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2016年6月の記事

2016年6月30日 (木曜日)

続・ハービーのアレンジの才

このアルバムはなかなか手に入らなかった。今から40年前、ジャズを聴き始めた頃、一枚前の名盤『Speak Like a Child』は容易に手に入るのだが、このアルバムはどうにも手に入らない。ずっと懸案の様なアルバムだった。

そのアルバムとは、Herbie Hancock『The Prisoner』(写真左)。1969年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Herbie Hancock (key), Johnny Coles (flh), Garnett Brown (tb), Joe Henderson (ts, alto-fl), Buster Williams (b), Tootie Heath (ds), Tony Studd (b-tb), Hubert Laws (fl), Jerome Richardson (b-cl, fl), Romeo Penque (b-cl)。

部分的に、ハービーはエレピを弾いてはいるが、基本はアコースティック・ジャズ。楽器の構成を見渡すと、アルト・フルートやバス・トロンボーン、バス・クラリネット、フリューゲル・ホルンなどが採用されている。音の基本は、前作の名盤『Speak Like a Child』と同様、ハービーのアレンジの才を振るった、楽器のユニゾン&ハーモニーを活用したモーダルなジャズである。

聴いてみるとその印象は全く強くなる。前作『Speak Like a Child』と対をなす、姉妹盤の様な内容に惚れ惚れする。フリューゲルホーン、ベース・トロンボーン、アルト・フルートの3管アンサンブルの採用は、前作『Speak Like a Child』と全く同じ。しかし、前作の様なロマンチシズムは感じられない。
 
曲のタイトルを見渡すと「I Have A Dream」「The Prisoner」「He Who Lives In Fear」など、通常のジャズ曲のタイトルでは無い、社会派なタイトルである。 
 

The_prisoner

 
そう、このアルバムは、ハービーがマーティン・ルーサー・キングとその黒人市民権運動に触発されたものであり、録音の1年前、1968年に銃弾に倒れたマーチン・ルーサー・キングへのオマージュになっている。

前作の『Speak Like a Child』よりもホーンのアレンジの切れ味が良く繊細であるがゆえ、音がダイナミックに展開する。紛れもない、ハービーのアレンジの才、全開の傑作の一枚。モーダルな演奏で、音の幽玄な拡がりも魅力的。このアルバムが『Speak Like a Child』とは違って、なかなか入手するのに苦労したことが理解出来ない。

このアルバムは、ハンコックがマイルスのもとを離れて初めて作ったアルバムであり、このハービーのアレンジによるフリューゲルホーン、ベース・トロンボーン、アルト・フルートの3管アンサンブルのフロントを張るのは「マイルス」ではなかったのでしょうか。
 
マイルスはエレクトリック・ジャズに走りましたが、ハービーはこのアレンジを活かしたアコースティックなモード・ジャズをマイルスとやりたかったんやないかなあ、などど想像を巡らしたりします。

ジャケット・デザインがブルーノートらしからぬ、社会派的なデザインで、ハービーも当時流行のファッションに身を包んでおり、このジャケットからくる印象で、ちょっと損をしているのかもしれません。確かに、僕がこのアルバムを手にしたのは、1990年代後半でした。ルディ・バン・ゲルダーのブルーノート・リマスターが一般的になってからです。

 
 

震災から5年3ヶ月。決して忘れない。まだ5年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2016年6月29日 (水曜日)

個性は初リーダー作で感じる

ジャズメンの個性は初リーダー作を聴けば判る、とよく言われる。長年、ジャズを聴いてきて、確かにそれは言える、と思う。

ロックのアルバムは、僕は「セカンド盤」だと思っている。録音環境に慣れてライブ演奏も上手くなって、満を持しての「セカンド盤」。ロックのファースト盤は意外と内容に乏しかったり、演奏が硬かったりする。

しかし、ジャズは違う。サイドメンとしての演奏の時間が結構あったりして、サイドメンとして録音環境に十分に慣れて、ライブ演奏にも手慣れてくる。つまり、プレイヤーとしてほぼ充実してきたところに初リーダー作の声がかかる訳で、確かに、ジャズでは初リーダー作で、そのジャズメンの基本的な個性が良く判る。

例えば、この初リーダー作など、その好例である。Jackie McLean『Presenting... Jackie McLean』(写真)。1955年10月の録音。ちなみにパーソネルは、 Jackie Mclean (as), Donald Byrd (tp), Mal Waldron (p), Doug Watkins (b), Ronald Tucker (ds)。メンバー的には、ハードバップな強者ども大集合である。

これだけのメンバーを集めれば、そりゃ〜良い演奏が残せるだろう。期待に違わぬ、ハードバップ初期の溌剌とした演奏が繰り広げられている。
 

Presenting_jackie_mclean

 
演奏のアレンジ的には、まだまだシンプルで、音と音の隙間はスカスカなんだけど、瞬間芸的な演奏を競うビ・バップとは明らかに違う、長いアドリブ・フレーズの展開の中で、その演奏のイマージネーションとテクニックを披露するところがハードバップである。

初リーダーのマクリーンはと言えば、もう最初から最後まで「マクリーン節」全開である。最初の「It's You Or No One」を聴くだけで、この演奏のアルト・サックスはマクリーンのそれだとハッキリと判る位の個性である。節回し、アドリブの癖、音色、どれもが、後につながる「マクリーン節」である。

面白いのは、マクリーンのフレーズって、ピッチが低めにずれるのが特徴なんだが、この初リーダー作では、ほんのちょっとズレているだけ。まずまずピッチがあっているところが実に初々しい。恐らく、ピッチが低めにずれる個性は、マクリーンが一流ジャズメンとして内外に認められてからのことなんだろう。

ちなみに、このマクリーンの初リーダー作のジャケットは、写真左の猫のジャケットなんだが、僕が、ジャズを聴きだした頃、1970年代後半のジャケットは写真右のデザインだった。この写真右のイラスト、僕はフクロウかと思ったんだが、これも実は「猫」だそうです(笑)。まあ、どちらも「猫のジャケット」という面ではイーブンと言うことで・・・。

 
 

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2016年6月28日 (火曜日)

若きハービーの矜持を感じる

3年ほど前から、ハービー・ハンコックのリーダー作の聴き直しを進めてきたのだが、まだ、ブルーノート時代のリーダー作が2枚、このブログに記事として残していなかったので、今回「落ち穂拾い」のシリーズである。

今日はこのアルバム。Herbie Hancock『Inventions and Dimensions』(写真左)。1963年8月の録音。ブルーノートの4147番。ハービーの3枚目のリーダー作になる。ちなみにパーソネルは、Herbie Hancock (p), Paul Chambers (b), Willie Bobo (ds), Osvaldo "Chihuahua" Martinez (per)。ピアノ・トリオ+パーカッション。

このアルバムの演奏を聴き通すと、このアルバムには、以前のアルバムにあったような、例えば「Watermelon Man」や「Blind Man, Blind Man」の様な、コマーシャルなファンキー・チューンが無い。徹頭徹尾、新主流派の音で充満している。モーダルでフリー気味な自由度の高い、アーティスティックなジャズで埋め尽くされている。

「Watermelon Man」や「Blind Man, Blind Man」のヒットのお陰で、ハービーも生活資金的にも一息ついたのであろう。この3枚目のリーダー作では、コマーシャルなファンキー・チューンでヒットを狙うこと無く、ジャズの未来を担うであろう若き有望なジャズメンとして、当時のジャズの最先端を目指している。
 

Inventions_and_dimensions

 
このハービーの姿勢に、ハービーのジャズメンとしての「矜持」を強く感じる。ハービーの才をもってすれば、コマーシャルなファンキー・チューンで再びヒットを狙うことだって出来たであろう。しかし、それをせずに、モーダルでフリー気味な自由度の高い、アーティスティックなジャズを目指し、それを体現する。これぞ、選ばれしジャズメンの理想的な姿であろう。

このアルバムをプロデュースしたブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンもふるっている。こんなに、徹頭徹尾、新主流派の音、モーダルでフリー気味な自由度の高い、アーティスティックなジャズで埋め尽くされたアルバムが、ヒットするとは思えない。もしかしたら、ディープなマニアックなジャズ者だけが触手を伸ばすだけの「売れないアルバム」になる可能性が高い。

それでも、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンは、このアルバムをこの内容でリリースする。しかし、だからこそ、僕達は21世紀になった今でも、この音源を通じて、1963年の若きハービーのモーダルでフリー気味な自由度の高い、アーティスティックなジャズを追体験することができるのだ。ライオンの英断に感謝である。

このアルバムは、ジャズの革新的な部分をガッツリと聴かせてくれる。そして、若きハービーの「ジャズの後を継ぐ者」としての矜持を感じることが出来る。決して、このアルバムの音は優しくないし、聴き易く無い。しかし、アートとしてのジャズがばっちりと記録されている。

 
 

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2016年6月27日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・84

温故知新で、ハードバップやモード・ジャズを更なる高みに極めるのも良いが、新しい響きを宿したエレクトリック・ジャズを追求するのも良い。どちらも、ジャズを発展させ、ジャズを活性化するには欠かせないアプローチである。

dCprG『フランツ・カフカの南アメリカ』(写真左)。菊地成孔率いるDCPRGがバンド名の表記をdCprGに変更し、ニューアルバムをリリース。昨年のことである。当時で約3年ぶりの新譜。アルバム・ジャケットも洒落ている。

この「dCprG」は、新しい響きを宿したエレクトリック・ジャズを追求するグループ。「DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN」の略。このバンドは「エレクトリック・マイルスをコンセプトの軸に、アフロポリリズムやファンク、現代音楽を取り入れることで、クラブカルチャー/ダンスフロアに、従来とは異なる律動構造をもったダンスミュージックを提示すること」がコンセプト。明快である。

この新盤『フランツ・カフカの南アメリカ』は、明らかに良質のエレクトリック・ジャズである。どの楽器もテクニック優秀。乾いたファンクネスが仄かに漂うオフビートをベースに、エレピ中心のエレ・ジャズから幕を開ける。

