターの名手ローリンド・アルメイダ(写真右)と共演した、ボサノバ&サンバ中心の好盤である。両者の共演はまさにモダン・ジャズとボサノバ&サンバが理想的な形で融合した好例といって良い内容です。

まず、ローリンド・アルメイダの存在が鍵で、アルメイダがギターをつま弾くだけで、その演奏の音世界は「ボサノバ&サンバ」の色に染まります。真の「ボサノバ&サンバ」のリズムを刻みつつ、生ギター独特の繊細で爽快な音色がとても印象的です。

そんなギターに絡むのが、The Modern Jazz Quartet(モダン・ジャズ・カルテット)。さすがはMJQで、単純に「ボサノバ&サンバ」な生ギターに絡まない。秀逸なジョン・ルイスのアレンジを武器に、ジャジーな雰囲気も活かしつつ、MJQでしか為し得ない「ボサノバ&サンバ」なジャズを表現する。
 

Collaboration1  

 
ファンクネスを奥に忍ばせつつ、軽妙に「ボサノバ&サンバ」な雰囲気に追従するミルト・ジャクソンのヴァイブ。ジャジーな「ボサノバ&サンバ」なリズム&ビートを刻むコニー・ケイの職人芸的なドラミング。シンプルなフレーズが「ボサノバ&サンバ」にピッタリなジョン・ルイスのピアノ。そして、「ボサノバ&サンバ」なジャズを底で支えるパーシー・ヒースのベース。

MJQの個性と良さを前面に押し出しながら、アルメイダの純正「ボサノバ&サンバ」なリズム&ビートに助けられながら、MJQならではの「ボサノバ&サンバ」なジャズを展開する。タイトル通り、本当に良質な「コラボレーション(協同作業)」である。アルメイダのギターとMJQとの相乗効果がこのアルバムを聴いていて、とても良く判る。

しかし、「アランフェス協奏曲」や「ワン・ノート・サンバ」などの人気曲も含んでいながら、この盤はなかなかCD化されなかったし、ボサノバ&サンバ・ジャズの代表盤として紹介されることが無い。我が国では「知る人ぞ知る」的な好盤に甘んじているのが信じられない。再評価を望みたい好盤である。

 
 

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2016年8月18日 (木曜日)

現代ピアノ・ジャズの先端を行く

このピアノ・トリオ、ファンクネスが希薄、耽美的、ピアノの響きが美しいピアノ。これって、ブラッド・メルドーに影響を受けてないか、と思って、ラックナーのバイオグラフィーを確認したら「カリフォルニア芸術大学ではチャーリー・ヘイデンに師事。その後メルドーのもとで学び、2002年に自身のトリオを結成」とある。なるほどね。

Benny Lackner Trio『SiSKIYOU』(写真左)。今年の3月のリリース。ちなみにパーソネルは、Matthieu Chazarenc (ds), Jerome Regard (b), Benny Lackner  (p,el-p)。Benny Lackner(ベニー・ラックナー)がリーダーのピアノ・トリオである。

リズム&ビートも今様なもので、ピアノ・トリオの響きは、現代ピアノ・ジャズの先端を行くもの。新しいピアノ・トリオの音が満載で、聴き進むにつれ、なんだかワクワクしてくる。なかなかええやん、と思いながら聴いていると、不意に出てくるエレピの音。これがまた良い。

アナログとエレクトロニックの両方のキーボードを使い分け、絶妙な感覚でミックスする感覚は、今までありそうでなかったパターン。使い分けるまでは来ているんですが、1曲の演奏の中でミックスする感覚はまだまだマイナーなもの。これがまた良い。
 

Siskiyou_1

 
ディレイあり、ファズをかけたり、エコーをかけたり、演奏に対する音響処理がこれまた趣味が良い。耽美的でリリカルな音世界の中で、エモーショナルで印象的なフレーズが不意に出てくる。これがまた良い。静的なスピリチュアルなピアノ・ジャズという雰囲気が実に新しい感覚だ。

ベニー・ラックナーについては全く知らない名前で、ネットを調べたら「ベニー・ラックナー・トリオの5作目となる最新作が国内盤でようやくリリース」とあり、我が国ではレコード会社がこれまで全く扱わなかったようです。我が国で全くの無名な存在だったことに合点がいきました。勿体ない話です。

新しい響き満載のピアノ・トリオ。聴いてビックリ、ベニー・ラックナーのピアノ&キーボード。思わず、過去のリーダー作の全てを聴いてみたくなりました。チャレンジしたいと思います。

 
 

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2016年8月17日 (水曜日)

新主流派のジャズ・ヴァイブ

ジャズ・ヴァイブ奏者のボビー・ハッチャーソン(Bobby Hutcherson)が亡くなった。8月15日のことである。享年75歳。

僕はヴァイブの音が好きだ。流麗で豊かで伸びのある響き、転がる様な疾走溢れる音。そんな楽器でジャズをやる。これがまた良い。ジャズの持つファンクネスにヴァイブという楽器がしっかりとフィットするのだ。マイナーな音の響きがジャジーな音階、マイナーな音階にフィットする。

ジャズ・ヴァイブと言えば「ミルト・ジャクソン」である。ミルトのジャズ・ヴァイブは絶対である。当然、僕もミルトのヴァイブのアルバムは良く聴いた。そして、ミルトを聴き続けて、5年ほど経ってからかなあ、ボビー・ハッチャーソンに出会った。

ハードバップ全盛以降の1963年がリーダー作デビューなので、ハッチャーソンのヴァイブはハードバップなヴァイブでは無い。ハッチャーソンのヴァイブは「新主流派」のヴァイブである。モーダルであり、フリーであり、アーティステックである。

そんなハッチャーソンのヴァイブの音の個性を感じるには、このアルバムが最適だろう。2枚目のリーダー作(当時では初リーダー作)になる、Bobby Hutcherson『Dialogue』(写真左)。1965年4月の録音。ブルーノートの4198番。
 

Dialogue

 
ちなみにパーソネルは、Bobby Hutcherson (vib), Sam Rivers (ts, ss, b-cl, fl), Freddie Hubbard (tp), Andrew Hill (p), Richard Davis (b), Joe Chambers (ds)。このパーソネルを見れば、このアルバムから出てくる音が容易に想像出来る。演奏に参加した面々は皆が「新主流派」。

