ローガンとパットとジェイソン
ジャズ雑誌で絶賛されている新進のサックス奏者である。1980年、ミズーリ州カンザス・シティ生まれ。チャーリー・パーカーの音源を聴いてジャズに開眼、16歳でプロ・デビュー。ボストンのバークリー音楽院出身、2007年にファースト盤をリリース。今回、名門ブルーノート・レコードからメジャー・デビュー。
その名は「Logan Richardson(ローガン・リチャードソン)」。アルト・サックス奏者。アンブローズ・アキムシーレ、ロバート・グラスパーなどと並んで、現在のNYジャズにおける新進気鋭の逸材の一人。そんなリチャードソンがリリースした3枚目のリーダー作がなかなかの内容なのだ。
Logan Richardson『Shift』(写真左)。昨年のリリース。リチャードソンいわく「アルバム・タイトルにはいろんな意味が込められている。音楽の系譜のシフトであり、テクノロジーのシフトでもあり、状況のシフトでもある」。この新作は、そのタイトル通りにさまざまな転換(シフト)をテーマとしている。
ジャケットもさすがブルーノートで、インパクトのあるリチャードソンの顔イラストが実に良い雰囲気。ちなみにパーソネルは、Logan Richardson (as), Pat Metheny (g), Jason Moran (p, rhodes), Harish Raghavan (b), Nasheet Waits (ds)。パット・メセニーとジェイソン・モランが全面的に録音に参加しているところに注目である。
冒頭の「MInd Free」を聴けば、このアルバムの音世界の傾向がはっきりと判る。パット・メセニーのギターとジェイソン・モランのキーボードが明らかに映える楽曲とアレンジ。そこにリチャードソンのアルト・サックスが違和感無く絡む。パットとモランの相性も抜群だが、加えて、リチャードソンとの相性も抜群。
ただし、あのジャズ・ギターのスタイリストでありレジェンドであるパット・メセニーである。彼がギターの音を出して、フレーズを弾くと、もうそこは「パットの音世界」。モランのキーボードも個性豊か。モランが弾けば、そこはもう「モランの音世界」。リーダーのリチャードソンの音世界は「そっちのけ」である。
しかし、パットのギター、モランのキーボードとリチャードソンのアルトの相性は抜群。このアルバムでは、リチャードソンは一歩引いて、パットとモランを活かす楽曲とアレンジを採用。だが、これが意外に当たっている。そんな音世界の中で、リチャードソンのアルトは様々な音を聴かせてくれる。
アルバム全体の音世界としては、良く出来た「コンテンポラリーなメインストリーム・ジャズ」である。聴き心地も良く、ところどころに顔を出すフリーキーな展開も「良いアクセント」として響く。アルバムとしてはなかなか良く出来た内容である。
それでは、リチャードソンのアルト・サックス奏者としての個性はどうなのか、という懸念については、次作に期待ですね。
震災から5年3ヶ月。決して忘れない。まだ5年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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