そして、途中、菊地成孔のサックスが入ってきて、一気にその音世界は「エレクトリック・マイルス」で充満する。エレ・マイルスより、軽快で判り易い疾走感と爽快感溢れるエレ・ジャズ。それでも、サックスのアドリブ・フレーズのコンセプトは明らかに「エレ・マイルス」。さらに、類家心平のトランペットの参入で、エレクトリック・マイルス色が更に色濃くなる。
 

Franz_kafkas_south_amerika

 
大村孝佳のエレギは、徹頭徹尾、音色と弾きこなしが、思いっきりロックなエレギ。マイルスはギタリストに「ジミヘンの様に弾け」と指示した。ロックそのもののエレギを弾けということなんだろうが、このdCprGの大村孝佳のエレギは、完璧なロックなエレギ。エレ・ジャズがどっぷりとジャズに傾倒するのを押しとどめる。

坪口昌恭と小田朋美のキーボード、特にシンセがロック&テクノ・ポップしていて、これまたユニーク。確かに、エレクトリック・マイルスをコンセプトの軸にはしているが、エレギとキーボードの個性のお陰で、エレ・マイルスの音世界を一歩二歩、前に推し進めている。

様々なジャンルの音を取り入れた、アーティスティックなワールド・ミュージック風な音作りも新しく響く。恐らく、ジョー・ザビヌルが生きていたら、うらやましがったであろう、アーティスティックなワールド・ミュージック風なエレ・ジャズ。

こういった、新しい響きを宿したエレクトリック・ジャズを追求する動きが、日本のジャズ・シーンから発信されていることに誇りを感じる。本国米国では、エレ・ジャズのフォロワーはほどんといない。しかし、ここ日本では、このdCprGが、正統なエレ・マイルスのフォロワーとして君臨している。

エレ・マイルス者の僕としては、この盤を聴いていて、まったく嬉しくなってしまう。頬が緩みっぱなしである。

 
 

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2016年6月26日 (日曜日)

ジャズの合間のルーツ・ロック

米国ルーツ・ロックが大好きである。もともと、高校1年生の時、プログレからロックに入ったが、2年生の終わりには、米国ルーツ・ロックの触手を伸ばしている。当時、サザン・ロックと呼ばれていたジャンルである。

一般的にはルーツ・ミュージックと呼ばれることが多くなった、いわゆるロックを形成する上で基礎となった米国のルーツ音楽(アメリカ黒人のブルース、ゴスペル、初期のジャズ、アメリカ白人のフォーク、カントリー)をベースとしたロックを僕は「米国ルーツ・ロック」と呼んでいる。1970年代前半は「スワンプ・ロック」と呼ばれた。

スワンプ・ロックは、デラニー&ボニーを筆頭に、エリック・クラプトンやジョージ・ハリソンが追従して、1970年代前半に話題を振り撒いた。が、米国ルーツ・ロックの雰囲気を完全に「売り物」にしたベタなアレンジで、どうにも心底、好きになれなかった。アレンジが不自然なんだよな〜。

高校2年生の終わり、これは、明らかに良質の米国ルーツ・ロックやなあ、と感心したのが、Leon Russell『Leon Russell and the Shelter People』(写真左)。1970年8月〜1971年1月にかけて、バックバンド、シェルター・ピープルを率いて行ったライブのピックアップ音源。
 

Leon_russell_and_the_shelter_people

 
米国ルーツ・ロックとしてのアルバムとしては、デビュー盤『Leon Russell』(2015年7月25日のブログ・左をクリック)が良いが、実は、このセカンド盤の当時LP2枚組ライブ盤の方が、米国ルーツ・ロックの色合いが濃い。しばらく、その存在を忘れていたんだが、昨年の暮れ辺りに思い出して、聴き直し始めた。

米国ルーツ音楽の中でも、ゴスペル、ブルースの色合いが濃く出ており、バックコーラスとのコール・アンド・レスポンスで演奏に加速度をつけていく様な、その演奏アレンジが実に秀逸。ところどころ、カントリーな雰囲気を漂わせる演奏もあって、とても楽しい。バックのシェルター・ピープルの演奏自体もファンキー。

さすがに、ニック・デカロのストリングス・アレンジには時代を感じるが、これはこれで、当時の時代を反映した音として楽しめる。当時、日本で「ゴスペル・ロック」とも呼ばれた、レオン・ラッセルの米国ルーツ・ロックは、シンプルかつポップな音作りで、実に渋い。米国ルーツ・ロックって何、と問われれば、僕はこのライブ盤をまずCDプレイヤーのトレイに載せる。

しかし、意外や意外、レオン・ラッセルは3枚目以降、渋めのポップ・ロックの世界に傾倒していく。米国ルーツ・ロックがベースの音作りはこのライブ盤がピーク。米国ルーツ・ロックを極めるには、このライブ盤は外せない。

 
 

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2016年6月25日 (土曜日)

ジャズの合間のハードなエレギ

ジャズをずっと聴いていて、ちょっと「耳休め」したくなる時がある。そう言う時はキッパリとジャズと別れる。そして、大体は70年代ロックが70年代Jポップのアルバムに走ることがほとんど。しかも、メリハリのあるハッキリとしたロックやJポップが良い。

高校時代からハードなエレギの好盤として聴き親しんでいるアルバムが何枚かある。ジャズの合間の耳休めに最適。大学時代、ジャズを聴き始めて以降、ジャズに聴き疲れた耳を、度々このエレギ盤でリセットしてきた。そのエレギ盤の主とは「ロビン・トロワー(Robin Trower)」。

ロビン・トロワーとは、1945年生まれの英国のブルースロック・ギタリスト。最初のキャリアは、プロコル・ハルムのギタリストであったが、ジミー・ヘンドリックスに出会って以降、「ジミヘン・フォロワー」となった。 

確かに聴けば判るが、トロワーのスタイルは明らかに「ジミヘン」である。しかし、本家ジミヘンのギター・プレイより、シンプルで判り易いところが個性。しかし、トロワーは日本での人気は全くイマイチ。僕はたまたま、高校時代、映画研究部の先代部長Nさんが持ち込んだ、このアルバムによってトロワーを知った。

そのアルバムとは、Robin Trower『For Earth Below』(写真左)。邦題『遥かなる大地』。1975年のリリースになる。この現代絵画的なジャケット・デザインが印象的。アメリカでの人気(全米チャート5位、ゴールド・ディスク獲得)のみならず、本国イギリスでもチャートインした人気盤。
 

Robin_trower

 
明らかにエレギは「ジミヘン・フォロワー」の音がベースだが、ブルース色とファンクネスが色濃く、かつ「端正な凶暴性」が加わる。このエレギの音は、もうトロワーの個性と言っても良いだろう。ジミヘンのフォロワーからスタートして、この3作目のソロ盤にてトロワーは個性を確立した。

そして、この『遥かなる大地』との出会いでロビン・トロワーを知った後、このライブ盤に出会う。『Robin Trower Live!』(写真右)である。1976年のリリース。このライブ盤は、そんなロビン・トロワーのエレギの全てを伝えてくれる好盤である。週六時間は40分そこそこなのだが、このライブ音源に詰まっているエレギの音と迫力は凄い。

もともとはスウェーデンのラジオ番組用に収録された音源らしいが、このライブ音源は音も良く、演奏自体の迫力をダイレクトに伝えてくれる。迫力抜群。このライブ音源のエレギの音を聴くと、確かにジミヘンのフォロワーの音なんだが、それに加えて、トロワーならではの個性が輝いている。

70年代ロックのハードなエレギ好きのマニアの方々なら絶対に気に入る。ジミヘンのフォロワーからスタートして、ブルース色とファンクネス芳しく、ワウワウ・ペダルなど、アナログチックなアタッチメントによる音色が個性的で、アドリブ・フレーズがシンプルで判り易い。ネットでもロック・エレギのマニアの方々には評判の高いライブ盤です。

この2枚のトロワーのアルバムって、ロック・エレギの好盤として、もっと評価されて然るべき内容だと思います。とにかく、トロワーって日本での人気はイマイチ、というか、日本での認知度がかなり低いですからね。でも、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、ジャズの合間の耳休め盤として今でも大活躍。

 
 

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2016年6月24日 (金曜日)

ながら聴きのジャズも良い・7

昨日より「ながら聴きのジャズも良い」シリーズの連チャンです。

最近「ながら聴き」に適したジャズが多くなった様な気がする。時代と環境のニーズから来るものなのかもしれない。家で何かをしながらのバックのBGM。お店のバックのBGM。「ながら聴き」のジャズについて、ニーズが高まっているのかもしれない。

このアルバムも僕は「ながら聴き」する。Robert Glasper『Covered (The Robert Glasper Trio recorded live at Capitol Studios)』(写真左)。トリオ編成である。ちなみにパーソネルは、Robert Glasper (p), Vicente Archer (b), Damion Reid (ds) 。ロバート・グラスパーがピアノに回帰したと話題の盤である。

「Covered」とタイトルにあるように、グラスパーが自分の好きなアーティストの曲を選んでカヴァーしたと思われがちであるが、彼自身のBlack Radioからのリメイクもあって、自分の音でアレンジでやってみたい曲をトリオでやった、って感じのアルバムです。まあ、タイトルに拘ることもないか。

ピアノ・トリオではあるが、従来のピアノ・トリオとは音の雰囲気がちょっと異なる。聴けば直ぐに判るのだが、リズム&ビートが全く異なる。というか、このグラスパー・トリオのリズム&ビートが新しい響きを宿している。このリズム&ビートの音は聴いたことが無い。
 

Robert_glasper_coverd

 
ラフにバッシャバシャとスネアが拡がりのあるビートを刻んで、ゆったりとフロントのグラスパーのアドリブ・フレーズを包み込む。いわゆる「ラップ」や「ユーロ」のリズムをジャズに応用したようなリズム&ビート。ベースの音は重低音。重低音ドップリ、底にスッと広がったベース・ラインがこれまた新しい。

このグラスパー・トリオの「リズム&ビート」が、実はこのピアノ・トリオの「ウリ」だと思う。ラフで拡がりのある重低音がメインの「リズム&ビート」。そこに、耽美的でリリカルなグラスパーのピアノが豊かに爽やかに流れていく。このバックのリズム&ビートと、フロントのピアノとの対比が美しい。アレンジの勝利である。