冒頭の「If Ever I Would Leave You」を聴けば良く判る。ハードバップな雰囲気は微塵も無い。モーダルで限りなくフリーな演奏。現代音楽に通じる硬質でクリスタルな響き。そんな演奏の核はもちろん「ハッチャーソンのヴァイブ」。ハッチャーソンのヴァイブは「新主流派のジャズ・ヴァイブ」である。

さすがはブルーノートだと思う。ハッチャーソンの新主流派ヴァイブに合ったメンバーをしっかりと集め、おそらくはブルーノートらしく、リハーサルをしっかり積んでの録音だと思う。しかも、メンバーの志向を理解して、リーダーの表現したい音をしっかりとサポートする。やはり、アルフレッド・ライオンのプロデュース力は凄い。

ハッチャーソンは意外と硬派なミュージシャンで、この「新主流派のジャズ・ヴァイブ」のスタイルを生涯貫き通した。ミルト・ジャクソンが「ジャズ・ヴァイブの王様」であるなら、ハッチャーソンは「ジャズ・ヴァイブの騎士」だろう。そんなハッチャーソンも今はもうこの世にいない。ご冥福をお祈りしたい。

 
 

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2016年8月16日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・86

今年の夏は暑い。とにかく蒸し暑い。とはいえ、関東地方は意外と酷暑の日が続いたのは短くて、意外と涼しいのが救いである。酷暑の季節は、どうしてもハードな純ジャズは避けたくなる。熱い演奏というのが辛い。しかし、切れ味の良い、爽快な純ジャズは季節を選ばない。酷暑の季節には、聴いていて精神的に「スカッと」する。

Sam Jones『Visitation』(写真左)。そんな切れ味の良い、爽快な純ジャズの一枚がこのアルバム。1978年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Ronnie Mathews (p), Sam Jones (b), Terumasa Hino (cor), Al Foster (ds), Bob Berg (ts)。今の目で見れば錚々たるメンバーである。特に目を惹くのは、日本トランペットのレジェンド、日野皓正の参加。

この盤はサム・ジョーンズがリーダー。いわゆる「ベーシストのリーダー作」である。ジャズ演奏の中での理想的なベースの役割、ベースの音色、そしてそのテクニックを、グループ・サウンズを通じて演出するやり方だ。サム・ジョーンズのレベルの高いリーダーシップが聴いて取れる。実に良い内容の、バランスの取れたクインテットの演奏である。

1970年代の純ジャズとしては秀逸な出来である。収録されたどの楽曲を取っても、その演奏内容は個性的で素晴らしい。それもその筈、この錚々たるメンバーである。悪かろう筈が無い。
 

Sam_jones_visitation

 
1970年代に、とりわけ日本で人気ピアニストだったスイング感抜群のロニー・マシューズ。モーダルで印象的なフレーズが新しいテナーのボブ・バーグ。ジャズの要となるリズム&ビートをガッチリとキープ、安定感溢れるドラミングを供給するアル・フォスター。そして、日本を代表する、エモーショナルで切れ味の良いトランペッター日野皓正。

そして、リーダーは、タイトで骨太でモダンなベーシスト、サム・ジョーンズ。サム・ジョーンズは、1981年、57歳で他界しているので、亡くなる3年前の録音になる。しかし、そんなことは微塵も感じさせない、粘りのあるソリッドで重い骨太な低音がグルーヴ感を盛り立てる。重心の低い、ブンブンとしなりながら、うねり歩く重低音なベース。

一言で言うと「切れ味の良い真摯な純ジャズ」。クインテットの5人が真摯に誠実にメインストリームなジャズを創造する。お互いの音をしっかりと聴きながら、独りよがりにならず、聴く者の立場にも立って、魅力的でモダンなジャズを展開する。その内容は当時の純ジャズの先端をいくもの。1970年代純ジャズの素晴らしい成果の一枚と言って良い。

この盤は、SteepleChaseレーベルからのリリース。ジャケットも渋くて、タイポグラフィーも趣味が良い。さすがはSteepleChase。良いアルバムを作るなあ。

 
 

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2016年8月15日 (月曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その26

ボサノバとジャズとは相性が良い。ボサノバもジャズも音作りにおいて、リズム&ビートが大きなウエイトを占める。そういうところが「相性が良い」という大きな理由だろう。

ボサノバ・ジャズを評する折、ボサノバ専門の方々からは「リズムがなっていない」とバッサリ切り捨てられる時がある。確かにボサノバのリズムは独特のものがあって、確かにこの独特のリズムをジャズがしっかりと踏襲することが難しいことがある。といって、ボサノバそのもののリズムになると、その演奏はボサノバそのものになる訳で、その度合いとバランスが難しい。

さて、この人のボーカルは、そんな理屈を越えたところにある。この人のボーカルがあるだけで、そのアルバムはきっちりと「ボサノバ」になる。バックがジャジーな演奏であれば、きっちりと「ボサノバ・ジャズ」になる。決して、上手なボーカルではないんだが、味があり、雰囲気がある。そんなこの人のボーカル。

そんな「この人」とは、Astrud Gilberto(アストラット・ジルベルト)。ブラジル出身ではあるが、もともとはボーカリストでは無い。ボサノバの生みの親の一人、ジョアン・ジルベルトの嫁はんである。たまたま、アルバム『ゲッツ/ジルベルト(Getz/Gilberto)』の録音の折、彼女の歌声にプロデューサーのクリード・テイラーが目をつけ、彼女は一躍、ボサノバ・ジャズのボーカリストとして脚光を浴びる。

1963年に初録音を果たして以来、1970年代初頭まで、彼女は「ボサノバ・ジャズ」の歌い手として人気者となる。ほとんど1年に一枚のアルバムをリリースしており、それぞれのアルバムのセールスは結構良かった。実は、彼女のボーカルは、ブラジル国内ではほとんど実績を残していないことから、ボサノバの歌い手としては評価が低い。逆に「ボサノバ・ジャズ」の歌い手としては一定の評価を得ていると言って良い。
 

Astrud_beach_samba

 
さて、そんな彼女のアルバムで、今年、我がバーチャル音楽喫茶『松和』でよくかかるアルバムが、Astrud Gilberto『Beach Samba』(写真左)。1967年の作品。

