ボサノバのバド・シャンク 『Brasamba!』
梅雨が明けた。やっとのことで千葉県北西部地方は梅雨が明けた。梅雨が明けたら、我がバーチャル音楽喫茶『松和』の特集の季節。「夏はボサノバ」。ボサノバ&サンバ・ジャズの特集。
今日はバド・シャンク(Bud Shank)。スタン・ゲッツよりも以前に、ジャズとブラジル音楽を融合させた先駆者としても名高いバド・ シャンク。ゲッツは商売上手。シャンクは商売下手。シャンクのボサノバ・ジャズは日本ではあまり知られず、逆に、ゲッツのボサノバ・ジャズは大ブームになった。
しかし、シャンクのボサノバ・ジャズには個性があり内容がある。ボサノバのエッセンスをしっかりと吸収しつつジャズに仕立て上げていく。ボサノバをジャズの様に演奏するのでは無く、ボサノバのエッセンスを取り込んだ純ジャズ。それが、シャンクの「ボサノバ&サンバ・ジャズ」である。
その好例がこのアルバム。Bud Shank & Clare Fischer『Brasamba!』(写真左)。1963年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Bud Shank (as,fl), Ralph Pena (b), Joe Pass (g), Chuck Flores, Milt Holland (per), Clare Fischer (p), Larry Bunker (ds,vib)。
シャンク〜フィッシャーのコンビにジョー・パスが加わり3人名義で発表されたジャズ・ボサの好盤。このアルバムの基本はあくまでジャズである。ボサノバの要素はしっかりと取り込んではいるが、リズム&ビートの基本は「ジャズ」。
ムーディーな旋律はボサノバから拝借しているが、アドリブの展開はジャズそのもの。つまりは、バド・シャンクのボサノバ&サンバ・ジャズはあくまでジャズであり、ムーディーな旋律はあるが、演奏全体の雰囲気にはジャズの矜持が溢れている。
それぞれの収録曲も魅力的だ。「オルフェのサンバ」「小舟」といったボサノバの名曲、加えて「枯葉」などの有名ジャズ・スタンダード曲を収録。哀愁のメロディを持つクレア・フィッシャー作「Otem A Note」の雰囲気も良い。
このアルバムは、演奏と選曲とのバランスがほどよく取れた「ボサノバ・サンバ&ジャズ」の好盤です。聴き流しはもとより、真剣な聴き込みにも耐える内容は特筆もの。ジャズにしっかりと軸足を置いた「ボサノバ&サンバ・ジャズ」。
バド・シャンクは商売下手で、我が国では、スタン・ゲッツの様に、ボサノバ&サンバ・ジャズの担い手として、メジャーに扱われることは無かった。僕は、1990年代半ばまで、シャンクが、ボサノバ&サンバ・ジャズのように、ジャズとブラジル音楽を融合させた先駆者であったことを知らなかった。
トータルで35分程度の短時間のシステム盤ではあるが内容は濃い。シンプルで優しい、典型的なボサノバ&サンバ・ジャズである。自らのながら聴きにも良し、若い世代にとってのイージーリスニング・ジャズとしても良し。
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