グラスパーのピアノは、耽美的でリリカルなんだが、音の底にしっかりとファンクネスが漂っているところが良い。ジャズを始める前にグラスパーはゴスペルとR&Bをやっていたとのこと。なるほど、そのバックボーンが彼のピアノをより個性的にしている。

新しい響きを宿したピアノ・トリオ。ラフで拡がりのある重低音がメインの「リズム&ビート」。そこに、耽美的でリリカルなグラスパーのピアノが豊かに爽やかに流れていく。このアルバムの音世界は「ながら聴き」にピッタリ。我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、意外とクセになって「ながら聴き」のヘビロテになってます。

 
 

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2016年6月23日 (木曜日)

ながら聴きのジャズも良い・6

何かをしながらの「ながら聴き」のジャズも「オツなもの」である。良い録音で流麗な演奏。そんな中、ちょっと印象的でキャッチャーなアドリブ・フレーズが耳を駆け抜ける。それでも「ながら」の邪魔をすることは無い。逆に「ながら」を支えるリズミカルで流れる様なジャズ。

今年5月リリースの最新作である。One for All『The Third Decade』(写真左)。ジャズ界の精鋭部隊が大集合。ちなみにパーソネルは、Jim Rotondi (tp&flh), Eric Alexander (ts), Steve Davis (tb), David Hazeltine (p), John Webber (b), Joe Farnsworth (ds)。

ニューヨークのライブハウス、Samllsで結成されたOne For All。1997年がデビュー作だったから、もうかれこれ10年位、活動していることになる。結成当時は「有望若手〜中堅が大集合」だったが、今では「充実した中堅〜ベテランが大集合」の様相。

音もデビュー当時は「ピッチピチな若さ溢れ、勢いある」演奏、今は「しっかりとツボを押さえた余裕ある」演奏。歳を重ねる毎に魅力がどんどん積み重ねられ、テクニックはどんどん高みに登っていく。成長と充実がしっかりと感じられるOne for Allの演奏は「ながら聴き」に最適。
 

One_for_all_the_third_decade

 
ジャズのスタイルとしては「ネオ・ハードバップ」というか「ネオ・モード」である。モード・ジャズもここまで極めることが出来るんやなあ、と単純に感心する。凄く滑らかで朗々としたフレーズが心地良い。ハイテクニックであるが故に淀みの無いモードなアドリブが朗々と展開される。

とにかく耳に優しい。滑らかなアドリブ・フレーズが心に優しい。何かやりながら聴いていても、決して邪魔にならない。それでいて、印象的なフレーズや演奏テクニックが出たら、「おおっ」と感じて手を止める。そして、少し演奏に聴き入って、また、ながら聴きに戻る。そんなシチュエーションにぴったりの、実に高度な「ネオ・モード」なジャズです。

モード・ジャズと言えば、1950年代後半から1960年代前半に、マイルス・デイヴィスやビル・エバンスが中心に展開したジャズの演奏スタイルなので、進歩が無いと言えば進歩が無い。マイルスが生きていたら怒りそう(笑)。しかし、変化し続けるのもジャズだが、スタイルを維持し続けるのもジャズ。これはこれで立派な演奏である。

良いジャズです。ジャズ喫茶で、何気なく流して「ながら聴き」するのに良い「ネオ・モード」なジャズ。とにかく高度な演奏、流麗なジャズ。聴いていて心地良いことこの上無し。好盤です。

 
 

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2016年6月22日 (水曜日)

梅雨の朝にピッタリの盤です

梅雨の愚図ついた天気はどうにも気が滅入る。もともと圧倒的な「晴れ男」なので、雨は大の苦手。雨模様の日には、爽やかで心地良いジャズが必須アイテム。特に午前中。一日の前半で気分を穏やかにすることが必要なのだ。ということで、選んだアルバムがこれ。

Donald Byrd『Fancy Free』(写真左)。1970年のリリース。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Frank Foster (ts, ss), Julian Priester (tb), Lew Tabackin, Jerry Dodgion (fl), Duke Pearson (el-p), Jimmy Ponder (g), Roland Wilson (b), Joe Chambers , Leo Morris (ds), Nat Bettis, John H. Robinson Jr. (per)。ブルーノートの4319番。

アルバムの内容としては、時代背景から、クロスオーバー・ジャズだとか、フュージョン・ジャズの先駆けとか言われるが、どうして、今の耳でしっかり聴けば、このアルバムの音は、エレクトリックなメインストリーム・ジャズだろう。リズム&ビートが8ビートではあるが、しっかりとジャジーな雰囲気を醸し出しているし、ドナルド・バードのトランペットが、取りも直さず「ジャズ」なのだ。

冒頭のタイトル曲「Fancy Free」は爽やかで心地良いエレ・ジャズ。ゆったりとしたリズム&ビートに乗って、心地良いフェンダー・ローズの音色。かなり趣味の良いフェンダー・ローズなのだがフレーズが端正でスクエア。誰が弾いているのか、とパーソネルを見れば、なんとデューク・ピアソンではないか。
 

Fancy_free1

 
このデューク・ピアソンのフェンダー・ローズが、このアルバム全編に渡って大活躍。このフェンダー・ローズの音色を楽しむアルバムとしてもお勧め。この心地良いフェンダー・ローズの音色をバックに、ドナルド・バードのトランペットが朗々とブリリアントなアドリブ・フレーズを吹き上げて行く。このバードのトランペットが「純ジャズ」な雰囲気満載なのだ。

拡がりのあるエレクトリックなメインストリーム・ジャズの音世界の中、木訥でシンプルなフランク・フォスターのテナーがのし歩く。あんまり上手くは無いんですが、雰囲気のあるテナーが良いですね。そして、ルー・タバキン、ジェリー・ドジオンのフルートが爽やかな良い雰囲気で鳴り響く。

ラテン・フレイバー、ジャズ・ファンク、当時の流行のジャズのトレンドが満載、でも演奏の底の雰囲気は「エレクトリックなメインストリーム・ジャズ」。大空を飛翔する鳥達を描いたジャケットがイメージ通り。とにかく、このアルバム全体のゆったりとしたリズム&ビートが心地良い。

梅雨の愚図ついた天気の朝にピッタリのアルバムですね。このゆったりとしたリズム、心地良いフェンダー・ローズの音色、ジャジーなトランペット&テナーそしてトロンボーン、爽快感抜群のフルート。そして、何と言っても、エレクトリックなメインストリーム・ジャズな音世界。このアルバムを一枚、聴き通すだけで心は穏やか。隠れた好盤です。

 
 

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2016年6月21日 (火曜日)

やっぱりロリンズはロリンズ

ジャズ盤を聴くのが趣味なので、サックスのリーダー盤もよく聴く。新盤旧盤含めて、かなりの種類のサックスを聴いてきたが、このライブ盤を聴くと、やっぱり、サックスはこの人やなあ、と感動するのだ。

Sonny Rollins『Road Shows, Volume 3』(写真左)。2001年から2012年の間、全6カ所、6曲のライブ・パフォーマンスを厳選している。詳細は以下の通り。結構バラエティーに富んライブ会場である。

#1: recorded November 11, 2001 at Saitama City Culture Center,
   Saitama, Japan
#2: recorded May 15, 2006 at Halle aux Grains, Toulouse, France
#3: recorded July 25, 2012 at Palais Longchamp, Marseille, France
#4: recorded September 19, 2009 at Blanche M. TouhillPerforming
     Arts Center, St Louis, MO
#5: recorded August 11, 2007 at Le Chapiteau, Marciac, France
#6: recorded July 25, 2012 at Palais Longchamp, Marseille, France

 
そして、選曲が以下の通り。これがまた、バラエティーに富んでいて、スタンダードあり、新曲あり、自作曲あり。

1. Biji
2. Someday I'll Find You
3. Patanjali
4. Solo Sonny
5. Why Was I Born?
6. Don't Stop The Carnival
 

Road_shaw_vol3

 
このライブ盤でのロリンズは、どこから聴いても「ロリンズ」なのだ。1曲目「Biji」の最初のサックスの「ブリッ」という音だけで、もう「これはロリンズだ」と判ってしまう。これって凄い。出てくるサックスの音が、完璧な「ロリンズ音」なのだ。

そして、その「吹きっぷり」。とにかく朗々と豪快。パワフルできめ細やか。そして、そのスタミナたるや、もはや「驚異」である。2001年で71歳、2012年で82歳。この6曲のパフォーマンスを聴いて、これが70歳から80歳のおじいちゃんなのか、とつくづく驚いてしまう。なんて「テナー・タイタン」なんや〜。

このライブ集を聴いて思うのは、やっぱり「ロリンズはロリンズ」、そして、やっぱり「テナーはロリンズ」。最近でも優れた若手サックス奏者はいる。それだけ聴けば、このサックスが先端やなあ、なんて思ったりするが、そこにこのロリンズのライブ音源をぶつけると、やっぱり、まだまだ「テナーはロリンズ」だということに落ち着く。それほど、ロリンズのテナーは素晴らしい。

ロリンズのライブ・パフォーマンスと言えば「カデンツァ」の存在だが、このロリンズの「カデンツァ」は好調であればあるほど、現れ出でる。この収録された6曲のほとんどで「カデンツァ」が要所要所で炸裂している。テネシーワルツだとか、おおスザンナだとか、出てくる出てくる、楽しい「カデンツァ」。

やっぱりロリンズはロリンズ。良いですね。なかなかの好ライブ集だと思います。ロリンズ者意外にも、ジャズ中級者以上のジャズ者の皆さんに一度は聴いて貰いたい、ロリンズのパフォーマンスです。このロリンズのパフォーマンスに、ジャズのトレンド、奏法の流行は全く関係無し。まさに潔く個性的な「生きたレジェンド」。

 
 

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2016年6月20日 (月曜日)

ポールのベスト盤の「ベスト」

先週の金曜日から帰省していて、ブログの更新が滞りました。先ほど、千葉県北西部地方に舞い戻ってきましたので、ブログも再開です。

さて、帰省の往復の電車のまとまった時間の中は、いつもCD複数枚組のアルバムを一気に聴き通す時間に充てていて、今回は、ポール・マッカートニーのベスト・アルバム『Pure McCartney』(写真左)、邦題『ピュア・マッカートニー〜オール・タイム・ベスト』を一気聴きです。