このアルバムのバックの演奏を聴くと判るのだが、ボサノバ/サンバの演奏とは全くかけ離れた、ジャジーでソフトロック的な、かつイージーリスニング的な音作りになっている。口笛、スキャットも織り交ぜたカラフルなサウンドが特徴で、パーソネルを見渡せば、ハーモニカのトゥーツ・シールマンスやブラジルのSSWであるマルコス・ヴァーリも参加している。

しかし、そこにアストラットのボーカルが入ってくると、その音世界がガラッと「ボサノバ・ジャズ」の雰囲気に変わるのだから面白い。アストラットにしか表現出来ない「ボサノバ・ジャズ」の音世界。時代は1967年なので、ちょっとクロスオーバーな雰囲気が漂うところがなかなか良い。

明らかに、このアルバムの音世界は「アストラット・ジルベルトの音世界」であり、決してボサノバでは無く、ジャズと言えばジャズなんだが、そういう音楽ジャンルを超えた、アストラットでしか表現出来ない音世界がここにある。

暑い夏にエアコンが効いた涼しい部屋で、ボヤ〜ッとしながら、聴き流すのが一番心地良い。上質のイージーリスニング・ボサノバ・ジャズである。

 
 

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2016年8月14日 (日曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・36

これだけ暑くなると「純ジャズ」を聴くのがちょっと辛くなる。特にフリー・ジャズなどは「御法度」である。バテた身体がさらにバテそうになる(笑)。こういう盛夏の時は、我がバーチャル音楽喫茶「松和」では、無理せず、スムース・ジャズやAOR系のフュージョン・ジャズで「涼」を求めたりする。

そんな中、ケニーG(Kenny G)をかけることがあるんだが、この「ケニーG」という名前を聞くだけで、立腹するベテランジャズ者の方がいる。ケニーGと言えば、スムース・ジャズの代表的プレイヤーの一人。スムース・ジャズといえば「堕落したジャズ」と決めつけるジャズ者の方もいる。そんなに毛嫌いする必要は無いと思うんですが・・・。

暑い夏の昼下がり、涼しい部屋の中でかけるスムース・ジャズの一枚が、Kenny G『Duotones』(写真左)。1986年の作品。ケニーGの4枚目のリーダー作。硬派なジャズ者ベテランの方々が毛嫌いするケニーGの好盤である。聴けば判るのだが、意外と硬派なケニーGのサックスなのだ。

やはり冒頭の「What Does It Take (To Win Your Love)」の出来が良い。邦題は「愛の鼓動」。こういう邦題を付けてシングルカットして売り出すから、硬派なジャズ者ベテランの方々が毛嫌いするんだよな。ケニーGの演奏はなかなかのものなのに、こういうイメージで損をする。日本のレコード会社にありがちな話である。
 
 
Kenny_g_duotones  
 
 
フラットな気持ちで聴くと、この『Duotones』ってアルバム、なかなかの演奏が詰まった、なかなかの出来であることが良く判る。ケニーGのサックスからバックのリズム・セクションの演奏のレベルも高く、アルバムに収録された楽曲のアレンジも秀逸。良く出来たAOR系のフュージョン・ジャズであることが良く判る。いわゆる後の「スムース・ジャズ」である。

とにかく聴き心地が良い。耳当たりが抜群なのだ。それでいて、演奏内容はイージーに走らない。サックスのフレーズも時にアブストラクトにフリーキーにブレイクしたり、ガッツの入ったアドリブ・フレーズを展開したり、硬派で正統派な内容が見え隠れする、意外とホットな内容なアルバムなのだ。

それが、耳当たり良く、聴き心地が良いのだがから、やはり、これはプロデュースとアレンジが優れているでしょう。こういうジャズもやはりジャズ。音の傾向の好き嫌いがあるのは判りますが、ケニーGと聞くだけで「軟弱」とか「聴く価値無し」と一刀両断するのは如何なものかと。

まあ、そのスムース・ジャズのアルバムの内容が優れたものを選盤する必要はありますが、今年の様な酷暑の昼下がり、エアコンの効いた部屋の中で聴くスムース・ジャズはなかなかイケます。Kenny G『Duotones』はそんな中の一枚です。
 
 
 

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2016年8月12日 (金曜日)

ジャコの個性と凄みを再認識する

ジャズ・ベースの革命児、特にエレキ・ベースの革命児であり、決定的レジェンドの存在が「ジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)」である。彼のベース・プレイは明らかに天才のそれであり、明らかに伝説として語り継がれるべきものである。

そんなジャコの貴重なインタビュー集である「ワード・オブ・マウス ジャコ・パストリアス魂の言葉」が文庫本で発売されたので、本屋で見つけ次第、即ゲット。なかなか興味深い内容で思わず読み進めてしまう。そのBGMとして、ジャコのライブ盤を聴いたのだが、このブートの様なライブ盤の内容もなかなか興味深かった。

そのブートの様なライブ盤とは、Jaco Pastorius『Live in Italy』(写真左)。1986年12月、イタリアはローマでのライブ録音。ジャコは1987年9月に事故で亡くなっているので、無くなる約1年前のライブ・パフォーマンスになる。

ブートの様なライブ盤と書いたが、今までリリースされたジャコのCDを見渡して見ると、1986年暮れから1987年にかけてのBireli Lagreneとのヨーロッパ・ツアー時の音源は、1987年にJacoが亡くなって以降、何種類かリリースされている。この『Live in Italy』は、そんな中の一枚。

このBireli Lagreneneというギタリストとのコラボレーションが、ジャコのエレベの特質を判り易く伝えてくれている様で、僕はジャコのエレベの個性を確かめる際、この『Live in Italy』を良く聴く。好不調の差の激しさはあるものの、ジャコのエレベならではの素晴らしさは、他のベーシストとは明らかにその次元が異なります。
 

Jaco_live_in_italy

 
1曲目の「Improvisation, No. 1/Teen Town」を聴けば、ジャコのエレベの個性が如実に感じ取ることが出来ます。Bireli Lagreneneというギタリストは明らかにロック系で、ジャズ系の音や個性は微塵も無い、単純なプレイです。Deep Purpleの「Smoke On The Water」のリフを弾くおふざけから、下手くそなジミヘンという感じの脳天気でヘヴィなロック・テイストには思わず閉口します。

