弾きすぎるジミー・スミス 『Cool Blues』
Jimmy Smith(ジミー・スミス)はジャズ・オルガンの最高位に位置する「ヴァーチュオーゾ」というのは衆目の一致するところ。ジミー・スミスのアルバムはどれも「外れが無い」。ジミー・スミスは「ヴァーチュオーゾ」であるが故に、弾きすぎるところが「玉に瑕」。そこをブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンがプロデュースよろしく上手くコントロールして、弾きすぎるスミスに「歌心」を心がけさせて、聴き手の立場に立ったオルガンを弾かせている。
ジミー・スミスとアルフレッド・ライオン、この組合せがあって、ジミー・スミスはジャズ・オルガンの最高位に位置する「ヴァーチュオーゾ」となったのである。ブルーノート・レーベル時代があってこそ、ジミー・スミスはその地位を確立できた。僕はそう睨んでいる。弾きすぎるところに「歌心」。これがジミー・スミスがジャズ・オルガンの最高位に位置する「ヴァーチュオーゾ」である所以なのだが、ブルーノート・レーベルの音源の中に、その例外として「弾きすぎるジミー・スミス」を捉えたライブ音源がある。
その「弾きすぎるジミー・スミス」を捉えたライブ音源が、Jimmy Smith『Cool Blues』(写真)。1958年4月、ニューヨークのライブハウスである「Small's Paradise」でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Lou Donaldson (as), Tina Brooks (ts), Eddie McFadden (g), Donald Bailey (tracks 5-8), Art Blakey (tracks 1, 2 & 4) (ds)。
「Small's Paradise」でのライブ録音には『Groovin' at Smalls' Paradise』のVol.1とVol.2、ブルーノートの1585番と1986番があるが、それとは全くの別物である。演奏はスミス〜マクファーデン〜ベイリーのトリオである。演奏内容も全く異なる。
このJimmy Smith『Cool Blues』は、1978年にブルーノートの「BNLTシリーズ」として、LPフォーマットで発掘リイシューされた(写真左)。この時は、まだ僕はジャズ者初心者ホヤホヤ。こういった「発掘リイシューもの」に手を出す勇気が無い(笑)。僕がこのリイシュー盤を乳下のは2001年、CDフォーマットでのリイシューである(写真右)。このスミスのライブ盤の価値は「弾きすぎるジミー・スミス」だけを捉えたライブ音源だということである。
このライブ音源については、ジミー・スミスはただただ「ひたすらオルガンを弾きまくる」。聴き手の立場、聴き手の想いなど、全く眼中に無い。とにかく、オルガンをただただ、凄まじいテクニックで「弾きまくる」。サイドメンのドナルドソンがハードバップなアドリブ・フレーズを吹きまくろうが、当時、有望新人テナーのティナ・ブルックスがファンキーな黒いフレーズを吹きまくろうが、全くお構いなしに、ジミー・スミスはオルガンをひたすら「弾きまくる」。それはそれは、爽快に豪快に弾きまくっている。
恐らく、このライブ音源は「弾きすぎるジミー・スミス」だけを捉えたライブ音源が故に「お蔵入り」になったと想像している。ジャズをポップス音楽として聴く向きには、あまりにオルガンを弾きすぎて、肝心の「歌心」は微塵も無い。しかし、その「弾きまくる」ところが、このライブ盤の魅力。スカッと爽快な弾きっぷりである。
ジミー・スミス者には必須のアイテム。ジャズ・オルガン好きにもお勧め。でも、ジャズにポップス性を求める向きには、ちょっと硬派でストイックな内容で、ちょっと取っ付き難いし、リラックスして聴くのに骨が折れるでしょう。聴き手を選ぶ好盤です。
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