ポール・マッカートニーがソロ45周年の集大成となるベスト・アルバムになる。今回聴いたのは、CD4枚組のDelux Edition。この「デラックス・エディション」は全67曲、全米・全英トップ10シングル18作(いずれも、9曲が全米No.1獲得)が収録されている、とのこと。

ポールいわく「僕と僕のチームが選曲するにあたって考えたのは、ただただ楽しんで聴けるものにしよう、ということだけだった。例えば、長旅の車中、自宅でくつろぎたい晩、または友人とのパーティーなんかでね」というのが今回のベスト・アルバムのコンセプトとのこと。

続けて「だから僕たちは知恵を絞って、僕の長く曲がりくねったキャリアのさまざまな時期から、多種多様な選曲リストを出し合った。キャリアという言葉はちょっと相応しくないかな。なぜなら僕としては、“仕事"をしてきたというよりも、音楽の冒険を続けてきたという感じだから」。うむむ、ここまでくると、ポールの話は「胡散臭い」(笑)。

とにかく、確かにこのベスト盤の選曲はなかなか良く出来ている。聴いていて楽しい選曲というのはとても良く判る。ただ、ポールのキャリアの中で困るのは、聴いていて楽しい曲というのが、1980年以降、急速に少なくなっていったってこと。やっぱり、ポールの楽しい曲が沢山あった時期は1970年代ということになる。
 

Poul_mccartney

 
これは全くの私見なので聴き流して欲しいのだが、ポールがポールのメロディーメーカーとしての才能を最大限に発揮して、今回のベスト盤の特色である「楽しんで聴ける曲」が出来たのは、ジョンの存在があったからではないかと睨んでいる。

生前、ジョンが全くポールの相手をしていない時のポールの曲は確かに冴えない。皮肉タップリの曲でジョンがポールをいじりはじめると、いきなり「楽しんで聴ける曲」が出てきた。そして、ジョンとの仲が修復されたら、あの「ウィングス時代」の大ヒット曲のオンパレード。

しかし、ジョンが死んで、ポールの曲はポールの曲らしからぬ「シリアスな曲」が増えた。「シリアスな曲」とは「聴き応えのある曲」である。シリアスな曲はジョン、楽しんで聴ける曲はポール、そういう役割分担が「レノン=マッカートニー」ではなかったか。ジョンに触発されポールはその才能を発揮する。ポールにとってジョンは無くてはならない存在だったのだろう。

この今回のオール・タイム・ベストを聴いて、そんな「私見」をふと思い出してしましました。やはりジョンの「いない時代」のポールの曲には「聴いていて楽しい曲」が少ない。いわゆる「楽しんで聴ける曲」が少なくなった。そういう意味では、1970年代のポールの楽曲は「聴いていて楽しい曲」ばかりだ。

曲が年代順ではなくランダムに収録されているのもグッド。僕にとっては年代順だと、先の「私見」が頭にちらついて、どうもいけない。ランダムに収録されているからこそ、アルバム全体の「聴いていて楽しい曲」の密度が平準化されている。このベスト盤はそういう意味で、ポールのベスト盤として「ベスト」だろう。

 
 

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2016年6月16日 (木曜日)

期待の女性マルチ・リード奏者

僕はこの盤を聴いて、この人のクラリネットのプレイに魅せられた。コーエン3兄弟(クラリネット・テナーサックス奏者の妹アナットとソプラノ・サックス奏者の弟ユヴァル)の長女。テナーも良い。こんな女性サックス&クラリネット奏者がいたんや、とびっくりポン。

そんな彼女の新作。Anat Cohen『Luminosa』(写真左)。邦題「プレイズ・ブラジル」。判り易くて良い。ズバリ、アナット・コーエンの最新作のテーマは「ブラジル」。加えて、マルチ・リード奏者としての才能全開。

オープニングの「Lilia」はウエイン・ショーターの『ネイティヴ・ダンサー』でも共演したミルトン・ナシメントの傑作。アナット・コーエンは、ミルトン・ナシメントのヴォイスに魅了され崇敬しているという。冒頭にこの「Lilia」を持ってくるなんて、なんて素晴らしい選曲なんだろう。

加えて、リオ・デ・ジャネイロ出身のベテラン・ギタリスト、ホメロ・ルバンボをフィーチャーしている。このルバンボのギターとアナットのクラリネットの絡みが絶妙で、聴いていてとても心地良い。「ああ、ブラジルやなあ」と感じます。良い雰囲気です。
 

Luminosa1

 
しっかりとメインストリーム・ジャズの本質を押さえつつ、ワールド・ミュージックやコンテンポラリーな音楽との融合にもチャレンジする、アナット・コーエンのチャレンジ精神は、このアルバムでは良い方向に作用しています。

アナット・コーエンはイスラエル出身。テルアビブの音楽一家に育ち、1990年代に米国に移住したことをきっかけとして、優れたマルチ・リード奏者がまた一人、現れ出でた。イスラエルには、本当にたくさんの才能があるんやなあ、と改めて感心しました。

このアルバム・ジャケットを初めて見た時は、新人女性ジャズ・ミュージシャンのスムース・ジャズの類かと、ちょっと敬遠しました。このポップで淡いパステルチックなイラストやもんな〜。このジャケットは誤解され易いですね。でも、中に詰まっている音世界を上手く表現しています。

しっかりとこの盤に詰まっている音に耳を傾ければ、本場ニューヨークのジャズファンから「現代最高のクラシカル・ジャズ伝道者」と称賛されているのにも納得がいく。もっと彼女のアルバムを聴かなければ、そう思わせてくれる好盤です。

 
 

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2016年6月15日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・83

このアルバムを聴いて思う。やっぱりボーカルのアルバムって、バックのバンドの演奏が小粋で聴き応えがないと面白く無い。というか、バックのバンドの演奏が良いボーカル盤が、どうも僕のお気に入りの傾向らしい。お気に入りのボーカル盤を並べると、どれもがバックのバンドの演奏が良い。

そのアルバムとはこれ。ちょっと長いが、Roberta Gambarini & The Heath Brothers『Connecting Spirits (The Jimmy Heath Songbook)』(写真左)。ロバータ・ガンバリーニ。イタリア出身の人気ジャズ・ヴォーカリスト。圧倒的な正統派ジャズ・ヴォーカルである。そして、このアルバムは、ジャズ界の「生きるレジェンドの一人」、録音時、2014年にて88歳のサックス奏者ジミー・ヒースの作品集である。

このアルバムで、全編に渡ってサックスを吹くジミーは、サックス奏者としては有名だが、彼の書く歌曲はあまり知られていない。というか、馴染みが無い。しかし、このアルバムでロバータが唄うそれぞれの曲は、皆、魅力ある楽曲ばかり。ジミー・ヒースがこんなに良い曲を書くコンポーザーとは思わなかった。びっくりポンである。

ちなみにパーソネルは、 Roberta Gambarini (vo), Jimmy Heath (sax), Jeb Patton (p), David Wong (b), Albert 'Tootie' Heath (ds), James Mtume (per), Freddie Hendrix (tp), Ed Cherry (g), Dave Stricker (g), Tommy Campbell (ds), Cyrus Chestnut (p), John Lee (b) 他。いや〜錚々たるメンバーやないですか。中堅からベテランの味のあるジャズメンが中心。
 

Connecting_spirits

 
このメンバーですから、バックのバンドの演奏が悪かろうはずが無い。もうとにかく惚れ惚れするばかりの演奏で、バックのバンドの演奏だけでも十分に堪能できるレベルです。そこに圧倒的な正統派女性ボーカリストのロバータ・ガンバリーニが唄いまくる訳です。これは全く聴き応え満点のジャズ・ボーカル盤に仕上がっています。

ヒースの曲は「優美」。その優美さを活かしつつ、ダイナミックに素直に唄い上げていくロバータの力量たるや、素晴らしい。メジャー・デビュー時からずっと注目し続けて来た女性ボーカリストであるが、時にこの盤のパフォーマンスは素晴らしい。全編に渡って惚れ惚れするばかりである。

最近、雨後の竹の子の様にリリースされる、可愛さ優先ルックス優先の女性ボーカル盤とは全く異なる、実に伝統的で本格的な女性ジャズ・ボーカル盤です。とにかく上手い。とにかく味がある。聴いていて本当に心地良い。最近はこれだけ本格的な女性ボーカルが少なくなっただけに、このロバータの存在は貴重だ。

しかも、中堅からベテランの味のあるジャズメンが意外にも、現代における「ネオ・ハードバップ」な演奏をメインとしていることに感心することしきり。現代における充実のメインストリーム・ジャズです。聴き返せば聴き返すほどに味わいが深まります。良い女性ボーカル盤です。

 
 

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2016年6月14日 (火曜日)

取っ付き易い「エレ・バード」

先月末、5月31日のブログ(左をクリック)で、Donald Byrd『Black Byrd』をご紹介した訳だが、この時、このアルバムは巷で言われている「フュージョン・ジャズの先駆け」では無い。音の方向性としては、エレクトリック・マイルスと同様で、エレ・バードは柔らかでソウルフル、ポップを追求したファンク・ジャズ。対極にあるがアプローチの方向は同じ、とした。

自分でも、やっとこの60年代後半から70年代前半のDonald Byrdの諸作は、当時の「エレ・マイルス」と同じ方向性であることに合点がいって、聴き直しを始めた。そして、今日は、Donald Byrd『Electric Byrd』(写真)である。1970年5月の録音。ブルーノートの4349番。

この盤も巷では「フュージョン・ジャズの先駆け」とされる。しかも、1950年代から活躍してきた、純ジャズ派のハードバッパーが、エレクトリック・ジャズに手を染めた訳で、酷い評価としては「出来損ないのフュージョン・ジャズ」と揶揄されたこともある。我が国ではどうもこのエレジャズは分が悪い。エレ楽器=俗っぽいロック、という図式になるのかなあ。

