森園勝敏「バッドアニマ」
プリズムのアルバムを聴いていて、このギタリストの名前を思い出した。プリズム初期のギタリスト「森園勝敏」。
長梅雨の季節には、爽やかで聴き心地の良いフュージョン・ジャズが良い。ゆったりと寛いで聴けるフュージョン・ジャズが良い。となれば、森園勝敏のソロ・アルバムの中で、打ってつけの一枚がある。森園勝敏『Badanima(バッドアニマ)』(写真左)。
四人囃子のギタリストとしても知られる森園勝敏の1978年リリースのソロ・アルバム。タイトルの「BADANIMA」は、人間を含むすべての生き物に共通する本能的な部分、あるいはそうした要素を意味する。このアルバムには、森園の「本能的な部分」いわゆる森園のギターの個性を構成する「本能的に基本となるギター」のインストがギッシリと詰まっている。
このアルバムでの森園のギターは、ロックのエレギの音では無い。既に、フュージョン・ジャズとしてのエレギの音を獲得している。しかも、ファンクネスは皆無。その音の響き、8ビートの刻みは、日本人ならではのもの。このアルバムには、日本人フュージョン・ジャズの好例がギッシリとてんこ盛りに詰まっている。
アルバム全体の雰囲気は、ほどよく抑制された上質のフュージョン・ジャズ。日本人がここまで趣味の良い、内容のあるフュージョン・ジャズを創造することが出来るんや、とリリース当時、心底感心した。1978年のことである。
パーソネルには、相良宗男、村上秀一、秋元良一、小原礼、久米大作、伊藤弘毅、中村哲、森園勝敏といったクロスオーバーからフュージョンの強者ミュージシャンが名を連ねる。演奏内容はいきおい「高度かつ流麗」。歌心満載のフュージョン・ジャズ。
なかでも、メロウなフュージョン・ジャズ・ナンバー「You'll Stay In My Heart」が秀逸。逆に、森園のボーカルはちょっと「イマイチ」。それでも、このアルバムの内容は秀逸で、当時の日本のフュージョン・ジャズを代表する一枚に挙げて全く遜色の無い素晴らしい内容。
この森園勝敏、2012年4月の金子マリさんの京都磔磔の1週間ライブの最終日に脳塞栓で倒れたものの、奇跡的に復活。良かった。鬼籍に入るには未だ若い。もっともっと、心地良く爽やかなフュージョン・ジャズなエレギを聴かせて欲しい。
震災から5年4ヶ月。決して忘れない。まだ5年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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