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2016年8月28日 (日曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その28 『Brazilian Dreamin'』

ボサノバ・ジャズは純粋なボサノバでは無い。でも、ボサノバ・ジャズを聴けば、リラックスできるし、ストレス解消にもなる。ボサノバ・ジャズは、純ジャズとの補完関係にあると思っていて、特に、夏の暑い時期、純ジャズを聴くに辛い時、ボサノバ・ジャズはそれを補ってくれる。

ボサノバ・ジャズはある程度、耳当たりが良いことが大切。シビアな純ジャズ風で耳に迫る風だと、夏の暑い時期、ちと辛い。イージーリスニングに陥ること無く、聴き応えと聴き易さを両立させるバランス感覚が大切になる。

基本的に純ジャズをメインに展開している日本のジャズ・レーベルに「ヴィーナス・レーベル」がある。日本人好みの純ジャズをプロデュースし続けていて、ジャズ者ベテランの方々を中心に、熱心なファンを持つレーベルである。そんなレーベルなんで、ボサノバ・ジャズなんてやらんやろう、と思ってカタログを見ていたら、幾枚かあるではないか。

そんなヴィーナス・レーベルからリリースされた、ボサノバ・ジャズな一枚が、Joe Beck『Brazilian Dreamin'』(写真左)。2005年の録音。Joe Beckはエレクトリックとガット・ギターで、Ira Colemanのベース、Thierry Arpinoのドラムスというトリオ編成。2曲だけGregoire Maretのハーモニカが加わりますが、基本的にはギター・トリオというシンプルな編成。
 

Brazilian_dreamin

 
アルバム・タイトルどおり、ボサノバを中心にしたブラジル風味で統一されたアルバムで、聴き心地のとても良いものです。耳当たりが良く、リズム・セクションはしっかりとしていて、聴いていて飽きがくることはありません。純ジャズの基本とボサノバの雰囲気をしっかりと押さえていて、その出来は良い。

ジョー・ベックのギターについては、やはりエレクトリック・ギターが良い。ボサノバ・ジャズの雰囲気に合わせた、気味良く柔らかで官能的なエレギの音色は個性的。Antonio Carlos Jobimの名曲の旋律をクッキリと印象付けていきます。柔らかで典雅ではあるが甘くは無い、いわゆる「クール」なエレギの音色です。

このアルバムの収録曲の中でユニークなのは、ジョン・コルトレーンのシーツ・オブ・サウンドの名曲「Giant Steps」が収録されていること。ボサノバを中心にしたブラジル風味で統一されたアルバムの中に、メカニカルな複雑なコード進行を持つ超難曲が入っている。思いっきり違和感を覚えますが、殆ど「換骨奪胎」、原曲、元演奏の雰囲気は微塵も無い、歌心満載のボサノバ・チューンに変身しています。話題性は無いと思われます。

ボサノバ・ジャズのアルバムとしては、まずまずの出来で、純ジャズの基本とボサノバの雰囲気をしっかりと押さえた「ボサノバ・ジャズ」の一枚として、コレクションに加えるのには良い盤では無いでしょうか。

 
 

★震災から5年5ヶ月。決して忘れない。まだ5年5ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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