で、ちゃんとこのアルバムに向き合って聴き込めば、そんな巷での評価は明らかに見当違いということが良く判る。このアルバムの音世界はやはり「エレ・マイルス」である。明らかに『Miles in the Sky』から『Bitches Brew』辺りの音世界を踏襲している。『Bitches Brew』が1970年4月のリリースだから、確かに「エレ・マイルス」初期の音世界であると言って良い。
 

Electric_byrd

 
エレ・マイルスが思いっきり硬派で尖ったエレ・ジャズだとすると、やはりこの『Electric Byrd』でのエレ・バードの音世界は、エレ・マイルスを聴き易くシンプルに判り易くしたものである。エレ・マイルスよりも明らかに判り易い。しかし、このアルバムに詰まっているのは、当時、コンテンポラリーでエレクトリックな純ジャズである。

ビートを重視したダンサフルなナンバーあり、エレ楽器の特徴を良く踏まえた、拡がりのあるネイチャーなナンバーあり、そして、特筆すべきは、ドナルド・バードのトランペットがとっても魅力的に、とっても良く鳴っていることだ。パーカションの使い方もエレ・マイルスとは一線を画す様に、コンガやボンゴを駆使した「南米志向」(エレ・マイルスは「アフリカ志向」)。ラテンのリズムを取り入れた「Xibaba」など、むっちゃ格好良い。

面白いアルバムです。ドナルド・バードの過渡期的作品とか、エレ・マイルスのパクリだとか、結構、厳しい評価が目に付くアルバムですが、僕はそうは思いません。エレ・マイルスの音世界を踏襲しつつ、ドナルド・バードは彼なりに、エレ・マイルスの音世界を自分の音楽性に照らし合わせて、ドナルド・バードなりのエレ・ジャズを現出しています。

エレ・マイルスよりも明らかに聴き易く判り易いので、意外と取っ付き易いエレ・ジャズです。エレ・ジャズ者の皆さん、自らの耳で確かめてみて下さい。意外と面白い好盤です。

 
 

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2016年6月13日 (月曜日)

「スピリチュアル=ゴスペル」

Apple Musicで冒頭の「A Change is Gonna Come」を聴いて、これは、と思い立ち、即ゲットした。前奏はどこか「チェロキー」を彷彿とされる雰囲気で、これはボッソのトランペットが、テクニックよろしく「チェロキー」をやるのか、と思って聴き続けていたら、いきなり「I was born by the river in a little tent」である。あれ、これって「A Change is Gonna Come」やん(笑)。

Fabrizio Bosso Spiritual Trio『Purple』。2013年9月、伊太利亜での録音。ちなみにパーソネルは、Fabrizio Bosso (tp), Alberto Marsico (org, el-key, p), Alessandro Minetto (ds)。このトリオが「Spiritual Trio」である。

「スピリチュアル」と言うが、ネットを紐解くと、『60年代のフリー・ジャズを経て、70年代に開花した黒人奏者中心のインスト・ジャズ』、宗教的でオカルトな雰囲気が個性の、いわゆる「スピリチュアル・ジャズ」のスピリチュアルとは、ちょっとニュアンスが異なる。

ここで、伊太利亜出身のトランペッター、ファブリッツィオ・ボッソが追求しているのが、宗教的で黒人霊歌を起源とした「聴いていると精神的に高揚してきたり、深い安らぎを得られたりする」音世界。米国ルーツ音楽のひとつ、ゴスペルなんかが、一番近い音世界ですね。いわゆる「ゴスペルチックでブルージーでファンキー」な音世界。
 

Fabrizio_bosso_purple

 
このアルバムの収録曲を見渡すとその音世界の雰囲気が良く判る。サム・クックの「A Change is Gonna Come」、ドニー・マクラーキンの「Purple」、レス・マッキャンの「A Little 3/4 for God and Co.」、リチャード・スモールウッドの「Total Praise」、トラディショナルの「This Little Light of Mine」「Sometimes I Feel Like a Motherless Child/Go Down Moses」「Wade in the Water」。基本は「ゴスペル」。

米国ルーツ音楽好きの僕からすると、このアルバムの音世界には「脱帽」。惚れ惚れし、どっぷりと浸かっていたい、ゴスペルでブルースでファンキーな音世界。そこに、トランペットをフロントにオルガンが絡むんだから、もう「堪らない」。嬉しさの余り卒倒しそうな音世界(笑)。

しかも、このアルバム、ボッソのトランペットが朗々と鳴って、ブラスの音の輝きが素晴らしい。そして、マルシコのオルガンがオーソドックスで聴き易い、それでいてダイナミックな弾きっぷりは「も〜たまらん」。そして、そんなペットとオルガンを底で支える、堅実でスケールの大きいリズム&ビートは、ミネットのドラム。そう、この「Spiritual Trio」は演奏力が尋常ではない。

この「Spiritual Trio」の「スピリチュアル」は、スピリチュアル=ゴスペルという解釈なんですね。ファンキーな演奏もあるんですが、日本人同様、ここでのファンクネスは限りなく乾いた「ファンクネス」。カラッとしたファンクネスが、これまたユニークで、ついつい、聴き込んでしまいます。

 
 

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2016年6月12日 (日曜日)

ポール・サイモンの先取性に脱帽

つい最近のことなんだが、このブログを振り返っていて、ビリー・ジョエルとポール・サイモンに関して、まともにコメントしていないことに気がついた。これは「不徳の致すところ」である。土日を基本的に70年代ロックの日に充てて、ビリー・ジョエルとポール・サイモンに関して、語っていきたい。

ということで、今日はポール・サイモン。アート・ガーファンクルとのユニット「サイモン&ガーファンクル」は、1960年代後半のフォーク・ロックの伝説的デュオとして、今や「伝説」である。1970年、志向する音楽の違いなどからサイモン&ガーファンクルは解散状態となり、サイモンはソロ活動に入る。その第1作が、この『Paul Simon』(写真左)である。

1972年のリリース。米ビルボードチャートで最高位4位。サイモン&ガーファンクルの音楽性とは全く異なる内容ではあったが、その「全く異なる内容」が素晴らしい。今から42年前、高校一年生の時、このアルバムを初めて聴いた時の感想が「こりゃなんじゃ、面白いなあ」。今まで聴いたことの無いリズムとメロディーが詰まっていた。
 

Paul_simon

 
特にこのアルバムの冒頭「Mother and Child Reunion(母と子の絆)」は興味深かった。この裏打ちの2拍子のリズムはなんなんだ。僕が生まれて初めて聴いた「レゲエ」である。そう、この「母と子の絆」は有名白人ミュージシャンとして初めてのレゲエ・ヒットとなった楽曲である。他にも「僕とフリオと校庭で」や「ダンカンの歌」などの佳曲が収録されている。

加えて、このアルバムを聴いて思うのは「ポール・サイモンはギターが素晴らしく上手い」ということ。とにかく「キメている」。ギタリスト、ポール・サイモンの凄さを一番感じさせてくれるのが、このファースト盤『Paul Simon』だろう。このアルバムでは、全編に渡って、サイモンのギターがメイン。ほとんどサイモンのギターだけで歌伴をキメている。

このアルバムは今の耳で振り返って、更にその価値を再認識する。1972年の時代に、サイモンは既にレゲエを始めとした「ワールド・ミュージック」の音楽要素を取り入れていたのだ。この「先取性」には脱帽である。サイモンは硬派だ。アルバムが売れる売れないと考える以前に、自分のやりたいことに信念を持って取り組んでいる。フォーク・ロックの不滅の名盤の一枚である。

 
 

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2016年6月11日 (土曜日)

聴いて楽しいブラス・ロック

ジャズの合間の耳休めに70年代ロックをよく聴くんだが、そんな70年代ロックの中でも、ジャズの合間に聴くのに違和感が無いのが「ブラス・ロック」。

ブラス・ロックとは、Wikipediaを紐解くと「ロックのアレンジを基調とし、ジャズの要素を加味してトランペットやトロンボーンなどの金管楽器(ブラス)を前面に押し出した音楽性が特徴。1960年代後半から1970年代前半に流行した。」とある。ちなみに、ブラス・ロックという呼び方は日本独自の呼び方。世界では通じない(笑)。

確か我が国では1970年代前半に結構なブームがあったやに記憶している。僕が一番好きだったのは、Tower of Power(タワー・オブ・パワー)。タワー・オブ・パワーについては、このブログでも話題となっている(例えば、2010年6月23日のブログ・左をクリック)。

1970年代前半から後半、僕が高校時代に聴き親しんだブラス・ロックなバンドはまだある。Blood, Sweat & Tears(ブラッド・スエット&ティアーズ、BS&Tと略す)と、Chase(チェイス)も結構よく聴いたなあ。

ブラッド・スエット&ティアーズは、一般的には、シカゴを双璧をなす70年代一世を風靡したブラス・ロックの代表的グループ、とされる。リズム強化の一環で導入されたブラス、従来のロックには見ることの出来ないフリーな音楽へのアプローチと、インテリジェンス溢れるブラス・ロックであった。スケールが大きい分、荒削りで未完な面もあって、玉石混交な音作りが面白かった。
 

Bst4_chase

 
僕のお勧め盤は、Blood, Sweat & Tears『B,S&T 4』(写真左)。チューバとトロンボーンの若き名手であるデイブ・バージェロンが新たに参加して、サウンドの重厚感が増した、1971年リリースの好盤である。もともとブラス・ロックは、ブラスとエレギ、エレピの音が重なった「サウンドの重力感」がウリ。そういう観点で、この『B,S&T 4』は申し分無い。ジャズとロックの融合を洗練した音で実現している。

チェイスは、ジャズのビッグバンドで活動していたトランペットのビル・チェイスを中心に71年に結成。管(ブラス)の構成がユニークで、通常はトランペットを始めとして、サックスやトロンボーンなどの混成になるのですが、チェイスの場合はトランペット4本のみという独特な構成。この独特なブラスの構成が、チェイス独特の「高音中心の攻撃的かつアグレッシブな音世界」を創り出しています。ビル・チェイスの事故死によるグループの消滅が残念でならない。もう少し、せめて3〜4枚は、ブラス・ロックの好盤を制作して欲しかった。