しかし、ジャコのエレベが入ってくると、その音世界は一変。演奏全体の雰囲気はジャコの個性のみに塗り替えられます。脳天気なBireli Lagreneneというギタリストの音はしていますが、全く影響はありません。「Teen Town」の部分のエレベの弾き回しが凄くて、ユニゾン&ハーモニーの部分では、逆にロック・ギタリストの方が、ジャコのエレベに引っ張られている感じがあります。

脳天気なロック・ギタリストが作ったヘビメタなロックの雰囲気を、ジャコのエレベのフレーズが、ガラッとジャズの音世界に変換させてしまう。それだけ、ジャコのエレベの個性は強烈です。あまり評判の良く無い、このLagreneとのヨーロッパ・ツアーのライブ音源ですが、ジャコのエレベの個性と凄みを再認識出来て、ジャコ者としては意外と楽しめます。

演奏全体の雰囲気は確かに課題の多い内容ですが、ジャコの個性を確認する分には格好のライブ音源だと思います。一般のジャズ者に対してはお勧め出来ませんが、ジャコ者(ジャコのファン)のジャズ者ベテラン方々に対しては一聴をお勧めしています。

 
 

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2016年8月11日 (木曜日)

CASIOPEA 3rd『I・BU・KI』

CASIOPEA(カシオペア)は、1979年にデビューして以来、僕のお気に入りのフュージョン・バンドである。ちょうど、僕がジャズを本格的に聴き始めてほどない頃、このCASIOPEAに出会った。

エレクトリック、バカテク、ダイナミックな展開。そして、なによりフレーズが印象的。バカテクのプログレ集団の様でもあり、フュージョン・ジャズの中でソフト&メロウな雰囲気へ容易に走らない、エレクトリック・フュージョンにおける硬派で骨太な存在として、僕のお気に入りのフュージョン・バンドとなった。

あれから幾年幾星霜。2006年にすべての活動を一旦休止。2012年にCASIOPEA 3rd(カシオペア・サード)として活動を再開。活動再開と同時に長年のオリジナル・メンバーであった、キーボード担当の向谷の脱退を受け、その後任として、大高清美の加入により現在の形態になる。ギターが野呂一生、ベースが鳴瀬喜博、キーボード大高清美、そしてドラムが神保彰(サポート)の4人編成。

このCASIOPEA 3rdが好調である。そして、今年も早々と新作が届けられた。CASIOPEA 3rd『I・BU・KI』(写真左)。7月27日発売のCASIOPEA 3rd、3作目にあたるアルバムになる。
 

Casiopea_3rd_ibuki

 
冒頭の「ME・ZA・ME」を聴けば、このCASIOPEA 3rdの音の個性が、3作目のアルバムにして確立された感がある。大高清美のキーボードが全面的にフィーチャーされて、野呂一生のギターと対等にフロントを張る。大高清美のキーボードが大活躍。そこに野呂一生のエレギがガッチリと絡む。

大高清美のキーボードが全面に押し出されて、重心の低い、分厚くてドッシリ安定感のある、新しい「カシオペア・サウンド」が確立されている。加えて、4人のメンバーのテクニックが優秀が故に、演奏全体の切れ味が抜群で、ダレたところが全く無い。まあ、これは、もともとの「CASIOPEAの伝統の音」ではある。

そして、この新作で特筆すべきことであるが、楽曲自体の出来とアレンジが秀逸なので、耳が疲れることは無い。分厚くてドッシリ安定感のある、流麗で聴き易さのある楽曲が素晴らしい。特に、大高清美の提供曲は出来が良い。コンポーザーとしての能力も高い。野呂一生の曲の出来の良さは「言わずもがな」で、大高の提供曲によって、バンド全体の音の幅がダイナミックに広がっている。

疾走感と爽快感が素晴らしく、このCASIOPEA 3rdの様なフュージョン・ジャズのサウンドは他の国では聴くことが出来ない。日本発オリジナルなCASIOPEA 3rdの音である。

 
 

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2016年8月10日 (水曜日)

英国のフュージョン・ジャズ

昔から、シャカタク(Shakatak)と聞くと「ああ、ハワイのフュージョン・バンドやね」と思ってしまう。それは間違いで、ハワイのフュージョン・バンドは「カラパナ」。シャカタクは「英国のフュージョン・バンド」である。

英国という国では、ジャズとロックの境界線が曖昧である。ロック・バンドがジャズをやったり、フュージョンをやったりする。というか、特に、エレ楽器が中心のフュージョン専門のバンドの絶対数が少ない。必ず、どこかでロックの経験があったりする。

米国の様に、メインストリーム・ジャズを源とするフュージョン・ジャズとは異なり、欧州らしい、底にクラシックの影響を感じさせる流れる様な旋律と整った編曲に重きを置いたところが、英国のフュージョン・ジャズの個性である。当然、ロックの要素が強く見え隠れするところも重要な個性。そんな「英国のフュージョン・バンド」の個性の代表格がこの「シャカタク」である。

その個性がダイレクトに体験できるアルバムが、Shakatak『Invitations』(写真左)。1983年のリリース。シャカタクの第3作目。爽やかな展開の中に、欧州的な「そこはかとない哀愁感」漂う雰囲気。前年の『Night Birds』(2014年4月1日のブログ参照・左をクリック)も良いが、この『Invitations』の方が、シャカタクの個性をより強く感じることが出来る、と僕は思っている。
 

Invitations_times_and_places

 
そんなシャカタクの今年リリースされた最新作がこれ。Shakatak『Times and Places』(写真右)。2年ぶりの新作。この新作を聴いて思うのだが、1980年代のシャカタクの個性が、この21世紀になってもしっかりと維持されていて立派だ。このアルバムを暫く聴いていたら「これってシャカタクやん」と直ぐに判る。

ボーカル曲も爽やか、インスト曲は躍動感溢れる。印象的な旋律が展開する。スムース・ジャズの雰囲気が色濃いフュージョン・ジャズ。リズムの重心が低く、ダイナミックな分、スムース・ジャズという雰囲気よりは、1970年代後半のフュージョン・ジャズの印象が強い。

1980年にデビュー以来、いろんな出来事があり、メンバーについても一部入れ代わったり。それでも、今日まで頑張って活動を続けているのは素晴らしいことです。しかも、ならではの個性をしっかりと維持している。

