「スピリチュアル=ゴスペル」
Apple Musicで冒頭の「A Change is Gonna Come」を聴いて、これは、と思い立ち、即ゲットした。前奏はどこか「チェロキー」を彷彿とされる雰囲気で、これはボッソのトランペットが、テクニックよろしく「チェロキー」をやるのか、と思って聴き続けていたら、いきなり「I was born by the river in a little tent」である。あれ、これって「A Change is Gonna Come」やん(笑)。
Fabrizio Bosso Spiritual Trio『Purple』。2013年9月、伊太利亜での録音。ちなみにパーソネルは、Fabrizio Bosso (tp), Alberto Marsico (org, el-key, p), Alessandro Minetto (ds)。このトリオが「Spiritual Trio」である。
「スピリチュアル」と言うが、ネットを紐解くと、『60年代のフリー・ジャズを経て、70年代に開花した黒人奏者中心のインスト・ジャズ』、宗教的でオカルトな雰囲気が個性の、いわゆる「スピリチュアル・ジャズ」のスピリチュアルとは、ちょっとニュアンスが異なる。
ここで、伊太利亜出身のトランペッター、ファブリッツィオ・ボッソが追求しているのが、宗教的で黒人霊歌を起源とした「聴いていると精神的に高揚してきたり、深い安らぎを得られたりする」音世界。米国ルーツ音楽のひとつ、ゴスペルなんかが、一番近い音世界ですね。いわゆる「ゴスペルチックでブルージーでファンキー」な音世界。
このアルバムの収録曲を見渡すとその音世界の雰囲気が良く判る。サム・クックの「A Change is Gonna Come」、ドニー・マクラーキンの「Purple」、レス・マッキャンの「A Little 3/4 for God and Co.」、リチャード・スモールウッドの「Total Praise」、トラディショナルの「This Little Light of Mine」「Sometimes I Feel Like a Motherless Child/Go Down Moses」「Wade in the Water」。基本は「ゴスペル」。
米国ルーツ音楽好きの僕からすると、このアルバムの音世界には「脱帽」。惚れ惚れし、どっぷりと浸かっていたい、ゴスペルでブルースでファンキーな音世界。そこに、トランペットをフロントにオルガンが絡むんだから、もう「堪らない」。嬉しさの余り卒倒しそうな音世界(笑)。
しかも、このアルバム、ボッソのトランペットが朗々と鳴って、ブラスの音の輝きが素晴らしい。そして、マルシコのオルガンがオーソドックスで聴き易い、それでいてダイナミックな弾きっぷりは「も〜たまらん」。そして、そんなペットとオルガンを底で支える、堅実でスケールの大きいリズム&ビートは、ミネットのドラム。そう、この「Spiritual Trio」は演奏力が尋常ではない。
この「Spiritual Trio」の「スピリチュアル」は、スピリチュアル=ゴスペルという解釈なんですね。ファンキーな演奏もあるんですが、日本人同様、ここでのファンクネスは限りなく乾いた「ファンクネス」。カラッとしたファンクネスが、これまたユニークで、ついつい、聴き込んでしまいます。
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