チェイスのお勧め盤は、やっぱりこれでしょう。Chase『Chase』(写真右)は5曲目「Get It On(黒い炎)」の名演に尽きる。チェイスの音は、1960年代後半のサイケデリック・ロックの要素を引き継ぎつつ、ブラスの音を効果的に導入した、ロック色に力点を置いた音作りが特徴。デニス・キース・ジョンソンのテクニカルなのに図太いベースなど、明らかにロックな側面を協調しつつ、ブラスの音をアレンジ良く織り込んで、ポップな音作りに成功している。

ジャズの合間の耳休めに「ブラス・ロック」。これ、最近の我がバーチャル音楽喫茶『松和』のトレンドである。

 
 

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2016年6月10日 (金曜日)

時代が生んだ「俗っぽい」盤

レイ・ブライアントは、僕のお気に入りの上位のピアニストである。力強いタッチと粘るゴスペル・フィーリング、力感溢れる左手、ファンキーに良く回る右手。逆に、繊細なバラード展開や歌伴もいける。とにかくファンキーでゴスペルチックなピアノは、聴いていて思わず身体が揺れ、独特の和音の手癖に惚れ惚れする。

とまあ、ここまでお気に入りのピアニストになると、どんなリーダー作でも聴き込んでしまうし、全く飽きることもない。つまりは、よっぽどの駄作で無い限り、全てが愛聴盤であり、全てが好盤である(笑)。マニアという者は「冷静さを欠く」訳で、でも、それはそれで良いではないか、とも思う今日この頃。

今日久し振りに聴いたブライアントのアルバムがこれ。Ray Bryant『Lonesome Traveler』(写真左)。1966年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Clark Terry (flh), Snooky Young (flh), Ray Bryant (p), Jimmy Rowser (b), Richard Davis (b), Freddie Waits (ds)。

トランペット2本にフロントにいて、バックにブライアントのピアノ・トリオが控える。不思議な編成なんだが、これがこれで、なかなかいけてる。とにかく思いっきりファンキーであり、思いっきりポップである。
 

Lonesome_traveler1

 
録音年は1966年。ジャズが大衆化して、軽音楽風に扱われることも多くなった時代。そんな環境下で、ブライアントは、黒人独特のゴスペル風のファンキーで格好良いメロディ・ラインを、思いっきりキャッチャーに聴かせてくれる。俗っぽいと言われてもしかたの無いくらい、あっけらかんと判り易くノリ易いアドリブ・ラインをこれでもかというくらいに繰り出していく。

ジャズにアーティスティックな側面を求める向きには「眉をひそめたくなるような」俗っぽいキャッチャーさなんだが、これが聴いていて心地良い。聴いていて思わず身体が揺れ、ついつい足でリズムを取ったりする。ゴスペルチックな独特の和音の手癖も、米国ルーツ音楽好きの僕には堪らない訳で、このアルバム、意外とお気に入りの一枚。

しかし、冷静になって考えてみると、このブライアントのアルバムの音って「俗っぽい」。アーティスティックなジャズとは対極の俗っぽいジャズ。硬派なジャズ者の方々からすると、思わず眉をひそめたくなるような「俗っぽさ」。でも、これが良い。この俗っぽさが良い。

思えば、ジャケットもちょっと変。夕陽の橙色に染まった列車に、不思議なオリエンタルな顔立ちの美女が一人。ん〜、これってジャズのジャケットではないよな〜。時は1966年。ジャズは大きな曲がり角に差し掛かっていた。そんな時代だからこそ、このゴスペルチックで俗っぽくてポップなジャズ盤が出来たんやな〜、なんて改めて感心する今日この頃。

 
 

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2016年6月 9日 (木曜日)

2015「ヴォーカル部門・金賞」

朝から結構な雨で気が滅入った。雨は好きでは無い、というか「嫌い」。子供の頃から圧倒的な「晴れ男」ゆえに、雨はどうしても好きになれない。まず「濡れる」という行為が駄目だ。ちょっとでも「濡れる」と心が暗くなる。つまりは「梅雨」という季節は、僕にとっては最悪。そんな最悪な季節が「今」である。

とにかく、朝から結構な雨で気が滅入る。こういう時はどんなに硬派でテクニック優秀なジャズを聴いても楽しめない。逆に、こんなに素晴らしいジャズをなんで雨の日に聴かにゃあならんのや、と思って更に気が滅入る。こういう時には「ボーカル」を聴くのが一番良い。特に女性ボーカルが一番良い。

それも、キュートで清楚なボーカルが良い。肉食系な女性ボーカルはいけない。あくまで、キュートで理知的なボーカルが良い。ということで選んだアルバムがこれ。Chiara Pancaldi『I Walk a Little Faster』(写真)。

「キアラ・パンカルディ」と読む。イタリアの若手ジャズ・シンガーである。今年の「ジャズ批評」のオーディオ・ディスク大賞2015「ヴォーカル部門・金賞」に輝いた、先進気鋭な女性ボーカリストである。僕はこのキアラについては、この2015「ヴォーカル部門・金賞」受賞の記事で初めてその存在を知った。
 

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早速、ゲットである。聴いてみると、透明感のある歌声で究めてオーソドックス。適度にキュートで、誠実に唄い上げるその様は実に理知的。いい女性ボーカルではないか。アルバム全体がしっかりと創られていて、エコーも印象的で雰囲気が良い。これは良いボーカル盤である。冒頭の2曲、マイ・フェア・レディ名曲「Wouldn't It Be Loverly」と「Show Me」を聴くだけで、もう惚れ惚れ。

そして、聴き進めていくと、バックのピアノ・トリオが素晴らしい。誰だろうとパーソネルを見ると、Cyrus Chestnut (p), John Webber (b), Joe Farnsworth (ds)。このトリオのバッキングが絶品。チェスナットって歌伴が上手い。キアラのボーカルと同じレベルで、そのパフォーマンスは素晴らしい。確実に、このボーカル盤をワンランク・アップさせている。

雨の日に爽やかで切れ味の良いピアノ・トリオとキュートで清楚で理知的な女性ボーカル。雨で滅入った気持ちを十分に癒してくれる。良い女性ボーカル盤です。聴き応え満載です。

さてついでにもう一つ。ジャケットも魅力。表カバーの彼女の左下方向の目線が何とも言えない色気を発しているんだが(写真左)、内ジャケを見ると同じ様な写真かと思いきや、目線が正面の向きに凛々しく変化している(写真右)。これがまた良い。ジャケットもなかなか秀逸。そういう意味で、この女性ボーカル盤、総合点でかなりの高得点を獲得していますね。好盤です。 

 
 

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2016年6月 8日 (水曜日)

こんなアルバムあったんや・63

「人生、死ぬまで勉強」と言うが、ジャズを聴き初めて40年ほどになっても、まだまだ他のジャズ者の方々に教えられることがある。そんなアルバムあったんや〜、とか、そんなジャズメンいたんや〜、とか、まだまだ知らないことが沢山ある。

今回のこのアルバムもそうである。マル・ウォルドロンのピアノが好きなんだが、1980年代のマルも良いですよ、と教えて貰った。僕もその頃のマルについては『Spring In Prague(邦題:プラハの春)』(1990年)くらいは知ってはいるが、1980年代と言われると「ん〜?」と唸ってしまうのだ。

そのジャズ者の方がネットで教えてくれたアルバムがこれ。Mal Waldron Quintet『The Seagulls of Kristiansund』(写真左)。1986年9月16日、ニューヨークは「Village Vanguard」でのライブ録音になる。ちなみにパーソネルは、Mal Waldron (p), Woody Shaw (tp), Charlie Rouse (ts, fl), Reggie Workman (b), Ed Blackwell (ds)。

この面子をみると、どんな音が出るのか、迷いに迷う。ハードバップばりばりな面子(Mal Waldron, Woody Shaw, Charlie Rouse)と、モーダルで限りなくフリーな面子(Reggie Workman, Ed Blackwell)とが混在している。年齢的にミルト、ハードバップばりばりな面子が優勢で、やっぱり、この面子だとハードバップかな、と考える。

しかも、時は1986年。純ジャズ復古の時代。メインストリーム・ジャズが復権し、ウィントン・マルサリスを筆頭に「ネオ・ハードバップ」がジャズのトレンドの時代。しかし、従来のハードバップだと、モーダルで限りなくフリーな面子(Reggie Workman, Ed Blackwell)が浮くなあ、と不安にある。
 

The_seagulls_of_kristiansund1

 
さて、その音はと言うと、素晴らしくモーダルで限りなくフリーな演奏がバッチリ詰まっています。しかも、表現力が素晴らしく、とにかく驚くのが、ハードバップばりばりな面子(Mal Waldron, Woody Shaw, Charlie Rouse)が、思いっきり、モーダルな演奏をぶちかましているところです。特に、チャーリー・ラウズが素晴らしい。びっくりポンです。

モーダルで限りなくフリーな面子(Reggie Workman, Ed Blackwell)は「水を得た魚」状態。両人ともテクニックを駆使しつつ、モーダルでフリーなバッキングをかましまくる。こんなにダイナミックでエモーショナルなバッキングをする両人だったけ、と聴いていて嬉しくなったりする。

主役のマル・ウォルドロンのピアノも申し分ないですね。マル・ウォルドロンのタッチは硬質で端正。、硬質なタッチの底に、もやっとした黒いブルージーな雰囲気が横たわっている。そして、端正な弾きこなしの端々にラフな指さばきが見え隠れする。この「黒い情感と適度なラフさ」がマルの特徴。

そんなマルのピアノが心ゆくまで堪能できます。いや〜素晴らしいライブ盤です。ジャケットだけ見れば、そんな思いっきり尖った硬派でモーダルな内容だとは全く思いもしません。しかし、このカモメのジャケットが良い。このジャケットの情景が、3曲目のタイトル曲で延々26分に渡って繰り広げられます。いや〜、びっくりポンな好盤です。

 
 

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2016年6月 7日 (火曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・53

「それじゃあ、スタンダーズ・トリオで行くべ」ということで、正式に旗揚げした、キース・ジャレット率いるスタンダーズ・トリオ。まずは一発『Standards Live』(2015年9月10日のブログ)をリリース。

