オリジナル曲のキースも良い
キースのスタンダーズ・トリオは、すんなり立ち上がった訳では無かった様に思う。このアルバムを聴く度に思うのだ。Keith Jarrett『Changes』(写真左)。1983年1月の録音になる。
あれれ、と思う。1983年1月、ニューヨークでの録音。『Standards Vol.1』そして『Standards Vol.2』も同じ録音時期。つまりは、この『Standards Vol.1』そして『Standards Vol.2』と『Changes』は同一時期に録音された「三つ子」の様なアルバムなのだ。
しかし、発売時期は異なる。1983年に『Standards Vol.1』、1984年に『Changes』、1985年に『Standards Vol.2』。『Standards Vol.1』そして『Standards Vol.2』の間に『Changes』がリリースされている。
これがなんか「微妙」なのだ。この『Changes』はキースのオリジナル曲だけで固められた「即興要素」の強い、インプロビゼーションが中心のアルバムである。
いわゆる「スタンダーズ」とは対極にあるアルバム内容なのだ。つまりはこの時期、キースは「スタンダーズ」一本でやっていこうとは思っていなかったのだろうか。
実はこの「即興要素」の強い、インプロビゼーションが中心のアルバムは展開がダイナミックで、とても美しい。ダレたところが全く無い、ストイックなまでに即興演奏を追求した、究極の「インタープレイ」。これはこれで素晴らしい内容。スタンダーズ・トリオの演奏と比較しても全くひけをとらない。
スタンダード曲がメインの『Standards Vol.1』、そして、オリジナル曲だけで固められた『Changes』。どちらも「即興要素」の強い、インプロビゼーションが中心の内容であり、三者三様の「唯我独尊のインタープレイ」。キースのインプロビゼーションの展開も同じ雰囲気。
さて、どちらが良いのか。スタンダード曲がメインとオリジナル曲がメインと、どちらが良いのか。というのか、有り体に言ってしまうと、どちらが世の中のジャズ者にうけるのか。迷ったというか、思案投げ首のキース・ジャレットとマンフレート・アイヒャー。
きっと、二人ともこの頃はまだ「スタンダーズ・トリオ」に確信を持てて無かったんじゃないかなあ。それほどこの『Changes』の音世界は素晴らしい。思わず、1977年に遡って『Tales of Another』を想起する。この音世界のキースも凄く魅力的なのだ。
そして、1985年に『Standards Vol.2』をリリースする。そして、これがまた・・・。このアルバムの話はまた明日。
震災から5年2ヶ月。決して忘れない。まだ5年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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