ちなみに、グループ名の「Shakatak」とは、デビュー前、彼らが大変お世話になったレコード店「RECORD SHACK」に対する感謝の気持ちを込めて、「SHACK」+「ATTACK」から名づけられた造語とのことです。へえ。

 
 

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2016年8月 9日 (火曜日)

コブのテナーが悠然と吹き進む

8月3日のブログ(左をクリック)で、恐らく、このブログでは初めて「アーネット・コブ(Arnett Cobb)」をご紹介した。豪快で悠然として歌心のある骨太のテナー。テナーのレジェンドとして紹介されることは殆ど無いんだが、僕はこのコブのテナーが好きだ。

そんなコブの素敵なテナーを聴くことが出来るアルバムがもう一枚ある。Arnett Cobb『Sizzlin'』(写真左)。1960年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Arnett Cobb (ts), Red Garland (p), George Tucker (b),  J. C. Heard (ds)。アーネット・コブに、レッド・ガーランド・トリオがバックを務める。

まず、レッド・ガーランドのピアノが良い味を出している。さすがにバックを務めるリズム・セクションの名手である。コブのテナーをシッカリと支え、しっかりと鼓舞する。決して前に出ない。それでいて、しっかりと主張するとことは主張する。コブのテナーと相乗効果を醸し出す「主張」。ガーランドのピアノの趣味の良さと個性の豊かさが故である。
 

Sizzlin

 
そんなガーランドのピアノをバックに、コブのテナーが悠然と朗々と吹き進む。コブのテナーはサラッとしている。ネバネバ、ベトベトしていない。そこが良い。サラッとした音でファンキーなフレーズを朗々と吹き上げる。ブルージーな雰囲気が実に魅力的。ああ、ジャズを聴いているんやな〜、と改めてしみじみと感じてしまう。

加えて、コブのテナーは抑制が効いている。決して破綻することなく、決して逸脱することなく、優しくて温かみのあるアドリブ・フレーズを吹き進めていく。これがまた良い。変にベタベタすること無く、変にネバネバすること無く、シンプルなアドリブ・フレーズを吹き進めていく。これがまた良い。

派手では無い。複雑では無い。難しく無い。判り易いシンプルな、それでいて、しっかりとジャジーでファンキーなテナー。アーネット・コブのテナーはそんなテナーだ。スッキリしている分、酷暑の夏に聴くに最適なテナーである。

 
 

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2016年8月 8日 (月曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その25

European Jazz Trio『Saudade』(写真左)。邦題『黄昏のサウダージ』。2007年のリリース。収録曲を眺めると、A.C.ジョビン、ルイス・ボンファ、ジョルジュ・ベン、イヴァン・リンスの心癒される楽曲を中心に、マイケル・フランクス、カーペンターズ、ポール・マッカートニーのカヴァー曲が並ぶ。

「ボサノバ」をコンセプトの中心に持ってきたアルバムと解釈するのが相当な内容である。基本的にミッドテンポからスローテンポな演奏で締められ、かつアレンジは聴き易く判り易いもの。硬派なジャズ者の方々からは「イージーリスニング」のレッテルを貼られそうなムーディーな内容。

ヨーロピアン・ジャズ・トリオ(EJT)は、オランダのジャズ・ミュージシャン3人で結成されたジャズ・ピアノ・トリオ。哀愁漂うリリカルでムーディーなサウンドと欧州の気品、クラシックの影響を感じさせるシンプルで判り易いアレンジが特徴。クラシック、ミュージカル、歌謡曲、童謡、ポップス、ロックの有名な楽曲のカバーが特徴。この辺から「イージーリスニング」と揶揄されるEJTの個性が良く判る。

しかし、演奏については、確かに「イージーリスニング」な感じなのだが、ギリギリのところで、ジャジーなリズム&ビートとアドリブの展開が存在しており、演奏を聴けば判るのだが、基本的には、しっかりとしたピアノ・トリオなジャズであることが良く判る。そういう意味で、このEJTの音は「イージーリスニング・ジャズ」として評価して良いと思う。
 

Saudade1

 
聴けば確かに聴きやすいピアノ・トリオなジャズが延々と続く訳で、内容の薄い演奏であれば、途中で飽きてしまうんですが、意外とこのアルバムの演奏は飽きない。そういう意味でも、この盤の内容は単なる「イージーリスニング」では無い。このEJTの音は「イージーリスニング・ジャズ」として評価して良いでしょう。 

ちなみにパーソネルは、Marc van Roon (p), Frans van der Hoeven (b), Roy Dackus (ds)。いずれもテクニックは確か、演奏内容もしっかりしたもの。決して、イメージ先行のピアノ・トリオでは無いし、レコード会社が作り出した、企画型のピアノ・トリオでも無い。「イージーリスニング・ジャズ」をやる、というだけで敬遠するには勿体ないピアノ・トリオである。

さて、この 『Saudade』というアルバム、やはり、ボサノバ&サンバ曲のカバーの出来が良い。レオン・ラッセルやマイケル・フランクスのポップ・ヒット、さらにはポール・マッカートニーのシングル曲までを取りあげているが、その出来は「まあまあ」。ジャズ化についてはちょっと無理のある楽曲もあり、やはり、このアルバムは徹頭徹尾「ボサノバ&サンバ・ジャズ集」で統一したほうが良かったと思う。

こういう「イージーリスニング・ジャズ」もたまには良い。猛暑の夏、聴き易く耳に優しいジャズが良い。聴きやすい「ボサノバ&サンバ・ジャズ」で暑気払いである。早く涼しくならないかなあ。

 
 

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2016年8月 7日 (日曜日)

サーファー御用達の爽やかAOR

ジャズばっかり聴いていると、ふと耳休めをしたくなる時がある。そんな時、ジャズとジャズの合間に、違和感無く聴けるジャンルの一つが「AOR」。今日の「ジャズの合間の耳休め」は「Cecilio & Kapono(セシリオ&カポノ)。

この「セシリオ&カポノ」とは、カラパナと並ぶ人気「ハワイアン・サーフ・ロック」デュオ。ハワイのロックシーンを語る時の必須バンドのひとつである。ヘンリー・カポノはネイティヴなハワイアン、メキシコとインディアンの血を引くセシリオ・ロドリゲスはカリフォルニア生まれ。