この『Standards Live』は、先ずはスタンダーズ・トリオの代表作の一枚。先ずは、このライブ盤を聴きながら、キースの考える、キースの美意識の塊であるスタンダーズ・トリオを体感し、実感する。つまりは、スタンダード曲をベースにした「即興要素」の強い、インプロビゼーションが中心の「インタープレイ」である。

これが受けに受けた。三者三様、それぞれがソロ演奏のスタイルを変えずに「インタープレイ」するだけなんだが、新しいスタンダード曲の解釈である、ともてはやされた。新しいピアノ・トリオの基準とも言われた。で、思いっきり気を良くしたキースとアイヒャーはLP2枚組のライブ盤をリリースする。

Keith Jarrett Trio『Still Live』(写真左)である。1986年7月、ミュンヘンのフィルハーモニック・ホールでのライブ録音。もちろんパーソネルは、Keith Jarrett (p), Gary Peacock (b), Jack DeJohnette (ds)。鉄壁の3人である。

収録された曲を見渡すと、あれまあ、どれもがほとんど「誰もが知っている大スタンダード曲」をズラリと並べている。あれれ、皆があまり知らない、魅力的なスタンダード曲を発掘して、聴き手の期待に応える、という点はどこへ行ったのやら。これはまあ、キースらしからぬ暴挙である(笑)。
 

Still_live

 
ビル・エバンスの持ち曲をメインに、キースの考える「インタープレイ」を展開する。「インタープレイ」の祖、ビル・エバンス・トリオに肉薄し、凌駕したかと言えば、実はそうでもない、というところが本音かな。

このスタンダーズ・トリオの「インタープレイ」の基本は、三者三様、それぞれが従来のソロ演奏のスタイルを変えずに「即興要素」の強いインプロビゼーションを展開すること。これって、別にキースの自作曲でも同じこと。スタンダード曲をメインに据えれば、その「マンネリ」リスクを回避できるという利点はある。

つまりは、このスタンダーズ・トリオのインタープレイは、トリオのメンバーそれぞれの、従来からのインタープレイの素晴らしさを再現している訳で、ビル・エバンス・トリオのインタープレイのアプローチとはちょっと異なるので、比較の対象にはならない。スタンダーズ・トリオのインタープレイはそれはそれで実に優れたパフォーマンスなのだ。

しかし、この大スタンダード曲のオンパレードはなんだ。まあ、その点は次作から修正されるので良しとしましょう(笑)。しかし、それが故にこのライブ盤は売れに売れました。「ベース、ドラム入りのケルン」と形容したジャズ者の方がいましたが、けだし名言でしょう。

 
 

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2016年6月 6日 (月曜日)

現代の「自由度の高い即興演奏」

こういうジャズが最初に流行ったのが1960年代半ば。限りなくフリーなモード・ジャズから入って、アドリブ部でも限りなくフリーなモード・ジャズを継続しながら、途中、思い余って、いきなりフリーに突入。しかし、それもしっかりと計算されていて、テクニカルでエモーショナル&スピリチュアル。あくまで、アーティスティックで自由度の高い即興演奏を目指す。

こういうジャズって、曲のテーマ部でも、アドリブ部でも旋律に親しみ易さ、聴き易さ、という面は希薄で、演奏面で、そのハイテクニックなところ、限りなく自由なアドリブ展開を創造していくところ、そういう面について感心したりするのだが、意外と繰り返し聴く「ヘビロテ盤」にはならない。

音楽ってやっぱり、テーマ部にしろ、アドリブにしろ、親しみ易い旋律と聴き易さを兼ね備えていないと楽しめないよな、と思う。そういう意味では、アーティスティックで自由度の高い即興演奏がメインのジャズって、時が経って目新しさが薄れると、そのニーズはどんどん減っていくんだろうな、と思っていた。

今年は2016年。21世紀に入って10年以上が経った。1960年代半ばからも既に50年、半世紀が経っている。それでも、こういうジャズのアルバムがリリースされるのだ。Murray, Allen & Carrington Power Trio『Perfection』(写真左)。

パーソネルを見れば、そのアルバムの音世界が想像出来るというもの。David Murray (ts, b-cl), Geri Allen (p), Terri Lyne Carrington (ds), Charnett Moffett (b), Craig Harris (tb), Wallece Roney (tp)。

限りなくフリーな重量級テナーマンのデヴィッド・マレイ、硬質で力感溢れるタッチとリリカルでフリーな展開が身上のピアニストであるジェリ・アレン、そして、鋭く尖った切れ味の良いワイルドなドラマー、テリ・リン・キャリントンの3人が平等に名を連ねたオールスター・トリオ「Power Trio」の新作である。
 

Perfection1

 
このアルバム、故オーネット・コールマンに捧げられたアルバム、とのこと。なるほど、とにかく限りなくフリーなモード・ジャズをメインに、アドリブの途中、フリーに展開。演奏内容はハイテクニックかつスピリチュアル。徹頭徹尾、アーティスティックで自由度の高い即興演奏である。

その内容は優れたものだ。テクニックも優秀、アドリブの展開もバリエーション豊かで、イマージネーションに優れる。実にアーティスティックな内容だ。しかし、である。その内容には感心するのだが、繰り返し聴く「ヘビロテ盤」にはならない。

アーティスティックなんですけどね。テーマ部にしろ、アドリブにしろ、親しみ易い旋律と聴き易さを兼ね備えていない分、どうしても繰り返し聴く気分にはならないんですよね〜。

しかし、今でもこういうストイックで即興演奏をメインとするジャズのニーズってあるんやなあ、と感心する。じゃないと、こういう新作がリリースされることは無いだろう。リリースするからには、このアルバムを購入する一定量のジャズ者が存在するということ。世界レベルで何人いるんだろう。

でも、またいつかこのアルバムの存在を思い出して、聴き返すと思います。何度も繰り返し聴くアルバムでは無いんですが、ストイックで即興演奏をメインとするジャズ、と思い出して、2010年代半ば辺りとした時に、このアルバムの存在を思い出すんではないか、と思っています。そんな印象を残す好盤です。

 
 

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2016年6月 5日 (日曜日)

以色列の新進気鋭のギタリスト

最近、イスラエル(以色列)・ジャズに遭遇する機会が増えてきた。なんでも、新たなジャズの聖地になるのでは、くらいの勢いでメジャーな存在になってきていて、今、イスラエル初のジャズは無視出来ない存在になってきた。

特徴はと言えば、ネットを紐解くと「イスラエル、ジューイッシュ(ユダヤ)の哀愁を帯びたフレーズやメロディ、または近隣アラブ諸国〜北アフリカ地域の音楽的要素なども取り入れられており、結果生成された今までにないハイブリッドなジャズ・サウンドが特徴」とある。

僕が一番始めに出会ったイスラエル出身のジャズメンは、ベーシストのアヴィシャイ・コーエン。1997年から2003年までチック・コリア&オリジンのベーシストとして活躍、一躍メジャーな存在となりました。それからちょっと時間が空いて、ギタリストのオズ・ノイかな。ピアニストのヤロン・ヘルマンは、僕にとっての最近の注目株です。
 

Jonathan_levy_yonatan

 
そして、今回、遭遇したのが、ギタリストの「ジョナサン・レヴィー」。Apple Musicの新着ミュージックを眺めていて、おっこれは、ということで聴き始めました。今回、聴いたアルバムが、Jonathan Levy『YONATAN』(写真左)。2016年4月のリリース。Shai Mastro (p), Jordan Perlson (ds) との新進気鋭のトリオ。

どこまでも限りなく、幻想的なサウンドスケープが広がる風景画の様な音世界。リリカルに印象的にアコギの音が響きます。ビル・フリゼールのカントリー調のギターの響きに一種通じる様な雰囲気もあって、なかなか聴かせてくれます。僕が勝手に名付けている「ネイチャー・ジャズ」な雰囲気、米国の山岳地域や穀倉地帯に広がる米国の原風景的なフォーキーな音世界。 

ストレス・フリーで心穏やかにさせてくれる、リリカルでフォーキーな音世界は、純ジャズというよりはスムース・ジャズに近い。緩やかでポップ、そして印象的な旋律の展開はイスラエル・ジャズ独特の音世界でしょう。好盤。今年の注目盤の一枚です。

 
 

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2016年6月 4日 (土曜日)

スタンダーズのパーマネント化

僕はこのアルバムで、キースの「スタンダーズ・トリオ」の価値を見出した。このアルバムの内容は傾聴に値すると思った。相変わらずキースは唸っていて、当時の僕の耳にはちょっと辛いアルバムだったが、このアルバムに収録されている「スタンダード曲」は一聴に値する。

Keith Jarrett『Standards, Vol. 2』(写真左)。1985年のリリースになる。 録音は1983年1月になる。パーソネルは当然、Keith Jarrett (p), Gary Peacock (b), Jack DeJohnette (ds)。この『Standards Vol.2』ろ『Standards Vol.1』そして『Changes』は同一時期に録音された「三つ子」の様なアルバム。

『Standards Vol.1』の選曲もなかなか興味深いものだったが、この『Standards, Vol. 2』の選曲はもっと興味深い。スタンダード曲がメインではあるが、キースはありきたりのスタンダード曲を選んではいない。聴いたことがほとんどない曲が数曲あって、これがまた実に美しい旋律を持ったものばかりなのだ。

なるほど、これがスタンダーズ・トリオが「活きる道」なんだな、と合点がいった。自作曲については、やはり一人の人間であればバリエーションには限りがある。いわゆる「マンネリ」に陥るリスクが高い。曲の旋律がマンネリに陥れば、当然、それに続くアドリブ展開だって「マンネリ」に陥る。これがオリジナル曲だけで固められた「即興要素」の強い、インプロビゼーションが中心のアルバムの弱点である。

しかし、スタンダード曲をメインに据えれば、その「マンネリ」リスクはかなり軽減できる。そして、スタンダード曲はかなりの数がある。一枚のアルバムに5〜6曲の収録と限定すれば、ゆうに数十枚のアルバムが量産できる。しかも「マンネリ」リスクが軽減でき、「即興要素」の強い、インプロビゼーションが中心の内容の、三者三様の「唯我独尊のインタープレイ」を展開するにも問題は全く無い。
 

