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2016年7月 6日 (水曜日)

隠遁後、マイルス完全復活

このアルバムを初めて聴いた時、一緒の違和感を感じた。今までのマイルスのアルバムの音と少し違う。スッキリしたというか、マイルスのアドリブ・フレーズが淀みなくスッと流れるというか、演奏全体が自然に流れるというか、とにかく今までのアルバムとは違う音の傾向に戸惑った。といっても、良い方向での戸惑いではあったんで、悪い違和感は無かった。

そのアルバムとは、Miles Davis『Decoy(デコイ)』(写真左)。1984年のリリースになる。一種の違和感を感じた原因は「テオ・マセロの存在」。このアルバムは、長年マイルスの作品をプロデュースしてきたテオ・マセロと別れ、マイルスの初セルフ・プロデュース作となった盤である。加えて、シンセのロバート・アービング3世をコ・プロデューサーとしている。

プロデュースの担い手が変わる訳である。一種の違和感を感じるのは当たり前。今回、このアルバムの音世界が、いわゆるマイルスの思い描いた音世界なんだろう。しかし、マイルスはテオ・マセロのプロデュースの手腕に一目置いていた。特に、テオのテープ編集の能力については、優れたミュージシャンと同等の扱いであった。だからこそ、マイルスは長年、テオ・マセロにプロデュースを委ねていた訳である。

しかし、どんな心境の変化があったのか、マイルスの自伝集なので断片的にしか判らないのだが、自分の音楽を全て自分の手で創り上げたい、と単純に思ったようである。マイルスはこの盤のリリース当時、58歳。還暦一歩手前、マイルスの心境の変化については、実感として実に良く理解出来る。
 

Decoy

 
このデコイの音世界は、エレ・マイルスの最高到達点の様な音世界である。ゴツゴツと尖ったところも取れ、闇を引き摺る様な暗さも無い、明快で爽快でポジティブなエレ・マイルスの音世界がこのアルバムにぎっしりと詰まっている。

ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp, syn, arr), Branford Marsalis, Bill Evans (ss), Robert Irving III (syn & drum programming), John Scofield (g), Darryl Jones (b), Al Foster (ds), Mino Cinelu (per)。このアルバムでは、やはり、ロバート・アービング3世のシンセとダリル・ジョーンズのベースの参入が効いている。

前作『Star People』とメンバーの変更はほとんど無いが、音の傾向が違う。捻れたり、混沌としたところが全く無い。ポジティブで爽やかスッキリとしたリズム&ビートの下で、歌心溢れ、切れ味の良く、ウォームなマイルスのトラペットが良い雰囲気。そして、なんといってもアレンジが小粋でシンプル。アドリブ・ソロが続いても冗長にならない。

隠遁前から追求してきた、ファンキーなリズム&ビートに乗ったモーダルなエレクトリック・ジャズが、このアルバムで最高到達点に達している。このアルバムの音世界は1984年にして、既に21世紀のエレクトリック・ジャズのあるべき音世界を先取りしていた感がある。全く古さを感じさせない、エバーグリーンなエレ・マイルスである。

 
 

震災から5年3ヶ月。決して忘れない。まだ5年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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