この「セシリオ&カポノ」の名を聞いて「懐かしいな〜」と思う方は、1970年代AORの「通」と言って良いでしょう。僕は、彼らの名前を聞くと、決まってこのアルバムを思い出して、CDプレイヤーのトレイに載せる。Cecilio & Kapono『Night Music』(写真左)。1977年リリースの彼らの3rdアルバムである。

このアルバムの中に詰まっている音は「米国西海岸ロック系」のAOR。まさに絵に描いた様なAORな演奏とボーカル。そんな中に、そこはかとなく、ハワイ風のトロピカルな要素がちりばめられているところが、このアルバムの個性である。さすが、サーファー御用達の爽やかAOR。
 

Night_music

 
演奏の構成としては、基本的には彼らの歌とギター、そしてリズム隊というシンプルな演奏。このシンプルさが演奏全体の爽やかさを生んでいる。客演のトム・スコットのサックスやニック・デカロによる趣味の良いストリングス・アレンジもほど良いスパイスのように効いています。

ボズ・スキャッグスのヒット曲「We're All Alone」のカバーも収録されていて、これがまた良い雰囲気なんですよね。僕はオリジナルよりもこの「セシリオ&カポノ」のバージョンの方が好きです。

冒頭のタイトル曲が流れたら、そこには爽やかな海の雰囲気が流れます。タイトルがあまりにムーディー過ぎて、しかも、ジャケットも思い切り爽やかなデザインなので、ちょっと胡散臭い感じがして敬遠されがちですが、全くそんなことを気にすること無く手にして良い、1970年代AORの好盤です。

 
 

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2016年8月 6日 (土曜日)

米国西海岸ロック系のAOR

このところ、週末は「ジャズの合間の耳休め」的なアルバムについて語っている。我がバーチャル音楽喫茶『松和』は、ジャズが中心ではあるが、1970年代ロック、1970年代Jポップも守備範囲としている。

ジャズばっかり聴いていると、ふと耳休めをしたくなる時がある。そんな時、ジャズとジャズの合間に、違和感無く聴けるジャンルの一つが「AOR」。「AOR」とは、ここでは、Adult-Oriented Rock(アダルト・オリエンテッド・ロック)の略語。日本特有の音楽ジャンル言葉で「大人向けのロック」と独自解釈された。クロスオーバー的なサウンドと大人向けの落ち着いたヴォーカルが特徴である。

このAORの流行時期に僕達は学生時代を過ごした訳で、思いっきりリアルタイムにAORを体験している。FMつけてAOR、お洒落な喫茶店に入ってAOR、時には街のスーパーマーケットに入ってAORだった。それほど、1970年代後半から1980年代前半については、AORが流行に流行った。

そんなAORの好盤の中から、今日のチョイスは、AirPlay『AirPlay(邦題:ロマンチック)』(写真)。AORをリアルタイムに体験した僕達にとっては、まさにこのアルバムのサウンドこそが「AOR」。また、その音の雰囲気は『米国西海岸ロック系』。爽快なコーラスと疾走感溢れるフレーズが思いっきり「AOR」しています。
 

Airplay

 
AirPlayは、David Foster と Jay Graydon という、プロデューサー、プレイヤーとして、そのポジションを確立した二人を中心に、ヴォーカルには Tommy Funderburk、バックに TOTO の Jeff Porcaro (ds), David Hungate (b), Steve Lukather (g) Ray Parker, Jr. (g) や Mike Baird (ds) などを配したスーパー・プロジェクトでした。

まあ、このメンバー面々の名前を見渡すと、そこから出てくる音は、おおよそ想像できるというもの。明るく爽やか、爽快感溢れる、それでいて余裕のある、大人の「米国西海岸ロック」。特に、ハイトーンなコーラスが絶妙。このハイトーン・コーラスを聴けば、明らかにこのバンドは「米国西海岸ロック系」でしょう。

まるで打ち込みのような正確無比なリズム&ビートも魅力。このAirplayのリズム&ビートにはファンクネスは皆無。ジャジーな雰囲気も皆無。クロスオーバー的なサウンドが特徴ですが、重心は明らかに「ロック」寄り。それでも、演奏全体の雰囲気は、ハイ・テクニックでありながら余裕のある演奏で、そういう面から、このアルバムの音はジャズとジャズの合間に、違和感無く聴ける音だと思います。

もともと日本でしかウケなかったアルバムで、米国ではほとんど記憶に残っていないのでは無いでしょうか。Amazonを覗いてみても、輸入盤の取り扱いがないみたいです。それでも、このアルバムの優れた内容を見抜いて、このアルバムを評価した当時の日本人のAOR者の耳の確かさに改めて敬意を表したいと思います。

 
 

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2016年8月 5日 (金曜日)

カシオペアの傑作フュージョン

CASIOPEA『Eyes of The Mind』で、明確に音が変化したカシオペア。腰のしっかりと座った、太くて逞しいリズム&ビートに乗った、余裕あるAOR系のフュージョン・ジャズ。ハーヴィー・メイソンのプロデュースの賜であった。 これだけ音の変化したカシオペア。次作はどうなるのか。当時、興味津々であった。

その次作が、CASIOPEA『Cross Point』(写真左)。1981年10月のリリース。この盤は、ハーヴィー・メイソンを日本に呼んで、リズム・トラックのプロデュースを依頼した作品。前作『Eyes of The Mind』で得た「それまでと違うビート感」を日本のレコーディングでも出したい、というのが動機らしい。

で、リリース当時、聴いてみたら、ちょっと違うんですよね。リズム&ビートの部分の雰囲気が。なんか違う。当時、確か、そんな記事を「ADLIB」誌で読んで聴き比べましたね〜。具体的にどう違うんだ、と。そして、聴いたら明らかに音の乾き方というか、抜け方というか、『Eyes of The Mind』がドライで、『Cross Point』がウェットな雰囲気に感じるんですよね。面白いなあ、と単純に思いました。

そういう音のニュアンスの違いはあったんですが、『Cross Point』単体で聴けば、カシオペアとして、実にバランスの取れた演奏が印象的です。さを前面に押し出した「イケイケ」のカシオペアと腰のしっかりと座った、太くて逞しいリズム&ビートに乗った、余裕あるAOR系のフュージョン・ジャズのカシオペアの割合が「3対7」くらい。
 