Standards_2

 
その上、先の1983年にリリースされた『Standards Vol.1』の評判も上々だ。そういうことで、キース・ジャレットとECMの総帥マンフレート・アイヒャーは、スタンダーズ・トリオのパーマネント化を決定していたのではないか、と思っている。スタンダーズ・トリオの個性は、このアルバムで確立された、と考えるのが自然。

リリカルなバラードナンバーが多いこの『Standards, Vol. 2』はかなり聴き易い内容になっていて、キースのインプロビゼーションの展開の素晴らしさとピアノの音の麗しさがダイレクトに伝わってくる。スタンダーズ・トリオの向かうべく方法が実に明確に良く判る。

基本は、まず、ソロ演奏と変わらないキースのインプロビゼーションに、他の楽器の自由度を最大限に認めた「インタープレイ」という観点で、ベースのピーコックがモーダルでフリーなベースで絡み、ドラムのデジョネットが手数の多い、ポリリズミックで多彩な音色のドラミングで絡む。

そして、インプロビゼーションがマンネリに陥らないように、スタンダード曲の力を借りる。加えて、皆があまり知らない、魅力的なスタンダード曲を発掘して、聴き手の期待に応える。これが大当たり。スタンダーズ・トリオはジャズ界の寵児となる。ジャズの歴史に残るピアノ・トリオとして大活躍することになる。

 
 

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2016年6月 3日 (金曜日)

オリジナル曲のキースも良い

キースのスタンダーズ・トリオは、すんなり立ち上がった訳では無かった様に思う。このアルバムを聴く度に思うのだ。Keith Jarrett『Changes』(写真左)。1983年1月の録音になる。

あれれ、と思う。1983年1月、ニューヨークでの録音。『Standards Vol.1』そして『Standards Vol.2』も同じ録音時期。つまりは、この『Standards Vol.1』そして『Standards Vol.2』と『Changes』は同一時期に録音された「三つ子」の様なアルバムなのだ。

しかし、発売時期は異なる。1983年に『Standards Vol.1』、1984年に『Changes』、1985年に『Standards Vol.2』。『Standards Vol.1』そして『Standards Vol.2』の間に『Changes』がリリースされている。

これがなんか「微妙」なのだ。この『Changes』はキースのオリジナル曲だけで固められた「即興要素」の強い、インプロビゼーションが中心のアルバムである。
 
いわゆる「スタンダーズ」とは対極にあるアルバム内容なのだ。つまりはこの時期、キースは「スタンダーズ」一本でやっていこうとは思っていなかったのだろうか。
 

Changes

 
実はこの「即興要素」の強い、インプロビゼーションが中心のアルバムは展開がダイナミックで、とても美しい。ダレたところが全く無い、ストイックなまでに即興演奏を追求した、究極の「インタープレイ」。これはこれで素晴らしい内容。スタンダーズ・トリオの演奏と比較しても全くひけをとらない。

スタンダード曲がメインの『Standards Vol.1』、そして、オリジナル曲だけで固められた『Changes』。どちらも「即興要素」の強い、インプロビゼーションが中心の内容であり、三者三様の「唯我独尊のインタープレイ」。キースのインプロビゼーションの展開も同じ雰囲気。

さて、どちらが良いのか。スタンダード曲がメインとオリジナル曲がメインと、どちらが良いのか。というのか、有り体に言ってしまうと、どちらが世の中のジャズ者にうけるのか。迷ったというか、思案投げ首のキース・ジャレットとマンフレート・アイヒャー。

きっと、二人ともこの頃はまだ「スタンダーズ・トリオ」に確信を持てて無かったんじゃないかなあ。それほどこの『Changes』の音世界は素晴らしい。思わず、1977年に遡って『Tales of Another』を想起する。この音世界のキースも凄く魅力的なのだ。

そして、1985年に『Standards Vol.2』をリリースする。そして、これがまた・・・。このアルバムの話はまた明日。

 
 

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2016年6月 2日 (木曜日)

プログレッシブ・ジャズロック

嫌な事が続いて心が疲れてきたら、昔から決まって「あっけらかんとしたフュージョン」を聴く。つまらないことで、残された人生を乱されるのは真っ平だ。心をリセットして、明日からリフレッシュして、残された人生を明るく生きる。

さて、そんな時に聴いたアルバムがこれ。Lenny White『The Adventures of Astral Pirates』(写真左)。リターン・トゥ・フォーエヴァー(略してRTF)の名ドラマーの78年作品。宇宙探検をテーマにした壮大なコンセプト・アルバム。作りは基本的にプログレッシブ・ロック。それもそのはず。プロデューサーは、奇才ロッカー、アル・クーパー。

「宇宙探検をテーマ」にしているなんて、かなり陳腐な、と思ってしまうが、どうして、かの伝説的バンド、RTFも「宇宙をテーマ」にしたものが多かった。RTFのリーダーのチックも好きだった。これって、レニー・ホワイトとしたら「アリ」なんだろうな。

パーソネルは、レニー・ホワイト(ds,perc,synt)パトリック・グリースン(synt)ドナルド・キャプト・キーボーズ・ブラックマン(org,p,el-p,synt,vo)ニック・マロック、ジェフ・シグマン(g)アレックス・ブレイク(b)。まったくRTF人材とは無縁のスタジオ・ミュージシャンなタイプのメンバーを選んでいる。
 

The_adventures_of_astral_pirates1

 
音世界もRTFのようでRTFでは無い。プログレッシブ・ロックの様でそうでは無い。プログレッシブ・ジャズロックとでも形容したら良いだろうか。そして、どの曲でもレニー・ホワイトは叩きまくっています。レニー・ホワイトのドラミングはさすがなんですが、他のメンバーについては、ちょっと演奏にキレが足らないのが「玉に瑕」。

スペイシーなクロスオーヴァー・フュージョンあり、アーバンなフュージョン・ナンバーあり、ボーカル入りのグルーヴィーなフュージョン・チューンあり、印象に残るテーマ曲あり、アルバム全体に渡って楽曲の構成がかっちりしています。バラエティ感のあるとても楽しい好アルバムです。

それを差し引いても、このプログレッシブ・ジャズロックは聴き応えがあります。なかなか良く出来ていますよ。歴史に残る名盤の類では無いのですが、クロスオーバー・ジャズの好盤として、もっと評価されても良いと思います。

しかし、この邦題は凄い。「The Adventures of Astral Pirates」が「ヘビー・メタル・ファンタジー」。どうしてこうなるんかなあ。当時のレコード会社の担当のセンスを疑うなあ。これじゃあ、売れるものも売れんよな(笑)。

 
 

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2016年6月 1日 (水曜日)

キースのスタンダーズ・トリオ

キース・ジャレットのピアノ・トリオと言えば「Standards Trio(スタンダーズ・トリオ)」。この通称「スタンダーズ・トリオ」は80年代以降、2000年代に入った現在まで30年以上に渡って継続してライブを行い作品を発表し続けるという、ジャズ史上、他に例を見ないユニットである。

キースを理解するには避けて通れない「スタンダーズ・トリオ」であるが、僕にとって、これがなかなか、聴き込むに至らなかった。キースのスタンダーズ・トリオを聴くには、幾つかの「越えなければならない」ハードルがある。

1)演奏のバリエーションが豊富で、様々な演奏のトレンドやスタイルを
  理解していないと何が凄くて何が優れているのかが判らない。

2)それぞれの楽器毎に、かなり長時間のアドリブが展開されるのだが、
  この長時間のアドリブを楽しむ「耳」が必要になる。

3)キースは「唸る」。このキースの唸り声に邪魔されること無く、
  演奏を愛でることの出来る「技」が必要になる。

1)と2)については、ジャズに親しみ、ジャズを聴き続け、聴き込むことでクリア出来ると思われる。実際、僕も、長年、ジャズを聴き続ける中で、スタンダーズ・トリオの演奏を十分に楽しむ事が出来るようになった。

しかし、である。僕はこの 3)をクリアするのにかなりの時間がかかった。ジャズを聴き始めて40年。最近、やっとキースの唸り声が気にならなくなった。というか、もはや演奏の一部と理解して聴く様になった。この唸り声もキースの個性なのだ。
 

Keith_jarrett_standards_vol1

 
そのキースの唸り声を克服することで、やっとスタンダーズ・トリオの諸作が聴き込める様になった。そして、やはり、このアルバムである。Keith Jarrett Trio『Standards, Vol.1』(写真左)。1983年1月の録音。ちなみに改めてパーソネルは、Keith Jarrett (p), Gary Peacock (b), Jack DeJohnette (ds)。

スタンダーズ・トリオの全てがこのデビュー盤に詰まっている。基本は、ソロ演奏と変わらないキースのインプロビゼーションに、他の楽器の自由度を最大限に認めた「インタープレイ」という観点で、ベースのピーコックがモーダルでフリーなベースで絡み、ドラムのデジョネットが手数の多い、ポリリズミックで多彩な音色のドラミングで絡む。

加えて、自作曲だと聴き手に伝わらない、聴き手が拒絶反応を起こす可能性があるので、ジャズ・スタンダード曲の印象的な旋律を借りて、自作曲の弱点をクリアし、聴き手にガッツリと訴求する。

そう、キースはトリオ演奏だからといって、ソロ演奏のスタイルと変わらない。こういうところは「唯我独尊」。聴き手に迎合することは全く無い。そういう意味では、ピーコックのベースもソロ演奏のスタイルと変わらないし、デジョネットのドラムも他のバックで叩くスタイルと変わらない。

このスタンダーズ・トリオは三者三様、それぞれがソロ演奏のスタイルを変えずに「インタープレイ」する、それが基本なのだ。ということに、やっと最近、キースのピアノを聴き込める様になって得心した。つまりは三者三様の「唯我独尊のインタープレイ」である。しかし、当然、リーダーのキースが目立たなくてはならない(笑)。

さあ、スタンダーズ・トリオの諸作を聴き直していくぞ。キースの唸り声を克服したことで、もはや聴き直しの障害は無くなった。しかし、40年かかったのか。キースの唸り声、恐るべしである。

 
 

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