2015「ヴォーカル部門・金賞」
朝から結構な雨で気が滅入った。雨は好きでは無い、というか「嫌い」。子供の頃から圧倒的な「晴れ男」ゆえに、雨はどうしても好きになれない。まず「濡れる」という行為が駄目だ。ちょっとでも「濡れる」と心が暗くなる。つまりは「梅雨」という季節は、僕にとっては最悪。そんな最悪な季節が「今」である。
とにかく、朝から結構な雨で気が滅入る。こういう時はどんなに硬派でテクニック優秀なジャズを聴いても楽しめない。逆に、こんなに素晴らしいジャズをなんで雨の日に聴かにゃあならんのや、と思って更に気が滅入る。こういう時には「ボーカル」を聴くのが一番良い。特に女性ボーカルが一番良い。
それも、キュートで清楚なボーカルが良い。肉食系な女性ボーカルはいけない。あくまで、キュートで理知的なボーカルが良い。ということで選んだアルバムがこれ。Chiara Pancaldi『I Walk a Little Faster』(写真)。
「キアラ・パンカルディ」と読む。イタリアの若手ジャズ・シンガーである。今年の「ジャズ批評」のオーディオ・ディスク大賞2015「ヴォーカル部門・金賞」に輝いた、先進気鋭な女性ボーカリストである。僕はこのキアラについては、この2015「ヴォーカル部門・金賞」受賞の記事で初めてその存在を知った。
早速、ゲットである。聴いてみると、透明感のある歌声で究めてオーソドックス。適度にキュートで、誠実に唄い上げるその様は実に理知的。いい女性ボーカルではないか。アルバム全体がしっかりと創られていて、エコーも印象的で雰囲気が良い。これは良いボーカル盤である。冒頭の2曲、マイ・フェア・レディ名曲「Wouldn't It Be Loverly」と「Show Me」を聴くだけで、もう惚れ惚れ。
そして、聴き進めていくと、バックのピアノ・トリオが素晴らしい。誰だろうとパーソネルを見ると、Cyrus Chestnut (p), John Webber (b), Joe Farnsworth (ds)。このトリオのバッキングが絶品。チェスナットって歌伴が上手い。キアラのボーカルと同じレベルで、そのパフォーマンスは素晴らしい。確実に、このボーカル盤をワンランク・アップさせている。
雨の日に爽やかで切れ味の良いピアノ・トリオとキュートで清楚で理知的な女性ボーカル。雨で滅入った気持ちを十分に癒してくれる。良い女性ボーカル盤です。聴き応え満載です。
さてついでにもう一つ。ジャケットも魅力。表カバーの彼女の左下方向の目線が何とも言えない色気を発しているんだが(写真左)、内ジャケを見ると同じ様な写真かと思いきや、目線が正面の向きに凛々しく変化している(写真右)。これがまた良い。ジャケットもなかなか秀逸。そういう意味で、この女性ボーカル盤、総合点でかなりの高得点を獲得していますね。好盤です。
震災から5年2ヶ月。決して忘れない。まだ5年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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