Cross_point

 
つまり、エフェクターやシンセの大量導入で彩りある音で埋め尽くす「イケイケ」のカシオペアとくて逞しいリズム&ビートに乗った、余裕あるAOR系のフュージョンのカシオペアのミックス度合いが絶妙なんですね。野呂・向谷・神保・桜井の4人の演奏のバランスも絶妙で、バンドとしての音がガッチリと固定されたアルバムだと僕は感じています。

以前のブログ記事で「カシオペア者(カシオペア・ファン)に大歓迎された、エフェクターやシンセの大量導入で彩りある音で埋め尽くされたアルバム『Make Up City』。そして、今回の『Eyes of The Mind』は『Make Up City』とは、全く対極にある音。この二極性がカシオペアの音作りの個性として定着していく。」と書きましたが、この『Eyes of The Mind』の音の完成形が『Cross Point』だと思います。

改めて聴き直してみても、良い音だしてますよね。日本を代表するフュージョン・バンドとしても全く異論の無い音が、このアルバムに充満しています。カシオペア者の皆さんからも評価の高いアルバムなのも頷けます。日本フュージョン・ジャズの代表的アルバムの一枚です。

 
 

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2016年8月 4日 (木曜日)

スッ〜とストレートなアルト

うへ〜っと驚くばかりの湿気の多さ。風はあるのだが、ちょっとでも身体を動かすと、額に汗がネチョ〜と絡みつく。なんて湿気の多さなんだ。体中が汗でコーティングされたような気色悪さ。この湿気の高さが知らず知らずのうちに体力を奪っていく。

そんな夏にはシンプルなジャズが良い。というのが、昨日のブログの展開。今日も同様の展開で突っ走る。シンプルなジャズと言えば、やっぱりワンホーンである。ここまで湿気の多い酷暑な夏の気候からすると、あまりフロントに管が複数あると、ちょっと耳にもたれる。聴き心地の良いユニゾン&ハーモニーもちょっと辛い。

ということで、やっぱり、湿度の高い、不快指数の高い夏には「ワンホーン」なジャズが良い、という結論になる。軽快でシンプルでスッ〜とストレートなワンホーン。とくれば、アルト・サックスかなあ。ちょっと高めのキーでスッと伸びたブラスな音色が清々しいアルト・サックスのワンホーン盤を探す。

軽快でシンプルでスッ〜とストレートなアルト・サックスは、と問われれば、その一人に「ソニー・スティット」が浮かぶ。スティットか、良いねえ。ということで、ソニー・スティットのアルバムの中から、今日はこの盤を選択。Sonny Stitt『Stitt Plays Bird』(写真左)。1963年1月の録音。

ちなみにパーソネルは、Sonny Stitt (as), John Lewis (p), Jim Hall (g), Richard Davis (b), Connie Kay (ds)。ソニー・スティットのアルトに加えて、フロント楽器っぽいギター、ジム・ホールが参入しているが、ホーンでは無いので、ここでは、この盤は「ワンホーン」盤として扱うこととする。
 

Stitt_plays_bird_1

 
チャーリー・パーカーの得意曲のカバー集なんですが、面白いのは、この盤のスティットの演奏を聴けば聴くほど、パーカーとの相違点をしっかりと押さえることが出来る趣向になっています。パーカーはオリジナルの楽曲の旋律を抽象的にデフォルメしてアドリブしていくが、スティットは、オリジナルの楽曲の旋律に忠実に従いつつアドリブとして崩していく。

スティットのアドリブには、オリジナルの楽曲の旋律の部分や展開が雰囲気が見え隠れするので、明らかにパーカーの劣るとされるのですが、このアルバムの演奏を聴く限り、そんなことは全くありません。アドリブを展開する時のアプローチの違いというだけで、どちらのアプローチも個性として超一流です。

ジム・ホールのギターは控えめにフロントのスティットのアルトを惹き立てる演奏を繰り広げているので、このアルバムを聴き進めて行くと、明らかにワンホーンのスティットのアルトがバッリバリに目立ってきます。端正でエモーシャル、それでいて、軽快でシンプルでスッ〜とストレートなアルト・サックス。爽快です。

ポジティブなアルト・サックス。バックのリズム・セクションの伴奏上手なところにも、ほとほと感心。爽快なスティットのアドリブ展開に清々しさを感じて、ちょっと気持ちが涼しくなります。ジャケットのイラストがちょっと不気味なんですが、ジャズ者初心者の方々も迷わず手にして良い、ジャズ者初心者向けの好盤でもあります。

 
 

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2016年8月 3日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・85

我が千葉県北西部地方の今年の夏は不安定。その原因は例年に無いオホーツク海高気圧の勢力の強さにあるのだが、気温の高さはそこそこなんだが湿度が高い。とにかく、この湿気の高さが知らず知らずのうちに体力を奪っていく。

そんな夏にはシンプルなジャズが良い。軽快で爽快、判り易くて聴き心地の良いジャズが良い。そんなジャズって、例えば「ワンホーン・カルテット」の作品なんかが該当する。フロントはワンホーン、つまりホーン楽器一本。バックは、リズム・セクションとして最小単位のピアノ・トリオ。

ということで、軽快で爽快、判り易くて聴き心地の良い「ワンホーン・カルテット」の作品を探す。そして、このアルバムを思い出した。Arnett Cobb『Party Time』(写真左)。1959年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Arnett Cobb (ts), Ray Bryant (p), Wendell Marshall (b), Art Taylor (ds), Ray Barretto (conga)。テナーのワンホーン・カルテットにコンガが加わる。

このコンガの参加が効果的。軽快なコンガの響き。このコンガの響きとゆったりとした歩く位のリズムの演奏が、実に良い感じなのだ。ゆったりとしていて聴き心地良し。そして、ワンホーン・カルテットの「ワンホーン」のテナーが判り易くて爽快なのだ。
 

Arnett_cobb_party_time

 
アーネット・コブのテナーが良い味を出している。余裕のあるシンプルなブロウ。時に悠然と、時に雄々しくテナーを吹き上げる。特にバラード演奏は特筆に値する。こんなに心地良いテナーってなかなか無い。実に心地良い、ハードバップなテナーの響き。良い味だしているなあ。

加えて、バックのピアノ・トリオが良い響き。そこはかとなく漂うファンクネスが芳しいレイ・ブライアントのピアノ。堅実にベースラインを紡ぎ出すワンデル・マーシャルのベース、フロントのテナーを鼓舞するアート・テイラーの燻し銀ドラム。伴奏に長けた、軽快で爽快、判り易くて聴き心地の良いピアノ・トリオ。

