空模様のかげんが悪くなる前に
週末の当ブログ「ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと」は、ジャズの合間の耳休め。70年代ロックや70年代Jポップのアルバムにまつわるお話しを特集しています。
さて、1970年代後半、僕達の学生時代は、いわゆる「Jポップ」の最初の黄金時代では無かったかと感じている。1970年代に入って、フォークから入った「Jポップ」ではあったが、程なく、英国・米国の音楽シーンの成果を取り込み、和製ロック、そして、ポップ・ロックがベースの「ニューミュージック」へ発展。1970年代後半は、今から振り返って、かなり充実した「Jポップ」の時代であった。
当然、洒落たアルバムや粋なアルバムがどんどん出てくる。音楽雑誌やFM情報誌の記事は欠かせない。そして、FMのエアチェックによるアルバムのリサーチは欠かせなかった。そんな、FMのエアチェックのリサーチに引っ掛かってきたアルバムがこのアルバムである。
そのアルバムとは『Char』(写真左)。1976年9月のリリースになる。さて、その「Char(チャー)」とは誰か。本名は「竹中 尚人」。日本のギタリストである。そのエレギのプレイは「天才ギタリスト」の呼称に相応しい。この時21歳、そのエレギのプレイと味のあるボーカルがぎっしりと詰まった、初々しくも爽快な、Charのデビュー盤である。
大学時代、ちょうど、この梅雨の季節によく聴いていた。もともとこのアルバムの中の8曲目「空模様のかげんが悪くなる前に」が、皆の大のお気に入りの曲だったので、この梅雨の時期によく聴くようになった、と記憶している。
このアルバムを初めて聴いた時は、椅子から転げ落ちるくらいにビックリした。この弱冠21歳のギタリストのテクニック、感性、表現力にたまげた。そして、英国ロックや米国ロックのコピーに終始しない、日本人ならではの個性が見え隠れするところにとりわけ、感じ入った。収録されたほどんどの楽曲を「日本語」で唄い切る、その潔さにも感服した。
特に、エレギのトーン、紡ぎ出すフレーズのグルーブ感が独特だ。冒頭の「Shinin' You, Shinin' Day」の前奏のリフを聴くだけで、チャーと判る。それほど個性的なフレーズのグルーブ感が堪らない。チャーの代表曲、6曲目の「Smokey」のギターワークも白眉。思わず、アルバム全編、聴き惚れる。
1976年という日本のロック黎明期に、こんな粋で洒落たアルバムがリリースされていたなんて、今の耳にも「ビックリぽん」です(笑)。今でも8曲目「空模様のかげんが悪くなる前に」は大のお気に入り。この曲を聴くと、大学時代の行きつけの喫茶店「みちくさ」の昼下がりの風景が目に浮かびます。
震災から5年3ヶ月。決して忘れない。まだ5年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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