良き響き、良きフレーズ、良きリズム&ビートが詰まった好盤です。軽快で爽快、判り易くて聴き心地の良い、湿度の高い、不快指数の高い夏に最適なメインストリーム・ジャズ。メインストリーム・ジャズの中にも夏向きのアルバムもあるんですね。この盤を聴いて改めて再認識しました。

 
 

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2016年8月 2日 (火曜日)

シンプルで判り易いジャズは良い

今朝は落雷の音で目が覚めた。4時半くらいだっただろうか。相当近くに落ちたのだろう、寝ぼけ眼で「爆撃か」と思ったくらいだ。以降、5〜6発は落ちたかなあ。もう喧しくて寝られない(笑)。ということで、今日は一日、寝不足の一日。眠くて眠くて仕方が無い。

そういう日には、シンプルで判り易いジャズが良い。難しいジャズなんか聴いたら「寝てしまう」。耳にグッと良い刺激が来るけど、シンプルで判り易いジャズ。「シンプルで判り易い」。大事なことである。それでは、と選んだアルバムがこれ。

Milt Jackson『Plenty, Plenty Soul』(写真左)。1957年1月の録音。ハードバップ全盛期真っ只中である。このアルバムは、LP時代のA面とB面で、それぞれ2つの異なるユニットで録音されている。ちなみにそれぞれ2つの異なるユニットのパーソネルは以下のとおり。もちろん、リーダーはMilt Jackson (vib)。

【A面(1〜3曲目)】
Joe Newman (tp), Jimmy Cleaveland (tb), Cannonball Adderley (as), Frank Foster (ts), Sahib Shihab (bs), Horace Silver (p), Percy Heath (b), Art Blakey (ds), Quincy Jones (arr)
 
【B面(4〜7曲目)】
Joe Newman (tp), Lucky Thompson (ts), Horace Silver (p), Oscar Pettiford (b), Connie Kay (ds)
 

Plenty_plenty_soul

  
前半1〜3曲目が実にゴージャスな演奏内容だ。ヴァイブ+5管+ピアノ・トリオという構成の9重奏団。そして、アレンジがあの「クインシー・ジョーンズ」。ミルトのバックを司る5管+ピアノ・トリオだけで、その響きはもう「ビッグバンド」の響き。さすがはクインシー・ジョーンズのアレンジである。

そんなゴージャスなバックの演奏を従え、ミルトのヴァイブがシンプルに繊細に爽快に鳴り響く。演奏の展開は明らかにハードバップ。ミルトのヴァイブはジャジーでありファンキー。ビッグバンド的なゴージャスなバックの音とは対照的に、シンプルでファンキーな、そして唄う様なミルトのヴァイブ。前半1〜3曲目は「豪華でソウルフル、シンプルでポップな演奏」。

4〜7曲目の後半は、打って変わって、6重奏団の楽しく寛いだ「大ハードバップ大会」。よくよく聴けば、ファンキー・ピアノの権化、ホレス・シルバーのピアノが実に良く「効いている」。ミルトのファンキー・ヴァイブを、そっと煽る様なホレスのファンキー・ピアノ。

前半は「ソウルフル」、後半は「ファンキー」。そんな2つの雰囲気を醸し出した、正統派ハードバップの演奏が実に魅力的。そんな正統派ハードバップな演奏の中で、ミルト・ジャクソンのヴァイブが際立っている。そして、前半と後半の音の響き、重ね方に注目して聴くと、クインシー・ジョーンズのアレンジの素晴らしさが改めて良く判る。

9重奏団と6重奏団の大作。大作ではあるが、重厚さ、複雑さは全く無い。逆にシンプルで繊細で判り易い。アレンジのクインシー、リーダーでヴァイブのミルト、この二人の最大の成果がこのアルバムに凝縮されている。好盤です。ジャズ者全般にお勧め。

 
 

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2016年8月 1日 (月曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・39

スタン・ゲッツは「ラッキー・マン」であった。1961年、当時注目されていたブラジル音楽のボサノバを採り入れたアルバム『ジャズ・サンバ』をチャーリー・バードと共に録音。それによってジャズ界におけるボサノバ奏者の第一人者となる。1963年には『ゲッツ/ジルベルト』を録音し、グラミー賞4部門を独占。

スタン・ゲッツ=ボサノバ・ジャズという図式が出来上がった。ここまで来ると、ゲッツは商売人である。そこで、ゲッツは大量にボサノバ・ジャズのアルバムを量産する。まるで「ボサノバの商人」である。ボサノバの第一人者達とのコラボを繰り広げ、様々なフォーマットでボサノバ・ジャズを録音する。

Stan Getz『Big Band Bossa Nova』(写真左)。1962年8月の録音。ボサノバ・ジャズの雄、スタン・ゲッツがジャズ・ビッグバンドをバックに吹き込んだアルバムである。Gary McFarland(ゲイリー・マクファーランド)のアレンジでのビッグバンド。ビッグバンドをバックにしたボサノバ・ジャズで「もう一発当てよう」という、ゲッツとレコード会社の魂胆がみえみえである(笑)。
 

Big_band_bossa_nova1  

 
バックのビッグバンドが良い音を出している。ギターの名手ジム・ホールが参加しているが、このアルバムでは、全編ガットギターで主にコード弾きに徹していて、前面に出て目立つことは無い。が、しっかりとボサノバのリズムを小気味良く刻んでいる。ボサノバのギターのコード弾きというより、ジャズのギターのコード弾きでボサノバの雰囲気を出す、という感じが実に印象的。

そこにスタン・ゲッツのテナーが入ってくる。スタン・ゲッツのボサノバ・テナーは相変わらずで、マンネリ感が漂う感じが否めなくも無い。スタン・ゲッツのボサノバ・テナーを聴くというよりは、マクファーランドの優れたビッグバンドがボサノバ・ジャズを演奏する中に、スタン・ゲッツのテナーが客演する、と形容した方がピッタリする内容だと僕は思う。

それほど、このアルバムでのビッグバンドは良く鳴っている。マクファーランドのアレンジが良いのだろう。ボサノバ・ジャズを題材にしたビッグバンド・ジャズの好例ではないだろうか。

 
 

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